適格消費者団体は、内閣総理大臣の認定(以下「特定認定」という。)を受けた場合に限り、被害回復関係業務を行うことができる。
消費者の財産的被害等の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律
第三章 特定適格消費者団体
第一節 特定適格消費者団体の認定等
前項に規定する「被害回復関係業務」とは、次に掲げる業務をいう。
被害回復裁判手続に関する業務(第三十四条第一項 又は第五十七条第一項の授権に係る債権に係る裁判外の和解を含む。)
前号に掲げる業務の遂行に必要な消費者の被害に関する情報の収集に係る業務
第一号に掲げる業務に付随する対象消費者等に対する情報の提供 及び金銭 その他の財産の管理に係る業務
特定認定を受けようとする適格消費者団体は、内閣総理大臣に特定認定の申請をしなければならない。
内閣総理大臣は、前項の申請をした適格消費者団体が次に掲げる要件の全てに適合しているときに限り、特定認定をすることができる。
差止請求関係業務(消費者契約法第十三条第一項に規定する差止請求関係業務をいう。以下同じ。)を相当期間にわたり継続して適正に行っていると認められること。
第二項に規定する被害回復関係業務(以下単に「被害回復関係業務」という。)の実施に係る組織、被害回復関係業務の実施の方法、被害回復関係業務に関して知り得た情報の管理 及び秘密の保持の方法、被害回復関係業務の実施に関する金銭 その他の財産の管理の方法 その他の被害回復関係業務を適正に遂行するための体制 及び業務規程が適切に整備されていること。
その理事に関し、次に掲げる要件に適合するものであること。
被害回復関係業務の執行を決定する機関として理事をもって構成する理事会が置かれており、かつ、定款で定めるその決定の方法が次に掲げる要件に適合していると認められること。
当該理事会の決議が理事の過半数 又はこれを上回る割合以上の多数決により行われるものとされていること。
共通義務確認の訴えの提起 その他の被害回復関係業務の執行に係る重要な事項の決定が理事 その他の者に委任されていないこと。
理事のうち一人以上が弁護士であること。
共通義務確認の訴えの提起 その他の被害回復裁判手続についての検討を行う部門において消費者契約法第十三条第三項第五号イ 及びロに掲げる者(以下「専門委員」と総称する。)が共にその専門的な知識経験に基づいて必要な助言を行い 又は意見を述べる体制が整備されていること その他被害回復関係業務を遂行するための人的体制に照らして、被害回復関係業務を適正に遂行することができる専門的な知識経験を有すると認められること。
被害回復関係業務に関して支払を受ける報酬 又は費用がある場合には、その額 又は算定方法、支払方法 その他必要な事項を定めており、これが消費者の利益の擁護の見地から不当なものでないこと。
被害回復関係業務以外の業務を行うことによって被害回復関係業務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがないこと。
前項第二号の業務規程には、被害回復関係業務の実施の方法、被害回復関係業務に関して知り得た情報の管理 及び秘密の保持の方法、被害回復関係業務の実施に関する金銭 その他の財産の管理の方法 その他の内閣府令で定める事項が定められていなければならない。
この場合において、業務規程に定める被害回復関係業務の実施の方法には、簡易確定手続授権契約 及び訴訟授権契約の内容 並びに請求の放棄、和解 又は上訴の取下げをしようとする場合において第三十四条第一項 又は第五十七条第一項の授権をした者(第八十二条第一項において単に「授権をした者」という。)の意思を確認するための措置、前項第四号の検討を行う部門における専門委員からの助言 又は意見の聴取に関する措置 及び役員、職員 又は専門委員が被害回復裁判手続の相手方と特別の利害関係を有する場合の措置 その他業務の公正な実施の確保に関する措置が含まれていなければならない。
次の各号のいずれかに該当する適格消費者団体は、特定認定を受けることができない。
