地方自治法
第十一節 雑則
普通地方公共団体の長は、公金の徴収 若しくは収納 又は支出に関する事務(以下この条 及び次条第一項において「公金事務」という。)を適切かつ確実に遂行することができる者として政令で定める者のうち 当該普通地方公共団体の長が総務省令で定めるところにより指定するものに、この条から第二百四十三条の二の六までの規定の定めるところにより、公金事務を委託することができる。
普通地方公共団体の長は、前項の規定による委託をしたときは、当該委託を受けた者(以下「指定公金事務取扱者」という。)の名称、住所 又は事務所の所在地、指定公金事務取扱者に委託した公金事務に係る歳入等 又は歳出 その他総務省令で定める事項を告示しなければならない。
指定公金事務取扱者は、その名称、住所 又は事務所の所在地を変更しようとするときは、総務省令で定めるところにより、あらかじめ、その旨を普通地方公共団体の長に届け出なければならない。
普通地方公共団体の長は、前項の規定による届出があつたときは、当該届出に係る事項を告示しなければならない。
指定公金事務取扱者は、第一項の規定により委託を受けた公金事務の一部について、公金事務を適切かつ確実に遂行することができる者として政令で定める者に委託をすることができる。
この場合において、指定公金事務取扱者は、あらかじめ、当該委託について普通地方公共団体の長の承認を受けなければならない。
前項の規定により公金事務の一部の委託を受けた者は、当該委託をした指定公金事務取扱者の許諾を得た場合であつて、かつ、公金事務を適切かつ確実に遂行することができる者として政令で定める者に対してするときに限り、その一部の再委託をすることができる。
この場合において、指定公金事務取扱者は、あらかじめ、当該再委託について普通地方公共団体の長の承認を受けなければならない。
前項の規定により公金事務の一部の再委託を受けた者は、当該公金事務の一部の委託を受けた者とみなして、同項の規定を適用する。
会計管理者は、指定公金事務取扱者について、定期 及び臨時に公金事務の状況を検査しなければならない。
会計管理者は、前項の規定による検査をしたときは、その結果に基づき、指定公金事務取扱者に対して必要な措置を講ずべきことを求めることができる。
監査委員は、第八項の規定による検査について、会計管理者に対し報告を求めることができる。
指定公金事務取扱者は、総務省令で定めるところにより、帳簿を備え付け、これに公金事務に関する事項を記載し、及びこれを保存しなければならない。
普通地方公共団体の長は、前条、この条 及び第二百四十三条の二の四から第二百四十三条の二の六までの規定を施行するため必要があると認めるときは、その必要な限度で、総務省令で定めるところにより、指定公金事務取扱者に対し、報告をさせることができる。
普通地方公共団体の長は、前条、この条 及び第二百四十三条の二の四から第二百四十三条の二の六までの規定を施行するため必要があると認めるときは、その必要な限度で、その職員に、指定公金事務取扱者の事務所に立ち入り、指定公金事務取扱者の帳簿書類 その他必要な物件を検査させ、又は関係者に質問させることができる。
前項の規定により立入検査を行う職員は、その身分を示す証明書を携帯し、かつ、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。
第三項に規定する権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
普通地方公共団体の長は、指定公金事務取扱者が次の各号のいずれかに該当するときは、総務省令で定めるところにより、第二百四十三条の二第一項の規定による指定を取り消すことができる。
第二百四十三条の二第一項に規定する政令で定める者に該当しなくなつたとき。
前条第一項の規定に違反して、帳簿を備え付けず、帳簿に記載せず、若しくは帳簿に虚偽の記載をし、又は帳簿を保存しなかつたとき。
前条第二項 又は第二百四十三条の二の六第三項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。
