普通地方公共団体の議会の議員 及び長の選挙権を有する者(以下 この編において「選挙権を有する者」という。)は、政令で定めるところにより、その総数の五十分の一以上の者の連署をもつて、その代表者から、普通地方公共団体の長に対し、条例(地方税の賦課徴収 並びに分担金、使用料 及び手数料の徴収に関するものを除く。)の制定 又は改廃の請求をすることができる。
地方自治法
第一節 条例の制定及び監査の請求
前項の請求があつたときは、当該普通地方公共団体の長は、直ちに請求の要旨を公表しなければならない。
普通地方公共団体の長は、第一項の請求を受理した日から二十日以内に議会を招集し、意見を付けてこれを議会に付議し、その結果を同項の代表者(以下この条において「代表者」という。)に通知するとともに、これを公表しなければならない。
議会は、前項の規定により付議された事件の審議を行うに当たつては、政令で定めるところにより、代表者に意見を述べる機会を与えなければならない。
第一項の選挙権を有する者とは、公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)第二十二条第一項 又は第三項の規定による選挙人名簿の登録が行われた日において選挙人名簿に登録されている者とし、その総数の五十分の一の数は、当該普通地方公共団体の選挙管理委員会において、その登録が行われた日後直ちに告示しなければならない。
選挙権を有する者のうち次に掲げるものは、代表者となり、又は代表者であることができない。
公職選挙法第二十七条第一項 又は第二項の規定により選挙人名簿にこれらの項の表示をされている者(都道府県に係る請求にあつては、同法第九条第三項の規定により当該都道府県の議会の議員 及び長の選挙権を有するものとされた者(同法第十一条第一項 若しくは第二百五十二条 又は政治資金規正法(昭和二十三年法律第百九十四号)第二十八条の規定により選挙権を有しなくなつた旨の表示をされている者を除く。)を除く。)
前項の選挙人名簿の登録が行われた日以後に公職選挙法第二十八条の規定により選挙人名簿から抹消された者
第一項の請求に係る普通地方公共団体(当該普通地方公共団体が、都道府県である場合には当該都道府県の区域内の市町村 並びに第二百五十二条の十九第一項に規定する指定都市(以下この号において「指定都市」という。)の区 及び総合区を含み、指定都市である場合には当該市の区 及び総合区を含む。)の選挙管理委員会の委員 又は職員である者
第一項の場合において、当該地方公共団体の区域内で衆議院議員、参議院議員 又は地方公共団体の議会の議員 若しくは長の選挙が行われることとなるときは、政令で定める期間、当該選挙が行われる区域内においては請求のための署名を求めることができない。
選挙権を有する者は、心身の故障 その他の事由により条例の制定 又は改廃の請求者の署名簿に署名することができないときは、その者の属する市町村の選挙権を有する者(代表者 及び代表者の委任を受けて当該市町村の選挙権を有する者に対し当該署名簿に署名することを求める者を除く。)に委任して、自己の氏名(以下「請求者の氏名」という。)を当該署名簿に記載させることができる。
この場合において、委任を受けた者による当該請求者の氏名の記載は、第一項の規定による請求者の署名とみなす。
前項の規定により委任を受けた者(以下「氏名代筆者」という。)が請求者の氏名を条例の制定 又は改廃の請求者の署名簿に記載する場合には、氏名代筆者は、当該署名簿に氏名代筆者としての署名をしなければならない。
条例の制定 又は改廃の請求者の代表者は、条例の制定 又は改廃の請求者の署名簿を市町村の選挙管理委員会に提出してこれに署名した者が選挙人名簿に登録された者であることの証明を求めなければならない。
この場合においては、当該市町村の選挙管理委員会は、その日から二十日以内に審査を行い、署名の効力を決定し、その旨を証明しなければならない。
市町村の選挙管理委員会は、前項の規定による署名簿の署名の証明が終了したときは、その日から七日間、その指定した場所において署名簿を関係人の縦覧に供さなければならない。
