地すべり等防止法

昭和三十三年法律第三十号
分類 法律
カテゴリ   災害対策
@ 施行日 : 令和六年四月一日 ( 2024年 4月1日 )
@ 最終更新 : 令和五年法律第三十四号による改正
最終編集日 : 2024年 11月23日 19時24分

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  • 第一章 総則

  • 第二章 地すべり防止区域に関する管理

  • 第三章 地すべり防止区域に関する費用

  • 第四章 ぼた山崩壊防止区域に関する管理等

  • 第五章 雑則

  • 第六章 罰則

第一章 総則

1項

この法律は、地すべり及びぼた山の崩壊による被害を除却し、又は軽減するため、地すべり及びぼた山の崩壊を防止し、もつて国土の保全と民生の安定に資することを目的とする。

1項

この法律において「地すべり」とは、土地の一部が地下水等に起因してすべる現象 又はこれに伴つて移動する現象をいう。

2項

この法律において「ぼた山」とは、石炭 又は亜炭に係る捨石が集積されてできた山であつて、この法律の施行の際現に存するものをいい、鉱山保安法 及び経済産業省設置法の一部を改正する法律平成十六年法律第九十四号)第一条の規定による改正前鉱山保安法昭和二十四年法律第七十号)第四条 又は第二十六条の規定により鉱業権者 又は鉱業権者とみなされる者がこの法律の施行の際必要な措置を講ずべきであつたものを除くものとする。

3項

この法律において「地すべり防止施設」とは、の規定により指定される地すべり防止区域内にある排水施設、擁壁、ダム その他の地すべりを防止するための施設をいう。

4項

この法律において「地すべり防止工事」とは、地すべり防止施設の新設、改良 その他の規定により指定される地すべり防止区域内における地すべりを防止するための工事をいう。

1項

主務大臣は、この法律の目的を達成するため必要があると認めるときは、関係都道府県知事の意見をきいて、地すべり区域(地すべりしている区域 又は地すべりするおそれのきわめて大きい区域をいう。以下同じ。)及びこれに隣接する地域のうち地すべり区域の地すべりを助長し、若しくは誘発し、又は助長し、若しくは誘発するおそれのきわめて大きいもの(以下これらを「地すべり地域」と総称する。)であつて、公共の利害に密接な関連を有するものを地すべり防止区域として指定することができる。

2項

前項の指定は、この法律の目的を達成するため必要な最小限度のものでなければならない。

3項

主務大臣は、第一項の指定をするときは、主務省令で定めるところにより、当該地すべり防止区域を告示するとともに、その旨を関係都道府県知事に通知しなければならない。


これを廃止するときも、同様とする。

4項

地すべり防止区域の指定 又は廃止は、前項の告示によつてその効力を生ずる。

1項
主務大臣は、この法律の目的を達成するため必要があると認めるときは、関係都道府県知事の意見をきいて、ぼた山の存する区域であつて、公共の利害に密接な関連を有するものをぼた山崩壊防止区域として指定することができる。
2項

の規定は、前項の指定について準用する。


この場合において、


当該地すべり防止区域」とあるのは
「当該ぼた山崩壊防止区域」と、


地すべり防止区域」とあるのは
「ぼた山崩壊防止区域」と

読み替えるものとする。

1項

の指定は、必要に応じ、当該地すべり地域に関し、地形、地質、降水、地表水 若しくは地下水 又は土地の滑動状況に関する現地調査をして行うものとする。

1項

主務大臣 又はその命を受けた職員 若しくはその委任を受けた者は、の調査のためやむを得ない必要があるときは、他人の占有する土地に立ち入り、又は特別の用途のない他人の土地を材料置場 若しくは作業場として一時使用することができる。

2項

前項の規定により他人の占有する土地に立ち入ろうとするときは、あらかじめ当該土地の占有者にその旨を通知しなければならない。


ただし、あらかじめ通知することが困難であるときは、この限りでない。

3項

第一項の規定により宅地 又はかき、さく等で囲まれた土地に立ち入ろうとするときは、立入の際あらかじめその旨を当該土地の占有者に告げなければならない。

4項

日出前 及び日没後においては、占有者の承認があつた場合を除き前項に規定する土地に立ち入つてはならない。

5項

第一項の規定により土地に立ち入ろうとする者は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があつたときは、これを提示しなければならない。

