天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法

昭和三十年法律第百三十六号
略称 : 天災融資法 
分類 法律
カテゴリ   農業
最終編集日 : 2023年 02月12日 19時39分

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1項

この法律は、暴風雨、豪雨、地震、暴風浪、高潮、降雪、降霜、低温 又は降ひよう等の天災によつて損失を受けた農林漁業者 及び農林漁業者の組織する団体に対し、農林漁業の経営等に必要な資金の融通を円滑にする措置を講じて、その経営の安定に資することを目的とする。

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1項

この法律において「被害農業者」とは、農業を主な業務とする者であつて、天災(当該天災による被害が著しくかつ その国民経済に及ぼす影響が大であると認めて政令で指定するものに限る。以下 この項次項第四項 及び第五項において同じ。)による農作物、畜産物 若しくは繭の減収量がその農作物、畜産物 若しくは繭の平年における収穫量の百分の三十以上であり、かつ、天災による農作物、畜産物 及び繭の減収による損失額がその者の平年における農業による総収入額の百分の十以上である旨 又は天災による果樹、茶樹 若しくは桑樹(その者がこれらを栽培する面積が政令で定める面積以上である場合におけるその果樹、茶樹 又は桑樹に限る。以下 この項 及び次項において同じ。)の流失、損傷、枯死等による損失額がその者の栽培する果樹、茶樹 若しくは桑樹の被害時における価額の百分の三十以上である旨の市町村長の認定を受けたものをいい、「被害林業者」とは、林業を主な業務とする者であつて、天災による薪炭(薪炭原木を含む。次項 及び第四項において同じ。)、木材、林業用種苗 その他の林産物の流失等による損失額がその者の平年における林業による総収入額の百分の十以上である旨 又は天災によるその所有する炭がま、しいたけほだ木、わさび育成施設 若しくは樹苗育成施設の流失、損壊等による損失額が当該施設の被害時における価額の百分の五十以上である旨の市町村長の認定を受けたものをいい、「被害漁業者」とは、漁業を主な業務とする者であつて、天災による魚類、貝類 及び海そう類の流失等による損失額がその者の平年における漁業による総収入額の百分の十以上である旨 又は天災によるその所有する漁船(政令で定めるものを除く次項において同じ。)若しくは漁具(政令で定めるものを除く次項において同じ。)の沈没、流失、滅失、損壊等による損失額が当該施設の被害時における価額の百分の五十以上である旨の市町村長の認定を受けたものをいう。

2項

この法律において「特別被害農業者」とは、被害農業者であつて、天災による農作物、畜産物 及び繭の減収による損失額がその者の平年における農業による総収入額の百分の五十開拓者にあつては百分の三十以上である旨 又は天災による果樹、茶樹 若しくは桑樹の流失、損傷、枯死等による損失額がその者の栽培する果樹、茶樹 若しくは桑樹の被害時における価額の百分の五十開拓者にあつては百分の四十以上である旨の市町村長の認定を受けたものをいい、「特別被害林業者」とは、被害林業者であつて、天災による薪炭、木材、林業用種苗 その他の林産物の流失等による損失額がその者の平年における林業による総収入額の百分の五十以上である旨 又は天災によるその所有する炭がま、しいたけほだ木、わさび育成施設 若しくは樹苗育成施設の流失、損壊等による損失額が当該施設の被害時における価額の百分の七十以上である旨の市町村長の認定を受けたものをいい、「特別被害漁業者」とは、被害漁業者であつて、天災による魚類、貝類 及び海そう類の流失等による損失額がその者の平年における漁業による総収入額の百分の五十以上である旨 又は天災によるその所有する漁船 若しくは漁具の沈没、流失、滅失、損壊等による損失額が当該施設の被害時における価額の百分の七十以上である旨の市町村長の認定を受けたものをいう。

3項

この法律において「被害組合」とは、農業協同組合、農業協同組合連合会、森林組合、森林組合連合会 又は水産業協同組合であつて天災(当該天災による被害が特に著しいと認めて政令で指定するものに限る。以下第八項において同じ。)によりその所有し又は管理する施設、在庫品等につき著しい被害を受けたものをいう。

