空港法

昭和三十一年法律第八十号
分類 法律
カテゴリ   航空
@ 施行日 : 令和四年十二月一日 ( 2022年 12月1日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第六十二号
最終編集日 : 2024年 11月08日 11時19分

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  • 第一章 総則

  • 第二章 空港管理者

  • 第三章 工事費用の負担等

  • 第四章 空港の管理等

    • 第一節 通則
    • 第二節 空港機能施設事業
    • 第三節 空港の脱炭素化の推進
  • 第五章 雑則

  • 第六章 罰則

第一章 総則

1項

この法律は、空港の設置 及び管理を効果的かつ効率的に行うための措置 並びに空港の脱炭素化を推進するための措置を定めることにより、環境の保全に配慮しつつ、空港の利用者の便益の増進を図り、もつて航空の総合的な発達に資するとともに、我が国の産業、観光等の国際競争力の強化 及び地域経済の活性化 その他の地域の活力の向上に寄与することを目的とする。

1項

この法律において「空港」とは、公共の用に供する飛行場(附則第二条第一項の政令で定める飛行場を除く)をいう。

1項

国土交通大臣は、空港の設置 及び管理に関する基本方針(以下「基本方針」という。)を定めるものとする。

2項

基本方針においては、次に掲げる事項を定めるものとする。

一 号
空港の設置 及び管理の意義 及び目標に関する事項
二 号

空港の整備に関する基本的な事項

三 号
空港の運営に関する基本的な事項
四 号

空港とその周辺の地域との連携の確保に関する基本的な事項

五 号

空港の周辺における騒音 その他の航空機の運航により生ずる障害の防止 及び損失の補償 並びに生活環境の改善に関する基本的な事項

六 号

地理的、経済的 又は社会的な観点からみて密接な関係を有する空港相互間の連携の確保に関する基本的な事項

七 号

前各号に掲げるもののほか、空港の設置 及び管理に関する基本的な事項

3項

基本方針は、空港の設置 及び管理を行う者(以下「空港管理者」という。)、国、関係地方公共団体、関係事業者、地域住民 その他の関係者の相互の密接な連携 及び協力の下に、空港の設置 及び管理を効果的かつ効率的に行い、環境の保全に配慮しつつ、空港の利用者の便益の増進を図り、もつて航空の総合的な発達に資するとともに、我が国の産業、観光等の国際競争力の強化 及び地域経済の活性化 その他の地域の活力の向上が図られるべきことを基本理念として定めるものとする。

4項

国土交通大臣は、基本方針を定め、又はこれを変更しようとするときは、交通政策審議会の意見を聴くものとする。


ただし、交通政策審議会が軽微な事項と認めるものについては、この限りでない。

5項

関係地方公共団体は、基本方針に関し、国土交通大臣に対し、意見を申し出ることができる。

6項

国土交通大臣は、基本方針を定め、又は変更したときは、遅滞なく、これを公表するものとする。

第二章 空港管理者

1項

次に掲げる空港は、国土交通大臣が設置し、及び管理する。

一 号
成田国際空港
二 号
東京国際空港
三 号
中部国際空港
四 号
関西国際空港
五 号
大阪国際空港
六 号

前各号に掲げるもののほか、国際航空輸送網 又は国内航空輸送網の拠点となる空港として政令で定めるもの

2項

前項第一号から第五号までに掲げる空港の位置は政令で定め、同項第六号の政令においては、空港の名称 及び位置を明らかにするものとする。

3項

第一項の規定にかかわらず、成田国際空港は成田国際空港株式会社が、関西国際空港 及び大阪国際空港は新関西国際空港株式会社がそれぞれ設置し、及び管理する。

4項

第一項の規定にかかわらず、中部国際空港は、中部国際空港の設置及び管理に関する法律平成十年法律第三十六号)第四条第一項の規定による指定があつたときは、当該指定を受けた者が設置し、及び管理する。