6項

第一項の規定により特別の用途のない他人の土地を材料置場 又は作業場として一時使用しようとするときは、あらかじめ、当該土地の占有者 及び所有者に通知して、その者の意見をきかなければならない。

7項

土地の占有者 又は所有者は、正当な理由がない限り、第一項の規定による立入 又は一時使用を拒み、又は妨げてはならない。

8項

国は、第一項の規定による立入 又は一時使用により損失を受けた者に対し、通常生ずべき損失を補償しなければならない。

9項

前項の規定による損失の補償については、国と損失を受けた者とが協議しなければならない。

10項

前項の規定による協議が成立しない場合においては、国は、自己の見積つた金額を損失を受けた者に支払わなければならない。


この場合において、当該金額について不服がある者は、政令で定めるところにより、補償金の支払を受けた日から三十日以内に収用委員会に土地収用法昭和二十六年法律第二百十九号の規定による裁決を申請することができる。

11項

第五項の規定による証明書の様式 その他証明書に関し必要な事項は、主務省令で定める。

第二章 地すべり防止区域に関する管理

1項
地すべり防止工事の施行 その他地すべり防止区域の管理は、当該地すべり防止区域の存する都道府県を統括する都道府県知事が行うものとする。
1項

都道府県知事は、の規定による地すべり防止区域の指定の通知を受けたときは、主務省令で定めるところにより、その地すべり防止区域内にこれを表示する標識を設置しなければならない。

1項

都道府県知事は、の規定による地すべり防止区域の指定の通知を受けたときは、主務省令で定めるところにより、関係市町村(特別区を含む。以下同じ。)の長の意見をきいて、当該地すべり防止区域に係る地すべり防止工事に関する基本計画を作成し、これを主務大臣に提出するものとする。


これを変更するときも、同様とする。

1項

主務大臣は、次の各号の一に該当する場合において、当該地すべり防止工事が国土の保全上特に重要なものであると認められるときは、都道府県知事に代つて自ら当該地すべり防止工事を施行することができる。


この場合においては、主務大臣は、あらかじめ当該都道府県知事の意見をきかなければならない。

一 号
地すべり防止工事の規模が著しく大であるとき。
二 号
地すべり防止工事が高度の技術を必要とするとき。
三 号
地すべり防止工事が高度の機械力を使用して実施する必要があるとき。
四 号
地すべり防止工事が都府県の区域の境界に係るとき。
2項

主務大臣は、前項の規定により地すべり防止工事を施行する場合においては、政令で定めるところにより、都道府県知事に代つてその権限を行うものとする。

3項

主務大臣は、第一項の規定により地すべり防止工事を施行する場合においては、主務省令で定めるところにより、その旨を告示しなければならない。

1項

主務大臣 又は都道府県知事以外の者が地すべり防止工事を施行しようとするときは、あらかじめ当該地すべり防止工事に関する設計 及び実施計画について都道府県知事の承認を受けなければならない。

2項

国 又は地方公共団体は、前項の規定にかかわらず、地すべり防止工事に関する設計 及び実施計画について都道府県知事に協議することをもつて足りる。

3項

都道府県知事は、第一項の承認に、地すべりを防止するため必要な条件を附することができる。

1項

地すべり防止施設の種類、配置、構造 及び規模 並びに水流の付替、地すべり地塊の除去 その他地すべりの防止のための工事は、当該地すべり防止区域における地すべりの原因、機構 及び規模に応じて、有効かつ適切なものとしなければならない。

2項

地すべり防止施設は、次の各号に定めるところにより築造しなければならない。

一 号
排水施設は、次に掲げるところにより、地すべりの原因となるべき地表水 及び地下水をすみやかに地すべり防止区域から排除することができるものであること。
地表水の排除については、明渠 、管渠 、暗渠 、導水管 又は排水トンネルを用いること。
地下水の排除については、暗渠 、ボーリング排水孔、排水トンネル、集水井戸、地下止水壁、明渠 、管渠 又は導水管を用いること。
二 号
擁壁、くい及び土留は、地すべり力に対して安全な構造のものであること。
三 号
ダム、床固、護岸、導流堤 及び水制は、特に地すべりの規模 及び流水による浸食の防止に適合するものであること。
1項

