民法

# 明治二十九年法律第八十九号 #

第三節 遺産の分割

分類 法律
カテゴリ   民事
@ 施行日 : 令和六年四月一日 ( 2024年 4月1日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第百二号による改正
最終編集日 : 2024年 04月27日 20時49分


1項

遺産の分割は、遺産に属する物 又は権利の種類 及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態 及び生活の状況 その他一切の事情を考慮してこれをする。

1項

遺産の分割前に遺産に属する財産が処分された場合であっても、共同相続人は、その全員の同意により、当該処分された財産が遺産の分割時に遺産として存在するものとみなすことができる。

2項

前項の規定にかかわらず、共同相続人の一人 又は数人により同項の財産が処分されたときは、当該共同相続人については、同項の同意を得ることを要しない。

1項

共同相続人は、次条第一項の規定により被相続人が遺言で禁じた場合 又は同条第二項の規定により分割をしない旨の契約をした場合を除き、いつでも、その協議で、遺産の全部 又は一部の分割をすることができる。

2項

遺産の分割について、共同相続人間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、各共同相続人は、その全部 又は一部の分割を家庭裁判所に請求することができる。


ただし、遺産の一部を分割することにより他の共同相続人の利益を害するおそれがある場合におけるその一部の分割については、この限りでない。

1項

被相続人は、遺言で、遺産の分割の方法を定め、若しくはこれを定めることを第三者に委託し、又は相続開始の時から五年を超えない期間を定めて、遺産の分割を禁ずることができる。

2項

共同相続人は、五年以内の期間を定めて、遺産の全部 又は一部について、その分割をしない旨の契約をすることができる。


ただし、その期間の終期は、相続開始の時から十年を超えることができない。

3項

前項の契約は、五年以内の期間を定めて更新することができる。


ただし、その期間の終期は、相続開始の時から十年を超えることができない。

4項

前条第二項本文の場合において特別の事由があるときは、家庭裁判所は、五年以内の期間を定めて、遺産の全部 又は一部について、その分割を禁ずることができる。


ただし、その期間の終期は、相続開始の時から十年を超えることができない。

5項

家庭裁判所は、五年以内の期間を定めて前項の期間を更新することができる。


ただし、その期間の終期は、相続開始の時から十年を超えることができない。

1項

遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずる。


ただし、第三者の権利を害することはできない。

1項

各共同相続人は、遺産に属する預貯金債権のうち相続開始の時の債権額の三分の一第九百条 及び第九百一条の規定により算定した当該共同相続人の相続分を乗じた額(標準的な当面の必要生計費、平均的な葬式の費用の額 その他の事情を勘案して預貯金債権の債務者ごとに法務省令で定める額を限度とする。)については、単独でその権利を行使することができる。


この場合において、当該権利の行使をした預貯金債権については、当該共同相続人が遺産の一部の分割によりこれを取得したものとみなす。

1項

相続の開始後 認知によって相続人となった者が遺産の分割を請求しようとする場合において、他の共同相続人が既にその分割 その他の処分をしたときは、価額のみによる支払の請求権を有する。

1項

各共同相続人は、他の共同相続人に対して、売主と同じく、その相続分に応じて担保の責任を負う。

1項

各共同相続人は、その相続分に応じ、他の共同相続人が遺産の分割によって受けた債権について、その分割の時における債務者の資力を担保する。

2項

弁済期に至らない債権 及び停止条件付きの債権については、各共同相続人は、弁済をすべき時における債務者の資力を担保する。

1項

担保の責任を負う共同相続人中に償還をする資力のない者があるときは、その償還することができない部分は、求償者 及び他の資力のある者が、それぞれその相続分に応じて分担する。


ただし、求償者に過失があるときは、他の共同相続人に対して分担を請求することができない

1項

前三条の規定は、被相続人が遺言で別段の意思を表示したときは、適用しない