4項

この法律において「経営資金」とは、農業協同組合、森林組合、漁業協同組合(以下「組合」と総称する。)又は金融機関が被害農業者、被害林業者 又は被害漁業者(以下「被害農林漁業者」と総称する。)に対し、種苗、肥料、飼料、薬剤、農機具(政令で定めるものに限る)、家畜、家きん、薪炭原木、しいたけほだ木、漁具(政令で定めるものに限る)、稚魚、稚貝、餌料、漁業用燃油等の購入資金、炭がまの構築資金、漁船(政令で定めるものに限る)の建造 又は取得に必要な資金 その他 農林漁業経営に必要な資金として政令で定める期間内に貸し付ける資金で次の各号に該当するものをいう。

一 号

市町村長が認定する損失額を基準として政令で定めるところにより算出される額 又は二百万円北海道にあつては三百五十万円、政令で定める資金として貸し付けられる場合は五百万円、政令で定める法人に貸し付けられる場合は二千五百万円、漁具の購入資金として貸し付けられる場合は五千万円)の範囲内で政令で定める額のどちらか低い額(乳牛を所有する被害農業者に貸し付けられる場合は その額に五万円を、乳牛以外の牛 又は馬を所有する被害農業者に貸し付けられる場合は その額に三万円を加えた額。以下第六項において「貸付限度額」という。)の範囲内のものであること。

二 号

償還期限が、六年の範囲内において政令で定める期限以内のものであること。

三 号

利率が、特別被害農業者 若しくは特別被害林業者で特別被害地域内において農業 若しくは林業を営むもの又は特別被害漁業者で特別被害地域内に住所を有するものに貸し付けられる場合(漁具の購入資金として貸し付けられる場合のうち政令で定める場合を除く)は年三分以内、開拓者(特別被害地域内において農業を営む特別被害農業者を除く)又は被害農業者で天災による農作物、畜産物 及び繭の減収による損失額がその者の平年における農業による総収入額の百分の三十以上である旨の市町村長の認定を受けたもの(特別被害地域内において農業を営む特別被害農業者を除く)、被害林業者で天災による薪炭、木材、林業用種苗 その他の林産物の流失等による損失額がその者の平年における林業による総収入額の百分の三十以上である旨の市町村長の認定を受けたもの(特別被害地域内において林業を営む特別被害林業者を除く)若しくは被害漁業者で天災による魚類、貝類 及び海そう類の流失等による損失額がその者の平年における漁業による総収入額の百分の三十以上である旨の市町村長の認定を受けたもの(特別被害地域内に住所を有する特別被害漁業者を除く)に貸し付けられる場合は年五分五厘以内、その他の場合は年六分五厘以内のものであること。

5項

前項に規定する特別被害地域は、特別被害農業者については第一号、特別被害林業者については第二号、特別被害漁業者については第三号に掲げる区域とする。

一 号

政令で定める都道府県の区域内の旧市町村の区域(昭和二十八年九月三十日現在における市町村の区域をいう。以下 この項において同じ。)の全部 若しくは一部 又は その都道府県の区域内の耕地面積が十ヘクタール以上である開拓地区の区域であつて、その区域内において農業を営む被害農業者中に含まれる当該天災に係る特別被害農業者の数が当該被害農業者の数の百分の十以上である区域のうち、都道府県知事があらかじめ農林水産大臣に協議し、その同意を得て指定する区域

二 号

政令で定める都道府県の区域内の旧市町村の区域の全部 若しくは一部であつて、その区域内において林業を営む被害林業者中に含まれる当該天災に係る特別被害林業者の数が当該被害林業者の数の百分の十以上である区域のうち、都道府県知事があらかじめ農林水産大臣に協議し、その同意を得て指定する区域

三 号

政令で定める都道府県の区域内の旧市町村の区域の全部 若しくは一部であつて、その区域内に住所を有する被害漁業者中に含まれる当該天災に係る特別被害漁業者の数が当該被害漁業者の数の百分の十以上である区域のうち、都道府県知事があらかじめ農林水産大臣に協議し、その同意を得て指定する区域