都道府県知事は、その管理する地すべり防止施設が砂防法明治三十年法律第二十九号)第一条に規定する砂防設備、森林法昭和二十六年法律第二百四十九号に規定する保安施設事業に係る施設、かんがい排水施設 その他の施設 又は工作物(以下これらを「他の工作物」と総称する。)の効用を兼ねるときは、当該他の工作物の管理者との協議により、その者に当該地すべり防止施設に関する工事を施行させ、又は当該地すべり防止施設を維持させることができる。

1項

都道府県知事は、その施行する地すべり防止工事以外の工事(以下「他の工事」という。)又は地すべり防止工事の必要を生じさせた行為(以下「他の行為」という。)により自ら施行する必要を生じた地すべり防止工事を当該他の工事の施行者 又は他の行為者に施行させることができる。

2項

前項の場合において、他の工事が河川工事(河川法(昭和三十九年法律第百六十七号)が適用され、又は準用される河川の河川工事をいう。以下同じ。)又は道路(昭和二十七年法律第百八十号)による道路をいう。以下同じ。)に関する工事であるときは、当該地すべり防止工事については、河川法第十九条 又はの規定を適用する。

1項
都道府県知事は、地すべり防止工事により必要を生じた他の工事 又は地すべり防止工事を施行するため必要を生じた他の工事を当該地すべり防止工事とあわせて施行することができる。
2項

前項の場合において、他の工事が河川工事、道路に関する工事 又は砂防工事(砂防法による砂防工事をいう。以下同じ。)であるときは、当該他の工事の施行については、河川法第十八条、 又は砂防法第八条の規定を適用する。

1項
都道府県知事 又はその命じた職員 若しくは委任した者は、地すべり防止区域に関する調査 若しくは測量 又は地すべり防止工事のためやむを得ない必要があるときは、他人の占有する土地に立ち入り、又は特別の用途のない他人の土地を材料置場 若しくは作業場として一時使用することができる。
2項

の規定は、前項の規定により他人の占有する土地に立ち入り、又は他人の土地を一時使用する場合について準用する。


この場合において、


」とあるのは、
「都道府県知事の統括する都道府県」と

読み替えるものとする。

1項

の規定による場合を除き、都道府県知事が地すべり防止工事を施行したことにより、当該地すべり防止工事を施行した土地に面する土地について、通路、みぞ、かき、さく その他の施設 若しくは工作物を新築し、増築し、修繕し、若しくは移転し、又は盛土 若しくは切土をするやむを得ない必要があると認められる場合においては、当該都道府県知事の統括する都道府県は、これらの工事をすることを必要とする者(以下この条において「損失を受けた者」という。)の請求により、これに要する費用の全部 又は一部を補償しなければならない。


この場合において、当該都道府県知事の統括する都道府県 又は損失を受けた者は、補償金の全部 又は一部に代えて、当該都道府県知事が当該工事を施行することを要求することができる。

2項

前項の規定による損失の補償は、当該地すべり防止工事の完了の日から一年を経過した後においては、請求することができない

3項

第一項の規定による損失の補償については、当該都道府県知事の統括する都道府県と損失を受けた者とが協議しなければならない。

4項

前項の規定による協議が成立しない場合においては、当該都道府県知事の統括する都道府県 又は損失を受けた者は、政令で定めるところにより、収用委員会にの規定による裁決を申請することができる。