前項の署名簿の縦覧の期間 及び場所については、市町村の選挙管理委員会は、予めこれを告示し、且つ、公衆の見易い方法によりこれを公表しなければならない。
署名簿の署名に関し異議があるときは、関係人は、第二項の規定による縦覧期間内に当該市町村の選挙管理委員会にこれを申し出ることができる。
市町村の選挙管理委員会は、前項の規定による異議の申出を受けた場合においては、その申出を受けた日から十四日以内にこれを決定しなければならない。
この場合において、その申出を正当であると決定したときは、直ちに第一項の規定による証明を修正し、その旨を申出人 及び関係人に通知し、併せてこれを告示し、その申出を正当でないと決定したときは、直ちにその旨を申出人に通知しなければならない。
市町村の選挙管理委員会は、第二項の規定による縦覧期間内に関係人の異議の申出がないとき、又は前項の規定によるすべての異議についての決定をしたときは、その旨 及び有効署名の総数を告示するとともに、署名簿を条例の制定 又は改廃の請求者の代表者に返付しなければならない。
都道府県の条例の制定 又は改廃の請求者の署名簿の署名に関し第五項の規定による決定に不服がある者は、その決定のあつた日から十日以内に都道府県の選挙管理委員会に審査を申し立てることができる。
市町村の条例の制定 又は改廃の請求者の署名簿の署名に関し第五項の規定による決定に不服がある者は、その決定のあつた日から十四日以内に地方裁判所に出訴することができる。
その判決に不服がある者は、控訴することはできないが最高裁判所に上告することができる。
第七項の規定による審査の申立てに対する裁決に不服がある者は、その裁決書の交付を受けた日から十四日以内に高等裁判所に出訴することができる。
審査の申立てに対する裁決 又は判決が確定したときは、当該都道府県の選挙管理委員会 又は当該裁判所は、直ちに裁決書 又は判決書の写を関係市町村の選挙管理委員会に送付しなければならない。
この場合においては、送付を受けた当該市町村の選挙管理委員会は、直ちに条例の制定 又は改廃の請求者の代表者にその旨を通知しなければならない。
署名簿の署名に関する争訟については、審査の申立てに対する裁決は審査の申立てを受理した日から二十日以内にこれをするものとし、訴訟の判決は事件を受理した日から百日以内にこれをするように努めなければならない。
第八項 及び第九項の訴えは、当該決定 又は裁決をした選挙管理委員会の所在地を管轄する地方裁判所 又は高等裁判所の専属管轄とする。
第八項 及び第九項の訴えについては、行政事件訴訟法(昭和三十七年法律第百三十九号)第四十三条の規定にかかわらず、同法第十三条の規定を準用せず、また、同法第十六条から第十九条までの規定は、署名簿の署名の効力を争う数個の請求に関してのみ準用する。
条例の制定 又は改廃の請求者の署名で左に掲げるものは、これを無効とする。
法令の定める成規の手続によらない署名
何人であるかを確認し難い署名
前条第四項の規定により詐偽 又は強迫に基く旨の異議の申出があつた署名で市町村の選挙管理委員会がその申出を正当であると決定したものは、これを無効とする。
市町村の選挙管理委員会は、署名の効力を決定する場合において必要があると認めるときは、関係人の出頭 及び証言を求めることができる。
第百条第二項、第三項、第七項 及び第八項の規定は、前項の規定による関係人の出頭 及び証言にこれを準用する。
条例の制定 又は改廃の請求者の署名に関し、次の各号に掲げる行為をした者は、四年以下の懲役 若しくは禁錮 又は百万円以下の罰金に処する。
署名権者 又は署名運動者に対し、暴行 若しくは威力を加え、又はこれをかどわかしたとき。
交通 若しくは集会の便を妨げ、又は演説を妨害し、その他偽計詐術等不正の方法をもつて署名の自由を妨害したとき。
署名権者 若しくは署名運動者 又はその関係のある社寺、学校、会社、組合、市町村等に対する用水、小作、債権、寄附 その他特殊の利害関係を利用して署名権者 又は署名運動者を威迫したとき。
