保全命令を発した裁判所は、債務者の申立てにより、債権者に対し、相当と認める一定の期間内に、本案の訴えを提起するとともにその提起を証する書面を提出し、既に本案の訴えを提起しているときはその係属を証する書面を提出すべきことを命じなければならない。
民事保全法
第四節 保全取消し
前項の期間は、二週間以上でなければならない。
債権者が第一項の規定により定められた期間内に同項の書面を提出しなかったときは、裁判所は、債務者の申立てにより、保全命令を取り消さなければならない。
第一項の書面が提出された後に、同項の本案の訴えが取り下げられ、又は却下された場合には、その書面を提出しなかったものとみなす。
第一項 及び第三項の規定の適用については、本案が家事事件手続法(平成二十三年法律第五十二号)第二百五十七条第一項に規定する事件であるときは家庭裁判所に対する調停の申立てを、本案が労働審判法(平成十六年法律第四十五号)第一条に規定する事件であるときは地方裁判所に対する労働審判手続の申立てを、本案に関し仲裁合意があるときは仲裁手続の開始の手続を、本案が公害紛争処理法(昭和四十五年法律第百八号)第二条に規定する公害に係る被害についての損害賠償の請求に関する事件であるときは同法第四十二条の十二第一項に規定する損害賠償の責任に関する裁定(次項において「責任裁定」という。)の申請を本案の訴えの提起とみなす。
前項の調停の事件、同項の労働審判手続、同項の仲裁手続 又は同項の責任裁定の手続が調停の成立、労働審判(労働審判法第二十九条第二項において準用する民事調停法(昭和二十六年法律第二百二十二号)第十六条の規定による調停の成立 及び労働審判法第二十四条第一項の規定による労働審判事件の終了を含む。)、仲裁判断又は責任裁定(公害紛争処理法第四十二条の二十四第二項の当事者間の合意の成立を含む。)によらないで終了したときは、債権者は、その終了の日から第一項の規定により定められた期間と同一の期間内に本案の訴えを提起しなければならない。
第三項の規定は債権者が前項の規定による本案の訴えの提起をしなかった場合について、第四項の規定は前項の本案の訴えが提起され、又は労働審判法第二十二条第一項(同法第二十三条第二項 及び第二十四条第二項において準用する場合を含む。)の規定により訴えの提起があったものとみなされた後にその訴えが取り下げられ、又は却下された場合について準用する。
第十六条本文 及び第十七条の規定は、第三項(前項において準用する場合を含む。)の規定による決定について準用する。
保全すべき権利 若しくは権利関係 又は保全の必要性の消滅 その他の事情の変更があるときは、保全命令を発した裁判所 又は本案の裁判所は、債務者の申立てにより、保全命令を取り消すことができる。
前項の事情の変更は、疎明しなければならない。
第十六条本文、第十七条 並びに第三十二条第二項 及び第三項の規定は、第一項の申立てについての決定について準用する。
仮処分命令により償うことができない損害を生ずるおそれがあるとき その他の特別の事情があるときは、仮処分命令を発した裁判所 又は本案の裁判所は、債務者の申立てにより、担保を立てることを条件として仮処分命令を取り消すことができる。
前項の特別の事情は、疎明しなければならない。
第十六条本文 及び第十七条の規定は、第一項の申立てについての決定について準用する。
第二十七条から第二十九条まで、第三十一条 及び第三十三条から第三十六条までの規定は、保全取消しに関する裁判について準用する。
ただし、第二十七条から第二十九条まで、第三十一条、第三十三条、第三十四条 及び第三十六条の規定は、第三十七条第一項の規定による裁判については、この限りでない。
前項において準用する第二十七条第一項の規定による裁判は、保全取消しの申立てが保全命令を発した裁判所以外の本案の裁判所にされた場合において、事件の記録が保全命令を発した裁判所に存するときは、その裁判所も、これをすることができる。