1項

地すべり防止区域内において、次の各号の一に該当する行為をしようとする者は、都道府県知事の許可を受けなければならない。

一 号

地下水を誘致し、又は停滞させる行為で地下水を増加させるもの、地下水の排水施設の機能を阻害する行為 その他地下水の排除を阻害する行為(政令で定める軽微な行為を除く

二 号

地表水を放流し、又は停滞させる行為 その他地表水のしん透を助長する行為(政令で定める軽微な行為を除く

三 号
のり切 又は切土で政令で定めるもの
四 号

ため池、用排水路 その他の地すべり防止施設以外の施設 又は工作物で政令で定めるもの(以下「他の施設等」という。)の新築 又は改良

五 号

前各号に掲げるもののほか、地すべりの防止を阻害し、又は地すべりを助長し、若しくは誘発する行為で政令で定めるもの

2項

都道府県知事は、前項の許可の申請があつた場合において、当該許可の申請に係る行為が地すべりの防止を著しく阻害し、又は地すべりを著しく助長するものであると認めるときは、これを許可してはならない。

3項

都道府県知事は、第一項の許可に、地すべりを防止するため必要な条件を附することができる。

1項

の規定による地すべり防止区域の指定の際現に当該地すべり防止区域内において権原に基き他の施設等を設置(工事中の場合を含む。)している者は、従前と同様の条件により、当該他の施設等の設置についての許可を受けたものとみなす。


の規定による地すべり防止区域の指定の際現に当該地すべり防止区域内において権原に基き 及びに規定する行為を行つている者についても、同様とする。

1項

において準用する場合を含む。)又は砂防法第四条(同法第三条において準用する場合を含む。)の規定による許可を受けた者は、当該許可に係る行為については、の許可を受けることを要しない。

2項

国 又は地方公共団体がに規定する行為をしようとするときは、あらかじめ都道府県知事に協議することをもつて足りる。

1項

都道府県知事は、次の各号の一に該当する者に対して、その許可を取り消し、若しくはその条件を変更し、又はその行為の中止、他の施設等の改築、移転 若しくは除却、他の施設等により生ずべき地すべりを防止するために必要な施設をすること 若しくは原状回復を命ずることができる。

一 号

の規定に違反した者

二 号

の許可に附した条件に違反した者

三 号

偽りその他不正な手段によりの許可を受けた者

2項

都道府県知事は、次の各号の一に該当する場合においては、の許可を受けた者に対し、前項に規定する処分をし、又はに規定する必要な措置を命ずることができる。

一 号

地すべり防止工事のためやむを得ない必要が生じたとき。

二 号

地すべりの防止上著しい支障が生じたとき。

三 号

地すべりの防止上の理由以外の理由に基く公益上やむを得ない必要が生じたとき。

3項

都道府県知事の統括する都道府県は、前項の規定による処分 又は命令により損失を受けた者に対し通常生ずべき損失を補償しなければならない。

4項

及びの規定は、前項の補償について準用する。


この場合において、

及び
」とあるのは、
「都道府県知事の統括する都道府県」と

読み替えるものとする。

5項

都道府県知事の統括する都道府県は、第三項の規定による補償の原因となつた損失が、第二項第三号の規定による処分 又は命令によるものであるときは、当該補償金額を当該理由を生じさせた者に負担させることができる。

1項

都道府県知事は、その職務の執行に関し必要があると認めるときは、都道府県知事以外の地すべり防止施設の管理者に対し報告 若しくは資料の提出を求め、又はその命じた職員に当該地すべり防止施設に立ち入り、これを検査させることができる。

2項

前項の規定により立入検査をする者は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があつたときは、これを提示しなければならない。

3項

第一項の立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

4項

第二項の証明書の様式 その他証明書に関し必要な事項は、主務省令で定める。

1項

都道府県知事は、都道府県知事以外の者の管理する地すべり防止施設が次の各号の一に該当する場合において、当該地すべり防止施設がの規定に適合しないときは、その管理者に対し改良、補修 その他当該地すべり防止施設の管理につき必要な措置を命ずることができる。

一 号

の規定に違反して工事が施行されたとき。

二 号

の承認に附した条件に違反して工事が施行されたとき。

三 号

偽りその他不正な手段によりの承認を受けて工事が施行されたとき。

2項

都道府県知事は、都道府県知事以外の者の管理する地すべり防止施設が前項各号いずれにも該当しない場合において、当該地すべり防止施設がの規定に適合しなくなり、かつ、地すべりの防止上著しい支障があると認められるときは、その管理者に対し前項に規定する措置を命ずることができる。

