空港法

# 昭和三十一年法律第八十号 #

第四章 空港の管理等

分類 法律
カテゴリ   航空
@ 施行日 : 令和四年十二月一日 ( 2022年 12月1日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第六十二号
最終編集日 : 2024年 11月08日 11時19分


第一節 通則

1項

空港管理者は、次に掲げる事項について空港供用規程を定め、インターネットの利用 その他の適切な方法により公表しなければならない。


これを変更したときも、同様とする。

一 号
運用時間 その他の空港が提供するサービスの内容に関する事項
二 号

前号のサービスの利用者 その他の者が遵守すべき事項

三 号

前二号に掲げるもののほか、空港の供用に関する事項として国土交通省令で定める事項

2項

前項の空港供用規程は、基本方針に適合するものでなければならない。

3項

空港管理者(国土交通大臣を除く次項 及び次条において同じ。)は、第一項の空港供用規程を定めたときは、国土交通省令で定めるところにより、国土交通大臣に届け出なければならない。


これを変更したときも、同様とする。

4項

国土交通大臣は、前項の規定による届出がされた空港供用規程(地方管理空港に係るものを除く)が第二項の規定に適合しないと認めるときは、空港管理者に対し、これを変更すべきことを命ずることができる。

1項

空港管理者は、着陸料等(着陸料 その他の滑走路等の使用に係る料金をいう。以下同じ。)を定めようとするときは、あらかじめ、国土交通大臣に届け出なければならない。


これを変更しようとするときも、同様とする。

2項

国土交通大臣は、前項の規定による届出がされた着陸料等が次の各号いずれかに該当すると認めるときは、空港管理者に対し、期限を定めてその着陸料等を変更すべきことを命ずることができる。

一 号

特定の利用者に対し不当な差別的取扱いをするものであるとき。

二 号

社会的経済的事情に照らして著しく不適切であり、利用者が当該空港を利用することを著しく困難にするおそれがあるものであるとき。

1項

空港管理者は、空港の利用者の利便の向上を図るために必要な協議を行うための協議会(以下この条において「協議会」という。)を組織することができる。

2項

協議会は、次に掲げる者をもつて構成する。

一 号

空港管理者

二 号

次条第三項に規定する指定空港機能施設事業者、航空運送事業者(航空法昭和二十七年法律第二百三十一号第二条第十八項に規定する航空運送事業を経営する者をいう。第二十六条第二項第二号において同じ。)その他の事業者であつて当該空港の利用者の利便の向上に関する事業を実施すると見込まれる者

三 号

関係行政機関、関係地方公共団体、学識経験者、観光関係団体、商工関係団体 その他の空港管理者が必要と認める者

3項

第一項の規定により協議会を組織する空港管理者は、協議会において協議を行うときは、あらかじめ前項第二号に掲げる者であつて協議会の構成員であるものに、当該協議を行う事項を通知しなければならない。

4項

前項の規定による通知を受けた者は、正当な理由がある場合を除き、当該通知に係る事項の協議に応じなければならない。

5項

協議会は、必要があると認めるときは、その構成員以外の関係行政機関 及び事業者に対し、資料の提供、意見の表明、説明 その他必要な協力を求めることができる。

6項

協議会において協議が調つた事項については、協議会の構成員はその協議の結果を尊重しなければならない。

7項

前各項に定めるもののほか、協議会の運営に関し必要な事項は、協議会が定める。

第二節 空港機能施設事業

1項

国土交通大臣は、次に掲げる要件を備えていると認められるものを、その申請により、空港ごとに国管理空港(第四条第一項第二号 及び第六号に掲げる空港をいう。第二十三条において同じ。)において空港機能施設事業(空港機能施設(各空港においてその機能を確保するために必要な航空旅客 若しくは航空貨物の取扱施設 又は航空機給油施設をいう。)を建設し、又は管理する事業をいう。以下同じ。)を行う者として指定することができる。