この法律、消費者契約法 その他消費者の利益の擁護に関する法律で政令で定めるもの若しくはこれらの法律に基づく命令の規定 又はこれらの規定に基づく処分に違反して罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から三年を経過しないもの
第九十二条第一項各号 又は第二項各号に掲げる事由により特定認定を取り消され、その取消しの日から三年を経過しないもの
役員のうちに次のイ 又はロのいずれかに該当する者のあるもの
この法律、消費者契約法 その他消費者の利益の擁護に関する法律で政令で定めるもの若しくはこれらの法律に基づく命令の規定 又はこれらの規定に基づく処分に違反して罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から三年を経過しない者
特定適格消費者団体が第九十二条第一項各号 又は第二項各号に掲げる事由により特定認定を取り消された場合において、その取消しの日前六月以内に当該特定適格消費者団体の役員であった者でその取消しの日から三年を経過しないもの
前条第三項の申請は、次に掲げる事項を記載した申請書を内閣総理大臣に提出してしなければならない。
前二号に掲げるもののほか、内閣府令で定める事項
前項の申請書には、次に掲げる書類を添付しなければならない。
最近の事業年度における財産目録、貸借対照表 又は次のイ 若しくはロに掲げる法人の区分に応じ、当該イ 若しくはロに定める書類(第九十九条第二項第七号 及び第百十条第一項において「財産目録等」という。)その他の経理的基礎を有することを証する書類
特定非営利活動促進法(平成十年法律第七号)第二条第二項に規定する特定非営利活動法人(第九十八条第一項 及び第二項において単に「特定非営利活動法人」という。)
同法第二十七条第三号に規定する活動計算書
一般社団法人 又は一般財団法人
一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成十八年法律第四十八号)第百二十三条第二項(同法第百九十九条において準用する場合を含む。)に規定する損益計算書(公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(平成十八年法律第四十九号)第五条に規定する公益認定を受けている場合にあっては、内閣府令で定める書類)
被害回復関係業務に関して支払を受ける報酬 又は費用がある場合には、その額 又は算定方法、支払方法 その他必要な事項を記載した書類
前条第六項各号のいずれにも該当しないことを誓約する書面
被害回復関係業務以外に行う業務の種類 及び概要を記載した書類
内閣総理大臣は、特定認定の申請があった場合には、遅滞なく、内閣府令で定めるところにより、その旨 並びに前条第一項第一号 及び第二号に掲げる事項を公告するとともに、同条第二項各号(第六号ロ、第九号 及び第十一号を除く。)に掲げる書類を、公告の日から二週間、公衆の縦覧に供しなければならない。
内閣総理大臣は、特定認定をしたときは、内閣府令で定めるところにより、当該特定適格消費者団体の名称 及び住所、被害回復関係業務を行う事務所の所在地 並びに当該特定認定をした日を公示するとともに、当該特定適格消費者団体に対し、その旨を書面により通知するものとする。
特定適格消費者団体は、内閣府令で定めるところにより、特定適格消費者団体である旨について、被害回復関係業務を行う事務所において見やすいように掲示するとともに、電気通信回線に接続して行う自動公衆送信(公衆によって直接受信されることを目的として公衆からの求めに応じ自動的に送信を行うことをいい、放送 又は有線放送に該当するものを除く。第百一条第二項において同じ。)により公衆の閲覧に供しなければならない。
特定適格消費者団体でない者は、その名称中に特定適格消費者団体であると誤認されるおそれのある文字を用い、又はその業務に関し、特定適格消費者団体であると誤認されるおそれのある表示をしてはならない。
特定認定の有効期間は、当該特定認定の日における当該特定認定に係る消費者契約法第十三条第一項の認定の有効期間の残存期間と同一の期間とする。
特定認定の有効期間の満了後引き続き被害回復関係業務を行おうとする特定適格消費者団体は、その有効期間の更新を受けなければならない。
