悪臭防止法

# 昭和四十六年法律第九十一号 #

第二章 規制等

分類 法律
カテゴリ   環境保全
@ 施行日 : 令和四年六月十七日 ( 2022年 6月17日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第六十八号による改正
最終編集日 : 2023年 01月11日 11時13分


1項

都道府県知事(市の区域内の地域については、市長。次条 及び第六条において同じ。)は、住民の生活環境を保全するため悪臭を防止する必要があると認める住居が集合している地域 その他の地域を、工場 その他の事業場(以下単に「事業場」という。)における事業活動に伴つて発生する悪臭原因物(特定悪臭物質を含む気体 又は水 その他の悪臭の原因となる気体 又は水をいう。以下同じ。)の排出(漏出を含む。以下同じ。)を規制する地域(以下「規制地域」という。)として指定しなければならない。

1項

都道府県知事は、規制地域について、その自然的、社会的条件を考慮して、必要に応じ当該地域を区分し、特定悪臭物質の種類ごとに次の各号の規制基準を当該各号に掲げるところにより定めなければならない。

一 号

事業場における事業活動に伴つて発生する特定悪臭物質を含む気体で当該事業場から排出されるものの当該事業場の敷地の境界線の地表における規制基準 環境省令で定める範囲内において、大気中の特定悪臭物質の濃度の許容限度として定めること。

二 号

事業場における事業活動に伴つて発生する特定悪臭物質を含む気体で当該事業場の煙突 その他の気体排出施設から排出されるものの当該施設の排出口における規制基準 前号の許容限度を基礎として、環境省令で定める方法により、排出口の高さに応じて、特定悪臭物質の流量 又は排出気体中の特定悪臭物質の濃度の許容限度として定めること。

三 号

事業場における事業活動に伴つて発生する特定悪臭物質を含む水で当該事業場から排出されるものの当該事業場の敷地外における規制基準 第一号の許容限度を基礎として、環境省令で定める方法により、排出水中の特定悪臭物質の濃度の許容限度として定めること。

2項

前項の規定にかかわらず、都道府県知事は、規制地域のうちにその自然的、社会的条件から判断して同項の規定による規制基準によつては生活環境を保全することが十分でないと認められる区域があるときは、その区域における悪臭原因物の排出については、同項の規定により規制基準を定めることに代えて、次の各号の規制基準を当該各号に掲げるところにより定めることができる。

一 号

事業場における事業活動に伴つて発生する悪臭原因物である気体で当該事業場から排出されるものの当該事業場の敷地の境界線の地表における規制基準

環境省令で定める範囲内において、大気の臭気指数の許容限度として定めること。

二 号

事業場における事業活動に伴つて発生する悪臭原因物である気体で当該事業場の煙突 その他の気体排出施設から排出されるものの当該施設の排出口における規制基準

前号の許容限度を基礎として、環境省令で定める方法により、排出口の高さに応じて、臭気排出強度(排出気体の臭気指数 及び流量を基礎として算定される値をいう。第十二条において同じ。)又は排出気体の臭気指数の許容限度として定めること。

三 号

事業場における事業活動に伴つて発生する悪臭原因物である水で当該事業場から排出されるものの当該事業場の敷地外における規制基準

第一号の許容限度を基礎として、環境省令で定める方法により、排出水の臭気指数の許容限度として定めること。

1項

都道府県知事は、規制地域の指定をし、及び規制基準を定めようとするときは、当該規制地域を管轄する町村長の意見を聴かなければならない。


これらを変更し、規制地域の指定を解除し、又は規制基準を廃止しようとするときも、同様とする。

2項

都道府県知事は、前項の場合において、必要があると認めるときは、同項に規定する町村長のほか、当該規制地域の周辺地域を管轄する市町村長(特別区の区長を含む。次項において同じ。)の意見を聴くものとする。

3項

市長は、規制地域の指定をし、及び規制基準を定めようとする場合において、必要があると認めるときは、当該規制地域の周辺地域を管轄する市町村長の意見を聴くものとする。


これらを変更し、規制地域の指定を解除し、又は規制基準を廃止しようとするときも、同様とする。

1項

都道府県知事は、規制地域の指定をし、及び規制基準を定めるときは、環境省令で定めるところにより、公示しなければならない。


これらを変更し、規制地域の指定を解除し、又は規制基準を廃止するときも、同様とする。

1項

規制地域内に事業場を設置している者は、当該規制地域についての規制基準を遵守しなければならない。

1項

市町村長は、規制地域内の事業場における事業活動に伴つて発生する悪臭原因物の排出が規制基準に適合しない場合において、その不快なにおいにより住民の生活環境が損なわれていると認めるときは、当該事業場を設置している者に対し、相当の期限を定めて、その事態を除去するために必要な限度において、悪臭原因物を発生させている施設の運用の改善、悪臭原因物の排出防止設備の改良 その他悪臭原因物の排出を減少させるための措置を執るべきことを勧告することができる。

2項

市町村長は、前項の規定による勧告を受けた者がその勧告に従わないときは、相当の期限を定めて、その勧告に係る措置を執るべきことを命ずることができる。

3項

前項の規定による措置は、当該事業場の存する地域が規制地域となつた日から 一年間は当該事業場を設置している者について、当該事業場において発生する悪臭原因物の排出についての規制基準が新たに設けられた日から一年間は当該事業場を設置している者の当該悪臭原因物の排出について、とることができない。