一 号

基本方針に従つて空港機能施設事業を行うことについて適正かつ確実な計画を有すると認められること。

二 号

基本方針に従つて空港機能施設事業を行うことについて十分な経理的基礎 及び技術的能力を有すると認められること。

2項

国土交通大臣は、前項の申請をした者が次の各号いずれかに該当するときは、同項の規定による指定をしないものとする。

一 号

破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者

二 号

禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない者

三 号

心身の故障により空港機能施設事業を適正に行うことができない者として国土交通省令で定めるもの

四 号

法人 又は団体であつて、その役員のうちに前三号いずれかに該当する者があること。

3項

国土交通大臣は、第一項の規定による指定をしたときは、国土交通省令で定めるところにより、当該指定を受けた者(以下「指定空港機能施設事業者」という。)の氏名 又は名称 及び住所を公示するものとする。

4項

指定空港機能施設事業者は、その氏名 若しくは名称 又は住所を変更しようとするときは、あらかじめ、国土交通大臣に届け出なければならない。

5項

国土交通大臣は、前項の規定による届出があつたときは、国土交通省令で定めるところにより、その旨を公示するものとする。

1項

航空旅客の取扱施設を管理する事業を行う指定空港機能施設事業者は、旅客取扱施設利用料(航空旅客の取扱施設の利用について旅客から徴収する料金(旅客の利益に及ぼす影響が小さいものとして国土交通省令で定める料金を除く)をいう。以下同じ。)を定めようとするときは、その上限を定め、国土交通大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

2項

国土交通大臣は、前項の規定による認可をしようとするときは、能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものを超えないものであるかどうかを審査して、これをするものとする。

3項

第一項の指定空港機能施設事業者は、同項の規定による認可を受けた旅客取扱施設利用料の上限の範囲内で旅客取扱施設利用料を定め、あらかじめ、国土交通大臣に届け出なければならない。


これを変更しようとするときも、同様とする。

4項

国土交通大臣は、前項の規定による届出がされた旅客取扱施設利用料が特定の利用者に対し不当な差別的取扱いをするものであるときは、当該指定空港機能施設事業者に対し、期限を定めてその旅客取扱施設利用料を変更すべきことを命ずることができる。

5項

第一項の指定空港機能施設事業者は、第三項の規定による届出をした旅客取扱施設利用料をインターネットの利用 その他の適切な方法により公表しなければならない。

1項

指定空港機能施設事業者たる法人の合併 及び分割は、国土交通大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。

1項

指定空港機能施設事業者は、国土交通省令で定めるところにより、空港機能施設事業に係る経理と その他の事業に係る経理とを区分して整理しなければならない。

1項

国土交通大臣は、空港機能施設事業の適正な実施を確保するため必要があると認めるときは、指定空港機能施設事業者に対し、業務に関し監督上必要な命令をすることができる。

1項

指定空港機能施設事業者は、空港機能施設事業の全部 又は一部を休止し、又は廃止しようとするときは、国土交通大臣の許可を受けなければならない。

1項

国土交通大臣は、指定空港機能施設事業者が次の各号いずれかに該当するときは、第十五条第一項の規定による指定を取り消すことができる。

一 号

空港機能施設事業を適正に行うことができないと認められるとき。

二 号

この法律 又はこの法律に基づく命令の規定に違反したとき。

三 号

第十九条の規定による命令に違反したとき。

2項

国土交通大臣は、指定空港機能施設事業者が前条の規定による空港機能施設事業の全部の廃止の許可を受けたときは、第十五条第一項の規定による指定を取り消すものとする。

3項

国土交通大臣は、前二項の規定により第十五条第一項の規定による指定を取り消したときは、国土交通省令で定めるところにより、その旨を公示するものとする。

1項

指定空港機能施設事業者は、前条第一項 又は第二項の規定により第十五条第一項の規定による指定を取り消されたときは、その空港機能施設事業の全部を、国土交通大臣 又は当該空港機能施設事業の全部を承継するものとして国土交通大臣が指定する指定空港機能施設事業者に引き継がなければならない。


