精神保健及び精神障害者福祉に関する法律

# 昭和二十五年法律第百二十三号 #
略称 : 精神保健福祉法 

第六節 虐待の防止

分類 法律
カテゴリ   厚生
@ 施行日 : 令和六年四月一日 ( 2024年 4月1日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第百四号による改正
最終編集日 : 2024年 11月23日 19時25分


1項

精神科病院の管理者は、当該精神科病院において医療を受ける精神障害者に対する虐待の防止に関する意識の向上のための措置、当該精神科病院において精神障害者の医療 及び保護に係る業務に従事する者(以下「業務従事者」という。)その他の関係者に対する精神障害者の虐待の防止のための研修の実施 及び普及啓発、当該精神科病院において医療を受ける精神障害者に対する虐待に関する相談に係る体制の整備 及びこれに対処するための措置 その他の当該精神科病院において医療を受ける精神障害者に対する虐待を防止するため必要な措置を講ずるものとする。

2項

指定医は、その勤務する精神科病院の管理者において、前項の規定による措置が円滑かつ確実に実施されるように協力しなければならない。

1項

精神科病院において業務従事者による障害者虐待(業務従事者が、当該精神科病院において医療を受ける精神障害者について行う次の各号いずれかに該当する行為をいう。以下同じ。)を受けたと思われる精神障害者を発見した者は、速やかに、これを都道府県に通報しなければならない。

一 号

障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律平成二十三年法律第七十九号。次号において「障害者虐待防止法」という。第二条第七項各号第四号除く)のいずれかに該当すること。

二 号

精神障害者を衰弱させるような著しい減食 又は長時間の放置、当該精神科病院において医療を受ける他の精神障害者による障害者虐待防止法第二条第七項第一号から第三号までに掲げる行為と同様の行為の放置 その他の業務従事者としての業務を著しく怠ること。

2項
業務従事者による障害者虐待を受けた精神障害者は、その旨を都道府県に届け出ることができる。
3項

刑法明治四十年法律第四十五号)の秘密漏示罪の規定 その他の守秘義務に関する法律の規定は、第一項の規定による通報(虚偽であるもの及び過失によるものを除く次項において同じ。)をすることを妨げるものと解釈してはならない。

4項

業務従事者は、第一項の規定による通報をしたことを理由として、解雇 その他不利益な取扱いを受けない。

1項

都道府県が前条第一項の規定による通報 又は同条第二項の規定による届出を受けた場合においては、当該通報 又は届出を受けた都道府県の職員は、その職務上知り得た事項であつて当該通報 又は届出をした者を特定させるものを漏らしてはならない。

1項

厚生労働大臣 又は都道府県知事は、必要があると認めるときは、第四十条の二第一項の措置 又は第四十条の三第一項の規定による通報 若しくは同条第二項の規定による届出に関し、精神科病院の管理者に対し、報告を求め、若しくは診療録 その他の帳簿書類の提出 若しくは提示を命じ、当該職員 若しくはその指定する指定医に、精神科病院に立ち入り、診療録 その他の帳簿書類(その作成 又は保存に代えて電磁的記録の作成 又は保存がされている場合における当該電磁的記録を含む。)を検査させ、若しくは当該精神科病院に入院中の者 その他の関係者に質問させ、又はその指定する指定医に、精神科病院に立ち入り、当該精神科病院に入院中の者を診察させることができる。

2項

第十九条の六の十六第二項 及び第三項の規定は、前項の規定による立入検査、質問 又は診察について準用する。


この場合において、

同条第二項
前項」とあるのは
第四十条の五第一項」と、

当該職員」とあるのは
「当該職員 及び指定医」と、

同条第三項
第一項」とあるのは
第四十条の五第一項」と

読み替えるものとする。

1項

厚生労働大臣 又は都道府県知事は、第四十条の二第一項の必要な措置が講じられていないと認めるとき、又は第四十条の三第一項の規定による通報 若しくは同条第二項の規定による届出に係る精神科病院において業務従事者による障害者虐待が行われたと認めるときは、当該精神科病院の管理者に対し、措置を講ずべき事項 及び期限を示して、改善計画の提出を求め、若しくは提出された改善計画の変更を命じ、又は必要な措置を採ることを命ずることができる。

2項

都道府県知事は、前項の規定による命令をした場合において、その命令を受けた精神科病院の管理者がこれに従わなかつたときは、その旨を公表することができる。

3項

厚生労働大臣 又は都道府県知事は、精神科病院の管理者が第一項の規定による命令に従わないときは、当該精神科病院の管理者に対し、期間を定めて第二十一条第一項第三十三条第一項から第三項まで 並びに第三十三条の六第一項 及び第二項の規定による精神障害者の入院に係る医療の提供の全部 又は一部を制限することを命ずることができる。

4項

都道府県知事は、前項の規定による命令をした場合においては、その旨を公示しなければならない。

1項

都道府県知事は、毎年度、業務従事者による障害者虐待の状況、業務従事者による障害者虐待があつた場合に採つた措置 その他厚生労働省令で定める事項を公表するものとする。

1項
国は、業務従事者による障害者虐待の事例の分析を行うとともに、業務従事者による障害者虐待の予防 及び早期発見のための方策 並びに業務従事者による障害者虐待があつた場合の適切な対応方法に資する事項についての調査 及び研究を行うものとする。