6項

既に経営資金の貸付けを受けている者でその償還期限内に再び被害農林漁業者に該当することとなつたものについての第四項第一号の規定の適用については、同号の規定により算出される貸付限度額にその既に貸付けを受けている経営資金の償還に充てるために必要な資金の額(その額が政令で定める額をこえるときは、当該政令で定める額)を加えた額をもつて貸付限度額とする。

7項

既に経営資金の貸付を受けている者がその償還期限内に再び被害農林漁業者に該当することとなつた場合におけるその経営資金については、その償還期限を政令で定めるところにより二年をこえない範囲内で延長する旨の貸付条件の変更があつたときも、第四項第二号の規定にかかわらず、これを経営資金とみなす。

8項

この法律において「事業資金」とは、農業協同組合連合会、森林組合連合会、漁業協同組合連合会(以下「連合会」と総称する。)又は金融機関が、被害組合に対し、天災により被害を受けたために必要となつた事業運営資金として二千五百万円連合会に貸し付けられる場合は五千万円)の範囲内において、償還期限三年以内 及び利率年六分五厘以内の条件で政令で定める期間内に貸し付けるものをいう。

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1項

政府は、都道府県に対し、予算の範囲内で、次の各号に掲げる経費の全部 又は一部を補助する。

一 号

市町村が、組合 又は金融機関との契約により、当該組合 又は当該金融機関が貸し付けた経営資金につき利子補給を行うのに要する経費の一部を都道府県が補助する場合における当該補助に要する経費

二 号

都道府県が、組合 又は金融機関との契約により、当該組合 又は当該金融機関が貸し付けた経営資金につき利子補給を行う場合における当該利子補給に要する経費

三 号

市町村が、組合 又は金融機関との契約により、当該組合 又は当該金融機関が経営資金を貸し付けたことによつて受けた損失をこれに対し補償するのに要する経費の百分の八十以内を都道府県が補助する場合における当該補助に要する経費

四 号

都道府県が、組合 又は金融機関との契約により、当該組合 又は当該金融機関が経営資金を貸し付けたことによつて受けた損失をこれに対し補償する場合における当該損失補償に要する経費

五 号

市町村が、連合会 又は農林中央金庫 その他の金融機関との契約により、当該連合会 又は当該金融機関が経営資金を貸し付けようとする組合(政令で定めるものに限る次号において同じ。)に対し当該資金に充てるための資金を貸し付けたことによつて受けた損失を、当該連合会 又は当該金融機関に対し補償するのに要する経費の百分の八十以内を都道府県が補助する場合における当該補助に要する経費

六 号

都道府県が、連合会 又は農林中央金庫 その他の金融機関との契約により、当該連合会 又は当該金融機関が、経営資金を貸し付けようとする組合に対し当該資金に充てるための資金を貸し付けたことによつて受けた損失を、当該連合会 又は当該金融機関に対し補償する場合における当該損失補償に要する経費

七 号

市町村が、連合会 又は農林中央金庫 その他の金融機関との契約により、当該連合会 又は当該金融機関が貸し付けた事業資金につき利子補給を行うのに要する経費の一部を都道府県が補助する場合における当該補助に要する経費

八 号

都道府県が、連合会 又は農林中央金庫 その他の金融機関との契約により、当該連合会 又は当該金融機関が貸し付けた事業資金につき利子補給を行う場合における当該利子補給に要する経費

九 号

市町村が、連合会 又は農林中央金庫 その他の金融機関との契約により、当該連合会 又は当該金融機関が事業資金を貸し付けたことによつて受けた損失をこれに対し補償するのに要する経費の百分の八十以内を都道府県が補助する場合における当該補助に要する経費

十 号

都道府県が、連合会 又は農林中央金庫 その他の金融機関との契約により、当該連合会 又は当該金融機関が事業資金を貸し付けたことによつて受けた損失をこれに対し補償する場合における当該損失補償に要する経費

