中央省庁等改革基本法

# 平成十年法律第百三号 #

第三節 独立行政法人制度の創設等

分類 法律
カテゴリ   行政組織
最終編集日 : 2024年 11月23日 19時25分


1項

政府は、国民生活 及び社会経済の安定等の公共上の見地から確実に実施されることが必要な事務 及び事業であって、国が自ら主体となって直接に実施する必要はないが、民間の主体にゆだねた場合には必ずしも実施されないおそれがあるか、又は一の主体に独占して行わせることが必要であるものについて、これを効率的かつ効果的に行わせるにふさわしい自律性、自発性 及び透明性を備えた法人(以下「独立行政法人」という。)の制度を設けるものとする。

1項
政府は、独立行政法人について、その運営の基本、監督、職員の身分 その他の制度の基本となる共通の事項を定める法令を整備するものとする。
2項
それぞれの独立行政法人の目的 及び業務の範囲は、当該独立行政法人を設立する法令において明確に定めるものとする。
3項

それぞれの独立行政法人を所管する大臣(次条において「所管大臣」という。)が独立行政法人に対し監督 その他の関与を行うことができる事項は、法令において定めるものに限るものとする。

1項
独立行政法人の運営に係る制度の基本は、次に掲げるものとする。
一 号

所管大臣は、三年以上 五年以下の期間を定め、当該期間において当該独立行政法人が達成すべき業務運営の効率化、国民に対して提供するサービス等の質の向上、財務内容の改善 その他の業務運営に関する目標(次号において「中期目標」という。)を設定するものとすること。

二 号

独立行政法人は、中期目標を達成するための計画(以下「中期計画」という。)及び中期計画の期間中の各事業年度の業務運営に関する計画(第七号において「年度計画」という。)を策定し、実施するものとすること。

三 号
独立行政法人の会計は、原則として企業会計原則によるものとするとともに、各事業年度において生じた損益計算上の利益は、これを積み立て、法令の定めるところにより、中期計画に定められた使途の範囲内において使用することができるものとする等弾力的かつ効率的な財務運営を行うことができる仕組みとすること。
四 号
国は、独立行政法人に対し、運営費の交付 その他の所要の財源措置を行うものとすること。
五 号
独立行政法人の業務については、その実績に関する評価の結果に基づき、業務運営の改善等所要の措置を講ずるものとすること。
六 号
独立行政法人の職員の給与 その他の処遇について、当該職員の業績 及び当該独立行政法人の業務の実績が反映されるものとすること。
七 号
独立行政法人は、各事業年度において、業務の概要、財務内容、中期計画 及び年度計画、業務の実績 及びこれについての評価の結果、人員 及び人件費の効率化に関する目標 その他 その組織 及び業務に関する所要の事項を公表するものとすること。
八 号
所管大臣は、中期計画の期間の終了時において、当該独立行政法人の業務を継続させる必要性、組織の在り方 その他 その組織 及び業務の全般にわたる検討を行い、その結果に基づき、所要の措置を講ずるものとすること。
1項

独立行政法人の業務の実績に関する評価が、専門性 及び実践的な知見を踏まえ、客観的かつ中立公正に行われるようにするため、府省に、当該評価の基準の作成 及びこれに基づく評価等を行うための委員会を置くとともに、総務省に、府省に置かれる委員会の実施した評価の結果に関する意見の表明、独立行政法人の主要な事務 及び事業の改廃の勧告等を行う委員会を置くものとする。

1項
独立行政法人のうち、その業務の停滞が国民生活 又は社会経済の安定に直接かつ著しい支障を及ぼすと認められるものその他 当該独立行政法人の目的、業務の性質等を総合的に勘案して必要と認められるものについては、法令により、その職員に国家公務員の身分を与えるものとし、その地位等については、次に掲げるところを基本とするものとする。
一 号

団結する権利 及び団体交渉を行う権利(労働協約を締結する権利を含む。)を有するものとし、争議行為をしてはならないものとすること。

二 号
法令に定める事由による場合でなければ、その意に反して、降任され、休職され、又は免職されることがないものとすること。
三 号
給与、勤務時間 その他の勤務条件に関する事項は、独立行政法人が中期計画に照らして適正に決定するものとし、団体交渉 並びに中央労働委員会のあっせん、調停 及び仲裁の対象とするものとすること。
四 号

定員については、行政機関の職員の定員に関する法律 その他の法令に基づく管理の対象としないものとするとともに、職員の数については、毎年、政府が国会に対して報告するものとすること。

1項
政府は、それぞれの独立行政法人に行わせる業務 及び その職員の身分等を決定するに当たっては、これまで維持されてきた良好な労働関係に配慮するものとする。
1項

政府は、特別の法律により特別の設立行為をもって設立すべきものとされる法人(総務庁設置法昭和五十八年法律第七十九号第四条第十一号の規定の適用を受けない法人を除く第五十九条第一項において「特殊法人」という。)について、中央省庁等改革の趣旨を踏まえ、その整理 及び合理化を進めるものとする。