3項

都道府県知事の統括する都道府県は、前項の規定による命令により損失を受けた者に対し通常生ずべき損失を補償しなければならない。

4項

及びの規定は、前項の補償について準用する。


この場合において、

及び
」とあるのは、
「都道府県知事の統括する都道府県」と

読み替えるものとする。

5項

前三項の規定は、国 又は地方公共団体の管理する地すべり防止施設については、適用しない

1項

都道府県知事は、地すべりによる被害を除却し、又は軽減するため必要があると認めるときは、地すべり防止工事基本計画を勘案して、主務省令で定めるところにより、次の各号に掲げる事項を記載した計画(以下「関連事業計画」という。)の概要を作成し、地すべり防止区域の存する市町村の長にこれを提示して、当該市町村における関連事業計画を作成するよう勧告することができる。

一 号
家屋 その他の施設 若しくは工作物の移転 若しくは除却 又は除却される家屋 その他の施設 若しくは工作物に代る家屋 その他の施設 若しくは工作物の建設に関すること。
二 号
農地の整備 又は保全に関すること。
三 号
農道、かんがい排水施設 又はため池の整備に関すること。
四 号

前三号に掲げる事項に直接関連して地すべり防止区域外において特に必要とされるこれらの号に掲げる事項

2項

前項の勧告に応じて関連事業計画を作成しようとするときは、市町村長は、主務省令で定めるところにより、あらかじめ当該計画に係る事項について利害関係を有する者 又はこれらの者の組織する団体の意見をきかなければならない。


これを変更しようとするときも、同様とする。

3項
関連事業計画を作成し、又は変更したときは、市町村長は、主務省令で定めるところにより、その内容を公表するよう努めるものとする。
1項

都道府県知事 又はその命じた職員は、地すべりにより著しい危険が切迫していると認められるときは、必要と認める区域内の居住者に対し避難のために立ち退くべきことを指示することができる。


この場合においては、都道府県知事 又はその命じた職員は、直ちに、当該区域を管轄する警察署長にその旨を通知しなければならない。

1項

都道府県知事は、地すべり防止区域台帳を調製し、これを保管しなければならない。

2項

都道府県知事は、地すべり防止区域台帳の閲覧を求められたときは、正当な理由がなければこれを拒むことができない

3項
地すべり防止区域台帳の記載事項 その他その調製 及び保管に関し必要な事項は、主務省令で定める。

第三章 地すべり防止区域に関する費用

1項

地すべり防止工事の施行 及び標識の設置 その他地すべり防止区域の管理に要する費用は、この法律 及び他の法律に特別の規定がある場合を除き、当該地すべり防止区域を管理する都道府県知事の統括する都道府県の負担とする。

1項

の規定により主務大臣が施行する地すべり防止工事で、溪流(山間部におけるその直下流を含む。以下同じ。)において施行するもの及びこれと一体となつて直接溪流に土砂を排出することを防止するために施行するものに要する費用は、国がその三分の二を、都道府県がその三分の一を負担する。

2項

の規定により主務大臣が施行する地すべり防止工事で前項に規定するもの以外のものに要する費用は、国 及び都道府県がそれぞれその二分の一を負担する。

3項

前二項の場合において、当該地すべり防止工事によつて他の都府県も著しく利益を受けるときは、主務大臣は、政令で定めるところにより、その利益を受ける限度において、当該地すべり防止区域を管理する都府県知事の統括する都府県の負担すべき負担金の一部を著しく利益を受ける他の都府県に分担させることができる。

4項

前項の規定により著しく利益を受ける他の都府県に負担金の一部を分担させようとする場合においては、主務大臣は、あらかじめ当該都府県の意見をきかなければならない。

1項

国は、政令で定めるところにより、都道府県知事の施行する地すべり防止工事に要する費用の二分の一を負担する。


ただし、渓流において施行する地すべり防止工事 及びこれと一体となつて直接渓流に土砂を排出することを防止するために施行する地すべり防止工事については、当該地すべり防止工事が災害による土砂の崩壊等の危険な状況に対処するために施行する緊急地すべり対策事業に係るものであるときは三分の二を、当該地すべり防止工事が再度災害を防止するために施行するものであつて災害による土砂の崩壊等の危険な状況に対処するために施行する緊急地すべり対策事業に係るもの以外のものであるときは十分の五・五を国の負担割合とする。

