消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律

# 平成二十五年法律第九十六号 #
略称 : 集団訴訟法  消費者裁判手続特例法  消費者訴訟法 

第一節 特定適格消費者団体の認定等

分類 法律
カテゴリ   民事
@ 施行日 : 令和四年六月十七日 ( 2022年 6月17日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第六十八号による改正
最終編集日 : 2024年 03月25日 08時11分


1項

適格消費者団体は、内閣総理大臣の認定(以下「特定認定」という。)を受けた場合に限り、被害回復関係業務を行うことができる。

2項

前項に規定する「被害回復関係業務」とは、次に掲げる業務をいう。

一 号

被害回復裁判手続に関する業務(第三十一条第一項 又は第五十三条第一項の授権に係る債権に係る裁判外の和解を含む。

二 号

前号に掲げる業務の遂行に必要な消費者の被害に関する情報の収集に係る業務

三 号

第一号に掲げる業務に付随する対象消費者に対する情報の提供 及び金銭 その他の財産の管理に係る業務

3項

特定認定を受けようとする適格消費者団体は、内閣総理大臣に特定認定の申請をしなければならない。

4項

内閣総理大臣は、前項の申請をした適格消費者団体が次に掲げる要件の全てに適合しているときに限り、特定認定をすることができる。

一 号

差止請求関係業務(消費者契約法第十三条第一項に規定する差止請求関係業務をいう。以下同じ。)を相当期間にわたり継続して適正に行っていると認められること。

二 号

第二項に規定する被害回復関係業務(以下単に「被害回復関係業務」という。)の実施に係る組織、被害回復関係業務の実施の方法、被害回復関係業務に関して知り得た情報の管理 及び秘密の保持の方法、被害回復関係業務の実施に関する金銭 その他の財産の管理の方法 その他の被害回復関係業務を適正に遂行するための体制 及び業務規程が適切に整備されていること。

三 号

その理事に関し、次に掲げる要件に適合するものであること。

被害回復関係業務の執行を決定する機関として理事をもって構成する理事会が置かれており、かつ、定款で定めるその決定の方法が次に掲げる要件に適合していると認められること。

(1)

当該理事会の決議が理事の過半数 又はこれを上回る割合以上の多数決により行われるものとされていること。

(2)

共通義務確認の訴えの提起 その他の被害回復関係業務の執行に係る重要な事項の決定が理事 その他の者に委任されていないこと。

理事のうち一人以上が弁護士であること。

四 号

共通義務確認の訴えの提起 その他の被害回復裁判手続についての検討を行う部門において消費者契約法第十三条第三項第五号イ 及びに掲げる者(以下「専門委員」と総称する。)が共にその専門的な知識経験に基づいて必要な助言を行い又は意見を述べる体制が整備されていること その他被害回復関係業務を遂行するための人的体制に照らして、被害回復関係業務を適正に遂行することができる専門的な知識経験を有すると認められること。

五 号
被害回復関係業務を適正に遂行するに足りる経理的基礎を有すること。
六 号

被害回復関係業務に関して支払を受ける報酬 又は費用がある場合には、その額 又は算定方法、支払方法 その他必要な事項を定めており、これが消費者の利益の擁護の見地から不当なものでないこと。

七 号

被害回復関係業務以外の業務を行うことによって被害回復関係業務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがないこと。

5項

前項第二号の業務規程には、被害回復関係業務の実施の方法、被害回復関係業務に関して知り得た情報の管理 及び秘密の保持の方法、被害回復関係業務の実施に関する金銭 その他の財産の管理の方法 その他の内閣府令で定める事項が定められていなければならない。


この場合において、業務規程に定める被害回復関係業務の実施の方法には、簡易確定手続授権契約 及び訴訟授権契約の内容 並びに請求の放棄、和解 又は上訴の取下げをしようとする場合において第三十一条第一項 又は第五十三条第一項の授権をした者(第七十六条において単に「授権をした者」という。)の意思を確認するための措置、前項第四号の検討を行う部門における専門委員からの助言 又は意見の聴取に関する措置 及び役員、職員 又は専門委員が被害回復裁判手続の相手方と特別の利害関係を有する場合の措置 その他業務の公正な実施の確保に関する措置が含まれていなければならない。

6項

次のいずれかに該当する適格消費者団体は、特定認定を受けることができない

一 号

この法律、消費者契約法 その他消費者の利益の擁護に関する法律で政令で定めるもの若しくはこれらの法律に基づく命令の規定 又はこれらの規定に基づく処分に違反して罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から三年を経過しないもの

二 号

第八十六条第一項各号 又は第二項各号に掲げる事由により特定認定を取り消され、その取消しの日から三年を経過しないもの

三 号

役員のうちに次のいずれかに該当する者のあるもの

この法律、消費者契約法 その他消費者の利益の擁護に関する法律で政令で定めるもの若しくはこれらの法律に基づく命令の規定 又はこれらの規定に基づく処分に違反して罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から三年を経過しない者