1項

前条第一項各号に掲げる空港以外の空港であつて、国際航空輸送網 又は国内航空輸送網を形成する上で重要な役割を果たすものとして政令で定める空港(以下「地方管理空港」という。)は、政令で定める関係地方公共団体が協議して定める地方公共団体が設置し、及び管理する。

2項

前項の空港を定める政令においては、空港の名称 及び位置を明らかにするものとする。

3項

第一項の規定による協議については、関係地方公共団体の議会の議決を経なければならない。

4項

国土交通大臣は、第一項の規定による協議につき、必要があると認めるときは、関係地方公共団体の申請によりあつせんすることができる。

第三章 工事費用の負担等

1項

国土交通大臣がその設置し、及び管理する第四条第一項第六号に掲げる空港において、一般公衆の利用に供する目的で滑走路、着陸帯、誘導路、エプロン 若しくは照明施設(以下「滑走路等」という。)の新設 若しくは改良 又は政令で定める空港用地(以下単に「空港用地」という。)の造成 若しくは整備の工事を施行する場合には、その工事に要する費用は、国がその三分の二を、当該空港の存する都道府県がその三分の一をそれぞれ負担する。

2項

前項の場合において、当該空港の設置により他の都道府県も著しく利益を受けるときは、国土交通大臣は、その利益を受ける限度において、当該空港の存する都道府県の負担すべき負担金の一部を著しく利益を受ける他の都道府県に分担させることができる。

3項

国土交通大臣は、第一項の工事を施行しようとするときは、あらかじめ前二項の規定により費用を負担すべき都道府県と協議しなければならない。

1項

都道府県は、その区域内の市町村で当該空港の設置により利益を受けるものに対し、その利益を受ける限度において、当該都道府県が前条第一項 又は第二項の規定により負担すべき負担金の一部を負担させることができる。

2項

前項の規定により市町村が負担すべき金額は、当該市町村の意見をきいた上、当該都道府県の議会の議決を経て定めなければならない。

1項

地方公共団体がその設置し、及び管理する地方管理空港において、一般公衆の利用に供する目的で滑走路等の新設 若しくは改良 又は空港用地の造成 若しくは整備の工事を施行する場合には、その工事に要する費用は、国 及び当該地方公共団体がそれぞれその百分の五十を負担する。

2項

地方公共団体は、前項の工事を施行しようとするときは、あらかじめ、国土交通大臣に協議し、その同意を得なければならない。

3項

国土交通大臣は、前項の同意をする場合には、第一項の規定により国が負担することとなる金額が予算の金額を超えない範囲内でするものとする。

4項

地方公共団体がその設置し、及び管理する地方管理空港において、一般公衆の利用に供する目的で排水施設、護岸、道路、自動車駐車場 又は橋(第十条第三項において「排水施設等」という。)の新設 又は改良の工事を施行する場合には、国は、予算の範囲内で、当該工事に要する費用の百分の五十以内を当該地方公共団体に対して補助することができる。

1項

国土交通大臣がその設置し、及び管理する第四条第一項第六号に掲げる空港において、滑走路等 又は空港用地の災害復旧工事(地震、高潮 その他の異常な天然現象により生じた災害によつて必要となつた工事であつて、政令で定めるものをいう。以下同じ。)を施行する場合には、その工事に要する費用は、国がその百分の八十を、当該空港の存する都道府県がその百分の二十をそれぞれ負担する。

2項

第六条第二項 及び第七条の規定は、前項の場合について準用する。

3項

国土交通大臣は、第一項の災害復旧工事を施行しようとするときは、あらかじめ、その旨を同項 及び前項において準用する第六条第二項の規定により費用を負担すべき都道府県に通知しなければならない。

1項

地方公共団体がその設置し、及び管理する地方管理空港において、滑走路等 又は空港用地の災害復旧工事を施行する場合には、その工事に要する費用は、国がその百分の八十を、当該地方公共団体がその百分の二十をそれぞれ負担する。