1項
都府県知事の施行する地すべり防止工事によつて他の都府県も著しく利益を受けるときは、当該都府県知事は、政令で定めるところにより、他の都府県の知事と協議して、他の都府県の利益を受ける限度において、当該都府県知事の統括する都府県の負担すべき負担金の一部を著しく利益を受ける他の都府県に分担させることができる。
1項

の規定により都道府県が負担する費用のうち、その地すべり防止工事 又は地すべり防止施設の維持が当該都道府県の区域内の市町村を利するものについては、当該工事 又は維持による受益の限度において、当該市町村に対し、その工事 又は維持に要する費用の一部を分担させることができる。

2項

前項の費用について同項の規定により市町村が分担すべき金額は、当該市町村の意見をきいた上、当該都道府県の議会の議決を経て定めなければならない。

1項

主務大臣が地すべり防止工事を施行する場合においては、まず全額国費をもつてこれを施行した後、当該地すべり防止区域を管理する都道府県知事の統括する都道府県 又は負担金を分担すべき他の都府県は、政令で定めるところにより、 又はの規定に基く負担金を国庫に納付しなければならない。

1項
都道府県知事の管理する地すべり防止施設が他の工作物の効用を兼ねるときは、当該地すべり防止施設の管理に要する費用の負担については、当該都道府県知事と当該他の工作物の管理者とが協議して定めるものとする。
1項

都道府県知事は、他の工事 又は他の行為により自ら施行する必要を生じた地すべり防止工事の費用については、その必要を生じた限度において、他の工事 又は他の行為につき費用を負担する者にその全部 又は一部を負担させるものとする。

2項

前項の場合において、他の工事が河川工事 又は道路に関する工事であるときは、当該地すべり防止工事の費用については、河川法第六十八条 又は 及びの規定を適用する。

1項

都道府県知事の施行する地すべり防止工事により必要を生じた他の工事 又はその施行する地すべり防止工事を施行するため必要を生じた他の工事に要する費用は、の許可に附した条件に特別の定がある場合 及びの協議による場合を除き、その必要を生じた限度において、当該都道府県知事の統括する都道府県がその全部 又は一部を負担するものとする。

2項

前項の場合において、他の工事が河川工事、道路に関する工事 又は砂防工事であるときは、他の工事に要する費用については、河川法第六十七条、 又は砂防法第十六条の規定を適用する。

3項

都道府県知事は、第一項の地すべり防止工事が他の工事 又は他の行為のため必要となつたものである場合においては、同項の他の工事に要する費用の全部 又は一部をその必要を生じた限度において、その原因となつた工事 又は行為につき費用を負担する者に負担させることができる。

1項
都道府県知事は、その施行する地すべり防止工事によつて著しく利益を受ける者がある場合においては、その利益を受ける限度において、当該工事に要する費用の一部を負担させることができる。
2項

前項の場合において、負担金の徴収を受ける者の範囲 及びその徴収方法については、当該都道府県知事の統括する都道府県の条例で定める。

1項

の規定による負担金の額の通知 及び納入手続 その他負担金に関し必要な事項は、政令で定める。

1項

及びの規定に基く負担金(以下単に「負担金」という。)を納付しない者があるときは、都道府県知事は、督促状によつて納付すべき期限を指定して督促しなければならない。

2項

前項の場合においては、都道府県知事は、主務省令で定めるところにより、延滞金を徴収することができる。


ただし、延滞金は、年十四・五パーセントの割合を乗じて計算した額をこえない範囲内で定めなければならない。

3項

第一項の規定による督促を受けた者がその指定する期限までにその納付すべき金額を納付しないときは、都道府県知事は、国税滞納処分の例により、前二項に規定する負担金 及び延滞金を徴収することができる。


