商標法

# 昭和三十四年法律第百二十七号 #

第二節 権利侵害

分類 法律
カテゴリ   産業通則
@ 施行日 : 令和五年四月一日 ( 2023年 4月1日 )
@ 最終更新 : 令和三年法律第四十二号による改正
最終編集日 : 2023年 08月28日 17時37分


1項

商標権者 又は専用使用権者は、自己の商標権 又は専用使用権を侵害する者 又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止 又は予防を請求することができる。

2項

商標権者 又は専用使用権者は、前項の規定による請求をするに際し、侵害の行為を組成した物の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却 その他の侵害の予防に必要な行為を請求することができる。

1項

次に掲げる行為は、当該商標権 又は専用使用権を侵害するものとみなす。

一 号

指定商品 若しくは指定役務についての登録商標に類似する商標の使用


又は指定商品 若しくは指定役務に類似する商品 若しくは役務についての登録商標 若しくはこれに類似する商標の使用

二 号

指定商品 又は指定商品 若しくは指定役務に類似する商品であつて、その商品 又はその商品の包装に登録商標 又はこれに類似する商標を付したものを譲渡、引渡し又は輸出のために所持する行為

三 号

指定役務 又は指定役務 若しくは指定商品に類似する役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に登録商標 又はこれに類似する商標を付したものを、これを用いて当該役務を提供するために所持し、又は輸入する行為

四 号

指定役務 又は指定役務 若しくは指定商品に類似する役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に登録商標 又はこれに類似する商標を付したものを、これを用いて当該役務を提供させるために譲渡し、引き渡し、又は譲渡 若しくは引渡しのために所持し、若しくは輸入する行為

五 号

指定商品 若しくは指定役務 又はこれらに類似する商品 若しくは役務について登録商標 又はこれに類似する商標の使用をするために登録商標 又はこれに類似する商標を表示する物を所持する行為

六 号

指定商品 若しくは指定役務 又はこれらに類似する商品 若しくは役務について登録商標 又はこれに類似する商標の使用をさせるために登録商標 又はこれに類似する商標を表示する物を譲渡し、引き渡し、又は譲渡 若しくは引渡しのために所持する行為

七 号

指定商品 若しくは指定役務 又はこれらに類似する商品 若しくは役務について登録商標 又はこれに類似する商標の使用をし、又は使用をさせるために登録商標 又はこれに類似する商標を表示する物を製造し、又は輸入する行為

八 号

登録商標 又はこれに類似する商標を表示する物を製造するためにのみ用いる物を業として製造し、譲渡し、引き渡し、又は輸入する行為

1項

商標権者 又は専用使用権者が故意 又は過失により自己の商標権 又は専用使用権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その者がその侵害の行為を組成した商品を譲渡したときは、次の各号に掲げる額の合計額を、商標権者 又は専用使用権者が受けた損害の額とすることができる。

一 号

商標権者 又は専用使用権者がその侵害の行為がなければ販売することができた商品の単位数量当たりの利益の額に、自己の商標権 又は専用使用権を侵害した者が譲渡した商品の数量(次号において「譲渡数量」という。)のうち当該商標権者 又は専用使用権者の使用の能力に応じた数量(同号において「使用相応数量」という。)を超えない部分(その全部 又は一部に相当する数量を当該商標権者 又は専用使用権者が販売することができないとする事情があるときは、当該事情に相当する数量(同号において「特定数量」という。)を控除した数量)を乗じて得た額

二 号

譲渡数量のうち使用相応数量を超える数量 又は特定数量がある場合(商標権者 又は専用使用権者が、当該商標権者の商標権についての専用使用権の設定 若しくは通常使用権の許諾 又は当該専用使用権者の専用使用権についての通常使用権の許諾をし得たと認められない場合を除く)におけるこれらの数量に応じた当該商標権 又は専用使用権に係る登録商標の使用に対し受けるべき金銭の額に相当する額

2項

商標権者 又は専用使用権者が故意 又は過失により自己の商標権 又は専用使用権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その者がその侵害の行為により利益を受けているときは、その利益の額は、商標権者 又は専用使用権者が受けた損害の額と推定する。

3項

商標権者 又は専用使用権者は、故意 又は過失により自己の商標権 又は専用使用権を侵害した者に対し、その登録商標の使用に対し受けるべき金銭の額に相当する額の金銭を、自己が受けた損害の額としてその賠償を請求することができる。

4項

裁判所は、第一項第二号 及び前項に規定する登録商標の使用に対し受けるべき金銭の額に相当する額を認定するに当たつては、商標権者 又は専用使用権者が、自己の商標権 又は専用使用権に係る登録商標の使用の対価について、当該商標権 又は専用使用権の侵害があつたことを前提として当該商標権 又は専用使用権を侵害した者との間で合意をするとしたならば、当該商標権者 又は専用使用権者が得ることとなるその対価を考慮することができる。

5項

商標権者 又は専用使用権者が故意 又は過失により自己の商標権 又は専用使用権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その侵害が指定商品 又は指定役務についての登録商標(書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、平仮名、片仮名 及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであつて同一の称呼 及び観念を生ずる商標、外観において同視される図形からなる商標 その他の当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標を含む。第五十条において同じ。)の使用によるものであるときは、その商標権の取得 及び維持に通常要する費用に相当する額を、商標権者 又は専用使用権者が受けた損害の額とすることができる。

6項

第三項 及び前項の規定は、これらの規定に規定する金額を超える損害の賠償の請求を妨げない。


この場合において、商標権 又は専用使用権を侵害した者に故意 又は重大な過失がなかつたときは、裁判所は、損害の賠償の額を定めるについて、これを参酌することができる。

1項

商標権 若しくは専用使用権の侵害 又は第十三条の二第一項第六十八条第一項において準用する場合を含む。)に規定する金銭の支払の請求に係る訴訟の終局判決が確定した後に、次に掲げる審決 又は決定が確定したときは、当該訴訟の当事者であつた者は、当該終局判決に対する再審の訴え(当該訴訟を本案とする仮差押命令事件の債権者に対する損害賠償の請求を目的とする訴え 並びに当該訴訟を本案とする仮処分命令事件の債権者に対する損害賠償 及び不当利得返還の請求を目的とする訴えを含む。)においては、当該審決 又は決定が確定したことを主張することができない

一 号

当該商標登録を無効にすべき旨の審決

二 号

当該商標登録を取り消すべき旨の決定

1項

特許法第百三条過失の推定)、第百四条の二具体的態様の明示義務)、第百四条の三第一項 及び第二項特許権者等の権利行使の制限)、第百五条書類の提出等)、第百五条の二の十二から第百五条の六まで損害計算のための鑑定、相当な損害額の認定、秘密保持命令、秘密保持命令の取消し及び訴訟記録の閲覧等の請求の通知等)並びに第百六条信用回復の措置)の規定は、商標権 又は専用使用権の侵害に準用する。