2項

地方公共団体は、前項の災害復旧工事を施行しようとするときは、あらかじめ、国土交通大臣の認定を受けなければならない。

3項

地方公共団体がその設置し、及び管理する地方管理空港において、排水施設等の災害復旧工事を施行する場合には、国は、予算の範囲内において、その工事に要する費用の百分の八十以内を当該地方公共団体に対して補助することができる。

1項

空港(第四条第一項各号に掲げる空港 及び地方管理空港に限る)の施設で他の工作物と効用を兼ねるものの工事の施行、維持 及び費用の負担については、当該空港を設置し、及び管理する国土交通大臣、成田国際空港株式会社、新関西国際空港株式会社、中部国際空港の設置及び管理に関する法律第四条第一項の規定による指定を受けた者 又は地方公共団体と当該工作物の管理者とが協議して定めるものとする。

第四章 空港の管理等

第一節 通則

1項

空港管理者は、次に掲げる事項について空港供用規程を定め、インターネットの利用 その他の適切な方法により公表しなければならない。


これを変更したときも、同様とする。

一 号
運用時間 その他の空港が提供するサービスの内容に関する事項
二 号

前号のサービスの利用者 その他の者が遵守すべき事項

三 号

前二号に掲げるもののほか、空港の供用に関する事項として国土交通省令で定める事項

2項

前項の空港供用規程は、基本方針に適合するものでなければならない。

3項

空港管理者(国土交通大臣を除く次項 及び次条において同じ。)は、第一項の空港供用規程を定めたときは、国土交通省令で定めるところにより、国土交通大臣に届け出なければならない。


これを変更したときも、同様とする。

4項

国土交通大臣は、前項の規定による届出がされた空港供用規程(地方管理空港に係るものを除く)が第二項の規定に適合しないと認めるときは、空港管理者に対し、これを変更すべきことを命ずることができる。

1項

空港管理者は、着陸料等(着陸料 その他の滑走路等の使用に係る料金をいう。以下同じ。)を定めようとするときは、あらかじめ、国土交通大臣に届け出なければならない。


これを変更しようとするときも、同様とする。

2項

国土交通大臣は、前項の規定による届出がされた着陸料等が次の各号いずれかに該当すると認めるときは、空港管理者に対し、期限を定めてその着陸料等を変更すべきことを命ずることができる。

一 号

特定の利用者に対し不当な差別的取扱いをするものであるとき。

二 号

社会的経済的事情に照らして著しく不適切であり、利用者が当該空港を利用することを著しく困難にするおそれがあるものであるとき。

1項

空港管理者は、空港の利用者の利便の向上を図るために必要な協議を行うための協議会(以下この条において「協議会」という。)を組織することができる。

2項

協議会は、次に掲げる者をもつて構成する。

一 号

空港管理者

二 号

次条第三項に規定する指定空港機能施設事業者、航空運送事業者(航空法昭和二十七年法律第二百三十一号第二条第十八項に規定する航空運送事業を経営する者をいう。第二十六条第二項第二号において同じ。)その他の事業者であつて当該空港の利用者の利便の向上に関する事業を実施すると見込まれる者

三 号

関係行政機関、関係地方公共団体、学識経験者、観光関係団体、商工関係団体 その他の空港管理者が必要と認める者

3項

第一項の規定により協議会を組織する空港管理者は、協議会において協議を行うときは、あらかじめ前項第二号に掲げる者であつて協議会の構成員であるものに、当該協議を行う事項を通知しなければならない。