条例の制定 若しくは改廃の請求者の署名を偽造し若しくはその数を増減した者 又は署名簿 その他の条例の制定 若しくは改廃の請求に必要な関係書類を抑留、毀き壊 若しくは奪取した者は、三年以下の懲役 若しくは禁錮 又は五十万円以下の罰金に処する。
条例の制定 又は改廃の請求者の署名に関し、選挙権を有する者の委任を受けずに又は選挙権を有する者が心身の故障 その他の事由により請求者の署名簿に署名することができないときでないのに、氏名代筆者として請求者の氏名を請求者の署名簿に記載した者は、三年以下の懲役 若しくは禁錮 又は五十万円以下の罰金に処する。
選挙権を有する者が心身の故障 その他の事由により条例の制定 又は改廃の請求者の署名簿に署名することができない場合において、当該選挙権を有する者の委任を受けて請求者の氏名を請求者の署名簿に記載した者が、当該署名簿に氏名代筆者としての署名をせず 又は虚偽の署名をしたときは、三年以下の懲役 若しくは禁錮 又は五十万円以下の罰金に処する。
条例の制定 又は改廃の請求者の署名に関し、次に掲げる者が、その地位を利用して署名運動をしたときは、二年以下の禁錮 又は三十万円以下の罰金に処する。
国 若しくは地方公共団体の公務員 又は行政執行法人(独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第四項に規定する行政執行法人をいう。)若しくは特定地方独立行政法人(地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第二条第二項に規定する特定地方独立行政法人をいう。)の役員 若しくは職員
沖縄振興開発金融公庫の役員 又は職員
条例の制定 又は改廃の請求に関し、政令で定める請求書 及び請求代表者証明書を付していない署名簿、政令で定める署名を求めるための請求代表者の委任状を付していない署名簿 その他法令の定める所定の手続によらない署名簿を用いて署名を求めた者 又は政令で定める署名を求めることができる期間外の時期に署名を求めた者は、十万円以下の罰金に処する。
選挙権を有する者(道の方面公安委員会については、当該方面公安委員会の管理する方面本部の管轄区域内において選挙権を有する者)は、政令で定めるところにより、その総数の五十分の一以上の者の連署をもつて、その代表者から、普通地方公共団体の監査委員に対し、当該普通地方公共団体の事務の執行に関し、監査の請求をすることができる。
前項の請求があつたときは、監査委員は、直ちに当該請求の要旨を公表しなければならない。
監査委員は、第一項の請求に係る事項につき監査し、監査の結果に関する報告を決定し、これを同項の代表者(第五項 及び第六項において「代表者」という。)に送付し、かつ、公表するとともに、これを当該普通地方公共団体の議会 及び長 並びに関係のある教育委員会、選挙管理委員会、人事委員会 若しくは公平委員会、公安委員会、労働委員会、農業委員会 その他法律に基づく委員会 又は委員に提出しなければならない。
前項の規定による監査の結果に関する報告の決定は、監査委員の合議によるものとする。
監査委員は、第三項の規定による監査の結果に関する報告の決定について、各監査委員の意見が一致しないことにより、前項の合議により決定することができない事項がある場合には、その旨 及び当該事項についての各監査委員の意見を代表者に送付し、かつ、公表するとともに、これらを当該普通地方公共団体の議会 及び長 並びに関係のある教育委員会、選挙管理委員会、人事委員会 若しくは公平委員会、公安委員会、労働委員会、農業委員会 その他法律に基づく委員会 又は委員に提出しなければならない。
第七十四条第五項の規定は第一項の選挙権を有する者 及びその総数の五十分の一の数について、同条第六項の規定は代表者について、同条第七項から第九項まで 及び第七十四条の二から前条までの規定は第一項の規定による請求者の署名について、それぞれ準用する。
この場合において、
第七十四条第六項第三号中
「区域内」とあるのは、
「区域内(道の方面公安委員会に係る請求については、当該方面公安委員会の管理する方面本部の管轄区域内)」と
読み替えるものとする。