前項の有効期間の更新を受けようとする特定適格消費者団体は、当該有効期間の満了の日の九十日前から六十日前までの間(以下この項において「更新申請期間」という。)に、内閣総理大臣に前項の有効期間の更新の申請をしなければならない。
ただし、災害 その他やむを得ない事由により更新申請期間にその申請をすることができないときは、この限りでない。
特定認定の有効期間は、当該特定認定の日における当該特定認定に係る消費者契約法第十三条第一項の認定の有効期間の残存期間と同一の期間とする。
第三項の申請があった場合において、当該有効期間の満了の日までにその申請に対する処分がされないときは、従前の特定認定は、当該有効期間の満了後も その処分がされるまでの間は、なお効力を有する。
前項の場合において、第二項の有効期間の更新がされたときは、その特定認定の有効期間は、従前の特定認定の有効期間の満了の日の翌日から起算するものとする。
第七十一条(第一項、第二項 及び第六項第二号を除く。)、第七十二条、第七十三条 及び前条第一項の規定は、第二項の有効期間の更新について準用する。
この場合において、
第七十一条第四項第一号中
「同じ。)」とあるのは
「同じ。)、被害回復関係業務 又は相当多数の消費者と事業者との間の消費者契約に関する紛争の解決のための業務」と、
第七十二条第二項中
「ならない」とあるのは
「ならない。ただし、既に内閣総理大臣に添付して提出された書類と同一内容のものについては、その添付を省略することができる」と、
同項第二号中
「差止請求関係業務」とあるのは
「差止請求関係業務、被害回復関係業務 又は相当多数の消費者と事業者との間の消費者契約に関する紛争の解決のための業務」と
読み替えるものとする。
特定適格消費者団体は、第七十二条第一項各号に掲げる事項 又は同条第二項各号(第二号 及び第十一号を除く。)に掲げる書類に記載した事項に変更があったときは、遅滞なく、内閣府令で定めるところにより、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。
ただし、その変更が内閣府令で定める軽微なものであるときは、この限りでない。
特定適格消費者団体である法人が他の特定適格消費者団体である法人と合併をしたときは、合併後存続する法人 又は合併により設立された法人は、合併により消滅した法人のこの法律の規定による特定適格消費者団体としての地位を承継する。
前項の規定により合併により消滅した法人のこの法律の規定による特定適格消費者団体としての地位を承継した法人は、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。
特定適格消費者団体である法人が特定適格消費者団体でない法人(適格消費者団体である法人に限る。次項において同じ。)と合併(特定適格消費者団体である法人が存続するものを除く。以下この条 及び第八十条第一項第二号において同じ。)をした場合には、合併後存続する法人 又は合併により設立された法人は、その合併について内閣総理大臣の認可がされたときに限り、合併により消滅した法人のこの法律の規定による特定適格消費者団体としての地位を承継する。
前項の認可を受けようとする特定適格消費者団体である法人 及び特定適格消費者団体でない法人は、共同して、その合併がその効力を生ずる日の九十日前から六十日前までの間(以下この項において「認可申請期間」という。)に、内閣総理大臣に認可の申請をしなければならない。
ただし、災害 その他やむを得ない事由により認可申請期間にその申請をすることができないときは、この限りでない。
前項の申請があった場合において、その合併がその効力を生ずる日までにその申請に対する処分がされないときは、合併後存続する法人 又は合併により設立された法人は、その処分がされるまでの間は、合併により消滅した法人のこの法律の規定による特定適格消費者団体としての地位を承継しているものとみなす。
第七十一条(第一項 及び第二項を除く。)、第七十二条、第七十三条 及び第七十四条第一項の規定は、第三項の認可について準用する。
特定適格消費者団体である法人は、特定適格消費者団体でない法人と合併をする場合において、第四項の申請をしないときは、その合併がその効力を生ずる日までに、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。
