統計法

# 平成十九年法律第五十三号 #

第一章 総則

分類 法律
カテゴリ   統計
@ 施行日 : 令和五年四月一日 ( 2023年 4月1日 )
@ 最終更新 : 令和三年法律第三十七号による改正
最終編集日 : 2024年 07月25日 07時50分


1項

この法律は、公的統計が国民にとって合理的な意思決定を行うための基盤となる重要な情報であることにかんがみ、公的統計の作成 及び提供に関し基本となる事項を定めることにより、公的統計の体系的かつ効率的な整備 及びその有用性の確保を図り、もって国民経済の健全な発展 及び国民生活の向上に寄与することを目的とする。

1項

この法律において「行政機関」とは、法律の規定に基づき内閣に置かれる機関 若しくは内閣の所轄の下に置かれる機関、宮内庁、内閣府設置法平成十一年法律第八十九号第四十九条第一項 若しくは第二項に規定する機関 又は国家行政組織法昭和二十三年法律第百二十号第三条第二項に規定する機関をいう。

2項

この法律において「独立行政法人等」とは、次に掲げる法人をいう。

一 号

独立行政法人(独立行政法人通則法平成十一年法律第百三号第二条第一項に規定する独立行政法人をいう。次号において同じ。

二 号

法律により直接に設立された法人、特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人(独立行政法人を除く)又は特別の法律により設立され、かつ、その設立に関し行政庁の認可を要する法人のうち、政令で定めるもの

3項

この法律において「公的統計」とは、行政機関、地方公共団体 又は独立行政法人等(以下「行政機関等」という。)が作成する統計をいう。

4項

この法律において「基幹統計」とは、次の各号いずれかに該当する統計をいう。

一 号

第五条第一項に規定する国勢統計

二 号

第六条第一項に規定する国民経済計算

三 号

行政機関が作成し、又は作成すべき統計であって、次のいずれかに 該当するものとして総務大臣が指定するもの

全国的な政策を企画立案し、又はこれを実施する上において特に重要な統計

民間における意思決定 又は研究活動のために広く利用されると見込まれる統計

国際条約 又は国際機関が作成する計画において作成が求められている統計 その他国際比較を行う上において特に重要な統計

5項

この法律において「統計調査」とは、行政機関等が統計の作成を目的として個人 又は法人 その他の団体に対し事実の報告を求めることにより行う調査をいう。


ただし、次に掲げるものを除く

一 号

行政機関等がその内部において行うもの

二 号

この法律 及びこれに基づく命令以外の法律 又は政令において、行政機関等に対し、報告を求めることが規定されているもの

三 号

政令で定める行政機関等が政令で定める事務に関して行うもの

6項

この法律において「基幹統計調査」とは、基幹統計の作成を目的とする統計調査をいう。

7項

この法律において「一般統計調査」とは、行政機関が行う統計調査のうち基幹統計調査以外のものをいう。

8項

この法律において「事業所母集団データベース」とは、事業所に関する情報の集合物であって、それらの情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したものをいう。

9項

この法律において「統計基準」とは、公的統計の作成に際し、その統一性 又は総合性を確保するための技術的な基準をいう。

10項

この法律において「行政記録情報」とは、行政機関の職員が職務上作成し、又は取得した情報であって、当該行政機関の職員が組織的に利用するものとして、当該行政機関が保有しているもののうち、行政文書(行政機関の保有する情報の公開に関する法律平成十一年法律第四十二号第二条第二項に規定する行政文書をいう。)に記録されているもの(基幹統計調査 及び一般統計調査に係る調査票情報、事業所母集団データベースに記録されている情報 並びに匿名データを除く)をいう。

11項

この法律において「調査票情報」とは、統計調査によって集められた情報のうち、文書、図画 又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式 その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。)に記録されているものをいう。

12項

この法律において「匿名データ」とは、一般の利用に供することを目的として調査票情報を特定の個人 又は法人 その他の団体の識別(他の情報との照合による識別を含む。)ができないように加工したものをいう。

1項

公的統計は、行政機関等における相互の協力 及び適切な役割分担の下に、体系的に整備されなければならない。

2項

公的統計は、適切かつ合理的な方法により、かつ、中立性 及び信頼性が確保されるように作成されなければならない。

3項

公的統計は、広く国民が容易に入手し、効果的に利用できるものとして提供されなければならない。

4項

公的統計の作成に用いられた個人 又は法人 その他の団体に関する秘密は、保護されなければならない。

1項

行政機関等は、前条の基本理念にのっとり、公的統計を作成する責務を有する。

2項

公的統計を作成する行政機関等は、情報の提供 その他の活動を通じて、公的統計が国民にとって合理的な意思決定を行うための基盤となる重要な情報であることに関し国民の理解を深めるとともに、公的統計の作成に関し当該公的統計を作成する行政機関等以外の行政機関等 その他の関係者 並びにその他の個人 及び法人 その他の団体の協力を得るよう努めなければならない。

3項

基幹統計を作成する行政機関以外の行政機関の長、地方公共団体の長 その他の執行機関、独立行政法人等 その他の関係者 又はその他の個人 若しくは法人 その他の団体は、当該基幹統計を作成する行政機関の長から必要な資料の提供、調査、報告 その他の協力を求められたときは、その求めに応じるよう努めなければならない。

1項

政府は、公的統計の整備に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、公的統計の整備に関する基本的な計画(以下この条において「基本計画」という。)を定めなければならない。

2項

基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

一 号

公的統計の整備に関する施策についての基本的な方針

二 号

公的統計を整備するために政府が総合的かつ計画的に講ずべき施策

三 号

その他公的統計の整備を推進するために必要な事項

3項

基本計画を定めるに当たっては、公的統計について、基幹統計に係る事項とその他の公的統計に係る事項とを区分して記載しなければならない。

4項

総務大臣は、関係行政機関の長に協議するとともに、統計委員会の意見を聴いて、基本計画の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。

5項

総務大臣は、前項の規定により基本計画の案を作成しようとするときは、あらかじめ、総務省令で定めるところにより、国民の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとする。

6項

政府は、統計をめぐる社会経済情勢の変化を勘案し、及び公的統計の整備に関する施策の効果に関する評価を踏まえ、おおむね五年ごとに、基本計画を変更するものとする。


この場合においては、前二項の規定を準用する。

7項

統計委員会は、基本計画の実施状況を調査審議し、公的統計の整備に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため必要があると認めるときは、総務大臣 又は総務大臣を通じて関係行政機関の長に勧告することができる。

8項

総務大臣 又は関係行政機関の長は、前項の規定による勧告に基づき講じた施策について統計委員会に報告しなければならない。