4項

前項の規定による通知を受けた者は、正当な理由がある場合を除き、当該通知に係る事項の協議に応じなければならない。

5項

協議会は、必要があると認めるときは、その構成員以外の関係行政機関 及び事業者に対し、資料の提供、意見の表明、説明 その他必要な協力を求めることができる。

6項

協議会において協議が調つた事項については、協議会の構成員はその協議の結果を尊重しなければならない。

7項

前各項に定めるもののほか、協議会の運営に関し必要な事項は、協議会が定める。

第二節 空港機能施設事業

1項

国土交通大臣は、次に掲げる要件を備えていると認められるものを、その申請により、空港ごとに国管理空港(第四条第一項第二号 及び第六号に掲げる空港をいう。第二十三条において同じ。)において空港機能施設事業(空港機能施設(各空港においてその機能を確保するために必要な航空旅客 若しくは航空貨物の取扱施設 又は航空機給油施設をいう。)を建設し、又は管理する事業をいう。以下同じ。)を行う者として指定することができる。

一 号

基本方針に従つて空港機能施設事業を行うことについて適正かつ確実な計画を有すると認められること。

二 号

基本方針に従つて空港機能施設事業を行うことについて十分な経理的基礎 及び技術的能力を有すると認められること。

2項

国土交通大臣は、前項の申請をした者が次の各号いずれかに該当するときは、同項の規定による指定をしないものとする。

一 号

破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者

二 号

禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない者

三 号

心身の故障により空港機能施設事業を適正に行うことができない者として国土交通省令で定めるもの

四 号

法人 又は団体であつて、その役員のうちに前三号いずれかに該当する者があること。

3項

国土交通大臣は、第一項の規定による指定をしたときは、国土交通省令で定めるところにより、当該指定を受けた者(以下「指定空港機能施設事業者」という。)の氏名 又は名称 及び住所を公示するものとする。

4項

指定空港機能施設事業者は、その氏名 若しくは名称 又は住所を変更しようとするときは、あらかじめ、国土交通大臣に届け出なければならない。

5項

国土交通大臣は、前項の規定による届出があつたときは、国土交通省令で定めるところにより、その旨を公示するものとする。

1項

航空旅客の取扱施設を管理する事業を行う指定空港機能施設事業者は、旅客取扱施設利用料(航空旅客の取扱施設の利用について旅客から徴収する料金(旅客の利益に及ぼす影響が小さいものとして国土交通省令で定める料金を除く)をいう。以下同じ。)を定めようとするときは、その上限を定め、国土交通大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

2項

国土交通大臣は、前項の規定による認可をしようとするときは、能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものを超えないものであるかどうかを審査して、これをするものとする。

3項

第一項の指定空港機能施設事業者は、同項の規定による認可を受けた旅客取扱施設利用料の上限の範囲内で旅客取扱施設利用料を定め、あらかじめ、国土交通大臣に届け出なければならない。


これを変更しようとするときも、同様とする。

4項

国土交通大臣は、前項の規定による届出がされた旅客取扱施設利用料が特定の利用者に対し不当な差別的取扱いをするものであるときは、当該指定空港機能施設事業者に対し、期限を定めてその旅客取扱施設利用料を変更すべきことを命ずることができる。

5項

第一項の指定空港機能施設事業者は、第三項の規定による届出をした旅客取扱施設利用料をインターネットの利用 その他の適切な方法により公表しなければならない。

1項

指定空港機能施設事業者たる法人の合併 及び分割は、国土交通大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。