内閣総理大臣は、第二項 又は前項の規定による届出があったときは、内閣府令で定めるところにより、その旨を公示するものとする。
特定適格消費者団体である法人が他の特定適格消費者団体である法人に対し 被害回復関係業務に係る事業の全部の譲渡をしたときは、その譲渡を受けた法人は、その譲渡をした法人のこの法律の規定による特定適格消費者団体としての地位を承継する。
前項の規定によりその譲渡をした法人のこの法律の規定による特定適格消費者団体としての地位を承継した法人は、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。
特定適格消費者団体である法人が特定適格消費者団体でない法人(適格消費者団体である法人に限る。次項において同じ。)に対し被害回復関係業務に係る事業の全部の譲渡をした場合には、その譲渡を受けた法人は、その譲渡について内閣総理大臣の認可がされたときに限り、その譲渡をした法人のこの法律の規定による特定適格消費者団体としての地位を承継する。
前項の認可を受けようとする特定適格消費者団体である法人 及び特定適格消費者団体でない法人は、共同して、その譲渡の日の九十日前から六十日前までの間(以下この項において「認可申請期間」という。)に、内閣総理大臣に認可の申請をしなければならない。
ただし、災害 その他やむを得ない事由により認可申請期間にその申請をすることができないときは、この限りでない。
前項の申請があった場合において、その譲渡の日までにその申請に対する処分がされないときは、その譲渡を受けた法人は、その処分がされるまでの間は、その譲渡をした法人のこの法律の規定による特定適格消費者団体としての地位を承継しているものとみなす。
第七十一条(第一項 及び第二項を除く。)、第七十二条、第七十三条 及び第七十四条第一項の規定は、第三項の認可について準用する。
特定適格消費者団体である法人は、特定適格消費者団体でない法人に対し被害回復関係業務に係る事業の全部の譲渡をする場合において、第四項の申請をしないときは、その譲渡の日までに、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。
内閣総理大臣は、第二項 又は前項の規定による届出があったときは、内閣府令で定めるところにより、その旨を公示するものとする。
特定適格消費者団体が被害回復関係業務を廃止したときは、法人の代表者は、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。
内閣総理大臣は、前項の規定による届出があったときは、内閣府令で定めるところにより、その旨を公示するものとする。
特定適格消費者団体について、次の各号のいずれかに掲げる事由が生じたときは、特定認定は、その効力を失う。
特定認定の有効期間が経過したとき(第七十五条第五項に規定する場合にあっては、更新拒否処分がされたとき)。
特定適格消費者団体である法人が特定適格消費者団体でない法人と合併をした場合において、その合併が第七十七条第三項の認可を経ずにその効力を生じたとき(同条第五項に規定する場合にあっては、その合併の不認可処分がされたとき)。
特定適格消費者団体である法人が特定適格消費者団体でない法人に対し被害回復関係業務に係る事業の全部の譲渡をした場合において、その譲渡が第七十八条第三項の認可を経ずにされたとき(同条第五項に規定する場合にあっては、その譲渡の不認可処分がされたとき)。
消費者契約法第十三条第一項の認定が失効し、又は取り消されたとき。
内閣総理大臣は、前項各号に掲げる事由が生じたことを知った場合において、特定適格消費者団体であった法人を当事者とする被害回復裁判手続が現に係属しているときは、その被害回復裁判手続が係属している裁判所に対し、その特定認定が失効した旨を書面により通知しなければならない。
第二節 被害回復関係業務等
特定適格消費者団体は、対象消費者等の利益のために、被害回復関係業務を適切に実施しなければならない。
特定適格消費者団体は、不当な目的でみだりに共通義務確認の訴えの提起 その他の被害回復関係業務を実施してはならない。
