法第八十五条第一項に規定する更生緊急保護(以下「更生緊急保護」という。)は、その対象となる者が、進んで法律を守る善良な社会の一員となり、速やかに改善更生する意欲を有する者であると認められる場合に限り、行うものとする。
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第五章 更生緊急保護
法第八十五条第一項に規定する金品を給与し、若しくは貸与し、又は宿泊場所を供与することにより更生緊急保護を行うに当たっては、次に掲げる方法 その他の保護観察所の長が必要と認める方法によるものとする。
住居 その他の宿泊場所がない者に対し、宿泊場所 並びに宿泊に必要な設備 及び備品を供与すること。
食事を得ることができない者に対し、食事を給与すること。
住居 その他の宿泊場所への帰住を助けるため、旅費を給与し、又は貸与すること。
その他就業 又は当面の生活を助けるために必要な金銭、衣料、器具 その他の物品を給与し、又は貸与すること。
第五十六条の規定は就職を助け、又は職業を補導することにより更生緊急保護を行う場合について、第五十七条の規定は社会生活に適応させるために必要な生活指導を行うことにより更生緊急保護を行う場合について、それぞれ準用する。
この場合において、
第五十六条第一項 及び第二項 並びに第五十七条中
「保護観察対象者」とあるのは、
「更生緊急保護の対象となる者」と
読み替えるものとする。
保護観察所の長は、更生緊急保護を受けようとする者に対し、書面により法第八十六条第一項に規定する申出をさせなければならない。
検察官 又は矯正施設の長は、法第八十五条第一項各号に掲げる者について、刑事上の手続 又は保護処分による身体の拘束を解くに当たり、更生緊急保護の必要があると認めるとき 又はその者がこれを希望するときは、更生緊急保護の制度 及び申出の手続について記載した書面 並びにその者に対する更生緊急保護の必要性に関する意見 その他参考となる事項を記載した書面をその者に交付しなければならない。
矯正施設の長は、収容中の者が釈放後の更生緊急保護を希望するときは、更生緊急保護の制度 及び申出の手続について記載した書面をその者に交付しなければならない。
矯正施設の長は、収容中の者が更生緊急保護の申出をしたときは、その者に対する更生緊急保護の必要性に関する意見 その他参考となる事項を保護観察所の長に通知するものとする。
保護観察所の長は、前条第一項の申出をした者について、更生緊急保護を行う必要があるか否かを判断するため、その者の性格、年齢、経歴、心身の状況、家庭環境、交友関係、被害者等の状況 及び被害者等の被害の回復 又は軽減のためにとった行動の状況、親族の状況、生活の能力、生活の計画 その他の事項について、同項の申出をした者との面接、同条第二項 及び第四項の更生緊急保護の必要性に関する意見 その他参考となる事項を記載した書面 その他による必要な調査を行わなければならない。
第四十二条第一項から第三項まで 並びに第四十三条第一項 及び第二項の規定は、更生緊急保護について準用する。
この場合において、
第四十二条第一項中
「指導監督 及び補導援護の方法、保護観察を実施する上での留意事項等」とあるのは
「更生緊急保護としてとるべき措置の内容」と、
「保護観察付一部猶予者について仮釈放中の保護観察に引き続き猶予期間中の保護観察を開始したとき その他」とあるのは
「更生緊急保護の措置の内容に照らし、」と、
第四十三条第一項中
「指導監督及び補導援護」とあるのは
「更生緊急保護」と
読み替えるものとする。
保護観察所の長は、法第八十六条第三項本文の規定により検察官 又は矯正施設の長の意見を聴き、及び第百十九条の規定による調査を行った結果、更生緊急保護を行う必要があると認めるときは、当該意見 及び調査の結果を踏まえ、当該更生緊急保護としてとるべき措置を選定するものとする。この場合において、法第八十五条第三項の規定により、当該措置を委託するときは、その委託先 及び委託期間を定めなければならない。
保護観察所の長は、前項の規定により選定した措置の内容 並びに同項の規定により定めた委託先 及び委託期間を、第百十八条第一項の規定による申出をした者に知らせなければならない。
保護観察所の長は、急速を要するときは、法第八十六条第三項本文の規定にかかわらず、必要な措置をとることができる。
法第八十五条第四項ただし書に規定する改善更生を保護するため特に必要があると認められるときとは、次の各号のいずれにも該当するときとする。
更生緊急保護の対象となる者の心身の状況、生活環境等に改善更生を妨げる特別の事情があると認められること。
更生緊急保護の対象となる者について、改善更生の意欲 及びそのための努力が顕著に認められること。
現に更生緊急保護を受けている者にあっては、その者が公共の衛生福祉に関する機関 その他の機関から必要な保護を受けることができるようあっせんしたにもかかわらず、なおその改善更生を保護する必要があること。
保護観察所の長は、現に更生緊急保護を受けている者が、法第八十五条第四項ただし書の規定により、引き続きこれを受けようとするときは、改めて第百十八条第一項の規定による申出をさせなければならない。
第百十九条 及び前条の規定は、前項の規定により改めて第百十八条第一項の規定による申出があった場合について準用する。
この場合において、
第百十九条中
「、更生緊急保護」とあるのは
「、法第八十五条第四項ただし書の規定による更生緊急保護」と、
「同項」とあるのは
「前条第一項」と、
「、同条第二項の更生緊急保護の必要性に関する意見 その他参考となる事項を記載した書面 その他」とあるのは
「その他」と、
前条中
「法第八十六条第三項本文の規定により検察官 又は矯正施設の長の意見を聴き、及び前条」とあるのは
「前条」と、
「意見 及び調査」とあるのは
「調査」と、
「更生緊急保護」とあるのは、
「法第八十五条第四項ただし書の規定による更生緊急保護」と
読み替えるものとする。
第五十九条から第六十二条までの規定は、その性質に反しない限り、法第八十五条第三項の規定により更生緊急保護を委託して行う場合について準用する。