刑事訴訟法

# 昭和二十三年法律第百三十一号 #
略称 : 刑訴法 

第一節 合意及び協議の手続

分類 法律
カテゴリ   刑事
@ 施行日 : 令和六年五月十五日 ( 2024年 5月15日 )
@ 最終更新 : 令和五年法律第二十八号による改正
最終編集日 : 2024年 07月10日 17時19分


1項

検察官は、特定犯罪に係る事件の被疑者 又は被告人が特定犯罪に係る他人の刑事事件(以下単に「他人の刑事事件」という。)について一 又は二以上の第一号に掲げる行為をすることにより得られる証拠の重要性、関係する犯罪の軽重 及び情状、当該関係する犯罪の関連性の程度 その他の事情を考慮して、必要と認めるときは、被疑者 又は被告人との間で、被疑者 又は被告人が当該他人の刑事事件について一 又は二以上の同号に掲げる行為をし、かつ、検察官が被疑者 又は被告人の当該事件について一 又は二以上の第二号に掲げる行為をすることを内容とする合意をすることができる。

一 号
次に掲げる行為

第百九十八条第一項 又は第二百二十三条第一項の規定による検察官、検察事務官 又は司法警察職員の取調べに際して真実の供述をすること。

証人として尋問を受ける場合において真実の供述をすること。

検察官、検察事務官 又は司法警察職員による証拠の収集に関し、証拠の提出 その他の必要な協力をすること( 及びに掲げるものを除く)。

二 号
次に掲げる行為
公訴を提起しないこと。
公訴を取り消すこと。

特定の訴因 及び罰条により公訴を提起し、又はこれを維持すること。

特定の訴因 若しくは罰条の追加 若しくは撤回 又は特定の訴因 若しくは罰条への変更を請求すること。

第二百九十三条第一項の規定による意見の陳述において、被告人に特定の刑を科すべき旨の意見を陳述すること。

即決裁判手続の申立てをすること。

略式命令の請求をすること。
○2項

前項に規定する「特定犯罪」とは、次に掲げる罪(死刑 又は無期の懲役 若しくは禁錮に当たるものを除く)をいう。

一 号

刑法第九十六条から第九十六条の六まで若しくは第百五十五条の罪、同条の例により処断すべき罪、同法第百五十七条の罪、同法第百五十八条の罪(同法第百五十五条の罪、同条の例により処断すべき罪 又は同法第百五十七条第一項 若しくは第二項の罪に係るものに限る)又は同法第百五十九条から第百六十三条の五まで第百九十七条から第百九十七条の四まで第百九十八条第二百四十六条から第二百五十条まで 若しくは第二百五十二条から第二百五十四条までの罪

二 号

組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律平成十一年法律第百三十六号。以下「組織的犯罪処罰法」という。第三条第一項第一号から第四号まで第十三号 若しくは第十四号に掲げる罪に係る同条の罪、同項第十三号 若しくは第十四号に掲げる罪に係る同条の罪の未遂罪 又は組織的犯罪処罰法第十条 若しくは第十一条の罪

三 号

前二号に掲げるもののほか、租税に関する法律、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律昭和二十二年法律第五十四号) 又は金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)の罪 その他の財政経済関係犯罪として政令で定めるもの

四 号
次に掲げる法律の罪

爆発物取締罰則明治十七年太政官布告第三十二号

大麻取締法昭和二十三年法律第百二十四号

覚醒剤取締法昭和二十六年法律第二百五十二号

麻薬及び向精神薬取締法昭和二十八年法律第十四号

武器等製造法昭和二十八年法律第百四十五号

あへん法昭和二十九年法律第七十一号

銃砲刀剣類所持等取締法昭和三十三年法律第六号

国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律平成三年法律第九十四号

五 号

刑法第百三条第百四条 若しくは第百五条の二の罪 又は組織的犯罪処罰法第七条の罪(同条第一項第一号から第三号までに掲げる者に係るものに限る) 若しくは組織的犯罪処罰法第七条の二の罪(いずれも前各号に掲げる罪を本犯の罪とするものに限る

○3項

第一項の合意には、被疑者 若しくは被告人がする同項第一号に掲げる行為 又は検察官がする同項第二号に掲げる行為に付随する事項 その他の合意の目的を達するため必要な事項をその内容として含めることができる。

1項

前条第一項の合意をするには、弁護人の同意がなければならない。

○2項

前条第一項の合意は、検察官、被疑者 又は被告人 及び弁護人が連署した書面により、その内容を明らかにしてするものとする。

1項

第三百五十条の二第一項の合意をするため必要な協議は、検察官と被疑者 又は被告人 及び弁護人との間で行うものとする。


ただし、被疑者 又は被告人 及び弁護人に異議がないときは、協議の一部を弁護人のみとの間で行うことができる。

1項

前条の協議において、検察官は、被疑者 又は被告人に対し、他人の刑事事件について供述を求めることができる。


この場合においては、第百九十八条第二項の規定を準用する。

○2項

被疑者 又は被告人が前条の協議においてした供述は、第三百五十条の二第一項の合意が成立しなかつたときは、これを証拠とすることができない

○3項

前項の規定は、被疑者 又は被告人が当該協議においてした行為が刑法第百三条第百四条 若しくは第百七十二条の罪 又は組織的犯罪処罰法第七条第一項第一号 若しくは第二号に掲げる者に係る同条の罪に当たる場合において、これらの罪に係る事件において用いるときは、これを適用しない

1項

検察官は、司法警察員が送致し若しくは送付した事件 又は司法警察員が現に捜査していると認める事件について、その被疑者との間で第三百五十条の四の協議を行おうとするときは、あらかじめ、司法警察員と協議しなければならない。

○2項

検察官は、第三百五十条の四の協議に係る他人の刑事事件について司法警察員が現に捜査していること その他の事情を考慮して、当該他人の刑事事件の捜査のため必要と認めるときは、前条第一項の規定により供述を求めること その他の当該協議における必要な行為を司法警察員にさせることができる。


この場合において、司法警察員は、検察官の個別の授権の範囲内で、検察官が第三百五十条の二第一項の合意の内容とすることを提案する同項第二号に掲げる行為の内容の提示をすることができる。