特定適格消費者団体は、被害回復関係業務について他の特定適格消費者団体と相互に連携を図りながら協力するように努めなければならない。
特定適格消費者団体、独立行政法人国民生活センター その他の関係者は、独立行政法人国民生活センターが行う独立行政法人国民生活センター法(平成十四年法律第百二十三号)第十条第八号に掲げる業務が円滑かつ効果的に実施されるよう、相互に連携を図りながら協力するように努めなければならない。
特定適格消費者団体は、授権をした者との簡易確定手続授権契約 又は訴訟授権契約で定めるところにより、被害回復関係業務を行うことに関し、報酬を受けることができる。
共通義務確認訴訟において和解を行った特定適格消費者団体は、当該和解に係る消費者との間で締結する契約(簡易確定手続授権契約 及び訴訟授権契約を除く。)で定めるところにより、被害回復関係業務を行うことに関し、報酬を受けることができる。
特定適格消費者団体は、被害回復関係業務を行う場合において、民事訴訟に関する手続(簡易確定手続を含む。)、仮差押命令に関する手続 及び執行抗告(仮差押えの執行の手続に関する裁判に対する執行抗告を含む。)に係る手続については、弁護士に追行させなければならない。
特定適格消費者団体は、次に掲げる場合には、内閣府令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を他の特定適格消費者団体に通知するとともに、その旨、その内容 その他内閣府令で定める事項を内閣総理大臣に報告しなければならない。
この場合において、当該特定適格消費者団体が、当該通知 及び報告に代えて、全ての特定適格消費者団体 及び内閣総理大臣が電磁的方法を利用して同一の情報を閲覧することができる状態に置く措置であって内閣府令で定めるものを講じたときは、当該通知 及び報告をしたものとみなす。
共通義務確認の訴えの提起 又は第六十一条第一項の申立てをしたとき。
共通義務確認訴訟の判決の言渡し 又は第六十一条第一項の申立てについての決定の告知があったとき。
前号の判決に対する上訴の提起 又は同号の決定に対する不服の申立てがあったとき。
第二号の判決 又は同号の決定が確定したとき。
共通義務確認訴訟における和解が成立したとき。
前二号に掲げる場合のほか、共通義務確認訴訟 又は仮差押命令に関する手続が終了したとき。
共通義務確認訴訟に関し、請求の放棄、和解、上訴の取下げ その他の内閣府令で定める手続に係る行為であって、それにより確定判決 及びこれと同一の効力を有するものが存することとなるものをしようとするとき。
第十六条第三項の規定による通知を受けたとき。
簡易確定手続開始の申立て 又はその取下げをしたとき。
第二十六条第一項、第二項前段 又は第三項の規定による公告をしたとき。
第二十七条第一項の規定による通知をしたとき。
内閣総理大臣は、前項の規定による報告を受けたときは、全ての特定適格消費者団体 及び内閣総理大臣が電磁的方法を利用して同一の情報を閲覧することができる状態に置く措置 その他の内閣府令で定める方法により、他の特定適格消費者団体に当該報告の日時 及び概要 その他内閣府令で定める事項を伝達するものとする。
特定適格消費者団体は、被害回復関係業務に関し、消費者の個人情報(個人に関する情報であって、特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)をいう。第三項において同じ。)を保管し、又は利用するに当たっては、その業務の目的の達成に必要な範囲内でこれを保管し、及び利用しなければならない。
ただし、当該消費者の同意がある場合 その他正当な事由がある場合は、この限りでない。
特定適格消費者団体は、被害回復関係業務に関し、消費者から収集した消費者の被害に関する情報を被害回復裁判手続に係る相手方 その他の第三者が当該被害に係る消費者を識別することができる方法で利用するに当たっては、あらかじめ、当該消費者の同意を得なければならない。
特定適格消費者団体は、被害回復関係業務において消費者の個人情報を適正に管理するために必要な措置を講じなければならない。
