滞納処分と強制執行等との手続の調整に関する法律
第三節 債権又はその他の財産権に対する強制執行等
滞納処分による差押えがされている債権に対し強制執行による差押命令 又は差押処分が発せられた場合において、差押命令を発した執行裁判所 又は差押処分をした裁判所書記官がその滞納処分を知つたときは、差押命令を発した執行裁判所の裁判所書記官 又は差押処分をした裁判所書記官は、差押命令 又は差押処分が発せられた旨を徴収職員等に通知しなければならない。
ただし、第二十条の六第三項の規定による通知があつたときは、この限りでない。
債権の一部について滞納処分による差押えがされている場合において、その残余の部分を超えて強制執行による差押命令 又は差押処分が発せられたときは、強制執行による差押えの効力は、その債権の全部に及ぶ。
債権の全部について滞納処分による差押えがされている場合において、その債権の一部について強制執行による差押命令 又は差押処分が発せられたときの強制執行による差押えの効力も、同様とする。
滞納処分による差押えがされている債権に対し強制執行による差押命令 又は差押処分が発せられたときは、強制執行による差押えをした債権者は、差押えに係る債権のうち滞納処分による差押えがされている部分については、滞納処分による差押えが解除された後でなければ、取立て 又は民事執行法第百六十三条第一項の規定による請求をすることができない。
第三債務者は、滞納処分による差押えがされている金銭の支払を目的とする債権(以下「金銭債権」という。)について強制執行による差押命令 又は差押処分の送達を受けたときは、その債権の全額に相当する金銭を債務の履行地の供託所に供託することができる。
第三債務者は、前項の規定による供託をしたときは、その事情を徴収職員等に届け出なければならない。
徴収職員等は、前項の規定による事情の届出を受けたときは、その旨を執行裁判所(差押処分がされている場合にあつては、当該差押処分をした裁判所書記官)に通知しなければならない。
前条第一項の規定による供託がされた場合においては、差押命令を発した執行裁判所 又は差押処分をした裁判所書記官は、供託された金銭のうち、滞納処分による差押えがされた金銭債権の額に相当する部分については次条第一項において準用する第六条第一項の規定により払渡金の残余が交付され、又は滞納処分による差押えが解除されたときに、その余の部分については供託されたときに配当等を実施しなければならない。
前項の場合において、民事執行法第百六十五条(同法第百六十七条の十四第一項において同法第百六十五条(第三号 及び第四号を除く。)の規定を準用する場合を含む。以下 この項において同じ。)の規定の適用については、
同条第一号中
「第百五十六条第一項から第三項まで」とあるのは、
「滞納処分と強制執行等との手続の調整に関する法律(昭和三十二年法律第九十四号)第二十条の六第一項」と
する。
次条第一項において準用する第六条第一項の規定による取立金 又は売却代金の残余の交付 及びその交付を受けた時は、配当等に関しては、それぞれ債権の強制執行による売却命令による売却 及び売却命令により執行官が売得金の交付を受けた時とみなす。
第六条第一項 及び第三項、第八条、第九条、第十条第一項、第十四条 並びに第十五条の規定は滞納処分による差押え後に強制執行による差押命令 又は差押処分が発せられた債権(以下この条において「差押え競合債権」という。)について、第五条第一項本文(第十条第二項において準用する場合を含む。)の規定は差押え競合債権で動産の引渡しを目的とするものについて、第十三条第一項の規定は差押え競合債権で条件付 若しくは期限付であるもの又は反対給付に係ること その他の事由によりその取立てが困難であるもの(以下この条において「差押え競合の条件付等債権」という。)について、第十条第三項 及び第四項の規定は差押え競合債権で動産の引渡しを目的とするもの及び差押え競合の条件付等債権で動産の引渡しを目的としないものについて、第十六条の規定は差押え競合債権で民事執行法第百五十条に規定するものについて準用する。
この場合において、
第六条第一項中
「売却代金 又は有価証券の取立金」とあるのは
「第三債務者からの取立金 若しくは第二十条の六第一項の規定により供託された金銭の払渡金 又は売却代金」と、
第六条第一項 及び第三項 並びに第十条第三項中
「執行官」とあるのは
「執行裁判所(差押処分がされている場合にあつては、当該差押処分をした裁判所書記官)」と、
第六条第三項中
「売却代金 又は取立金」とあるのは
「取立金 若しくは払渡金 又は売却代金」と、
第十四条中
「滞納処分による差押を」とあるのは
「、第二十条の三第二項本文の規定による通知 又は第二十条の六第二項の規定による事情の届出があつた場合において、滞納処分による差押えを」と、
「裁判所」とあるのは
「裁判所(差押処分がされている場合にあつては、当該差押処分をした裁判所書記官)」と、
第十五条中
「強制競売の申立てが」とあるのは
「第二十条の三第二項本文 又は第二十条の六第三項の規定による通知があつた場合において、強制執行による差押命令 又は差押処分の申立てが」と、
「強制競売の手続を取り消す決定」とあるのは
「差押命令 若しくは差押処分を取り消す決定 又は差押処分を取り消す旨の裁判所書記官の処分」と、
「裁判所書記官」とあるのは
「差押命令を発した執行裁判所の裁判所書記官 又は差押処分をした裁判所書記官」と
読み替えるものとする。
前項において準用する第九条第一項の規定による強制執行続行の決定があつたときは、滞納処分による差押えについては、第三十六条の三第二項本文の規定による通知があつたものとみなす。
第十五条、第十八条第二項、第二十条の三、第二十条の四 及び第二十条の六の規定は、滞納処分による差押えがされている債権に対する仮差押えの執行について準用する。
この場合において、
第十五条中
「強制競売の申立てが」とあるのは
「第二十条の九第一項において準用する第二十条の三第二項本文 又は第二十条の六第三項の規定による通知があつた場合において、仮差押えの執行の申立てが」と、
「強制競売の手続」とあるのは
「仮差押えの執行」と、
第十八条第二項中
「売却代金」とあるのは
「第三債務者からの取立金 若しくは第二十条の九第一項において準用する第二十条の六第一項の規定により供託された金銭の払渡金 又は売却代金」と
読み替えるものとする。
第二十条の七第三項の規定は、前項において準用する第十八条第二項の規定により取立金 若しくは払渡金 又は売却代金の残余が交付された場合について準用する。
第二十条の三から第二十条の八までの規定は、滞納処分による差押えがされている債権を目的とする担保権の実行 又は行使について準用する。
滞納処分による差押えがされているその他の財産権に対する強制執行、仮差押えの執行 又は担保権の実行については、特別の定めがあるもののほか、滞納処分による差押えがされている債権に対する強制執行、仮差押えの執行 又は担保権の実行の例による。
第五条第三項本文(第十一条の二において準用する場合を含む。)の規定は電話加入権について、第十六条(第二十条において準用する場合を含む。)の規定は その他の財産権で権利の移転について登記 又は登録を要するものについて準用する。