1項

指定空港機能施設事業者は、国土交通省令で定めるところにより、空港機能施設事業に係る経理と その他の事業に係る経理とを区分して整理しなければならない。

1項

国土交通大臣は、空港機能施設事業の適正な実施を確保するため必要があると認めるときは、指定空港機能施設事業者に対し、業務に関し監督上必要な命令をすることができる。

1項

指定空港機能施設事業者は、空港機能施設事業の全部 又は一部を休止し、又は廃止しようとするときは、国土交通大臣の許可を受けなければならない。

1項

国土交通大臣は、指定空港機能施設事業者が次の各号いずれかに該当するときは、第十五条第一項の規定による指定を取り消すことができる。

一 号

空港機能施設事業を適正に行うことができないと認められるとき。

二 号

この法律 又はこの法律に基づく命令の規定に違反したとき。

三 号

第十九条の規定による命令に違反したとき。

2項

国土交通大臣は、指定空港機能施設事業者が前条の規定による空港機能施設事業の全部の廃止の許可を受けたときは、第十五条第一項の規定による指定を取り消すものとする。

3項

国土交通大臣は、前二項の規定により第十五条第一項の規定による指定を取り消したときは、国土交通省令で定めるところにより、その旨を公示するものとする。

1項

指定空港機能施設事業者は、前条第一項 又は第二項の規定により第十五条第一項の規定による指定を取り消されたときは、その空港機能施設事業の全部を、国土交通大臣 又は当該空港機能施設事業の全部を承継するものとして国土交通大臣が指定する指定空港機能施設事業者に引き継がなければならない。


ただし、当該空港機能施設事業が行われている空港の供用が廃止される場合においては、この限りでない。

2項

前項に規定するもののほか前条第一項 又は第二項の規定により第十五条第一項の規定による指定を取り消された場合における空港機能施設事業の引継ぎ その他の必要な事項は、国土交通省令で定める。

1項

地方公共団体は、その設置し、及び管理する地方管理空港における空港機能施設事業について、国管理空港における空港機能施設事業に対する規制に準じて政令で定める基準に従い、条例で、空港の利用者の便益の増進を図るため必要な規制をすることができる。

第三節 空港の脱炭素化の推進

1項

国土交通大臣である空港管理者は、その管理する空港の脱炭素化(地球温暖化対策の推進に関する法律平成十年法律第百十七号第二条の二に規定する脱炭素社会の実現に寄与することを旨として、社会経済活動 その他の活動に伴つて発生する温室効果ガス(同法第二条第三項に規定する温室効果ガスをいう。)の排出の量の削減 並びに吸収作用の保全 及び強化を行うことをいう。以下同じ。)の推進を図るための計画(以下「空港脱炭素化推進計画」という。)を作成することができる。

2項

空港脱炭素化推進計画には、次に掲げる事項を記載しなければならない。

一 号

空港の脱炭素化の目標

二 号

前号の目標を達成するために実施する再生可能エネルギー発電設備(再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法(平成二十三年法律第百八号)第二条第二項に規定する再生可能エネルギー発電設備をいう。)の整備 その他の空港の脱炭素化のための事業(以下「空港脱炭素化推進事業」という。)及びその実施主体に関する事項

三 号

前二号に掲げるもののほか、国土交通省令で定める事項

3項

国土交通大臣である空港管理者は、空港脱炭素化推進計画に前項第二号に掲げる事項を記載しようとするときは、同号の実施主体として定めようとする者の同意を得なければならない。

4項

空港脱炭素化推進計画は、地球温暖化対策の推進に関する法律第二十一条第一項に規定する地方公共団体実行計画に適合したものでなければならない。

5項

国土交通大臣である空港管理者は、空港脱炭素化推進計画を定めたときは、遅滞なく、これを公表するものとする。

6項

前三項の規定は、国土交通大臣である空港管理者が空港脱炭素化推進計画を変更する場合について準用する。

1項

空港管理者(国土交通大臣を除く。以下この条において同じ。)は、国土交通省令で定めるところにより、空港脱炭素化推進計画を作成して、国土交通大臣の認定を申請することができる。

2項

前条第二項から第四項までの規定は、空港管理者が空港脱炭素化推進計画を作成する場合について準用する。

3項

国土交通大臣は、第一項の規定による認定の申請があつた場合において、その空港脱炭素化推進計画が次の各号いずれにも該当するものであると認めるときは、その認定をするものとする。

