労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律

# 昭和六十年法律第八十八号 #
略称 : 労働者派遣法  人材派遣法 

第二章 労働者派遣事業の適正な運営の確保に関する措置

分類 法律
カテゴリ   労働
@ 施行日 : 令和四年十月一日 ( 2022年 10月1日 )
@ 最終更新 : 令和三年法律第五十八号による改正
最終編集日 : 2023年 01月21日 08時33分


第一節 業務の範囲

1項

何人も、次の各号いずれかに該当する業務について、労働者派遣事業を行つてはならない。

一 号

港湾運送業務(港湾労働法(昭和六十三年法律第四十号)第二条第二号に規定する港湾運送の業務 及び同条第一号に規定する港湾以外の港湾において行われる当該業務に相当する業務として政令で定める業務をいう。

二 号

建設業務(土木、建築 その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊 若しくは解体の作業 又は これらの作業の準備の作業に係る業務をいう。

三 号

警備業法昭和四十七年法律第百十七号)第二条第一項各号に掲げる業務 その他 その業務の実施の適正を確保するためには業として行う労働者派遣(次節 並びに第二十三条第二項第四項 及び第五項において単に「労働者派遣」という。)により派遣労働者に従事させることが適当でないと認められる業務として政令で定める業務

2項

厚生労働大臣は、前項第三号の政令の制定 又は改正の立案をしようとするときは、あらかじめ労働政策審議会の意見を聴かなければならない。

3項

労働者派遣事業を行う事業主から労働者派遣の役務の提供を受ける者は、その指揮命令の下に当該労働者派遣に係る派遣労働者を第一項各号いずれかに該当する業務に従事させてはならない

第二節 事業の許可

1項

労働者派遣事業を行おうとする者は、厚生労働大臣の許可を受けなければならない。

2項

前項の許可を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した申請書を厚生労働大臣に提出しなければならない。

一 号

氏名 又は名称 及び住所 並びに法人にあつては、その代表者の氏名

二 号

法人にあつては、その役員の氏名 及び住所

三 号

労働者派遣事業を行う事業所の名称 及び所在地

四 号

第三十六条の規定により選任する派遣元責任者の氏名 及び住所

3項

前項の申請書には、労働者派遣事業を行う事業所ごとの当該事業に係る事業計画書 その他厚生労働省令で定める書類を添付しなければならない。

4項

前項の事業計画書には、厚生労働省令で定めるところにより、労働者派遣事業を行う事業所ごとの当該事業に係る派遣労働者の数、労働者派遣に関する料金の額 その他 労働者派遣に関する事項を記載しなければならない。

5項

厚生労働大臣は、第一項の許可をしようとするときは、あらかじめ、労働政策審議会の意見を聴かなければならない。

1項

次の各号いずれかに該当する者は、前条第一項許可を受けることができない

一 号

禁錮以上の刑に処せられ、又は この法律の規定 その他 労働に関する法律の規定(次号に規定する規定を除く)であつて政令で定めるもの若しくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律平成三年法律第七十七号)の規定(同法第五十条第二号に係る部分に限る)及び第五十二条の規定を除く)により、若しくは刑法明治四十年法律第四十五号第二百四条第二百六条第二百八条第二百八条の二第二百二十二条 若しくは第二百四十七条の罪、暴力行為等処罰に関する法律大正十五年法律第六十号)の罪 若しくは出入国管理及び難民認定法昭和二十六年政令第三百十九号第七十三条の二第一項の罪を犯したことにより、罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して五年を経過しない者

二 号

健康保険法大正十一年法律第七十号)第二百八条、第二百十三条の二 若しくは第二百十四条第一項、船員保険法昭和十四年法律第七十三号)第百五十六条、第百五十九条 若しくは第百六十条第一項、労働者災害補償保険法昭和二十二年法律第五十号)第五十一条前段 若しくは第五十四条第一項(同法第五十一条前段の規定に係る部分に限る)、厚生年金保険法昭和二十九年法律第百十五号)第百二条、第百三条の二 若しくは第百四条第一項(同法第百二条 又は第百三条の二の規定に係る部分に限る)、労働保険の保険料の徴収等に関する法律昭和四十四年法律第八十四号)第四十六条前段 若しくは第四十八条第一項(同法第四十六条前段の規定に係る部分に限る)又は雇用保険法昭和四十九年法律第百十六号第八十三条 若しくは第八十六条同法第八十三条の規定に係る部分に限る)の規定により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して五年を経過しない者