特定適格消費者団体の役員、職員 若しくは専門委員 又はこれらの職にあった者は、正当な理由がなく、被害回復関係業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。
特定適格消費者団体の被害回復関係業務に従事する者は、その被害回復関係業務を行うに当たり、被害回復裁判手続に係る相手方の請求があったときは、当該特定適格消費者団体の名称、自己の氏名 及び特定適格消費者団体における役職 又は地位 その他内閣府令で定める事項を、その相手方に明らかにしなければならない。
特定適格消費者団体は、次に掲げる場合を除き、その被害回復裁判手続に係る相手方から、その被害回復裁判手続の追行に関し、寄附金、賛助金 その他名目のいかんを問わず、金銭 その他の財産上の利益を受けてはならない。
被害回復裁判手続における判決(確定判決と同一の効力を有するもの、仮執行の宣言を付した届出債権支払命令 及び第六十一条第一項の申立てについての決定を含む。次号において同じ。)又は第五十一条第三項 若しくは第五十二条第一項 若しくは民事訴訟法第七十三条第一項の決定により訴訟費用(簡易確定手続の費用、和解の費用 及び調停手続の費用を含む。)を負担することとされた相手方から当該訴訟費用に相当する額の償還として財産上の利益を受けるとき。
被害回復裁判手続における判決に基づく民事執行の執行費用に相当する額の償還として財産上の利益を受けるとき。
特定適格消費者団体は、対象消費者等 又は第九十八条第二項に規定する消費者団体訴訟等支援法人に前項第一号に規定する義務の履行として金銭 その他の財産上の利益を受けさせる場合を除き、その被害回復裁判手続に係る相手方から、その被害回復裁判手続の追行に関し、寄附金、賛助金 その他名目のいかんを問わず、金銭 その他の財産上の利益を第三者に受けさせてはならない。
前三項に規定する被害回復裁判手続に係る相手方からその被害回復裁判手続の追行に関して受け 又は受けさせてはならない財産上の利益には、その相手方がその被害回復裁判手続の追行に関してした不法行為によって生じた損害の賠償として受け 又は受けさせる財産上の利益は含まれない。
特定適格消費者団体は、被害回復関係業務に係る経理を他の業務に係る経理と区分して整理しなければならない。
第三節 監督
内閣総理大臣は、特定適格消費者団体が、第七十一条第四項第二号から第七号までに掲げる要件のいずれかに適合しなくなったと認めるときは、当該特定適格消費者団体に対し、これらの要件に適合するために必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
内閣総理大臣は、前項に定めるもののほか、特定適格消費者団体が第七十一条第六項第三号に該当するに至ったと認めるとき、特定適格消費者団体 又はその役員、職員 若しくは専門委員が被害回復関係業務の遂行に関し この法律の規定に違反したと認めるとき、その他特定適格消費者団体の業務の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、当該特定適格消費者団体に対し、人的体制の改善、違反の停止、業務規程の変更 その他の業務の運営の改善に必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
内閣総理大臣は、特定適格消費者団体について、次の各号のいずれかに掲げる事由があるときは、特定認定を取り消すことができる。
偽りその他不正の手段により特定認定、第七十五条第二項の有効期間の更新 又は第七十七条第三項 若しくは第七十八条第三項の認可を受けたとき。
第七十一条第四項各号に掲げる要件のいずれかに適合しなくなったとき。
第七十一条第六項第一号 又は第三号に該当するに至ったとき。
前三号に掲げるもののほか、この法律 若しくはこの法律に基づく命令の規定 又はこれらの規定に基づく処分に違反したとき(次項第二号に該当する場合を除く。)。
内閣総理大臣は、前項の規定による取消しのほか、特定適格消費者団体について、次の各号のいずれかに掲げる事由があるときは、特定認定 又は消費者契約法第十三条第一項の認定を取り消すことができる。
第八十九条第一項 又は第二項の規定に違反したとき。
当該特定適格消費者団体の役員、職員 又は専門委員が第八十九条第三項の規定に違反したとき。