一 号

基本方針 及び航空法第百三十一条の二の七第一項に規定する航空脱炭素化推進基本方針に適合するものであること。

二 号

円滑かつ確実に実施されると見込まれるものであること。

三 号
航空の安全の確保に支障を及ぼすおそれのないものであること。
4項

空港管理者は、空港脱炭素化推進計画について前項の認定を受けたときは、遅滞なく、これを公表するものとする。

5項

第三項の認定を受けた空港管理者(第二十七条 及び第二十九条において「認定空港管理者」という。)は、当該認定に係る空港脱炭素化推進計画を変更しようとするときは、国土交通省令で定めるところにより、国土交通大臣の認定を受けなければならない。

6項

前条第三項 及び第四項の規定は空港管理者が空港脱炭素化推進計画を変更する場合について、第三項 及び第四項の規定は前項の認定について準用する。

1項

空港脱炭素化推進計画を作成しようとする空港管理者は、空港脱炭素化推進計画の作成 及び実施 その他の空港の脱炭素化に関し必要な協議を行うための協議会(以下この条において「空港脱炭素化推進協議会」という。)を組織することができる。

2項

空港脱炭素化推進協議会は、次に掲げる者をもつて構成する。

一 号

空港脱炭素化推進計画を作成しようとする空港管理者

二 号
指定空港機能施設事業者、航空運送事業者 その他の当該空港において航空機の運航に関する事業を行う者
三 号
空港脱炭素化推進計画に記載しようとする空港脱炭素化推進事業を実施すると見込まれる者
四 号
関係行政機関、関係地方公共団体、学識経験者 その他の当該空港管理者が必要と認める者
3項

第一項の規定により空港脱炭素化推進協議会を組織する空港管理者は、空港脱炭素化推進協議会において協議を行うときは、あらかじめ前項第二号 及び第三号に掲げる者であつて空港脱炭素化推進協議会の構成員であるものに、当該協議を行う事項を通知しなければならない。

4項

前項の規定による通知を受けた者は、正当な理由がある場合を除き、当該通知に係る事項の協議に応じなければならない。

5項

指定空港機能施設事業者 及び航空法第百三十一条の二の八第四項に規定する認定航空運送事業者は、空港脱炭素化推進協議会が組織されていない場合にあつては、空港管理者に対して、空港脱炭素化推進協議会を組織するよう要請することができる。

6項

空港管理者は、第一項の規定により空港脱炭素化推進協議会を組織したときは、遅滞なく、国土交通省令で定めるところにより、その旨を公表しなければならない。

7項

第二項第二号 及び第三号に掲げる者であつて空港脱炭素化推進協議会の構成員でないものは、第一項の規定により空港脱炭素化推進協議会を組織する空港管理者に対して、自己を空港脱炭素化推進協議会の構成員として加えるよう申し出ることができる。

8項

前項の規定による申出を受けた空港管理者は、正当な理由がある場合を除き、当該申出に応じなければならない。

9項

空港脱炭素化推進協議会は、必要があると認めるときは、その構成員以外の関係行政機関 及び事業者に対し、資料の提供、意見の表明、説明 その他必要な協力を求めることができる。

10項

空港脱炭素化推進協議会において協議が調つた事項については、空港脱炭素化推進協議会の構成員はその協議の結果を尊重しなければならない。

11項

前各項に定めるもののほか、空港脱炭素化推進協議会の運営に関し必要な事項は、空港脱炭素化推進協議会が定める。

1項

認定空港管理者が第二十五条第三項の認定(同条第五項の変更の認定を含む。以下この条において「計画の認定」という。)を受けた空港脱炭素化推進計画(以下「認定空港脱炭素化推進計画」という。)に従つて空港脱炭素化推進事業を実施するため航空法第四十三条第一項の許可を受けなければならない場合には、当該計画の認定を受けたときに、同項の規定により許可を受けたものとみなす。

1項

国は、国有財産法昭和二十三年法律第七十三号第十八条第一項の規定にかかわらず、空港脱炭素化推進事業の用に供するため、行政財産(同法第三条第二項に規定する行政財産をいう。)を空港脱炭素化推進計画(国土交通大臣が作成したものに限る)又は認定空港脱炭素化推進計画に定められた空港脱炭素化推進事業の実施主体に貸し付けることができる。