前条第三項の規定による立入り 若しくは検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は同項の規定による質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をしたとき。
普通地方公共団体の長は、前項の規定により指定を取り消したときは、その旨を告示しなければならない。
普通地方公共団体の長が第二百四十三条の二第一項の規定によりその徴収に関する事務を委託することができる歳入は、他の法律 又はこれに基づく政令に特別の定めがあるものを除くほか、政令で定めるものとする。
指定公金事務取扱者(歳入の徴収に関する事務の委託を受けた者に限る。以下この条において同じ。)は、現金の納付 その他総務省令で定める方法により納入義務者から歳入の納付を受けるものとする。
前項の場合において、普通地方公共団体の歳入の納入義務は、納入義務者が指定公金事務取扱者に当該歳入を納付したときに履行されたものとする。
指定公金事務取扱者は、政令の定めるところにより、その徴収した歳入を普通地方公共団体に払い込まなければならない。
普通地方公共団体の長が第二百四十三条の二第一項の規定によりその収納に関する事務を委託することができる歳入等は、次の各号のいずれにも該当するものとして当該普通地方公共団体の長が定めるものとする。
指定公金事務取扱者が収納することにより、その収入の確保 及び住民の便益の増進に寄与すると認められるもの
その性質上 その収納に関する事務を委託することが適当でないものとして総務省令で定めるもの以外のもの
指定公金事務取扱者(歳入等の収納に関する事務の委託を受けた者に限る。次項において同じ。)は、第二百三十一条の規定による納入の通知(その性質上納入の通知を必要としない歳入等にあつては、普通地方公共団体の長が定める方法)に基づかなければ、歳入等の収納をすることができない。
前条第二項から第四項までの規定は、指定公金事務取扱者が歳入等の収納をする場合について準用する。
普通地方公共団体の長が第二百四十三条の二第一項の規定によりその支出に関する事務を委託することができる歳出は、他の法律 又はこれに基づく政令に特別の定めがあるものを除くほか、政令で定めるものとする。
普通地方公共団体の長は、指定公金事務取扱者(歳出の支出に関する事務の委託を受けた者に限る。次項において同じ。)に対し、当該支出に必要な資金を交付するものとする。
指定公金事務取扱者は、普通地方公共団体の規則の定めるところにより、その支出の結果を会計管理者に報告しなければならない。
普通地方公共団体は、条例で、当該普通地方公共団体の長 若しくは委員会の委員 若しくは委員 又は当該普通地方公共団体の職員(次条第三項の規定による賠償の命令の対象となる者を除く。以下 この項において「普通地方公共団体の長等」という。)の当該普通地方公共団体に対する損害を賠償する責任を、普通地方公共団体の長等が職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がないときは、普通地方公共団体の長等が賠償の責任を負う額から、普通地方公共団体の長等の職責 その他の事情を考慮して政令で定める基準を参酌して、政令で定める額以上で当該条例で定める額を控除して得た額について免れさせる旨を定めることができる。
普通地方公共団体の議会は、前項の条例の制定 又は改廃に関する議決をしようとするときは、あらかじめ監査委員の意見を聴かなければならない。
前項の規定による意見の決定は、監査委員の合議によるものとする。
会計管理者 若しくは会計管理者の事務を補助する職員、資金前渡を受けた職員、占有動産を保管している職員 又は物品を使用している職員が故意 又は重大な過失(現金については、故意 又は過失)により、その保管に係る現金、有価証券、物品(基金に属する動産を含む。)若しくは占有動産 又はその使用に係る物品を亡失し、又は損傷したときは、これによつて生じた損害を賠償しなければならない。
次に掲げる行為をする権限を有する職員 又はその権限に属する事務を直接補助する職員で普通地方公共団体の規則で指定したものが故意 又は重大な過失により法令の規定に違反して当該行為をしたこと 又は怠つたことにより普通地方公共団体に損害を与えたときも、同様とする。
