国土交通大臣は、多目的ダムを新築しようとするときは、その建設に関する基本計画(以下「基本計画」という。)を作成しなければならない。
特定多目的ダム法
第二章 多目的ダムの建設
次の各号に掲げる要件に該当する多目的ダムに関する基本計画の作成 又は変更の際、発電の用以外の特定用途の全部 又は一部についてダム使用権の設定予定者を定めることができない特別の事情があり、かつ、当該基本計画の作成後政令で定める期間内にこれを定めることができる見込みが十分であるときは、当該特定用途に係る前項各号に掲げる事項については、その際定めることができる限度において基本計画に定めれば足りる。
この場合においては、国土交通大臣は、当該ダム使用権の設定予定者を定めることができることとなつた後、遅滞なく、当該基本計画を変更して、必要な事項を定めなければならない。
発電の用以外の特定用途に係る水の需要が十分にあり、かつ、当該多目的ダムによりその供給を確保する緊急の必要があること。
国土交通大臣は、基本計画を作成し、変更し、又は廃止しようとするときは、あらかじめ、関係行政機関の長に協議するとともに、関係都道府県知事 及び基本計画に定められるべき、又は定められたダム使用権の設定予定者の意見をきかなければならない。
この場合において、関係都道府県知事は、意見を述べようとするときは、当該都道府県の議会の議決を経なければならない。
国土交通大臣は、基本計画を作成し、変更し、又は廃止したときは、すみやかに、その旨を公示するとともに、関係行政機関の長、関係都道府県知事 及びダム使用権の設定予定者に通知しなければならない。
ダム使用権の設定予定者は、ダム使用権の設定を申請した者で、第十五条第二項各号に掲げる要件を備える者でなければならない。
相続人、合併 又は分割により設立される法人 その他のダム使用権の設定予定者の一般承継人(法人の分割による承継の場合にあつては、申請された流水の用途に係る事業の全部を承継する法人に限る。)は、被承継人が有していたこの法律の規定に基づく地位を承継する。
ダム使用権の設定予定者は、多目的ダムの建設に要する費用のうち、建設の目的である各用途について、多目的ダムによる流水の貯留を利用して流水を当該用途に供することによつて得られる効用から算定される推定の投資額 及び当該用途のみに供される工作物でその効用と同等の効用を有するものの設置に要する推定の費用の額 並びに多目的ダムの建設に要する費用の財源の一部に借入金が充てられる場合においては、支払うべき利息の額を勘案して、政令で定めるところにより算出した額の費用を負担しなければならない。
多目的ダムの建設に要する費用の範囲、負担金の納付の方法 及び期限 その他前項の負担金に関し必要な事項は、政令で定める。
多目的ダムの建設に要する費用について河川法第六十条第一項の規定により都道府県が負担すべき負担金の額は、その建設に要する費用の額から前条第一項の負担金 及び政令で定めるその他の負担金の額を控除した額に同法第六十条第一項に定める都道府県の負担割合を乗じた額 及び都道府県が収納する政令で定めるその他の負担金の額を合算した額とする。
前項の負担金を徴収する場合における負担金の徴収を受ける者の範囲 及び徴収の方法については、国土交通大臣が負担させる場合にあつては政令で、都道府県知事が負担させる場合にあつては都道府県の条例で定める。
専用の施設を新設し、又は拡張して、新築される多目的ダムによる流水の貯留を利用して流水をかんがいの用に供する者は、多目的ダムの建設に要する費用につき当該用途について第七条第一項に規定する方法と同一の方法により算出した額のうち十分の一以内で政令で定める割合の額 及びその額に対応する建設期間中の利息の額を合算した額の負担金を負担しなければならない。
前項の負担金は、都道府県知事が徴収する。
前条第二項の規定は、前項の負担金について準用する。
前二条の規定により都道府県知事が負担させ、又は徴収した負担金 及びその負担金の納付義務者から徴収した延滞金は、当該都道府県に帰属する。
ダム使用権の設定予定者のダム使用権の設定の申請が却下され、又は取り下げられたときは、その者がすでに納付した第七条第一項の負担金を還付するものとする。
ただし、国土交通大臣は、基本計画を廃止する場合を除き、新たにダム使用権の設定予定者が定められるまでその還付を停止することができる。
ダム使用権の設定予定者は、第三条の規定にかかわらず、ダム使用権の設定を受ける前に、国土交通大臣の許可を受けて、多目的ダムによる流水の貯留を利用して流水を特定用途に供することができる。