2項

前項第三号から第六号まで第九号 及び第十号の契約には、次の各号に掲げる事項を含まなければならない。

一 号

当該契約の当事者である組合、連合会 又は農林中央金庫 その他の金融機関(以下「融資機関」と総称する。)は、当該契約により損失補償を受けた後も、善良な管理者の注意をもつて当該融資に係る債権の回収に努めなければならないこと。

二 号

融資機関は、当該契約により損失補償を受けた後に当該融資に係る債権の回収によつて得た金額のうちから、債権行使のために必要とした費用を控除し、残額があるときは、これで当該融資について損失補償を受けない損失をうめ、なお残額があるときは、当該契約により都道府県 又は市町村から受けた損失補償の金額に達するまでの金額を当該都道府県 又は当該市町村に納付しなければならないこと。

3項

第一項第三号から第六号まで第九号 及び第十号の損失は、融資元本の償還期限到来後政令で定める期間を経過してなお元本 又は利子(政令で定める遅延利子を含む。)の全部 又は一部が回収されなかつた場合におけるその回収されなかつた金額とする。

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1項

前条第一項の規定により政府が都道府県に対し補助する場合における当該補助に係る同項各号に掲げる資金の総額は、それぞれの天災ごとに政令で定める額を限度とする。

2項

前条第一項の規定により政府が都道府県に対して交付する補助金は、同項第一号第二号第七号 及び第八号の経費については当該利子補給額の百分の五十に相当する額 又は当該利子補給の対象となつた貸付金の総額につき年二分五厘の割合で計算した額のどちらか低い額の範囲内とし、同項第三号から第六号まで第九号 及び第十号の経費については、当該損失補償額の百分の五十に相当する額 又は当該損失補償の対象となつた貸付金の総額の百分の二十五に相当する額のどちらか低い額の範囲内とする。


ただし同項第一号 及び第二号の経費につき、経営資金の貸付の利率が第二条第四項第三号の規定により年五分五厘以内に定められている資金に係るものにあつては当該利子補給額の百分の五十に相当する額 又は当該利子補給の対象となつた貸付金の総額につき年三分の割合で計算した額のどちらか低い額の範囲内とし、年三分以内に定められている資金に係るものにあつては当該利子補給額の百分の六十五に相当する額 又は当該利子補給の対象となつた貸付金の総額につき年五分五厘の割合で計算した額のどちらか低い額の範囲内とする。

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1項

第三条第一項の規定により補助金の交付を受けた都道府県は、融資機関から同条第二項第二号の契約事項による納付金を受けたときは、その一部を政府から補助を受けた割合に応じて政府に納付しなければならない。

2項

第三条第一項の規定により補助金の交付を受けた都道府県は、当該都道府県から補助金の交付を受けた市町村が融資機関から同条第二項第二号の契約事項によつて納付金を受けたときは、その一部を当該市町村が都道府県から補助を受けた割合に応じて当該市町村から納付させ、その納付金の全部 又は一部を政府から補助を受けた割合に応じて政府に納付しなければならない。

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1項

政府は、都道府県 若しくは その補助を受けた市町村がこの法律 若しくは この法律に基く命令に違反したとき、又は都道府県 若しくは市町村と第三条第一項第三号から第六号まで第九号 及び第十号の契約を結んだ融資機関が同条第二項各号の契約事項に違反したときは、当該都道府県に対し交付すべき補助金の全部 若しくは一部を交付せず、又は既に交付した補助金の全部 若しくは一部の返還を命ずることができる。

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1項

農林水産大臣は、経営資金 又は事業資金の貸付が適正に行われているかどうかを知るために必要があると認めるときは、当該資金を貸し付けた組合、連合会 若しくは金融機関から報告を徴し、又は その職員をして組合、連合会 若しくは金融機関の事務所に立ち入り、帳簿、書類 その他 必要な物件を検査させることができる。

2項

前項の規定により職員が立入検査をする場合には、その身分を示す証票を携帯し、関係人にこれを提示しなければならない。

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1項

前条第一項の規定による農林水産大臣の権限に属する事務の一部は、政令で定めるところにより、都道府県知事が行うこととすることができる。

2項

前条第一項の規定による農林水産大臣の権限は、農林水産省令で定めるところにより、その一部を地方農政局長に委任することができる。

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