この場合における負担金 及び延滞金の先取特権の順位は、国税 及び地方税に次ぐものとする。

4項
延滞金は、負担金に先だつものとする。
5項

負担金 及び延滞金を徴収する権利は、これらを行使することができる時から五年間行使しないときは、時効により消滅する。

1項

負担金 及びの延滞金は、当該都道府県知事の統括する都道府県に帰属する。

1項

この法律 又はこの法律によつてする処分による義務を履行するために必要な費用は、この法律に特別の規定がある場合を除き、当該義務者が負担しなければならない。

第四章 ぼた山崩壊防止区域に関する管理等

1項
ぼた山崩壊防止工事の施行 その他ぼた山崩壊防止区域の管理は、当該ぼた山崩壊防止区域の存する都道府県を統括する都道府県知事が行うものとする。
1項

ぼた山崩壊防止区域内において、次の各号の一に該当する行為をしようとする者は、都道府県知事の許可を受けなければならない。

一 号

立木竹の伐採(間伐、択伐 その他政令で定める軽微な行為を除く)又は樹根の採取

二 号
木竹の滑下又は地引による搬出
三 号
のり切 又は切土
四 号
土石の採取 又は集積
五 号
掘さく 又は石炭 その他の鉱物の掘採で、ぼた山の崩壊の防止を阻害し、又はぼた山の崩壊を助長し、若しくは誘発する行為
六 号

前各号に掲げるもののほか、ぼた山の崩壊の防止を阻害し、又はぼた山の崩壊を助長し、若しくは誘発する行為で政令で定めるもの

2項

及びの規定は、前項の許可について準用する。


この場合において、

及び
地すべり」とあるのは、
「ぼた山の崩壊」と

読み替えるものとする。

1項

の規定によるぼた山崩壊防止区域の指定の際現に当該ぼた山崩壊防止区域内において権原に基きに規定する行為を行つている者は、従前と同様の条件により、当該行為についての許可を受けたものとみなす。

1項

ぼた山崩壊防止工事の施行 その他ぼた山崩壊防止区域の管理に要する費用は、この法律 及び他の法律に特別の規定がある場合を除き、当該ぼた山崩壊防止区域を管理する都道府県知事の統括する都道府県の負担とする。

1項

及びの規定は、ぼた山崩壊防止区域に関する管理 及び費用について準用する。


この場合において、


第三条第三項の規定による地すべり防止区域」とあるのは
において準用するの規定によるぼた山崩壊防止区域」と、

その地すべり防止区域内」とあるのは
「そのぼた山崩壊防止区域内」と、


地すべり防止区域」とあるのは
「ぼた山崩壊防止区域」と、

地すべり防止工事」とあるのは
「ぼた山崩壊防止工事」と、


森林法第三十四条第二項(同法第四十四条において準用する場合を含む。)」とあるのは
若しくはこれらの規定をにおいて準用する場合を含む。)」と、

第十八条第一項」とあるのは
」と、

及び 並びに
第十八条第一項」とあるのは
」と

読み替えるものとする。

2項

前項後段に規定するもののほか同項の準用に関し必要な技術的読替は、政令で定める。

第五章 雑則

1項

国は、都道府県がに該当する事項を除く)までに掲げる事業を実施した市町村 その他政令で定める者に対しその事業に要する費用を補助した場合においては、当該都道府県に対し、予算の範囲内において、政令で定めるところにより、当該事業に要する費用の二分の一以内を補助することができる。

1項

独立行政法人住宅金融支援機構 及び沖縄振興開発金融公庫は、法令 及びその事業計画の範囲内において、の規定により作成され、又は変更された関連事業計画に基づく住宅部分を有する家屋の移転 又は除却が円滑に行われるよう、必要な資金の貸付けについて配慮するものとする。

1項

主務大臣 又は都道府県知事は、漁港及び漁場の整備等に関する法律昭和二十五年法律第百三十七号の規定による漁港の区域(水域を除く)内において地すべり防止工事を施行しようとするときは、あらかじめ漁港管理者に協議しなければならない。

2項

主務大臣 又は都道府県知事は、港湾法昭和二十五年法律第二百十八号)第三十七条第一項の規定による港湾隣接地域内において地すべり防止工事(同項各号に規定する行為に該当するものを除く)を施行しようとするときは、あらかじめ港湾管理者に協議しなければならない。