三 号

心身の故障により労働者派遣事業を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの

四 号

破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者

五 号

第十四条第一項第一号除く)の規定により労働者派遣事業の許可を取り消され、当該取消しの日から起算して五年を経過しない者

六 号

第十四条第一項の規定により労働者派遣事業の許可を取り消された者が法人である場合(同項第一号の規定により許可を取り消された場合については、当該法人が第一号 又は第二号に規定する者に該当することとなつたことによる場合に限る)において、当該取消しの処分を受ける原因となつた事項が発生した当時現に当該法人の役員(業務を執行する社員、取締役、執行役 又はこれらに準ずる者をいい、相談役、顧問 その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する社員、取締役、執行役 又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者を含む。以下この条において同じ。)であつた者で、当該取消しの日から起算して五年を経過しないもの

七 号

第十四条第一項の規定による労働者派遣事業の許可の取消しの処分に係る行政手続法平成五年法律第八十八号第十五条の規定による通知があつた日から当該処分をする日 又は処分をしないことを決定する日までの間に第十三条第一項の規定による労働者派遣事業の廃止の届出をした者(当該事業の廃止について相当の理由がある者を除く)で、当該届出の日から起算して五年を経過しないもの

八 号

前号に規定する期間内に第十三条第一項の規定による労働者派遣事業の廃止の届出をした者が法人である場合において、同号の通知の日前六十日以内に当該法人(当該事業の廃止について相当の理由がある法人を除く)の役員であつた者で、当該届出の日から起算して五年を経過しないもの

九 号

暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第二条第六号に規定する暴力団員(以下 この号において「暴力団員」という。) 又は暴力団員でなくなつた日から五年を経過しない者(以下この条において「暴力団員等」という。

十 号

営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者であつて、その法定代理人が前各号 又は次号いずれかに該当するもの

十一 号

法人であつて、その役員のうちに前各号いずれかに該当する者があるもの

十二 号

暴力団員等がその事業活動を支配する者

十三 号

暴力団員等をその業務に従事させ、又は その業務の補助者として使用するおそれのある者

1項

厚生労働大臣は、第五条第一項の許可の申請が次に掲げる基準に適合していると認めるときでなければ、許可をしてはならない。

一 号

当該事業が専ら労働者派遣の役務を特定の者に提供することを目的として行われるもの(雇用の機会の確保が特に困難であると認められる労働者の雇用の継続等を図るために必要であると認められる場合として厚生労働省令で定める場合において行われるものを除く)でないこと。

二 号

申請者が、当該事業の派遣労働者に係る雇用管理を適正に行うに足りる能力を有するものとして厚生労働省令で定める基準に適合するものであること。

三 号

個人情報(個人に関する情報であつて、特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)をいう。以下同じ。)を適正に管理し、及び派遣労働者等の秘密を守るために必要な措置が講じられていること。

四 号

前二号に掲げるもののほか、申請者が、当該事業を的確に遂行するに足りる能力を有するものであること。

2項

厚生労働大臣は、第五条第一項の許可をしないときは、遅滞なく、理由を示してその旨を当該申請者に通知しなければならない。

1項

厚生労働大臣は、第五条第一項の許可をしたときは、厚生労働省令で定めるところにより、労働者派遣事業を行う事業所の数に応じ、許可証を交付しなければならない。

2項

許可証の交付を受けた者は、当該許可証を、労働者派遣事業を行う事業所ごとに備え付けるとともに、関係者から請求があつたときは提示しなければならない。

3項

許可証の交付を受けた者は、当該許可証を亡失し、又は当該許可証が滅失したときは、速やかにその旨を厚生労働大臣に届け出て、許可証の再交付を受けなければならない。

1項

第五条第一項の許可には、条件を付し、及び これを変更することができる。

2項

前項の条件は、当該許可の趣旨に照らして、又は当該許可に係る事項の確実な実施を図るために必要な最小限度のものに限り、かつ、当該許可を受ける者に不当な義務を課することとなるものであつてはならない。