4項

第二項の規定による措置は、当該事業場において発生する悪臭原因物の排出についての規制基準が強化されたときは、その日から一年間、その排出が強化される前の規制基準に適合している場合について、とることができない。

5項

市町村長は、小規模の事業者に対して第一項 又は第二項の規定による措置を執るときは、その者の事業活動に及ぼす影響についても配慮しなければならない。

1項

市町村長は、当該市町村の住民の生活環境を保全するため必要があると認めるときは、関係都道府県知事 若しくは関係市長に対し、規制地域を指定し、若しくは規制基準を設定し、若しくは強化すべきことを要請し、又は関係市町村長に対し、悪臭原因物を排出する事業場について前条第一項 若しくは第二項の規定による措置を執るべきことを要請することができる。

1項

規制地域内に事業場を設置している者は、当該事業場において事故が発生し、悪臭原因物の排出が規制基準に適合せず、又は適合しないおそれが生じたときは、直ちに、その事故について応急措置を講じ、かつ、その事故を速やかに復旧しなければならない。

2項

前項の場合においては、同項に規定する者は、直ちに、その事故の状況を市町村長に通報しなければならない。


ただし大気汚染防止法昭和四十三年法律第九十七号)第十七条第二項の規定による通報の受理に関する事務が同法第三十一条第一項の規定により同項の政令で定める市の長が行うこととされている場合において当該通報を当該政令で定める市の長にしたとき及び石油コンビナート等災害防止法昭和五十年法律第八十四号)第二十三条第一項の規定による通報をした場合は、この限りでない。

3項

市町村長は、第一項の場合において、当該悪臭原因物の不快なにおいにより住民の生活環境が損なわれ、又は損なわれるおそれがあると認めるときは、同項に規定する者に対し、引き続く当該悪臭原因物の排出の防止のための応急措置を講ずべきことを命ずることができる。

4項

第八条第三項 及び第四項の規定は、前項の規定による命令について準用する。

1項

市町村長は、住民の生活環境を保全するため、 規制地域における大気中の特定悪臭物質の濃度 又は大気の臭気指数について必要な測定を行わなければならない。

1項

市町村長は、第八条第一項の規定による勧告 及び第十条第三項の規定による命令を行うために必要な測定 並びに前条の規定による測定の円滑な実施を図るため必要があると認めるときは、これらの測定のうち特定悪臭物質の濃度の測定についてはこれを適正に行うことができるものとして環境省令で定める要件を備える者に、これらの測定のうち臭気指数 及び臭気排出強度(以下「臭気指数等」という。)に係る測定については国、地方公共団体 又は臭気測定業務従事者(臭気指数等に係る測定の業務に従事する者であつて次の各号いずれかに該当するものをいう。以下この条において同じ。)若しくは臭気指数等に係る測定の業務を行う法人(当該測定を臭気測定業務従事者に実施させるものに限る)にそれぞれ委託することができる。

一 号

次条第一項の試験 及び適性検査に合格し、かつ、臭気指数等に係る測定の業務を適正に行うことができるものとして環境省令で定める条件に適合する者

二 号

前号に掲げる者と同等以上の能力を有すると認められる者で、環境省令で定めるもの

1項

環境大臣は、臭気指数等に係る測定の業務に従事するのに必要な知識 及び適性を有するかどうかを判定するため、 臭気指数等に係る測定に関する必要な知識についての試験 及び臭気指数に係る測定に関する嗅覚についての適性検査を行う。

2項

環境大臣は、環境省令で定めるところにより、一般社団法人 又は一般財団法人であつて、次の各号いずれにも適合していると認めるものとしてその指定する者(以下「指定機関」という。)に、前項の試験 及び適性検査の実施に関する事務(以下「試験検査事務」という。)を行わせることができる。

一 号

職員、設備、試験検査事務の実施の方法 その他の事項についての試験検査事務の実施に関する計画が、試験検査事務の適正かつ確実な実施のために適切なものであること。

二 号

前号の試験検査事務の実施に関する計画の適正かつ確実な実施に必要な経理的 及び技術的な基礎を有するものであること。

3項

指定機関の役員 若しくは職員 又は これらの職にあつた者は、試験検査事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。

4項

試験検査事務に従事する指定機関の役員 及び職員は、刑法明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。

5項

第一項の試験 又は適性検査を受けようとする者は、実費を勘案して政令で定める額の手数料を納付しなければならない。

6項

前項の手数料は、環境大臣が行う第一項の試験 又は適性検査を受けようとする者の納付するものについては国庫の、 指定機関がその試験検査事務を行う同項の試験 又は適性検査を受けようとする者の納付するものについては当該指定機関の収入とする。

7項

環境大臣は、指定機関が一般社団法人 又は一般財団法人でなくなつたときは、その指定を取り消さなければならない。

8項

環境大臣は、指定機関が次の各号いずれかに該当するときは、その指定を取り消し、又は期間を定めて試験検査事務の全部 若しくは一部の停止を命ずることができる。

一 号

第二項各号の要件を満たさなくなつたと認められるとき。

二 号

不正な手段により第二項の規定による指定を受けたとき。

9項

前各項に定めるもののほか第一項の試験 及び適性検査 並びに指定機関に関し必要な事項は、環境省令で定める。