支出負担行為
第二百三十二条の四第一項の命令 又は同条第二項の確認
支出 又は支払
第二百三十四条の二第一項の監督 又は検査
前項の場合において、その損害が二人以上の職員の行為により生じたものであるときは、当該職員は、それぞれの職分に応じ、かつ、当該行為が当該損害の発生の原因となつた程度に応じて賠償の責めに任ずるものとする。
普通地方公共団体の長は、第一項の職員が同項に規定する行為により当該普通地方公共団体に損害を与えたと認めるときは、監査委員に対し、その事実があるかどうかを監査し、賠償責任の有無 及び賠償額を決定することを求め、その決定に基づき、期限を定めて賠償を命じなければならない。
第二百四十二条の二第一項第四号ただし書の規定による訴訟について、賠償の命令を命ずる判決が確定した場合には、普通地方公共団体の長は、当該判決が確定した日から六十日以内の日を期限として、賠償を命じなければならない。
この場合においては、前項の規定による監査委員の監査 及び決定を求めることを要しない。
前項の規定により賠償を命じた場合において、当該判決が確定した日から六十日以内に当該賠償の命令に係る損害賠償金が支払われないときは、当該普通地方公共団体は、当該損害賠償の請求を目的とする訴訟を提起しなければならない。
前項の訴訟の提起については、第九十六条第一項第十二号の規定にかかわらず、当該普通地方公共団体の議会の議決を要しない。
第二百四十二条の二第一項第四号ただし書の規定による訴訟の判決に従いなされた賠償の命令について取消訴訟が提起されているときは、裁判所は、当該取消訴訟の判決が確定するまで、当該賠償の命令に係る損害賠償の請求を目的とする訴訟の訴訟手続を中止しなければならない。
第三項の規定により監査委員が賠償責任があると決定した場合において、普通地方公共団体の長は、当該職員からなされた当該損害が避けることのできない事故 その他やむを得ない事情によるものであることの証明を相当と認めるときは、議会の同意を得て、賠償責任の全部 又は一部を免除することができる。
この場合においては、あらかじめ監査委員の意見を聴き、その意見を付けて議会に付議しなければならない。
第三項の規定による決定 又は前項後段の規定による意見の決定は、監査委員の合議によるものとする。
第二百四十二条の二第一項第四号ただし書の規定による訴訟の判決に従い第三項の規定による処分がなされた場合には、当該処分については、審査請求をすることができない。
普通地方公共団体の長は、第三項の規定による処分についての審査請求がされた場合には、当該審査請求が不適法であり、却下するときを除き、議会に諮問した上、当該審査請求に対する裁決をしなければならない。
議会は、前項の規定による諮問を受けた日から二十日以内に意見を述べなければならない。
普通地方公共団体の長は、第十一項の規定による諮問をしないで同項の審査請求を却下したときは、その旨を議会に報告しなければならない。
第一項の規定により損害を賠償しなければならない場合には、同項の職員の賠償責任については、賠償責任に関する民法の規定は、適用しない。
普通地方公共団体の長は、条例の定めるところにより、毎年二回以上歳入歳出予算の執行状況 並びに財産、地方債 及び一時借入金の現在高 その他財政に関する事項を住民に公表しなければならない。
普通地方公共団体の長は、第二百二十一条第三項の法人について、毎事業年度、政令で定めるその経営状況を説明する書類を作成し、これを次の議会に提出しなければならない。
普通地方公共団体の長は、第二百二十一条第三項の信託について、信託契約に定める計算期ごとに、当該信託に係る事務の処理状況を説明する政令で定める書類を作成し、これを次の議会に提出しなければならない。
普通地方公共団体の財政の運営、普通地方公共団体の財政と国の財政との関係等に関する基本原則については、この法律に定めるもののほか、別に法律でこれを定める。
歳入 及び歳出の会計年度所属区分、予算 及び決算の調製の様式、過年度収入 及び過年度支出 並びに翌年度歳入の繰上充用 その他財務に関し必要な事項は、この法律に定めるもののほか、政令でこれを定める。