仲裁法

# 平成十五年法律第百三十八号 #

第八章 仲裁判断の承認及び執行決定等

分類 法律
カテゴリ   民事
@ 施行日 : 令和六年四月一日 ( 2024年 4月1日 )
@ 最終更新 : 令和五年法律第十五号による改正
最終編集日 : 2024年 05月17日 16時12分


1項

仲裁判断(仲裁地が日本国内にあるかどうかを問わない。以下この章において同じ。)は、確定判決と同一の効力を有する。


ただし、当該仲裁判断に基づく民事執行をするには、次条の規定による執行決定がなければならない。

2項

前項の規定は、次に掲げる事由のいずれかがある場合(第一号から第七号までに掲げる事由にあっては、当事者のいずれかが当該事由の存在を証明した場合に限る)には、適用しない

一 号

仲裁合意が、当事者の行為能力の制限により、その効力を有しないこと。

二 号

仲裁合意が、当事者が合意により仲裁合意に適用すべきものとして指定した法令(当該指定がないときは、仲裁地が属する国の法令)によれば、当事者の行為能力の制限以外の事由により、その効力を有しないこと。

三 号

当事者が、仲裁人の選任手続 又は仲裁手続において、仲裁地が属する国の法令の規定(その法令の公の秩序に関しない規定に関する事項について当事者間に合意があるときは、当該合意)により必要とされる通知を受けなかったこと。

四 号

当事者が、仲裁手続において防御することが不可能であったこと。

五 号

仲裁判断が、仲裁合意 又は仲裁手続における申立ての範囲を超える事項に関する判断を含むものであること。

六 号

仲裁廷の構成 又は仲裁手続が、仲裁地が属する国の法令の規定(その法令の公の秩序に関しない規定に関する事項について当事者間に合意があるときは、当該合意)に違反するものであったこと。

七 号

仲裁地が属する国(仲裁手続に適用された法令が仲裁地が属する国以外の国の法令である場合にあっては、当該国)の法令によれば、仲裁判断が確定していないこと、又は仲裁判断がその国の裁判機関により取り消され、若しくは効力を停止されたこと。

八 号

仲裁手続における申立てが、日本の法令によれば、仲裁合意の対象とすることができない紛争に関するものであること。

九 号

仲裁判断の内容が、日本における公の秩序 又は善良の風俗に反すること。

3項

前項第五号 に掲げる事由がある場合において、当該仲裁判断から同号に規定する事項に関する部分を区分することができるときは、当該部分 及び当該仲裁判断のその他の部分をそれぞれ独立した仲裁判断とみなして、同項の規定を適用する。

1項

仲裁判断に基づいて民事執行をしようとする当事者は、債務者を被申立人として、裁判所に対し、執行決定(仲裁判断に基づく民事執行を許す旨の決定をいう。以下同じ。)を求める申立てをすることができる。

2項

前項の申立てをするときは、仲裁判断書の写し、当該写しの内容が仲裁判断書と同一であることを証明する文書 及び仲裁判断書(日本語で作成されたものを除く。以下この項において同じ。)の日本語による翻訳文を提出しなければならない。


ただし、裁判所は、相当と認めるときは、被申立人の意見を聴いて、仲裁判断書の全部 又は一部について日本語による翻訳文を提出することを要しないものとすることができる。

3項

第一項の申立てを受けた裁判所は、前条第二項第七号に規定する裁判機関に対して仲裁判断の取消し 又はその効力の停止を求める申立てがあった場合において、必要があると認めるときは、第一項の申立てに係る手続を中止することができる。


この場合において、裁判所は、同項の申立てをした者の申立てにより、被申立人に対し、担保を立てるべきことを命ずることができる。

4項

第一項の申立てに係る事件は、第五条第一項 及び第二項の規定にかかわらず、次に掲げる裁判所の管轄に専属する。

一 号

第五条第一項各号に掲げる裁判所

二 号
請求の目的 又は差し押さえることができる被申立人の財産の所在地を管轄する地方裁判所
三 号

東京地方裁判所 及び大阪地方裁判所(仲裁地、被申立人の普通裁判籍の所在地 又は請求の目的 若しくは差し押さえることができる被申立人の財産の所在地が日本国内にある場合に限る

