感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律

# 平成十年法律第百十四号 #
略称 : 感染症予防法  感染症法 

第十二章 感染症及び病原体等に関する調査及び研究並びに医薬品の研究開発

分類 法律
カテゴリ   厚生
@ 施行日 : 令和六年四月一日 ( 2024年 4月1日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第九十六号による改正
最終編集日 : 2024年 04月24日 13時00分


1項

国は、第十五条の規定に基づく調査の結果 その他のこの法律に基づく調査、届出 その他の行為により保有することとなった情報を活用しつつ、感染症の患者の治療によって得られた情報 及び検体の提供等の協力を求めること その他の関係医療機関との緊密な連携を確保することにより、感染症の患者に対する良質かつ適切な医療の確保を図るための基盤となる感染症の発病の機構 及び感染性、感染症にかかった場合の病状 並びに感染症の診断 及び治療の方法 並びに病原体等に関する調査 及び研究を推進するとともに、医薬品の臨床試験の実施等の協力を求めること その他の関係医療機関との緊密な連携を確保することにより、当該基盤となる医薬品の研究開発を推進するものとする。

2項

厚生労働大臣は、前項に規定する調査 及び研究の成果を適切な方法により感染症の発病の機構 及び感染性、感染症にかかった場合の病状 並びに感染症の診断 及び治療の方法 並びに病原体等に関する調査 及び研究を行う者、医師 その他の関係者に対して積極的に提供するものとする。

3項

厚生労働大臣は、第一項に規定する調査 及び研究 並びに医薬品の研究開発 並びに前項の規定による当該調査 及び研究の成果の提供に係る事務を国立研究開発法人国立国際医療研究センター その他の機関に委託することができる。

4項

厚生労働大臣は、第二項の規定により第一項に規定する調査 及び研究の成果を提供するに当たっては、個人情報の保護に留意しなければならない。

1項

厚生労働大臣は、患者に対する良質かつ適切な医療の確保に資するため、第四十四条の三の六 及び第五十条の七の規定による届出により保有することとなった情報 その他の厚生労働省令で定める感染症に関する情報(以下「感染症関連情報」という。)について調査 及び研究を行う。

1項

厚生労働大臣は、国民保健の向上に資するため、匿名感染症関連情報(感染症関連情報に係る患者 その他の厚生労働省令で定める者(次条において「本人」という。)を識別すること 及びその作成に用いる感染症関連情報を復元することができないようにするために厚生労働省令で定める基準に従い加工した感染症関連情報をいう。以下同じ。)を利用し、又は厚生労働省令で定めるところにより、次の各号に掲げる者であって、匿名感染症関連情報の提供を受けて行うことについて相当の公益性を有すると認められる業務としてそれぞれ当該各号に定めるものを行うものに提供することができる。

一 号
国の他の行政機関 及び地方公共団体 適正な保健医療サービスの提供に資する施策の企画 及び立案に関する調査
二 号
大学 その他の研究機関 疾病の原因 並びに疾病の予防、診断 及び治療の方法に関する研究 その他の公衆衛生の向上及び増進に関する研究
三 号

民間事業者 その他の厚生労働省令で定める者 医療分野の研究開発に資する分析 その他の厚生労働省令で定める業務(特定の商品 又は役務の広告 又は宣伝に利用するために行うものを除く

2項

厚生労働大臣は、前項の規定による匿名感染症関連情報の利用 又は提供を行う場合には、当該匿名感染症関連情報を高齢者の医療の確保に関する法律第十六条の二第一項に規定する匿名医療保険等関連情報 その他の厚生労働省令で定めるものと連結して利用し、又は連結して利用することができる状態で提供することができる。

3項

厚生労働大臣は、第一項の規定により匿名感染症関連情報を提供しようとする場合には、あらかじめ、厚生科学審議会の意見を聴かなければならない。

1項

前条第一項の規定により匿名感染症関連情報の提供を受け、これを利用する者(以下「匿名感染症関連情報利用者」という。)は、匿名感染症関連情報を取り扱うに当たっては、当該匿名感染症関連情報の作成に用いられた感染症関連情報に係る本人を識別するために、当該感染症関連情報から削除された記述等(文書、図画 若しくは電磁的記録(電磁的方式(電子的方式、磁気的方式 その他人の知覚によっては認識することができない方式をいう。)で作られる記録をいう。)に記載され、若しくは記録され、又は音声、動作 その他の方法を用いて表された一切の事項をいう。)若しくは匿名感染症関連情報の作成に用いられた加工の方法に関する情報を取得し、又は当該匿名感染症関連情報を他の情報と照合してはならない。

1項

匿名感染症関連情報利用者は、提供を受けた匿名感染症関連情報を利用する必要がなくなったときは、遅滞なく、当該匿名感染症関連情報を消去しなければならない。

1項
匿名感染症関連情報利用者は、匿名感染症関連情報の漏えい、滅失 又は毀損の防止 その他の当該匿名感染症関連情報の安全管理のために必要かつ適切なものとして厚生労働省令で定める措置を講じなければならない。
1項
匿名感染症関連情報利用者 又は匿名感染症関連情報利用者であった者は、匿名感染症関連情報の利用に関して知り得た匿名感染症関連情報の内容をみだりに他人に知らせ、又は不当な目的に利用してはならない。
1項

厚生労働大臣は、この章第五十六条の三十九 及び第五十六条の四十除く)の規定の施行に必要な限度において、匿名感染症関連情報利用者(国の他の行政機関を除く。以下この項 及び次条において同じ。)に対し報告 若しくは帳簿書類の提出 若しくは提示を命じ、又は当該職員に関係者に対して質問させ、若しくは匿名感染症関連情報利用者の事務所 その他の事業所に立ち入り、匿名感染症関連情報利用者の帳簿書類 その他の物件を検査させることができる。

2項

第三十五条第二項 及び第三項の規定は、前項の規定による立入検査について準用する。

1項

厚生労働大臣は、匿名感染症関連情報利用者が第五十六条の四十二から第五十六条の四十五までの規定に違反していると認めるときは、その者に対し、当該違反を是正するため必要な措置をとるべきことを命ずることができる。

1項

厚生労働大臣は、第五十六条の四十に規定する調査 及び研究 並びに第五十六条の四十一第一項の規定による匿名感染症関連情報の利用 又は提供に係る事務の全部 又は一部を、支払基金、国保連合会 その他厚生労働省令で定める者(次条第一項 及び第三項において「支払基金等」という。)に委託することができる。

1項

匿名感染症関連情報利用者は、実費を勘案して政令で定める額の手数料を国(前条の規定により厚生労働大臣からの委託を受けて、支払基金等が第五十六条の四十一第一項の規定による匿名感染症関連情報の提供に係る事務の全部を行う場合にあっては、支払基金等)に納めなければならない。

2項

厚生労働大臣は、前項の手数料を納めようとする者が都道府県 その他の国民保健の向上のために特に重要な役割を果たす者として政令で定める者であるときは、政令で定めるところにより、当該手数料を減額し、又は免除することができる。

3項

第一項の規定により支払基金等に納められた手数料は、支払基金等の収入とする。