ただし、当該空港機能施設事業が行われている空港の供用が廃止される場合においては、この限りでない。

2項

前項に規定するもののほか前条第一項 又は第二項の規定により第十五条第一項の規定による指定を取り消された場合における空港機能施設事業の引継ぎ その他の必要な事項は、国土交通省令で定める。

1項

地方公共団体は、その設置し、及び管理する地方管理空港における空港機能施設事業について、国管理空港における空港機能施設事業に対する規制に準じて政令で定める基準に従い、条例で、空港の利用者の便益の増進を図るため必要な規制をすることができる。

第三節 空港の脱炭素化の推進

1項

国土交通大臣である空港管理者は、その管理する空港の脱炭素化(地球温暖化対策の推進に関する法律平成十年法律第百十七号第二条の二に規定する脱炭素社会の実現に寄与することを旨として、社会経済活動 その他の活動に伴つて発生する温室効果ガス(同法第二条第三項に規定する温室効果ガスをいう。)の排出の量の削減 並びに吸収作用の保全 及び強化を行うことをいう。以下同じ。)の推進を図るための計画(以下「空港脱炭素化推進計画」という。)を作成することができる。

2項

空港脱炭素化推進計画には、次に掲げる事項を記載しなければならない。

一 号

空港の脱炭素化の目標

二 号

前号の目標を達成するために実施する再生可能エネルギー発電設備(再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法(平成二十三年法律第百八号)第二条第二項に規定する再生可能エネルギー発電設備をいう。)の整備 その他の空港の脱炭素化のための事業(以下「空港脱炭素化推進事業」という。)及びその実施主体に関する事項

三 号

前二号に掲げるもののほか、国土交通省令で定める事項

3項

国土交通大臣である空港管理者は、空港脱炭素化推進計画に前項第二号に掲げる事項を記載しようとするときは、同号の実施主体として定めようとする者の同意を得なければならない。

4項

空港脱炭素化推進計画は、地球温暖化対策の推進に関する法律第二十一条第一項に規定する地方公共団体実行計画に適合したものでなければならない。

5項

国土交通大臣である空港管理者は、空港脱炭素化推進計画を定めたときは、遅滞なく、これを公表するものとする。

6項

前三項の規定は、国土交通大臣である空港管理者が空港脱炭素化推進計画を変更する場合について準用する。

1項

空港管理者(国土交通大臣を除く。以下この条において同じ。)は、国土交通省令で定めるところにより、空港脱炭素化推進計画を作成して、国土交通大臣の認定を申請することができる。

2項

前条第二項から第四項までの規定は、空港管理者が空港脱炭素化推進計画を作成する場合について準用する。

3項

国土交通大臣は、第一項の規定による認定の申請があつた場合において、その空港脱炭素化推進計画が次の各号いずれにも該当するものであると認めるときは、その認定をするものとする。

一 号

基本方針 及び航空法第百三十一条の二の七第一項に規定する航空脱炭素化推進基本方針に適合するものであること。

二 号

円滑かつ確実に実施されると見込まれるものであること。

三 号
航空の安全の確保に支障を及ぼすおそれのないものであること。
4項

空港管理者は、空港脱炭素化推進計画について前項の認定を受けたときは、遅滞なく、これを公表するものとする。

5項

第三項の認定を受けた空港管理者(第二十七条 及び第二十九条において「認定空港管理者」という。)は、当該認定に係る空港脱炭素化推進計画を変更しようとするときは、国土交通省令で定めるところにより、国土交通大臣の認定を受けなければならない。

6項

前条第三項 及び第四項の規定は空港管理者が空港脱炭素化推進計画を変更する場合について、第三項 及び第四項の規定は前項の認定について準用する。

1項

空港脱炭素化推進計画を作成しようとする空港管理者は、空港脱炭素化推進計画の作成 及び実施 その他の空港の脱炭素化に関し必要な協議を行うための協議会(以下この条において「空港脱炭素化推進協議会」という。)を組織することができる。

