各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。
民法
第三節 共有
共有物を使用する共有者は、別段の合意がある場合を除き、他の共有者に対し、自己の持分を超える使用の対価を償還する義務を負う。
共有者は、善良な管理者の注意をもって、共有物の使用をしなければならない。
各共有者の持分は、相等しいものと推定する。
各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更(その形状 又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。次項において同じ。)を加えることができない。
共有者が他の共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、裁判所は、共有者の請求により、当該他の共有者以外の他の共有者の同意を得て共有物に変更を加えることができる旨の裁判をすることができる。
共有物の管理に関する事項(次条第一項に規定する共有物の管理者の選任 及び解任を含み、共有物に前条第一項に規定する変更を加えるものを除く。次項において同じ。)は、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。共有物を使用する共有者があるときも、同様とする。
裁判所は、次の各号に掲げるときは、当該各号に規定する他の共有者以外の共有者の請求により、当該 他の共有者以外の共有者の持分の価格に従い、その過半数で共有物の管理に関する事項を決することができる旨の裁判をすることができる。
共有者が他の共有者に対し相当の期間を定めて共有物の管理に関する事項を決することについて賛否を明らかにすべき旨を催告した場合において、当該他の共有者がその期間内に賛否を明らかにしないとき。
前二項の規定による決定が、共有者間の決定に基づいて共有物を使用する共有者に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない。
共有者は、前三項の規定により、共有物に、次の各号に掲げる賃借権 その他の使用 及び収益を目的とする権利(以下この項において「賃借権等」という。)であって、当該各号に定める期間を超えないものを設定することができる。
樹木の栽植 又は伐採を目的とする山林の賃借権等
十年
前号に掲げる賃借権等以外の土地の賃借権等
五年
建物の賃借権等
三年
動産の賃借権等
六箇月
各共有者は、前各項の規定にかかわらず、保存行為をすることができる。
共有物の管理者は、共有物の管理に関する行為をすることができる。
ただし、共有者の全員の同意を得なければ、共有物に変更(その形状 又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。次項において同じ。)を加えることができない。
共有物の管理者が共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、裁判所は、共有物の管理者の請求により、当該共有者以外の共有者の同意を得て共有物に変更を加えることができる旨の裁判をすることができる。
前項の規定に違反して行った共有物の管理者の行為は、共有者に対してその効力を生じない。
ただし、共有者は、これをもって善意の第三者に対抗することができない。
各共有者は、その持分に応じ、管理の費用を支払い、その他共有物に関する負担を負う。
共有者が一年以内に前項の義務を履行しないときは、他の共有者は、相当の償金を支払ってその者の持分を取得することができる。
共有者の一人が共有物について他の共有者に対して有する債権は、その特定承継人に対しても行使することができる。
共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属する。
各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる。
ただし、五年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をすることを妨げない。
前項ただし書の契約は、更新することができる。
ただし、その期間は、更新の時から五年を超えることができない。
前条の規定は、第二百二十九条に規定する共有物については、適用しない。
前項に規定する方法により共有物を分割することができないとき、又は分割によってその価格を著しく減少させるおそれがあるときは、裁判所は、その競売を命ずることができる。
共有物の全部 又はその持分が相続財産に属する場合において、共同相続人間で当該共有物の全部 又はその持分について遺産の分割をすべきときは、当該共有物 又はその持分について前条の規定による分割をすることができない。
共有物の持分が相続財産に属する場合において、相続開始の時から十年を経過したときは、前項の規定にかかわらず、相続財産に属する共有物の持分について前条の規定による分割をすることができる。
ただし、当該共有物の持分について遺産の分割の請求があった場合において、相続人が当該共有物の持分について同条の規定による分割をすることに異議の申出をしたときは、この限りでない。
相続人が前項ただし書の申出をする場合には、当該申出は、当該相続人が前条第一項の規定による請求を受けた裁判所から当該請求があった旨の通知を受けた日から二箇月以内に当該裁判所にしなければならない。
共有者の一人が他の共有者に対して共有に関する債権を有するときは、分割に際し、債務者に帰属すべき共有物の部分をもって、その弁済に充てることができる。
債権者は、前項の弁済を受けるため債務者に帰属すべき共有物の部分を売却する必要があるときは、その売却を請求することができる。
共有物について権利を有する者 及び各共有者の債権者は、自己の費用で、分割に参加することができる。
前項の規定による参加の請求があったにもかかわらず、その請求をした者を参加させないで分割をしたときは、その分割は、その請求をした者に対抗することができない。
各共有者は、他の共有者が分割によって取得した物について、売主と同じく、その持分に応じて担保の責任を負う。
分割が完了したときは、各分割者は、その取得した物に関する証書を保存しなければならない。
共有者の全員 又はそのうちの数人に分割した物に関する証書は、その物の最大の部分を取得した者が保存しなければならない。
前項の場合において、最大の部分を取得した者がないときは、分割者間の協議で証書の保存者を定める。
協議が調わないときは、裁判所が、これを指定する。
証書の保存者は、他の分割者の請求に応じて、その証書を使用させなければならない。
不動産が数人の共有に属する場合において、共有者が他の共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、裁判所は、共有者の請求により、その共有者に、当該他の共有者(以下この条において「所在等不明共有者」という。)の持分を取得させる旨の裁判をすることができる。
この場合において、請求をした共有者が二人以上あるときは、請求をした各共有者に、所在等不明共有者の持分を、請求をした各共有者の持分の割合で按分してそれぞれ取得させる。
前項の請求があった持分に係る不動産について第二百五十八条第一項の規定による請求 又は遺産の分割の請求があり、かつ、所在等不明共有者以外の共有者が前項の請求を受けた裁判所に同項の裁判をすることについて異議がある旨の届出をしたときは、裁判所は、同項の裁判をすることができない。
所在等不明共有者の持分が相続財産に属する場合(共同相続人間で遺産の分割をすべき場合に限る。)において、相続開始の時から十年を経過していないときは、裁判所は、第一項の裁判をすることができない。
第一項の規定により共有者が所在等不明共有者の持分を取得したときは、所在等不明共有者は、当該共有者に対し、当該共有者が取得した持分の時価相当額の支払を請求することができる。
前各項の規定は、不動産の使用 又は収益をする権利(所有権を除く。)が数人の共有に属する場合について準用する。
不動産が数人の共有に属する場合において、共有者が他の共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、裁判所は、共有者の請求により、その共有者に、当該他の共有者(以下この条において「所在等不明共有者」という。)以外の共有者の全員が特定の者に対してその有する持分の全部を譲渡することを停止条件として所在等不明共有者の持分を当該特定の者に譲渡する権限を付与する旨の裁判をすることができる。
所在等不明共有者の持分が相続財産に属する場合(共同相続人間で遺産の分割をすべき場合に限る。)において、相続開始の時から十年を経過していないときは、裁判所は、前項の裁判をすることができない。
第一項の裁判により付与された権限に基づき共有者が所在等不明共有者の持分を第三者に譲渡したときは、所在等不明共有者は、当該譲渡をした共有者に対し、不動産の時価相当額を所在等不明共有者の持分に応じて按分して得た額の支払を請求することができる。
前三項の規定は、不動産の使用 又は収益をする権利(所有権を除く。)が数人の共有に属する場合について準用する。
共有の性質を有する入会権については、各地方の慣習に従うほか、この節の規定を適用する。
この節(第二百六十二条の二 及び第二百六十二条の三を除く。)の規定は、数人で所有権以外の財産権を有する場合について準用する。
ただし、法令に特別の定めがあるときは、この限りでない。