2項

国有財産法第二十三条から第二十五条までの規定は、前項の規定による貸付けについて準用する。

3項

第一項の規定による貸付けの期間は、三十年以内とする。

1項

国は、認定空港管理者 又は認定空港脱炭素化推進計画に定められた空港脱炭素化推進事業の実施主体に対し、当該認定空港脱炭素化推進計画に係る措置の的確な実施に必要な指導 及び助言を行うものとする。

1項

国土交通大臣は、認定空港脱炭素化推進計画が第二十五条第三項各号いずれかに該当しなくなつたと認めるとき、又は認定空港脱炭素化推進計画に従つて空港脱炭素化推進事業が行われていないと認めるときは、その認定を取り消すことができる。

第五章 雑則

1項

国土交通大臣は、この法律に規定する認可、指定 又は許可(次項において「認可等」という。)に条件 又は期限を付し、及びこれを変更することができる。

2項

前項の条件 又は期限は、認可等の趣旨に照らして、又は認可等に係る事項の確実な実施を図るため必要最小限のものでなければならない。

1項

第六条第一項 若しくは第八条第一項の規定により国 及び地方公共団体が費用を負担した工事 又は同条第四項の規定により国が費用を補助した工事のために取得した土地、工作物 その他の物件は、国が設置し、及び管理する第四条第一項第六号に掲げる空港にあつては国に、地方管理空港にあつては当該空港を設置し、及び管理する地方公共団体に帰属する。


当該工事によつて生じた土地、工作物 その他の物件についても、同様とする。

1項

普通財産(国有財産法第三条第三項に規定する普通財産をいう。次条において同じ。)で地方管理空港の範囲内にあるものは、同法第二十二条の規定にかかわらず、当該空港を設置し、及び管理する地方公共団体に無償で貸し付けることができる。

1項

国が設置し、及び管理する第四条第一項第六号に掲げる空港 又は地方管理空港の供用の廃止 又は範囲の変更があつた場合においては、国は、国有財産法第二十八条の規定にかかわらず、当該空港の範囲内 又は当該空港の範囲から除かれた区域内に存する不用となつた土地、工作物 その他の物件のうち、普通財産であるものを、当該空港 又は当該空港の範囲から除かれた部分につき第六条第一項 若しくは第二項 若しくは第八条第一項の規定により費用を負担し、又は同条第四項に規定する工事の費用を負担した地方公共団体に、その負担した費用の額の範囲内において譲与することができる。

1項

国は、東京国際空港緊急整備事業(東京国際空港における滑走路、着陸帯、誘導路 及び照明施設の新設の工事 並びにこれらに附帯する工事に係る事業で、国土交通大臣が航空輸送需要に対応するため緊急に行う必要があると認めて、当該事業が行われる区域を告示したものをいう。次条において同じ。)の円滑な推進を図るために必要な資金の確保に努めるものとする。

1項

地方公共団体は、総務大臣と協議の上、国に対し、東京国際空港緊急整備事業に要する費用に充てる資金の一部を無利子で貸し付けることができる。

2項

国土交通大臣は、前項の規定による資金の貸付けを受けようとするときは、毎年度、あらかじめ、当該年度の東京国際空港緊急整備事業の内容 及びこれに要する費用について、同項の地方公共団体と協議するものとする。

1項

国土交通大臣は、必要があると認めるときは、東京国際空港における航空機の発着回数 その他の同空港の供用の条件に関し、前条第一項の規定により資金を貸し付けている地方公共団体から意見を聴くものとする。

2項

国土交通大臣は、前項の規定により地方公共団体から意見を聴いた場合において、必要があると認めるときは、東京国際空港の供用の条件に関し適当と認める措置を講ずるものとする。

