大深度地下の公共的使用に関する特別措置法
第四章 事業区域の明渡し等
前項の規定による明渡しの期限は、同項の請求をした日の翌日から起算して三十日を経過した後の日でなければならない。
第一項の規定による明渡しの請求があった物件を占有している者は、明渡しの期限までに、物件の引渡し 又は移転(以下この章において「物件の引渡し等」という。)を行わなければならない。
ただし、次条第三項の規定による支払がないときは、この限りでない。
第一項に規定する処分については、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第三章の規定は、適用しない。
認可事業者は、前条の規定による物件の引渡し等により同条第一項の物件に関し権利を有する者が通常受ける損失を補償しなければならない。
前項の規定による損失の補償は、認可事業者と損失を受けた者とが協議して定めなければならない。
認可事業者は、前条第二項の明渡しの期限までに第一項の規定による補償額を支払わなければならない。
第二項の規定による協議が成立しないときは、土地収用法第九十四条第二項から第十二項までの規定を準用する。
この場合において、
同条第二項中
「起業者」とあるのは
「認可事業者」と、
同条第六項中
「起業者である者」とあるのは
「認可事業者である者」と、
同条第七項中
「この法律」とあるのは
「大深度地下の公共的使用に関する特別措置法」と
読み替えるものとする。
前項において準用する土地収用法第九十四条第二項 又は第九項の規定による裁決の申請 又は訴えの提起は、事業の進行 及び事業区域の使用を停止しない。
認可事業者は、次の各号のいずれかに該当する場合においては、前条第三項の規定による補償金の支払に代えて、これを供託することができる。
認可事業者が補償金を受けるべき者を確知することができないとき。
ただし、認可事業者に過失があるときは、この限りでない。
前項第四号の場合において、補償金を受けるべき者の請求があるときは、認可事業者は、自己の見積り金額を払い渡し、裁決による補償金の額との差額を供託しなければならない。
認可事業者は、先取特権、質権 若しくは抵当権 又は仮登記 若しくは買戻しの特約の登記に係る権利の目的物について補償金を支払うときは、これらの権利者のすべてから供託しなくてもよい旨の申出があったときを除き、その補償金を供託しなければならない。
前三項の規定による供託は、事業区域の所在地の供託所にしなければならない。
認可事業者は、第一項から第三項までの規定による供託をしたときは、遅滞なく、その旨を補償金を取得すべき者に通知しなければならない。
前条第三項の先取特権、質権 又は抵当権を有する者は、同項の規定により供託された補償金に対してその権利を行うことができる。
第三十一条第三項本文の場合において次の各号のいずれかに該当するときは、市町村長は、認可事業者の請求により、物件の引渡し等を行うべき者(以下この条 及び次条において「義務者」という。)に代わって、物件を引き渡し、又は移転しなければならない。
市町村長は、前項の規定により物件の引渡し等を行うのに要した費用を義務者から徴収するものとする。
前項の場合において、市町村長は、義務者 及び認可事業者にあらかじめ通知した上で、第一項の規定により市町村長が物件の引渡し等を行うのに要した費用に充てるため、その費用の額の範囲内で、義務者が認可事業者から受けるべき第三十二条第一項の補償金を義務者に代わって受けることができる。
認可事業者が前項の規定により補償金の全部 又は一部を市町村長に支払った場合においては、この法律の適用については、認可事業者が市町村長に支払った金額の限度において、第三十二条第一項の補償金を支払ったものとみなす。
市町村長は、第二項に規定する費用を第三項の規定により徴収することができないとき、又は徴収することが適当でないと認めるときは、義務者に対し、あらかじめ納付すべき金額 並びに納付の期限 及び場所を通知して、これを納付させるものとする。
市町村長は、前項の規定によって通知を受けた者が同項の規定によって通知された期限を経過しても同項の規定により納付すべき金額を完納しないときは、督促状によって納付すべき期限を指定して督促しなければならない。
前項の規定による督促を受けた者がその指定の期限までに第五項の規定により納付すべき金額を納付しないときは、市町村長は、国税滞納処分の例によって、これを徴収することができる。
この場合における徴収金の先取特権の順位は、国税 及び地方税に次ぐものとする。
第三十一条第三項本文の場合において義務者がその義務を履行しないとき、履行しても十分でないとき、又は履行しても明渡しの期限までに完了する見込みがないときは、都道府県知事は、認可事業者の請求により、行政代執行法(昭和二十三年法律第四十三号)の定めるところに従い、自ら義務者のなすべき行為をし、又は第三者をしてこれをさせることができる。
前条第三項 及び第四項の規定は、都道府県知事が前項の規定による代執行に要した費用を徴収する場合に準用する。
第三十二条第一項に規定する損失のほか、第二十五条の規定による権利の行使の制限によって具体的な損失が生じたときは、当該損失を受けた者は、第二十一条第一項の規定による告示の日から一年以内に限り、認可事業者に対し、その損失の補償を請求することができる。
前項の規定による損失の補償については、第三十二条第二項、第四項 及び第五項の規定を準用する。