弁護士 及び弁護士法人は、この法律(弁護士・外国法事務弁護士共同法人の社員 又は使用人である弁護士 及び外国法事務弁護士法人の使用人である弁護士にあつては、この法律 又は外国弁護士による法律事務の取扱い等に関する法律)又は所属弁護士会 若しくは日本弁護士連合会の会則に違反し、所属弁護士会の秩序 又は信用を害し、その他職務の内外を問わず その品位を失うべき非行があつたときは、懲戒を受ける。
弁護士法
第一節 懲戒事由及び懲戒権者等
懲戒は、その弁護士 又は弁護士法人の所属弁護士会が、これを行う。
弁護士会がその地域内に従たる法律事務所のみを有する弁護士法人に対して行う 懲戒の事由は、その地域内にある従たる法律事務所に係るものに限る。
弁護士に対する懲戒は、次の四種とする。
二年以内の業務の停止
弁護士法人に対する懲戒は、次の四種とする。
二年以内の弁護士法人の業務の停止又はその法律事務所の業務の停止
退会命令(当該弁護士会の地域内に従たる法律事務所のみを有する弁護士法人に対するものに限る。)
除名(当該弁護士会の地域内に主たる法律事務所を有する弁護士法人に対するものに限る。)
弁護士会は、その地域内に従たる法律事務所のみを有する弁護士法人に対して、前項第二号の懲戒を行う場合にあつては、その地域内にある法律事務所の業務の停止のみを行うことができる。
第二項 又は前項の規定の適用に当たつては、日本弁護士連合会は、その地域内に当該弁護士法人の主たる法律事務所がある弁護士会とみなす。
弁護士法人は、特定の弁護士会の地域内にあるすべての法律事務所について業務の停止の懲戒を受けた場合には、当該業務の停止の期間中、その地域内において、法律事務所を設け、又は移転してはならない。
弁護士法人は、前条第二項第三号の懲戒を受けた場合には、その処分を受けた日から三年間、当該懲戒を行つた弁護士会の地域内において、法律事務所を設け、又は移転してはならない。
何人も、弁護士 又は弁護士法人について懲戒の事由があると思料するときは、その事由の説明を添えて、その弁護士 又は弁護士法人の所属弁護士会にこれを懲戒することを求めることができる。
弁護士会は、所属の弁護士 又は弁護士法人について、懲戒の事由があると思料するとき又は前項の請求があつたときは、懲戒の手続に付し、綱紀委員会に事案の調査をさせなければならない。
綱紀委員会は、前項の調査により対象弁護士等(懲戒の手続に付された弁護士 又は弁護士法人をいう。以下同じ。)につき懲戒委員会に事案の審査を求めることを相当と認めるときは、その旨の議決をする。
この場合において、弁護士会は、当該議決に基づき、懲戒委員会に事案の審査を求めなければならない。
綱紀委員会は、第二項の調査により、第一項の請求が不適法であると認めるとき 若しくは対象弁護士等につき懲戒の手続を開始することができないものであると認めるとき、対象弁護士等につき懲戒の事由がないと認めるとき 又は事案の軽重 その他情状を考慮して懲戒すべきでないことが明らかであると認めるときは、懲戒委員会に事案の審査を求めないことを相当とする議決をする。
この場合において、弁護士会は、当該議決に基づき、対象弁護士等を懲戒しない旨の決定をしなければならない。
懲戒委員会は、第三項の審査により対象弁護士等につき懲戒することを相当と認めるときは、懲戒の処分の内容を明示して、その旨の議決をする。
この場合において、弁護士会は、当該議決に基づき、対象弁護士等を懲戒しなければならない。
懲戒委員会は、第三項の審査により対象弁護士等につき懲戒しないことを相当と認めるときは、その旨の議決をする。
この場合において、弁護士会は、当該議決に基づき、対象弁護士等を懲戒しない旨の決定をしなければならない。
日本弁護士連合会は、第五十六条の規定により弁護士会がした懲戒の処分について審査請求があつたときは、日本弁護士連合会の懲戒委員会に事案の審査を求め、その議決に基づき、裁決をしなければならない。
前項の審査請求については、行政不服審査法第九条第十七条、第二章第三節 及び第五十条第二項の規定は、適用しない。
