この法律は、障害者基本法(昭和四十五年法律第八十四号)の基本的な理念にのつとり、精神障害者の権利の擁護を図りつつ、その医療 及び保護を行い、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成十七年法律第百二十三号)と相まつてその社会復帰の促進 及びその自立と社会経済活動への参加の促進のために必要な援助を行い、並びにその発生の予防 その他国民の精神的健康の保持 及び増進に努めることによつて、精神障害者の福祉の増進 及び国民の精神保健の向上を図ることを目的とする。
精神保健及び精神障害者福祉に関する法律
第一章 総則
国 及び地方公共団体は、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律の規定による自立支援給付 及び地域生活支援事業と相まつて、医療施設 及び教育施設を充実する等精神障害者の医療 及び保護 並びに保健 及び福祉に関する施策を総合的に実施することによつて精神障害者が社会復帰をし、自立と社会経済活動への参加をすることができるように努力するとともに、精神保健に関する調査研究の推進 及び知識の普及を図る等精神障害者の発生の予防 その他国民の精神保健の向上のための施策を講じなければならない。
国民は、精神的健康の保持 及び増進に努めるとともに、精神障害者に対する理解を深め、及び精神障害者がその障害を克服して社会復帰をし、自立と社会経済活動への参加をしようとする努力に対し、協力するように努めなければならない。
医療施設の設置者は、その施設を運営するに当たつては、精神障害者の社会復帰の促進 及び自立と社会経済活動への参加の促進を図るため、当該施設において医療を受ける精神障害者が、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第五条第一項に規定する障害福祉サービスに係る事業(以下「障害福祉サービス事業」という。)、同条第十八項に規定する一般相談支援事業(以下「一般相談支援事業」という。)その他の精神障害者の福祉に関する事業に係るサービスを円滑に利用することができるように配慮し、必要に応じ、これらの事業を行う者と連携を図るとともに、地域に即した創意と工夫を行い、及び地域住民等の理解と協力を得るように努めなければならない。
国、地方公共団体 及び医療施設の設置者は、精神障害者の社会復帰の促進 及び自立と社会経済活動への参加の促進を図るため、相互に連携を図りながら協力するよう努めなければならない。
この法律で「精神障害者」とは、統合失調症、精神作用物質による急性中毒 又はその依存症、知的障害、精神病質 その他の精神疾患を有する者をいう。
この法律で「家族等」とは、精神障害者の配偶者、親権を行う者、扶養義務者 及び後見人 又は保佐人をいう。
ただし、次の各号のいずれかに該当する者を除く。
当該精神障害者に対して配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(平成十三年法律第三十一号)第一条第一項に規定する身体に対する暴力等を行つた配偶者 その他の当該精神障害者の入院 及び処遇についての意思表示を求めることが適切でない者として厚生労働省令で定めるもの