民事保全法

# 平成元年法律第九十一号 #
略称 : 民保法 

第三節 保全異議

分類 法律
カテゴリ   民事
@ 施行日 : 令和六年三月一日 ( 2024年 3月1日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第四十八号による改正
最終編集日 : 2024年 11月23日 19時25分


1項

保全命令に対しては、債務者は、その命令を発した裁判所に保全異議を申し立てることができる。

1項

保全異議の申立てがあった場合において、保全命令の取消しの原因となることが明らかな事情 及び保全執行により償うことができない損害を生ずるおそれがあることにつき疎明があったときに限り、裁判所は、申立てにより、保全異議の申立てについての決定において第三項の規定による裁判をするまでの間、担保を立てさせて、又は担保を立てることを条件として保全執行の停止 又は既にした執行処分の取消しを命ずることができる。

2項

抗告裁判所が保全命令を発した場合において、事件の記録が原裁判所に存するときは、その裁判所も、前項の規定による裁判をすることができる。

3項

裁判所は、保全異議の申立てについての決定において、既にした第一項の規定による裁判を取り消し、変更し、又は認可しなければならない。

4項

第一項 及び前項の規定による裁判に対しては、不服を申し立てることができない

5項

第十五条の規定は、第一項の規定による裁判について準用する。

1項

裁判所は、当事者、尋問を受けるべき証人 及び審尋を受けるべき参考人の住所 その他の事情を考慮して、保全異議事件につき著しい遅滞を避け、又は当事者間の衡平を図るために必要があるときは、申立てにより 又は職権で、当該保全命令事件につき管轄権を有する他の裁判所に事件を移送することができる。

1項

裁判所は、口頭弁論 又は当事者双方が立ち会うことができる審尋の期日を経なければ、保全異議の申立てについての決定をすることができない

1項

裁判所は、審理を終結するには、相当の猶予期間を置いて、審理を終結する日を決定しなければならない。


ただし、口頭弁論 又は当事者双方が立ち会うことができる審尋の期日においては、直ちに審理を終結する旨を宣言することができる。

1項

裁判所は、保全異議の申立てについての決定においては、保全命令を認可し、変更し、又は取り消さなければならない。

2項

裁判所は、前項の決定において、相当と認める一定の期間内に債権者が担保を立てること 又は第十四条第一項の規定による担保の額を増加した上、相当と認める一定の期間内に債権者がその増加額につき担保を立てることを保全執行の実施 又は続行の条件とする旨を定めることができる。

3項

裁判所は、第一項の規定による保全命令を取り消す決定について、債務者が担保を立てることを条件とすることができる。

4項

第十六条本文 及び第十七条の規定は、第一項の決定について準用する。

1項

仮処分命令に基づき、債権者が物の引渡し 若しくは明渡し 若しくは金銭の支払を受け、又は物の使用 若しくは保管をしているときは、裁判所は、債務者の申立てにより、前条第一項の規定により仮処分命令を取り消す決定において、債権者に対し、債務者が引き渡し、若しくは明け渡した物の返還、債務者が支払った金銭の返還 又は債権者が使用 若しくは保管をしている物の返還を命ずることができる。

1項

裁判所は、第三十二条第一項の規定により保全命令を取り消す決定において、その送達を受けた日から二週間を超えない範囲内で相当と認める一定の期間を経過しなければその決定の効力が生じない旨を宣言することができる。


ただし、その決定に対して保全抗告をすることができないときは、この限りでない。

1項

保全異議の申立てを取り下げるには、債権者の同意を得ることを要しない。

1項

保全異議の申立てについての裁判は、判事補が単独ですることができない