日本国憲法の改正手続に関する法律 抄

# 平成十九年法律第五十一号 #

第四章 国民投票無効の訴訟等

分類 法律
カテゴリ   憲法
@ 施行日 : 令和六年四月一日 ( 2024年 4月1日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第五十二号による改正
最終編集日 : 2024年 08月20日 09時46分


第一節 国民投票無効の訴訟

1項

国民投票に関し異議がある投票人は、中央選挙管理会を被告として、第九十八条第二項の規定による告示の日から三十日以内に、東京高等裁判所に訴訟を提起することができる。

1項

前条の規定による訴訟の提起があった場合において、次に掲げる事項があり、そのために憲法改正案に係る国民投票の結果(憲法改正案に対する賛成の投票の数が第九十八条第二項に規定する投票総数の二分の一を超えること 又は超えないことをいう。第百三十五条において同じ。)に異動を及ぼすおそれがあるときは、裁判所は、その国民投票の全部 又は一部の無効を判決しなければならない。

一 号

国民投票の管理執行に当たる機関が国民投票の管理執行につき遵守すべき手続に関する規定に違反したこと。

二 号

第百一条第百二条第百九条 及び第百十一条から第百十三条までの規定について、多数の投票人が一般にその自由な判断による投票を妨げられたといえる重大な違反があったこと。

三 号

憲法改正案に対する賛成の投票の数 又は反対の投票の数の確定に関する判断に誤りがあったこと。

2項

前項第一号の国民投票の管理執行に当たる機関には、国民投票広報協議会を含まないものとする。

1項

第百二十七条の規定による訴訟については、裁判所は、他の訴訟の順序にかかわらず速やかにその裁判をしなければならない。

2項

当事者、代理人 その他の第百二十七条の規定による訴訟に関与する者は、前項の趣旨を踏まえ、充実した審理を特に迅速に行うことができるよう、裁判所に協力しなければならない。

1項

第百二十七条の規定による訴訟の提起があっても、憲法改正案に係る国民投票の効力は、停止しない。

1項

第百二十七条の規定による訴訟については、行政事件訴訟法昭和三十七年法律第百三十九号第四十三条の規定にかかわらず同法第十三条第十九条から第二十一条まで第二十五条から第二十九条まで第三十一条 及び第三十四条の規定は、準用せず、また、同法第十六条から第十八条までの規定は、第百二十七条の規定により憲法改正案に係る国民投票の無効を求める数個の請求に関してのみ準用する。

1項

第百二十七条の規定による訴訟が提起されたときは、裁判所の長は、その旨を、総務大臣 及び中央選挙管理会に通知しなければならない。


その訴訟が係属しなくなったときも、また同様とする。

2項

第百二十七条の規定による訴訟につき判決が確定したときは、裁判所の長は、その判決書の謄本を、総務大臣 及び中央選挙管理会 並びに衆議院議長 及び参議院議長に送付しなければならない。

1項

憲法改正が無効とされることにより生ずる重大な支障を避けるため緊急の必要があるときは、裁判所は、申立てにより、決定をもって、憲法改正の効果の発生の全部 又は一部の停止をするものとする。


ただし、本案について理由がないとみえるときは、この限りでない。

2項

前項の規定による憲法改正の効果の発生を停止する決定が確定したときは、憲法改正の効果の発生は、本案に係る判決が確定するまでの間、停止する。

3項

第一項の決定は、第三者に対しても効力を有する。

4項

第一項の決定の管轄裁判所は、本案の係属する裁判所とする。

5項

第一項の決定は、疎明に基づいてする。

6項

第一項の決定は、口頭弁論を経ないですることができる。


ただしあらかじめ、当事者の意見を聴かなければならない。

1項

第百二十七条の規定による訴訟の結果憲法改正案に係る国民投票を無効とする判決が確定したとき 又は前条第一項の規定による憲法改正の効果の発生を停止する決定が確定したとき 若しくはその決定が効力を失ったときは、中央選挙管理会は、直ちにその旨を官報で告示するとともに、総務大臣を通じ内閣総理大臣に通知しなければならない。

2項

内閣総理大臣は、前項の通知を受けたときは、直ちにこれを衆議院議長 及び参議院議長に通知しなければならない。

第二節 再投票及び更正決定

1項

第百二十七条の規定による訴訟の結果、憲法改正案に係る国民投票の全部 又は一部が無効となった場合(第六項の規定により憲法改正案に係る国民投票の結果を定める場合を除く)においては、更に国民投票を行わなければならない。

2項

第百二十七条の規定による訴訟を提起することができる期間 又は同条の規定による訴訟が裁判所に係属している間は、前項の規定による国民投票を行うことができない

3項

第一項の規定による国民投票は、これを行うべき事由が生じた日から起算して六十日以後百八十日以内において、国会の議決した期日に行う。

4項

内閣は、国会法第六十五条第一項の規定により国民投票の再投票の期日に係る議案の送付を受けたときは、速やかに、総務大臣を経由して、当該国民投票の再投票の期日を中央選挙管理会に通知しなければならない。

5項

中央選挙管理会は、前項の通知があったときは、速やかに、国民投票の再投票の期日を官報で告示しなければならない。

6項

第百二十七条の規定による訴訟の結果、憲法改正案に係る国民投票の全部 又は一部が無効となった場合において、更に国民投票を行わないで当該憲法改正案に係る国民投票の結果を定めることができるときは、国民投票会を開き、これを定めなければならない。


この場合においては、国民投票長は、国民投票録の写しを添えて、直ちにその憲法改正案に係る国民投票の結果を中央選挙管理会に報告しなければならない。