1項

第五条第一項の許可の有効期間は、当該許可の日から起算して三年とする。

2項

前項に規定する許可の有効期間(当該許可の有効期間についてこの項の規定により更新を受けたときにあつては、当該更新を受けた許可の有効期間)の満了後 引き続き当該許可に係る労働者派遣事業を行おうとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、許可の有効期間の更新を受けなければならない。

3項

厚生労働大臣は、前項に規定する許可の有効期間の更新の申請があつた場合において、当該申請が第七条第一項各号に掲げる基準に適合していないと認めるときは、当該許可の有効期間の更新をしてはならない。

4項

第二項の規定によりその更新を受けた場合における第五条第一項の許可の有効期間は、当該更新前の許可の有効期間が満了する日の翌日から起算して五年とする。

5項

第五条第二項から 第四項まで第六条第五号から 第八号まで除く)及び第七条第二項の規定は、第二項に規定する許可の有効期間の更新について準用する。

1項

派遣元事業主は、第五条第二項各号に掲げる事項に変更があつたときは、遅滞なく、その旨を厚生労働大臣に届け出なければならない。


この場合において、当該変更に係る事項が労働者派遣事業を行う事業所の新設に係るものであるときは、当該事業所に係る事業計画書 その他 厚生労働省令で定める書類を添付しなければならない。

2項

第五条第四項の規定は、前項の事業計画書について準用する。

3項

厚生労働大臣は、第一項の規定により労働者派遣事業を行う事業所の新設に係る変更の届出があつたときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該新設に係る事業所の数に応じ、許可証を交付しなければならない。

4項

派遣元事業主は、第一項の規定による届出をする場合において、当該届出に係る事項が許可証の記載事項に該当するときは、厚生労働省令で定めるところにより、その書換えを受けなければならない。

1項

派遣元事業主は、当該労働者派遣事業を廃止したときは、遅滞なく、厚生労働省令で定めるところにより、その旨を厚生労働大臣に届け出なければならない。

2項

前項の規定による届出があつたときは、第五条第一項の許可は、その効力を失う。

1項

厚生労働大臣は、派遣元事業主が次の各号いずれかに該当するときは、第五条第一項の許可を取り消すことができる。

一 号

第六条各号第五号から 第八号まで除く)のいずれかに該当しているとき。

二 号

この法律(第二十三条第三項第二十三条の二第三十条第二項の規定により読み替えて適用する同条第一項 及び次章第四節の規定を除く) 若しくは職業安定法の規定 又は これらの規定に基づく命令 若しくは処分に違反したとき

三 号

第九条第一項の規定により付された許可の条件に違反したとき。

四 号

第四十八条第三項の規定による指示を受けたにもかかわらず、 なお第二十三条第三項第二十三条の二 又は第三十条第二項の規定により読み替えて適用する同条第一項の規定に違反したとき。

2項

厚生労働大臣は、派遣元事業主が前項第二号 又は第三号に該当するときは、期間を定めて当該労働者派遣事業の全部 又は一部の停止を命ずることができる。

1項

派遣元事業主は、自己の名義をもつて、他人に労働者派遣事業を行わせてはならない。

第三節 補則

1項

派遣元事業主は、厚生労働省令で定めるところにより、労働者派遣事業を行う事業所ごとの当該事業に係る事業報告書 及び収支決算書を作成し、厚生労働大臣に提出しなければならない。

2項

前項の事業報告書には、厚生労働省令で定めるところにより、労働者派遣事業を行う事業所ごとの当該事業に係る派遣労働者の数、労働者派遣の役務の提供を受けた者の数、労働者派遣に関する料金の額 その他労働者派遣に関する事項を記載しなければならない。

3項

派遣元事業主は、厚生労働省令で定めるところにより、次条に規定する関係派遣先への派遣割合を厚生労働大臣に報告しなければならない。

4項

派遣元事業主は、派遣労働者をこの法律の施行地外の地域に所在する事業所 その他の施設において就業させるための労働者派遣(以下「海外派遣」という。)をしようとするときは、厚生労働省令で定めるところにより、あらかじめ、その旨を厚生労働大臣に届け出なければならない。