特定適格消費者団体が、第八十四条第一項の規定に違反して同項の通知 又は報告をしないで、共通義務確認の訴えに関し、同項第七号に規定する行為をしたときは、内閣総理大臣は、当該特定適格消費者団体について前項第一号に掲げる事由があるものとみなすことができる。
内閣総理大臣は、第一項 又は第二項の規定による取消しをしたときは、内閣府令で定めるところにより、その旨 及びその取消しをした日を公示するとともに、特定適格消費者団体であった法人に対し、その旨を書面により通知するものとする。
この場合において、当該特定適格消費者団体であった法人を当事者とする被害回復裁判手続が現に係属しているときは、その被害回復裁判手続が係属している裁判所に対しても、その取消しをした旨を書面により通知しなければならない。
被害回復裁判手続(第二条第九号ロに規定する民事執行の手続を除く。)の当事者である特定適格消費者団体に係る特定認定が、第八十条第一項各号に掲げる事由により失効し、若しくは前条第一項各号 若しくは第二項各号に掲げる事由により取り消されるとき、又はこれらの事由により既に失効し、若しくは既に取り消されているときは、内閣総理大臣は、当該被害回復裁判手続を受け継ぐべき特定適格消費者団体として他の特定適格消費者団体を指定するものとする。
ただし、共通義務確認訴訟 又は簡易確定手続(特定適格消費者団体であった法人が債権届出をした場合を除く。)において、他に当事者である特定適格消費者団体があるときは、この限りでない。
第十三条に規定する特定適格消費者団体に係る特定認定が、第八十条第一項各号に掲げる事由により失効し、若しくは前条第一項各号 若しくは第二項各号に掲げる事由により取り消されるとき、又はこれらの事由により既に失効し、若しくは既に取り消されているときは、内閣総理大臣は、第十三条に規定する特定適格消費者団体として他の特定適格消費者団体を指定するものとする。
ただし、同条に規定する特定適格消費者団体が他にあるときは、この限りでない。
対象債権等に係る債務名義を取得した特定適格消費者団体 又はその民事執行法第二十三条第一項第三号に規定する承継人である特定適格消費者団体に係る特定認定が、第八十条第一項各号に掲げる事由により失効し、若しくは前条第一項各号 若しくは第二項各号に掲げる事由により取り消されるとき、又はこれらの事由により既に失効し、若しくは既に取り消されているときは、内閣総理大臣は、同法第二十三条第一項第三号に規定する承継人となるべき特定適格消費者団体として他の特定適格消費者団体を指定するものとする。
内閣総理大臣は、前三項の規定による指定を受けた特定適格消費者団体(以下この項 及び次項において「指定特定適格消費者団体」という。)について、特定認定が、第八十条第一項各号に掲げる事由により失効し、若しくは既に失効し、又は前条第一項各号 若しくは第二項各号に掲げる事由により取り消されるときは、指定特定適格消費者団体に係る指定を取り消さなければならない。
第一項から第三項までの規定による指定は、指定特定適格消費者団体が受け継ぐことになった手続をその指定前に追行していた者に次の各号のいずれかに掲げる事由が生じたことを理由として取り消すことができない。
特定認定の取消処分、特定認定の有効期間の更新拒否処分 若しくは第七十七条第三項の合併 若しくは第七十八条第三項の事業の全部の譲渡の不認可処分(以下この号において「特定認定取消処分等」という。)が取り消され、又は特定認定取消処分等の取消し 若しくはその無効 若しくは不存在の確認の判決が確定したとき。
消費者契約法第十三条第一項の認定の取消処分、同項の認定の有効期間の更新拒否処分 若しくは同法第十九条第三項の合併 若しくは同法第二十条第三項の事業の全部の譲渡の不認可処分(以下この号において「認定取消処分等」という。)が取り消され、又は認定取消処分等の取消し 若しくはその無効 若しくは不存在の確認の判決が確定したとき。
内閣総理大臣は、第一項から第三項までの規定による指定をしたときは、内閣府令で定めるところにより、その旨 及びその指定をした日を公示するとともに、その指定を受けた特定適格消費者団体に対し、その旨を書面により通知するものとする。
第四項の規定により当該指定を取り消したときも、同様とする。