5項

第一項の申立てに係る事件についての第五条第四項 又は第五項の規定による決定に対しては、即時抗告をすることができる。

6項

裁判所は、次項 又は第八項の規定により第一項の申立てを却下する場合を除き、執行決定をしなければならない。

7項

裁判所は、第一項の申立てがあった場合において、前条第二項各号に掲げる事由のいずれかがあると認める場合(同項第一号から第七号までに掲げる事由にあっては、被申立人が当該事由の存在を証明した場合に限る)に限り、当該申立てを却下することができる。

8項

前条第三項の規定は、同条第二項第五号に掲げる事由がある場合における前項の規定の適用について準用する。

9項

第四十四条第四項 及び第七項の規定は、第一項の申立てについての決定について準用する。

1項

暫定保全措置命令(仲裁地が日本国内にあるかどうかを問わない。以下この章において同じ。)の申立てをした者は、当該暫定保全措置命令を受けた者を被申立人として、裁判所に対し、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める決定(以下「執行等認可決定」という。)を求める申立てをすることができる。

一 号

暫定保全措置命令のうち第二十四条第一項第三号に掲げる措置を講ずることを命ずるもの当該暫定保全措置命令に基づく民事執行を許す旨の決定

二 号

暫定保全措置命令のうち第二十四条第一項第一号第二号第四号 又は第五号に掲げる措置を講ずることを命ずるもの当該暫定保全措置命令に違反し、又は違反するおそれがあると認めるときに第四十九条第一項の規定による金銭の支払命令を発することを許す旨の決定

2項

前項の申立てをするときは、暫定保全措置命令の命令書の写し、当該写しの内容が暫定保全措置命令の命令書と同一であることを証明する文書 及び暫定保全措置命令の命令書(日本語で作成されたものを除く。以下この項において同じ。)の日本語による翻訳文を提出しなければならない。


ただし、裁判所は、相当と認めるときは、被申立人の意見を聴いて、暫定保全措置命令の命令書の全部 又は一部について日本語による翻訳文を提出することを要しないものとすることができる。

3項

第一項の申立てを受けた裁判所は、仲裁廷 又は裁判機関(仲裁地が属する国の法令(当該暫定保全措置命令に適用された法令が仲裁地が属する国以外の国の法令である場合にあっては、当該法令)により当該国の裁判機関がその権限を有する場合に限る)に対して暫定保全措置命令の取消し、変更 又はその効力の停止を求める申立てがあったことを知った場合において、必要があると認めるときは、同項の申立てに係る手続を中止することができる。


この場合において、裁判所は、同項の申立てをした者の申立てにより、被申立人に対し、担保を立てるべきことを命ずることができる。

4項

第一項の申立てに係る事件は、第五条第一項 及び第二項の規定にかかわらず、次に掲げる裁判所の管轄に専属する。

一 号

第五条第一項各号に掲げる裁判所

二 号
請求の目的 又は差し押さえることができる被申立人の財産の所在地を管轄する地方裁判所
三 号

東京地方裁判所 及び大阪地方裁判所(仲裁地、被申立人の普通裁判籍の所在地 又は請求の目的 若しくは差し押さえることができる被申立人の財産の所在地が日本国内にある場合に限る

5項

第一項の申立てに係る事件についての第五条第四項 又は第五項の規定による決定に対しては、即時抗告をすることができる。

6項

裁判所は、次項 又は第八項の規定により第一項の申立てを却下する場合を除き、執行等認可決定をしなければならない。

7項

裁判所は、第一項の申立てがあった場合において、次の各号に掲げる事由のいずれかがあると認めるとき(第一号から第八号までに掲げる事由にあっては、被申立人が当該事由の存在を証明した場合に限る)に限り、当該申立てを却下することができる。

一 号
仲裁合意が、当事者の行為能力の制限により、その効力を有しないこと。
二 号

仲裁合意が、当事者が合意により仲裁合意に適用すべきものとして指定した法令(当該指定がないときは、仲裁地が属する国の法令)によれば、当事者の行為能力の制限以外の事由により、その効力を有しないこと。

三 号

当事者が、仲裁人の選任手続 又は仲裁手続(暫定保全措置命令に関する部分に限る次号 及び第六号において同じ。)において、仲裁地が属する国の法令の規定(その法令の公の秩序に関しない規定に関する事項について当事者間に合意があるときは、当該合意)により必要とされる通知を受けなかったこと。