5項

派遣元事業主は、厚生労働省令で定めるところにより、労働者派遣事業を行う事業所ごとの当該事業に係る派遣労働者の数、労働者派遣の役務の提供を受けた者の数、労働者派遣に関する料金の額の平均額から派遣労働者の賃金の額の平均額を控除した額を当該労働者派遣に関する料金の額の平均額で除して得た割合として厚生労働省令で定めるところにより算定した割合、教育訓練に関する事項 その他 当該労働者派遣事業の業務に関しあらかじめ関係者に対して知らせることが適当であるものとして厚生労働省令で定める事項に関し情報の提供を行わなければならない。

1項

派遣元事業主は、当該派遣元事業主の経営を実質的に支配することが可能となる関係にある者 その他の当該派遣元事業主と特殊の関係のある者として厚生労働省令で定める者(以下この条において「関係派遣先」という。)に労働者派遣をするときは、関係派遣先への派遣割合(一の事業年度における当該派遣元事業主が雇用する派遣労働者の関係派遣先に係る派遣就業(労働者派遣に係る派遣労働者の就業をいう。以下同じ。)に係る総労働時間を、その事業年度における当該派遣元事業主が雇用する派遣労働者のすべての派遣就業に係る総労働時間で除して得た割合として厚生労働省令で定めるところにより算定した割合をいう。)が百分の八十以下となるようにしなければならない。

1項

職業安定法第二十条の規定は、労働者派遣事業について準用する。


この場合において、

同条第一項
公共職業安定所」とあるのは
労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律第二条第四号に規定する派遣元事業主(以下単に「派遣元事業主」という。)」と、

事業所に、求職者を紹介してはならない」とあるのは
「事業所に関し、同条第一号に規定する労働者派遣(以下単に「労働者派遣」という。)(当該同盟罷業 又は作業所閉鎖の行われる際 現に当該事業所に関し労働者派遣をしている場合にあつては、当該労働者派遣 及びこれに相当するものを除く)をしてはならない」と、

同条第二項
求職者を無制限に紹介する」とあるのは
「無制限に労働者派遣がされる」と、

公共職業安定所は当該事業所に対し、求職者を紹介してはならない」とあるのは
「公共職業安定所は、その旨を派遣元事業主に通報するものとし、当該通報を受けた派遣元事業主は、当該事業所に関し、労働者派遣(当該通報の際 現に当該事業所に関し労働者派遣をしている場合にあつては、当該労働者派遣 及びこれに相当するものを除く)をしてはならない」と、

使用されていた労働者」とあるのは
「使用されていた労働者(労働者派遣に係る労働に従事していた労働者を含む。)」と、

労働者を紹介する」とあるのは
「労働者派遣をする」と

読み替えるものとする。

1項

労働者派遣の役務の提供を受ける者は、派遣元事業主以外の労働者派遣事業を行う事業主から、労働者派遣の役務の提供を受けてはならない。

1項

派遣元事業主は、労働者派遣に関し、労働者の個人情報を収集し、保管し、又は使用するに当たつては、その業務(紹介予定派遣をする場合における職業紹介を含む。次条において同じ。)の目的の達成に必要な範囲内で労働者の個人情報を収集し、並びに当該収集の目的の範囲内でこれを保管し、及び使用しなければならない。


ただし、本人の同意がある場合 その他 正当な事由がある場合は、この限りでない。

2項

派遣元事業主は、労働者の個人情報を適正に管理するために必要な措置を講じなければならない。

1項

派遣元事業主 及び その代理人、使用人 その他の従業者は、正当な理由がある場合でなければ、その業務上取り扱つたことについて知り得た秘密を他に漏らしてはならない。


派遣元事業主 及び その代理人、使用人 その他の従業者でなくなつた後においても、同様とする。

1項

厚生労働大臣は、労働者派遣事業に係るこの法律の規定の運用に当たつては、労働者の職業生活の全期間にわたるその能力の有効な発揮 及び その雇用の安定に資すると認められる雇用慣行 並びに派遣就業は臨時的かつ一時的なものであることを原則とするとの考え方を考慮するとともに、労働者派遣事業による労働力の需給の調整が職業安定法に定める他の労働力の需給の調整に関する制度に基づくものとの調和の下に行われるように配慮しなければならない。