1項
主務大臣は、この法律の施行に関し必要があると認めるときは、都道府県知事に対し報告 又は資料の提出を求めることができる。
1項

次に掲げる処分に不服がある者は、その不服の理由が鉱業、採石業 又は砂利採取業との調整に関するものであるときは、公害等調整委員会に対して裁定の申請をすることができる。


この場合には、審査請求をすることができない

一 号

の規定による承認

二 号

において準用する場合を含む。)の規定による工事の施行命令

三 号

の規定による許可

四 号

若しくはにおいて準用する場合を含む。)の規定による処分 又はこれらの規定による必要な措置の命令

五 号

又はの規定による必要な措置の命令

2項

行政不服審査法平成二十六年法律第六十八号の規定は、前項各号の処分につき、処分をした行政庁が誤つて審査請求 又は再調査の請求をすることができる旨を教示した場合に準用する。

1項

地すべり防止区域 又はぼた山崩壊防止区域の指定 及び管理についての主務大臣は、次のとおりとする。

一 号

砂防法第二条の規定により指定された土地(これに準ずべき土地を含む。)の存する地すべり地域 又はぼた山に関しては、国土交通大臣

二 号

若しくは 若しくは後段 又は後段において準用する除く)の規定により指定された保安林(これに準ずべき森林を含む。)又はの規定により指定された保安施設地区(これに準ずべき森林 又は原野 その他の土地を含む。)の存する地すべり地域 又はぼた山に関しては、農林水産大臣

三 号

前二号に該当しない地すべり地域 又はぼた山のうち、

土地改良法昭和二十四年法律第百九十五号に規定する土地改良事業が施行されている地域 又はの規定により土地改良事業計画の決定されている地域(これらの地域に準ずべき地域を含む。)の存する地すべり地域 又はぼた山に関しては、農林水産大臣

に該当しない地すべり地域 又はぼた山に関しては、国土交通大臣

2項

地すべり防止区域 又はぼた山崩壊防止区域の指定は、関係主務大臣が相互に協議してしなければならない。

3項
この法律における主務省令は、主務大臣の発する命令とする。
1項
この法律に規定する主務大臣の権限は、政令で定めるところにより、その一部を地方支分部局の長に委任することができる。
1項

において準用する場合を含む。)、において準用する場合を含む。)、において準用する場合を含む。)、において準用する場合を含む。)、において準用する場合を含む。)、において準用する場合を含む。)において準用する 及びにおいて準用する場合を含む。)、において準用する場合を含む。)、 及びにおいてこれらの規定を準用する場合を含む。)、 及びにおいて準用する場合を含む。)、において準用する場合を含む。)、において準用する場合を含む。)、において準用する場合を含む。)、において準用する場合を含む。)、において準用する場合を含む。)、において準用する場合を含む。)、においてこれらの規定を準用する場合を含む。)、 並びにの規定により都道府県が処理することとされている事務は、地方自治法昭和二十二年法律第六十七号に規定する第一号法定受託事務(次項において単に「第一号法定受託事務」という。)とする。

2項

他の法律 及びこれに基づく政令の規定により、地すべり防止工事の施行 その他地すべり防止区域の管理 及びぼた山崩壊防止工事の施行 その他ぼた山崩壊防止区域の管理に関して都道府県が処理することとされている事務は、第一号法定受託事務とする。

第六章 罰則

1項

又はの規定に違反した者は、一年以下の懲役 又は十万円以下の罰金に処する。

1項

次の各号の一に該当する者は、六月以下の懲役 又は五万円以下の罰金に処する。

一 号

又はにおいて準用する場合を含む。)の規定に違反して土地の立入 若しくは一時使用を拒み、又は妨げた者

二 号

の規定による報告 若しくは資料の提出をせず、又は虚偽の報告 若しくは資料の提出をした者

三 号

の規定による立入検査を拒み、妨げ、又は忌避した者

1項

において準用する場合を含む。)の規定により設置した標識を移動し、汚損し、又は破損した者は、一万円以下の罰金に処する。

1項

法人の代表者 又は法人 若しくは人の代理人、使用人 その他の従業者がその法人 又は人の業務に関し、 又はの違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人 又は人に対しても各本条の罰金刑を科する。