四 号
当事者が、仲裁手続において防御することが不可能であったこと。
五 号
暫定保全措置命令が、仲裁合意 若しくは暫定保全措置命令に関する別段の合意 又は暫定保全措置命令の申立ての範囲を超える事項について発せられたものであること。
六 号

仲裁廷の構成 又は仲裁手続が、仲裁地が属する国の法令の規定(その法令の公の秩序に関しない規定に関する事項について当事者間に合意があるときは、当該合意)に違反するものであったこと。

七 号
仲裁廷が暫定保全措置命令の申立てをした者に対して相当な担保を提供すべきことを命じた場合において、その者が当該命令に違反し、相当な担保を提供していないこと。
八 号

暫定保全措置命令が、仲裁廷 又は第三項に規定する裁判機関により、取り消され、変更され、又はその効力を停止されたこと。

九 号
仲裁手続における申立てが、日本の法令によれば、仲裁合意の対象とすることができない紛争に関するものであること。
十 号
暫定保全措置命令の内容が、日本における公の秩序 又は善良の風俗に反すること。
8項

前項第五号に掲げる事由がある場合において、当該暫定保全措置命令から同号に規定する事項に関する部分を区分することができるときは、当該部分 及び当該暫定保全措置命令のその他の部分をそれぞれ独立した暫定保全措置命令とみなして、同項の規定を適用する。

9項

執行等認可決定は、確定しなければその効力を生じない。

10項

第四十四条第四項 及び第七項の規定は、第一項の申立てについての決定について準用する。

1項

暫定保全措置命令(第二十四条第一項第三号に掲げる措置を講ずることを命ずるものに限る)は、前条の規定による執行等認可決定がある場合に限り、当該暫定保全措置命令に基づく民事執行をすることができる。

1項

裁判所は、暫定保全措置命令(第二十四条第一項第一号第二号第四号 又は第五号に掲げる措置を講ずることを命ずるものに限る。以下この条において同じ。)について確定した執行等認可決定がある場合において、当該暫定保全措置命令を受けた者(以下この条において「被申立人」という。)がこれに違反し、又は違反するおそれがあると認めるときは、当該暫定保全措置命令の申立てをした者(第六項において「申立人」という。)の申立てにより、当該暫定保全措置命令の違反によって害されることとなる利益の内容 及び性質 並びにこれが害される態様 及び程度を勘案して相当と認める一定の額の金銭の支払(被申立人が暫定保全措置命令に違反するおそれがあると認める場合にあっては、被申立人が当該暫定保全措置命令に違反したことを条件とする金銭の支払)を命ずることができる。

2項

裁判所は、前項の規定にかかわらず同項の規定による金銭の支払命令(以下この条において「違反金支払命令」という。)を、執行等認可決定と同時にすることができる。この場合においては、違反金支払命令は、執行等認可決定が確定するまでは、確定しないものとする。

3項

第一項の申立てに係る事件は、第五条第一項 及び第二項の規定にかかわらず、執行等認可決定をした裁判所 及び第四十七条第一項の申立て(同項第二号に係るものに限る次項において同じ。)に係る事件が係属する裁判所の管轄に専属する。

4項

裁判所は、第二項前段の規定に基づき、違反金支払命令を執行等認可決定と同時にした場合において、執行等認可決定を取り消す裁判が確定したとき 又は第四十七条第一項の申立てが取り下げられたときは、職権で、違反金支払命令を取り消さなければならない。

5項
違反金支払命令は、確定しなければその効力を生じない。
6項
違反金支払命令により命じられた金銭の支払があった場合において、暫定保全措置命令の違反により生じた損害の額が支払額を超えるときは、申立人は、その超える額について損害賠償の請求をすることを妨げられない。
7項

違反金支払命令が発せられた後に、仲裁廷 又は第四十七条第三項に規定する裁判機関により、暫定保全措置命令が取り消され、変更され、又はその効力を停止されたときは、違反金支払命令を発した裁判所は、被申立人の申立てにより、違反金支払命令を取り消すことができる。

8項

第四十七条第三項の規定は第一項の申立てについて、第四十四条第四項 及び第七項の規定は第一項 及び前項の申立てについての決定について、それぞれ準用する。