特定適格消費者団体が第八十六条第一項各号 又は第二項各号に掲げる事由により特定認定を取り消された場合において、その取消しの日前六月以内に当該特定適格消費者団体の役員であった者でその取消しの日から三年を経過しないもの

1項

前条第三項の申請は、次に掲げる事項を記載した申請書を内閣総理大臣に提出してしなければならない。

一 号
名称 及び住所 並びに代表者の氏名
二 号
被害回復関係業務を行おうとする事務所の所在地
三 号

前二号に掲げるもののほか、内閣府令で定める事項

2項

前項の申請書には、次に掲げる書類を添付しなければならない。

一 号
定款
二 号
差止請求関係業務を相当期間にわたり継続して適正に行っていることを証する書類
三 号
被害回復関係業務に関する業務計画書
四 号
被害回復関係業務を適正に遂行するための体制が整備されていることを証する書類
五 号
業務規程
六 号
役員、職員 及び専門委員に関する次に掲げる書類
氏名、役職 及び職業を記載した書類
住所、略歴 その他内閣府令で定める事項を記載した書類
七 号

最近の事業年度における財産目録、貸借対照表、収支計算書 その他の経理的基礎を有することを証する書類

八 号

被害回復関係業務に関して支払を受ける報酬 又は費用がある場合には、その額 又は算定方法、支払方法 その他必要な事項を記載した書類

九 号

前条第六項各号いずれにも該当しないことを誓約する書面

十 号

被害回復関係業務以外に行う業務の種類 及び概要を記載した書類

十一 号
その他内閣府令で定める書類
1項

内閣総理大臣は、特定認定の申請があった場合には、遅滞なく、内閣府令で定めるところにより、その旨 並びに前条第一項第一号 及び第二号に掲げる事項を公告するとともに、同条第二項各号第六号ロ第九号 及び第十一号除く)に掲げる書類を、公告の日から二週間公衆の縦覧に供しなければならない。

1項

内閣総理大臣は、特定認定をしたときは、内閣府令で定めるところにより、当該特定適格消費者団体の名称 及び住所、被害回復関係業務を行う事務所の所在地 並びに当該特定認定をした日を公示するとともに、当該特定適格消費者団体に対し、その旨を書面により通知するものとする。

2項

特定適格消費者団体は、内閣府令で定めるところにより、特定適格消費者団体である旨を、被害回復関係業務を行う事務所において見やすいように掲示しなければならない。

3項

特定適格消費者団体でない者は、その名称中に特定適格消費者団体であると誤認されるおそれのある文字を用い、又はその業務に関し、特定適格消費者団体であると誤認されるおそれのある表示をしてはならない。

1項

特定認定の有効期間は、当該特定認定の日から起算して三年とする。


ただし、当該特定認定の日における当該特定認定に係る消費者契約法第十三条第一項の認定の有効期間の残存期間(以下この項において単に「残存期間」という。)が三年より短いときは残存期間と同一の期間とし、残存期間が三年より長いときは残存期間から三年を控除した期間とする。

2項

特定認定の有効期間の満了後引き続き被害回復関係業務を行おうとする特定適格消費者団体は、その有効期間の更新を受けなければならない。

3項

前項の有効期間の更新を受けようとする特定適格消費者団体は、当該有効期間の満了の日の九十日前から六十日前までの間(以下この項において「更新申請期間」という。)に、内閣総理大臣に前項の有効期間の更新の申請をしなければならない。


ただし、災害 その他やむを得ない事由により更新申請期間にその申請をすることができないときは、この限りでない。

4項

前項の申請があった場合において、当該有効期間の満了の日までにその申請に対する処分がされないときは、従前の特定認定は、当該有効期間の満了後も その処分がされるまでの間は、なお効力を有する。

5項

前項の場合において、第二項の有効期間の更新がされたときは、その特定認定の有効期間は、従前の特定認定の有効期間の満了の日の翌日から起算するものとする。

6項

第六十五条第一項第二項 及び第六項第二号除く)、第六十六条第六十七条 及び前条第一項の規定は、第二項の有効期間の更新について準用する。


ただし第六十六条第二項各号に掲げる書類については、既に内閣総理大臣に提出されている当該書類の内容に変更がないときは、その添付を省略することができる。

1項

特定適格消費者団体は、第六十六条第一項各号に掲げる事項 又は同条第二項各号第二号 及び第十一号除く)に掲げる書類に記載した事項に変更があったときは、遅滞なく、内閣府令で定めるところにより、その旨を記載した届出書を内閣総理大臣に提出しなければならない。


ただし、その変更が内閣府令で定める軽微なものであるときは、この限りでない。

1項

特定適格消費者団体である法人が他の特定適格消費者団体である法人と合併をしたときは、合併後存続する法人 又は合併により設立された法人は、合併により消滅した法人のこの法律の規定による特定適格消費者団体としての地位を承継する。

