雇用は、当事者の一方が相手方に対して労働に従事することを約し、相手方がこれに対してその報酬を与えることを約することによって、その効力を生ずる。
民法
第八節 雇用
労働者は、その約した労働を終わった後でなければ、報酬を請求することができない。
期間によって定めた報酬は、その期間を経過した後に、請求することができる。
労働者は、次に掲げる場合には、既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができる。
使用者の責めに帰することができない事由によって労働に従事することができなくなったとき。
雇用が履行の中途で終了したとき。
使用者は、労働者の承諾を得なければ、その権利を第三者に譲り渡すことができない。
労働者は、使用者の承諾を得なければ、自己に代わって第三者を労働に従事させることができない。
労働者が前項の規定に違反して第三者を労働に従事させたときは、使用者は、契約の解除をすることができる。
雇用の期間が五年を超え、又はその終期が不確定であるときは、当事者の一方は、五年を経過した後、いつでも契約の解除をすることができる。
前項の規定により契約の解除をしようとする者は、それが使用者であるときは三箇月前、労働者であるときは二週間前に、その予告をしなければならない。
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。
この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
期間によって報酬を定めた場合には、使用者からの解約の申入れは、次期以後についてすることができる。
ただし、その解約の申入れは、当期の前半にしなければならない。
六箇月以上の期間によって報酬を定めた場合には、前項の解約の申入れは、三箇月前にしなければならない。
当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。
この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。
雇用の期間が満了した後労働者が引き続きその労働に従事する場合において、使用者がこれを知りながら異議を述べないときは、従前の雇用と同一の条件で更に雇用をしたものと推定する。
この場合において、各当事者は、第六百二十七条の規定により解約の申入れをすることができる。
従前の雇用について当事者が担保を供していたときは、その担保は、期間の満了によって消滅する。
ただし、身元保証金については、この限りでない。
第六百二十条の規定は、雇用について準用する。
使用者が破産手続開始の決定を受けた場合には、雇用に期間の定めがあるときであっても、労働者 又は破産管財人は、第六百二十七条の規定により解約の申入れをすることができる。
この場合において、各当事者は、相手方に対し、解約によって生じた損害の賠償を請求することができない。