前項前段の場合において、特定適格消費者団体であった法人を当事者とする被害回復裁判手続が現に係属しているときは、内閣総理大臣は、その被害回復裁判手続が係属している裁判所に対しても、その指定をした旨を書面により通知しなければならない。
次の各号に掲げる場合には、当該各号の指定を受けた特定適格消費者団体は、遅滞なく、知れている届出消費者に、各別にその旨を通知しなければならない。
第一項の規定による指定がされた場合(特定適格消費者団体であった法人が簡易確定手続(当該特定適格消費者団体であった法人が債権届出をした場合に限る。)又は異議後の訴訟の手続の当事者であったときに限る。)
第三項の規定による指定がされた場合
第一項から第三項までの規定による指定がされたときは、特定適格消費者団体であった法人は、遅滞なく、その指定を受けた特定適格消費者団体に対し、その指定の対象となった事件について、対象消費者等のために保管する物 及び被害回復関係業務に関する書類を移管し、その他被害回復関係業務をその指定を受けた特定適格消費者団体に引き継ぐために必要な一切の行為をしなければならない。
第四節 補則
特定適格消費者団体である適格消費者団体に対する消費者契約法の規定の適用については、次の表の上欄に掲げる同法の規定中 同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句とする。
第二十九条第一項 | その行う差止請求関係業務 | その行う差止請求関係業務 及び消費者裁判手続特例法第七十一条第二項に規定する被害回復関係業務(以下単に「被害回復関係業務」という。) |
、差止請求関係業務 | 、差止請求関係業務 及び被害回復関係業務 | |
第三十一条第二項第七号 | 差止請求関係業務 | 差止請求関係業務 及び被害回復関係業務 |
第三十二条第一項 | この法律 | この法律 又は消費者裁判手続特例法 |
内閣総理大臣は、消費者の財産的被害等の防止 及び救済に資するため、特定適格消費者団体から第八十四条第一項(第一号 及び第七号に係る部分を除く。)の規定による報告を受けたときは、インターネットの利用 その他適切な方法により、速やかに、共通義務確認訴訟の確定判決(確定判決と同一の効力を有するものを含む。)の概要、簡易確定手続開始決定の概要、第二十六条第一項、第二項前段 及び第三項の規定による公告の概要、第二十七条第一項の規定による通知の概要、当該特定適格消費者団体の名称 及び当該共通義務確認訴訟の相手方の氏名 又は名称 その他内閣府令で定める事項を公表するものとする。
前項に規定する事項のほか、内閣総理大臣は、被害回復関係業務に関する情報を広く国民に提供するため、インターネットの利用 その他適切な方法により、特定適格消費者団体の名称 及び住所 並びに被害回復関係業務を行う事務所の所在地 その他内閣府令で定める必要な情報を公表することができる。
内閣総理大臣は、独立行政法人国民生活センターに、前二項に規定する情報の公表に関する業務を行わせることができる。
内閣総理大臣は、内閣府令で定めるところにより、特定適格消費者団体の求めに応じ、当該特定適格消費者団体が被害回復裁判手続を適切に追行するために必要な限度において、当該特定適格消費者団体に対し、特定商取引に関する法律(昭和五十一年法律第五十七号)又は預託等取引に関する法律(昭和六十一年法律第六十二号)に基づく処分に関して作成した書類で内閣府令で定めるものを提供することができる。
前項の規定により書類の提供を受けた特定適格消費者団体は、当該書類を当該被害回復裁判手続の用に供する目的以外の目的のために利用し、又は提供してはならない。
独立行政法人国民生活センター 及び地方公共団体は、内閣府令で定めるところにより、特定適格消費者団体の求めに応じ、当該特定適格消費者団体が被害回復関係業務を適切に遂行するために必要な限度において、当該特定適格消費者団体に対し、消費生活に関する消費者と事業者との間に生じた苦情に係る相談に関する情報で内閣府令で定めるものを提供することができる。
前項の規定により情報の提供を受けた特定適格消費者団体は、当該情報を当該被害回復関係業務の用に供する目的以外の目的のために利用し、又は提供してはならない。