1項

国は、北海道の区域内の国が設置し、及び管理する第四条第一項第六号に掲げる空港 又は地方管理空港の設置 及び管理に要する費用については、政令で定めるところにより、第六条第一項第八条第一項第九条第一項 若しくは第十条第一項に規定する負担割合以上の負担 又は第八条第四項 若しくは第十条第三項に規定する補助率以上の補助をすることができる。

1項

国土交通大臣は、この法律の施行に必要な限度において、国土交通省令で定めるところにより、空港管理者(国土交通大臣を除く次項 及び次条において同じ。)及び指定空港機能施設事業者に対し、その業務 又は経理の状況に関し報告をさせることができる。

2項

国土交通大臣は、この法律の施行に必要な限度において、その職員に、空港管理者 及び指定空港機能施設事業者の事務所 その他の事業場に立ち入り、業務 若しくは経理の状況 若しくは事業の用に供する施設、帳簿、書類 その他の物件を検査させ、又は関係者に質問させることができる。

3項

前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があつたときは、これを提示するものとする。

4項

第二項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

1項

国土交通大臣は、この法律の目的を達成するため必要があると認めるときは、基本方針に即し、空港管理者、指定空港機能施設事業者 その他の空港の設置 又は管理と密接な関連を有する者に対し、当該空港の効果的かつ効率的な設置 及び管理を図るため必要な指導、助言 及び勧告をすることができる。

1項

この法律の規定により国土交通大臣の権限に属する事項は、国土交通省令で定めるところにより、地方航空局長に行わせることができる。

2項

地方航空局長は、国土交通省令で定めるところにより、前項の規定によりその権限に属させられた事項の一部を地方航空局の事務所の長に行わせることができる。

1項

この法律に規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な事項は、政令で定める。

1項

この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定 又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。

第六章 罰則

1項

次の各号いずれかに該当する場合には、その違反行為をした者は、百万円以下の罰金に処する。

一 号

第十二条第四項の規定による命令に違反したとき。

二 号

第十三条第一項の規定による届出をしないで、又は届け出た着陸料等によらないで、着陸料等を収受したとき。

三 号

第十三条第二項の規定による命令に違反して、着陸料等を収受したとき。

四 号

第三十九条第一項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。

五 号

第三十九条第二項の規定による立入り若しくは検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対して陳述せず、若しくは虚偽の陳述をしたとき。

1項

次の各号いずれかに該当する場合には、その違反行為をした指定空港機能施設事業者の役員(法人でない指定空港機能施設事業者にあつては、当該指定を受けた者。以下同じ。)又は職員は、百万円以下の罰金に処する。

一 号

第十六条第三項の規定による届出をしないで、又は届け出た旅客取扱施設利用料によらないで、旅客取扱施設利用料を収受したとき。

二 号

第十六条第四項の規定による命令に違反して、旅客取扱施設利用料を収受したとき。

1項

第十二条第三項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をしたときは、その違反行為をした者は、五十万円以下の罰金に処する。

1項

法人の代表者 又は法人 若しくは人の代理人、使用人 その他の従業者が、その法人 又は人の業務に関し、第四十四条 又は前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人 又は人に対しても、各本条の刑を科する。

1項

次の各号いずれかに該当する場合には、その違反行為をした指定空港機能施設事業者の役員 又は職員は、百万円以下の過料に処する。

一 号

第十九条の規定による命令に違反したとき。

二 号

第二十条の規定に違反して、空港機能施設事業の全部 又は一部を休止し、又は廃止したとき。

1項

第十二条第一項の規定に違反して、空港供用規程の公表をせず、又は虚偽の公表をした者は、五十万円以下の過料に処する。

1項

第十六条第五項の規定による公表をせず、又は虚偽の公表をした指定空港機能施設事業者の役員 又は職員は、五十万円以下の過料に処する。

1項

第二十三条の規定に基づく条例には、これに違反した者に対し、百万円以下の罰金 又は百万円以下の過料に処する旨の規定を設けることができる。