この法律は、育児休業に関する制度を設けて 子を養育する裁判官の継続的な勤務を促進し、もって裁判官の福祉を増進するとともに、裁判事務等の円滑な運営に資することを目的とする。
裁判官の育児休業に関する法律
裁判官は、最高裁判所の承認を受けて、育児休業(裁判官が、この法律の定めるところにより、その三歳に満たない子(民法(明治二十九年法律第八十九号)第八百十七条の二第一項の規定により裁判官が当該裁判官との間における同項に規定する特別養子縁組の成立について家庭裁判所に請求した者(当該請求に係る家事審判事件が裁判所に係属している場合に限る。)であって、当該裁判官が現に監護するもの、児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第二十七条第一項第三号の規定により同法第六条の四第二号に規定する養子縁組里親である裁判官に委託されている児童 その他 これらに準ずる者として最高裁判所規則で定める者を含む。以下同じ。)を養育するため、その子が三歳に達するまでの期間内において、職務に従事しないことをいう。以下同じ。)をすることができる。
ただし、育児休業の承認の請求に係る子について既に二回の育児休業(当該子の出生の日から裁判官が産後の休業をすることができる期間を考慮して最高裁判所規則で定める期間内に、裁判官(当該期間内に当該子の出産により産後の休業をした裁判官を除く。)が当該子についてした最初の育児休業 及び二回目の育児休業を除く。)をしたことがある場合(最高裁判所規則で定める特別の事情がある場合を除く。)は、この限りでない。
育児休業の承認を受けようとする裁判官は、育児休業をしようとする期間の初日 及び末日を明らかにして、最高裁判所に対し、 その承認を請求するものとする。
最高裁判所は、前項の規定による請求があったときは、当該請求に係る期間について当該請求をした裁判官の事務を処理するための措置を講ずることが著しく困難である場合を除き、これを承認しなければならない。
育児休業をしている裁判官は、 最高裁判所に対し、当該育児休業の期間の延長を請求することができる。
育児休業の期間の延長は、最高裁判所規則で定める 特別の事情がある場合を除き、一回に限るものとする。
前条第二項 及び第三項の規定は、 育児休業の期間の延長について準用する。
育児休業をしている裁判官は、 裁判官としての身分を保有するが、その育児休業の期間中 報酬 その他の給与を受けない。
育児休業の承認は、 次に掲げる場合には、その効力を失う。
当該育児休業をしている裁判官が産前の休業を始め、又は出産した場合
当該育児休業をしている裁判官が裁判官弾劾法(昭和二十二年法律第百三十七号)第三十九条の規定により職務を停止された場合
当該育児休業に係る子が死亡し、又は当該育児休業をしている 裁判官の子でなくなった場合
最高裁判所は、 次に掲げる場合には、育児休業の承認を取り消すものとする。
当該育児休業をしている裁判官から育児休業の承認の取消しの申出があった場合
当該育児休業をしている裁判官が当該育児休業に係る子を養育しなくなった場合
その他最高裁判所規則で定める場合
育児休業をしている裁判官には、第四条の規定にかかわらず、国家公務員の育児休業等に関する法律(平成三年法律第百九号)の適用を受ける職員の例に準じて、最高裁判所の定めるところにより、 期末手当 又は勤勉手当を支給する。
裁判官は、育児休業を理由として、 不利益な取扱いを受けない。
国家公務員退職手当法(昭和二十八年法律第百八十二号)第六条の四第一項 及び第七条第四項(最高裁判所裁判官退職手当特例法(昭和四十一年法律第五十二号)第三条第二項において準用する場合を含む。次項において同じ。)の規定の適用については、育児休業をした期間は、国家公務員退職手当法第六条の四第一項に規定する現実に職務をとることを要しない期間に該当するものとする。
育児休業をした期間(当該育児休業に係る子が一歳に達した日の属する月までの期間に限る。)についての国家公務員退職手当法第七条第四項の規定の適用については、
同項中
「その月数の二分の一に相当する月数」とあるのは、
「その月数の三分の一に相当する月数」と
する。
この法律の実施に関し必要な事項は、 最高裁判所規則で定める。