第一項の審査請求に関する行政不服審査法の規定の適用については、
同法第十一条第二項中
「第九条第一項の規定により指名された者(以下「審理員」という。)」とあるのは
「日本弁護士連合会の懲戒委員会」と、
同法第十三条第一項 及び第二項中
「審理員」とあるのは
「第十一条第二項の懲戒委員会」と、
同法第四十四条中
「行政不服審査会等から諮問に対する答申を受けたとき(前条第一項の規定による諮問を要しない場合(同項第二号 又は第三号に該当する場合を除く。)にあっては審理員意見書が提出されたとき、同項第二号 又は第三号に該当する場合にあっては同項第二号 又は第三号に規定する議を経たとき)」とあるのは
「弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)第五十九条第一項の議決があったとき」と
する。
日本弁護士連合会は、第五十六条第一項に規定する事案について自らその弁護士 又は弁護士法人を懲戒することを適当と認めるときは、次項から第六項までに規定するところにより、これを懲戒することができる。
日本弁護士連合会は、弁護士 又は弁護士法人について懲戒の事由があると思料するときは、懲戒の手続に付し、日本弁護士連合会の綱紀委員会に事案の調査をさせることができる。
日本弁護士連合会の綱紀委員会は、前項の調査により対象弁護士等につき日本弁護士連合会の懲戒委員会に事案の審査を求めることを相当と認めるときは、その旨の議決をする。
この場合において、日本弁護士連合会は、当該議決に基づき、日本弁護士連合会の懲戒委員会に事案の審査を求めなければならない。
日本弁護士連合会の綱紀委員会は、第二項の調査により、対象弁護士等につき懲戒の手続を開始することができないものであると認めるとき、対象弁護士等につき懲戒の事由がないと認めるとき又は事案の軽重 その他情状を考慮して懲戒すべきでないことが明らかであると認めるときは、日本弁護士連合会の懲戒委員会に事案の審査を求めないことを相当とする議決をする。
この場合において、日本弁護士連合会は、当該議決に基づき、対象弁護士等を懲戒しない旨の決定をしなければならない。
日本弁護士連合会の懲戒委員会は、第三項の審査により対象弁護士等につき懲戒することを相当と認めるときは、懲戒の処分の内容を明示して、その旨の議決をする。
この場合において、日本弁護士連合会は、当該議決に基づき、対象弁護士等を懲戒しなければならない。
日本弁護士連合会の懲戒委員会は、第三項の審査により対象弁護士等につき懲戒しないことを相当と認めるときは、その旨の議決をする。
この場合において、日本弁護士連合会は、当該議決に基づき、対象弁護士等を懲戒しない旨の決定をしなければならない。
第五十六条の規定により弁護士会がした懲戒の処分についての審査請求を却下され若しくは棄却され、又は第六十条の規定により日本弁護士連合会から懲戒を受けた者は、東京高等裁判所にその取消しの訴えを提起することができる。
第五十六条の規定により弁護士会がした懲戒の処分に関しては、これについての日本弁護士連合会の裁決に対してのみ、取消しの訴えを提起することができる。
懲戒の手続に付された弁護士は、その手続が結了するまで登録換 又は登録取消の請求をすることができない。
懲戒の手続に付された弁護士法人は、その手続が結了するまで、法律事務所の移転 又は廃止により、所属弁護士会の地域内に法律事務所を有しないこととなつても、これを退会しないものとする。
懲戒の手続に付された弁護士法人は、その手続が結了するまで、第三十六条の二第四項の規定により所属弁護士会を変更することができない。
懲戒の手続に付された弁護士法人が、主たる法律事務所を所属弁護士会の地域外に移転したときは、この章の規定の適用については、その手続が結了するまで、旧所在地にも 主たる法律事務所があるものとみなす。
懲戒の手続に付された弁護士法人は、清算が結了した後においても、この章の規定の適用については、懲戒の手続が結了するまで、なお存続するものとみなす。
懲戒の事由があつたときから三年を経過したときは、懲戒の手続を開始することができない。