漁船損害等補償法

# 昭和二十七年法律第二十八号 #
略称 : 漁船損害等補償法 

第一節 通則

分類 法律
カテゴリ   水産業
@ 施行日 : 令和四年九月一日 ( 2022年 9月1日 )
@ 最終更新 : 令和元年法律第七十一号
最終編集日 : 2024年 10月17日 19時43分


1項

保険関係は、組合員 又は組合員たる資格を有する者が保険約款で定める様式の申込書を組合に提出して申し込み、組合がこれを承諾することによつて成立する。

1項

組合は、組合員 又は組合員たる資格を有する者から保険の申込みがあつたときは、正当な理由がなければ、これに対して保険の引受けを拒むことができない

1項

組合との間に保険関係が成立した者は、当該保険関係に係る保険期間の開始日の前日までに、組合に保険料(保険約款で定めるところに従い保険料の分割支払がされる場合にあつては、保険料のうちその第一回の支払に係るもの)を支払わなければならない。

2項

前項の規定による保険料の支払をその支払期限までにしないときは、当該保険関係は、その効力を失う。

1項

組合員 又は保険の申込人は、組合に支払うべき保険料につき、相殺をもつて組合に対抗することができない

1項

組合は、組合員の請求があつたときは、保険証券を交付しなければならない。

2項

保険証券に記載すべき事項は、農林水産省令で定める。

1項

組合の保険責任が始まる前において、既に事故が生じ得ないこととなつたとき、又は生じていたときは、当該漁船保険、漁船船主責任保険、漁船乗組船主保険 又は漁船積荷保険は、無効とする。

1項

漁船保険の保険の目的たる漁船の所有者 又は使用者である組合員が、その住所 又は当該漁船の主たる根拠地を組合の区域外に移転したことにより組合員たる資格を喪失したため組合を脱退した場合において、その脱退前に、その組合員から当該組合に対し当該保険関係(当該漁船に係る漁船船主責任保険、漁船乗組船主保険 又は漁船積荷保険の保険関係が成立している場合にあつては、これらの保険関係を含む全ての保険関係)を存続させたい旨の通知があつたときは、その保険関係は、第二十七条第一項の規定にかかわらず、なお存続する。

2項

前項の規定によりなお存続するものとされる保険関係に係る漁船の所有者 又は使用者は、この章 及び第五章の規定の適用については、組合員とみなす。

1項

漁船保険、漁船船主責任保険、漁船乗組船主保険 又は漁船積荷保険の全部 又は一部が無効である場合において、保険の申込人が善意でかつ重大な過失がないときは、当該申込人は、保険料の全部 又は一部の払戻しを請求することができる。


ただし、付加保険料については、組合は、保険約款で定めるところにより、その全部 又は一部を払い戻さないことができる。

1項

組合員、被保険者 又は漁船乗組船主保険の一定の金額の支払を受けるべき者(以下「組合員等」という。)は、漁船保険の保険の目的たる漁船につき事故が発生したとき、漁船船主責任保険 若しくは漁船乗組船主保険に係る漁船の運航に伴つて事故が発生したとき、又は漁船積荷保険の保険の目的たる漁船積荷につき事故が発生したときは、保険約款で定めるところにより、遅滞なく、その旨を組合に通知しなければならない。

1項

組合員 又は被保険者は、保険約款で定めるところにより、保険に係る漁船の構造、設備、漁業の種類等(漁船積荷保険にあつては、当該漁船に積載した漁船積荷の管理方法等を含む。)につき、重大な変更を加えようとするときは、あらかじめ、組合に通知しなければならない。

2項

保険に係る漁船の危険がその構造、設備、漁業の種類等の重大な変更により著しく増加する場合 又は当該漁船に積載した漁船積荷の危険がその管理方法等の重大な変更により著しく増加する場合においては、組合は、組合員 又は被保険者に対して、その変更を制限し、その他必要な処置をすべきことを指示することができる。

1項

組合は、保険に係る漁船 又は当該漁船に積載した漁船積荷の管理方法等に関して、調査をし、又は組合員 若しくは被保険者に通常の修繕 その他必要な処置をすべきことを指示することができる。

1項

次の場合には、組合は、塡補すべき損害の額 又は支払うべき一定の金額の全部 又は一部につき、その塡補し、又は支払うべき責めを免れることができる。

一 号

事故が、法令に違反して保険に係る漁船を運航し、又は当該漁船により操業した場合に生じたとき。

二 号

保険約款で定めるところに従い保険料の分割支払がされる場合にあつては、組合員が、正当な理由がないのに、保険料(満期保険については、保険料期間(組合が満期保険の保険関係に基づき損害を塡補する責任が始まる日から起算して一年を経過するごとに、その一年の期間をいう。以下同じ。)ごとの保険料)のうちその第二回以降の支払に係るものの支払を遅滞したとき。

三 号

漁船保険、漁船船主責任保険 又は漁船積荷保険にあつては、組合員 又は被保険者が、保険に係る漁船 若しくはその運航 又は保険の目的たる漁船積荷につき、通常行うべき管理 その他損害の防止 又は軽減を怠つたとき。

四 号

組合員等が第九十六条の規定による通知を著しく遅滞したため、損害の状況の認定が困難となつたとき。

五 号

組合員 又は被保険者が第九十七条第一項の規定による通知を怠り、又は同条第二項の規定による組合の指示に従わなかつたとき。

六 号

組合員 又は被保険者が前条の規定による調査を拒み、又は指示に従わなかつたとき。

1項

組合は、組合員 若しくは被保険者の故意 若しくは重大な過失 若しくは船長 その他漁船を指揮する者の故意によつて生じた損害(漁船船主責任保険にあつては、事故)又は漁船乗組船主保険の一定の金額の支払を受けるべき者の故意によつて生じた事故については、損害を塡補し、又は一定の金額を支払う責めを負わない。

1項

組合は、保険に係る漁船が法令に違反して使用されたために法令に基づく処分として、又は当該処分によつて生じた事故については、損害を塡補し、又は一定の金額を支払う責めを負わない。

1項

組合は、農林水産省令で定めるところにより、漁船保険事業、漁船船主責任保険事業、漁船乗組船主保険事業 及び漁船積荷保険事業ごとに経理を区分し、それぞれ会計を設けて整理しなければならない。


ただし、これらの保険事業の業務の執行に要する経費 及び付加保険料 その他その経費に充てるための収入金に係る部分については、この限りでない。

1項

組合は、定款で定めるところにより、追徴金を支払わせることができる。

2項

前項の追徴金に関する制限は、農林水産省令で定める。

3項

組合に支払うべき追徴金については、相殺をもつて組合に対抗することができない。

1項

組合は、第百二条の規定による各会計ごとに、保険金の支払に不足を生ずるときは、定款で定めるところにより、支払うべき保険金の額を削減することができる。

2項

組合が前項の規定により支払うべき保険金の額を削減する場合であつても、その支払う保険金の額は、政府から支払を受けた再保険金の額を下るものであつてはならない。

1項

組合は、毎事業年度の終わりにおいて存する漁船保険等につき、農林水産省令で定めるところにより、責任準備金を積み立てなければならない。

1項

組合は、不足金の補塡に備えるため、農林水産省令で定めるところにより、毎事業年度の剰余金のうちから準備金を積み立てなければならない。

1項

組合の漁船保険事業等については、保険法平成二十年法律第五十六号)第四条、第十一条、第二十八条 並びに第三十一条第一項 及び第二項(第一号に係る部分に限る)の規定を準用する。