2項

前項の規定により合併により消滅した法人のこの法律の規定による特定適格消費者団体としての地位を承継した法人は、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。

3項

特定適格消費者団体である法人が特定適格消費者団体でない法人(適格消費者団体である法人に限る)と合併をした場合には、合併後存続する法人 又は合併により設立された法人は、その合併について内閣総理大臣の認可がされたときに限り、合併により消滅した法人のこの法律の規定による特定適格消費者団体としての地位を承継する。

4項

前項の認可を受けようとする特定適格消費者団体は、その合併がその効力を生ずる日の九十日前から六十日前までの間(以下この項において「認可申請期間」という。)に、内閣総理大臣に認可の申請をしなければならない。


ただし、災害 その他やむを得ない事由により認可申請期間にその申請をすることができないときは、この限りでない。

5項

前項の申請があった場合において、その合併がその効力を生ずる日までにその申請に対する処分がされないときは、合併後存続する法人 又は合併により設立された法人は、その処分がされるまでの間は、合併により消滅した法人のこの法律の規定による特定適格消費者団体としての地位を承継しているものとみなす。

6項

第六十五条第一項 及び第二項除く)、第六十六条第六十七条 及び第六十八条第一項の規定は、第三項の認可について準用する。

7項

特定適格消費者団体である法人は、特定適格消費者団体でない法人と合併をする場合において、第四項の申請をしないときは、その合併がその効力を生ずる日までに、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。

8項

内閣総理大臣は、第二項 又は前項の規定による届出があったときは、内閣府令で定めるところにより、その旨を公示するものとする。

1項

特定適格消費者団体である法人が他の特定適格消費者団体である法人に対し 被害回復関係業務に係る事業の全部の譲渡をしたときは、その譲渡を受けた法人は、その譲渡をした法人のこの法律の規定による特定適格消費者団体としての地位を承継する。

2項

前項の規定によりその譲渡をした法人のこの法律の規定による特定適格消費者団体としての地位を承継した法人は、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。

3項

特定適格消費者団体である法人が特定適格消費者団体でない法人(適格消費者団体である法人に限る)に対し 被害回復関係業務に係る事業の全部の譲渡をした場合には、その譲渡を受けた法人は、その譲渡について内閣総理大臣の認可がされたときに限り、その譲渡をした法人のこの法律の規定による特定適格消費者団体としての地位を承継する。

4項

前項の認可を受けようとする特定適格消費者団体は、その譲渡の日の九十日前から六十日前までの間(以下この項において「認可申請期間」という。)に、内閣総理大臣に認可の申請をしなければならない。


ただし、災害 その他やむを得ない事由により認可申請期間にその申請をすることができないときは、この限りでない。

5項

前項の申請があった場合において、その譲渡の日までにその申請に対する処分がされないときは、その譲渡を受けた法人は、その処分がされるまでの間は、その譲渡をした法人のこの法律の規定による特定適格消費者団体としての地位を承継しているものとみなす。

6項

第六十五条第一項 及び第二項除く)、第六十六条第六十七条 及び第六十八条第一項の規定は、第三項の認可について準用する。

7項

特定適格消費者団体である法人は、特定適格消費者団体でない法人に対し被害回復関係業務に係る事業の全部の譲渡をする場合において、第四項の申請をしないときは、その譲渡の日までに、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。

8項

内閣総理大臣は、第二項 又は前項の規定による届出があったときは、内閣府令で定めるところにより、その旨を公示するものとする。

1項

特定適格消費者団体が被害回復関係業務を廃止したときは、法人の代表者は、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。

2項

内閣総理大臣は、前項の規定による届出があったときは、内閣府令で定めるところにより、その旨を公示するものとする。

1項

特定適格消費者団体について、次のいずれかに掲げる事由が生じたときは、特定認定は、その効力を失う。

一 号

特定認定の有効期間が経過したとき(第六十九条第四項に規定する場合にあっては、更新拒否処分がされたとき)。

二 号

特定適格消費者団体である法人が特定適格消費者団体でない法人と合併をした場合において、その合併が第七十一条第三項の認可を経ずにその効力を生じたとき(同条第五項に規定する場合にあっては、その合併の不認可処分がされたとき)。

三 号

特定適格消費者団体である法人が特定適格消費者団体でない法人に対し 被害回復関係業務に係る事業の全部の譲渡をした場合において、その譲渡が第七十二条第三項の認可を経ずにされたとき(同条第五項に規定する場合にあっては、その譲渡の不認可処分がされたとき)。

四 号
特定適格消費者団体が被害回復関係業務を廃止したとき。
五 号

消費者契約法第十三条第一項の認定が失効し、又は取り消されたとき。

2項

内閣総理大臣は、前項各号に掲げる事由が生じたことを知った場合において、特定適格消費者団体であった法人を当事者とする被害回復裁判手続が現に係属しているときは、その被害回復裁判手続が係属している裁判所に対し、その特定認定が失効した旨を書面により通知しなければならない。