中小企業基本法

# 昭和三十八年法律第百五十四号 #

第一章 総則

分類 法律
カテゴリ   産業通則
@ 施行日 : 令和二年十月一日 ( 2020年 10月1日 )
@ 最終更新 : 令和二年法律第五十八号による改正
最終編集日 : 2024年 11月23日 19時24分


1項

この法律は、中小企業に関する施策について、その基本理念、基本方針 その他の基本となる事項を定めるとともに、国 及び地方公共団体の責務等を明らかにすることにより、中小企業に関する施策を総合的に推進し、もつて国民経済の健全な発展 及び国民生活の向上を図ることを目的とする。

1項

この法律に基づいて講ずる国の施策の対象とする中小企業者は、おおむね次の各号に掲げるものとし、その範囲は、これらの施策が次条の基本理念の実現を図るため効率的に実施されるように施策ごとに定めるものとする。

一 号

資本金の額 又は出資の総額が三億円以下の会社 並びに常時使用する従業員の数が三百人以下の会社 及び個人であつて、製造業、建設業、運輸業 その他の業種(次号から第四号までに掲げる業種を除く)に属する事業を主たる事業として営むもの

二 号

資本金の額 又は出資の総額が一億円以下の会社 並びに常時使用する従業員の数が百人以下の会社 及び個人であつて、卸売業に属する事業を主たる事業として営むもの

三 号

資本金の額 又は出資の総額が五千万円以下の会社 並びに常時使用する従業員の数が百人以下の会社 及び個人であつて、サービス業に属する事業を主たる事業として営むもの

四 号

資本金の額 又は出資の総額が五千万円以下の会社 並びに常時使用する従業員の数が五十人以下の会社 及び個人であつて、小売業に属する事業を主たる事業として営むもの

2項

この法律において「経営の革新」とは、新商品の開発 又は生産、新役務の開発 又は提供、商品の新たな生産 又は販売の方式の導入、役務の新たな提供の方式の導入、新たな経営管理方法の導入 その他の新たな事業活動を行うことにより、その経営の相当程度の向上を図ることをいう。

3項

この法律において「創造的な事業活動」とは、経営の革新 又は創業の対象となる事業活動のうち、著しい新規性を有する技術 又は著しく創造的な経営管理方法を活用したものをいう。

4項

この法律において「経営資源」とは、設備、技術、個人の有する知識 及び技能 その他の事業活動に活用される資源をいう。

5項

この法律において「小規模企業者」とは、おおむね常時使用する従業員の数が二十人商業 又はサービス業に属する事業を主たる事業として営む者については、五人)以下の事業者をいう。

1項

中小企業については、多様な事業の分野において特色ある事業活動を行い、多様な就業の機会を提供し、個人がその能力を発揮しつつ事業を行う機会を提供することにより我が国の経済の基盤を形成しているものであり、特に、多数の中小企業者が創意工夫を生かして経営の向上を図るための事業活動を行うことを通じて、新たな産業を創出し、就業の機会を増大させ、市場における競争を促進し、地域における経済の活性化を促進する等我が国経済の活力の維持 及び強化に果たすべき重要な使命を有するものであることにかんがみ、独立した中小企業者の自主的な努力が助長されることを旨とし、その経営の革新 及び創業が促進され、その経営基盤が強化され、並びに経済的社会的環境の変化への適応が円滑化されることにより、その多様で活力ある成長発展が図られなければならない。

2項

中小企業の多様で活力ある成長発展に当たつては、小規模企業が、地域の特色を生かした事業活動を行い、就業の機会を提供するなどして地域における経済の安定 並びに地域住民の生活の向上及び交流の促進に寄与するとともに、創造的な事業活動を行い、新たな産業を創出するなどして将来における我が国の経済 及び社会の発展に寄与するという重要な意義を有するものであることに鑑み、独立した小規模企業者の自主的な努力が助長されることを旨としてこれらの事業活動に資する事業環境が整備されることにより、小規模企業の活力が最大限に発揮されなければならない。

1項

国は、前条の基本理念(以下単に「基本理念」という。)にのつとり、中小企業に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。

1項

政府は、次に掲げる基本方針に基づき、中小企業に関する施策を講ずるものとする。

一 号

中小企業者の経営の革新 及び創業の促進 並びに創造的な事業活動の促進を図ること。

二 号

中小企業の経営資源の確保の円滑化を図ること、中小企業に関する取引の適正化を図ること等により、中小企業の経営基盤の強化を図ること。

三 号

経済的社会的環境の変化に即応し、中小企業の経営の安定を図ること、事業の転換の円滑化を図ること等により、その変化への適応の円滑化を図ること。

四 号

中小企業に対する資金の供給の円滑化 及び中小企業の自己資本の充実を図ること。

1項

地方公共団体は、基本理念にのつとり、中小企業に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、その地方公共団体の区域の自然的経済的社会的諸条件に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。

1項

中小企業者は、経済的社会的環境の変化に即応してその事業の成長発展を図るため、自主的にその経営 及び取引条件の向上を図るよう努めなければならない。

2項

中小企業者の事業の共同化のための組織 その他の中小企業に関する団体は、その事業活動を行うに当たつては、中小企業者とともに、基本理念の実現に主体的に取り組むよう努めるものとする。

3項

中小企業者以外の者であつて、その事業に関し中小企業と関係があるものは、国 及び地方公共団体が行う中小企業に関する施策の実施について協力するようにしなければならない。

1項

国は、次に掲げる方針に従い、小規模企業者に対して中小企業に関する施策を講ずるものとする。

一 号

小規模企業が地域における経済の安定 並びに地域住民の生活の向上及び交流の促進に寄与するという重要な意義を有することを踏まえ、適切かつ十分な経営資源の確保を通じて地域における小規模企業の持続的な事業活動を可能とするとともに、地域の多様な主体との連携の推進によつて地域における多様な需要に応じた事業活動の活性化を図ること。

二 号

小規模企業が将来における我が国の経済 及び社会の発展に寄与するという重要な意義を有することを踏まえ、小規模企業がその成長発展を図るに当たり、その状況に応じ、着実な成長発展を実現するための適切な支援を受けられるよう 必要な環境の整備を図ること。

三 号

経営資源の確保が特に困難であることが多い小規模企業者の事情を踏まえ、小規模企業の経営の発達 及び改善に努めるとともに、金融、税制、情報の提供 その他の事項について、小規模企業の経営の状況に応じ、必要な考慮を払うこと。

1項

政府は、中小企業に関する施策を実施するため必要な法制上、財政上及び金融上の措置を講じなければならない。

1項

政府は、中小企業政策審議会の意見を聴いて、定期的に、中小企業の実態を明らかにするため必要な調査を行い、その結果を公表しなければならない。

1項

政府は、毎年、国会に、中小企業の動向及び政府が中小企業に関して講じた施策に関する報告を提出しなければならない。

2項

政府は、毎年、中小企業政策審議会の意見を聴いて、前項の報告に係る中小企業の動向を考慮して講じようとする施策を明らかにした文書を作成し、これを国会に提出しなければならない。