2項

空港脱炭素化推進協議会は、次に掲げる者をもつて構成する。

一 号

空港脱炭素化推進計画を作成しようとする空港管理者

二 号
指定空港機能施設事業者、航空運送事業者 その他の当該空港において航空機の運航に関する事業を行う者
三 号
空港脱炭素化推進計画に記載しようとする空港脱炭素化推進事業を実施すると見込まれる者
四 号
関係行政機関、関係地方公共団体、学識経験者 その他の当該空港管理者が必要と認める者
3項

第一項の規定により空港脱炭素化推進協議会を組織する空港管理者は、空港脱炭素化推進協議会において協議を行うときは、あらかじめ前項第二号 及び第三号に掲げる者であつて空港脱炭素化推進協議会の構成員であるものに、当該協議を行う事項を通知しなければならない。

4項

前項の規定による通知を受けた者は、正当な理由がある場合を除き、当該通知に係る事項の協議に応じなければならない。

5項

指定空港機能施設事業者 及び航空法第百三十一条の二の八第四項に規定する認定航空運送事業者は、空港脱炭素化推進協議会が組織されていない場合にあつては、空港管理者に対して、空港脱炭素化推進協議会を組織するよう要請することができる。

6項

空港管理者は、第一項の規定により空港脱炭素化推進協議会を組織したときは、遅滞なく、国土交通省令で定めるところにより、その旨を公表しなければならない。

7項

第二項第二号 及び第三号に掲げる者であつて空港脱炭素化推進協議会の構成員でないものは、第一項の規定により空港脱炭素化推進協議会を組織する空港管理者に対して、自己を空港脱炭素化推進協議会の構成員として加えるよう申し出ることができる。

8項

前項の規定による申出を受けた空港管理者は、正当な理由がある場合を除き、当該申出に応じなければならない。

9項

空港脱炭素化推進協議会は、必要があると認めるときは、その構成員以外の関係行政機関 及び事業者に対し、資料の提供、意見の表明、説明 その他必要な協力を求めることができる。

10項

空港脱炭素化推進協議会において協議が調つた事項については、空港脱炭素化推進協議会の構成員はその協議の結果を尊重しなければならない。

11項

前各項に定めるもののほか、空港脱炭素化推進協議会の運営に関し必要な事項は、空港脱炭素化推進協議会が定める。

1項

認定空港管理者が第二十五条第三項の認定(同条第五項の変更の認定を含む。以下この条において「計画の認定」という。)を受けた空港脱炭素化推進計画(以下「認定空港脱炭素化推進計画」という。)に従つて空港脱炭素化推進事業を実施するため航空法第四十三条第一項の許可を受けなければならない場合には、当該計画の認定を受けたときに、同項の規定により許可を受けたものとみなす。

1項

国は、国有財産法昭和二十三年法律第七十三号第十八条第一項の規定にかかわらず、空港脱炭素化推進事業の用に供するため、行政財産(同法第三条第二項に規定する行政財産をいう。)を空港脱炭素化推進計画(国土交通大臣が作成したものに限る)又は認定空港脱炭素化推進計画に定められた空港脱炭素化推進事業の実施主体に貸し付けることができる。

2項

国有財産法第二十三条から第二十五条までの規定は、前項の規定による貸付けについて準用する。

3項

第一項の規定による貸付けの期間は、三十年以内とする。

1項

国は、認定空港管理者 又は認定空港脱炭素化推進計画に定められた空港脱炭素化推進事業の実施主体に対し、当該認定空港脱炭素化推進計画に係る措置の的確な実施に必要な指導 及び助言を行うものとする。

1項

国土交通大臣は、認定空港脱炭素化推進計画が第二十五条第三項各号いずれかに該当しなくなつたと認めるとき、又は認定空港脱炭素化推進計画に従つて空港脱炭素化推進事業が行われていないと認めるときは、その認定を取り消すことができる。