総合法律支援の実施 及び体制の整備は、次条から第七条までの規定に定めるところにより、民事、刑事を問わず、あまねく全国において、法による紛争の解決に必要な情報やサービスの提供が受けられる社会を実現することを目指して行われるものとする。
総合法律支援法
第二章 総合法律支援の実施及び体制の整備
総合法律支援の実施 及び体制の整備に当たっては、法による紛争の迅速かつ適切な解決に資するよう、裁判 その他の法による紛争の解決のための制度を有効に利用するための情報 及び資料のほか、弁護士、弁護士法人、弁護士・外国法事務弁護士共同法人 及び隣接法律専門職者の業務 並びに弁護士会、日本弁護士連合会 及び隣接法律専門職者団体(隣接法律専門職者が法律により設立を義務付けられている法人 及びその法人が法律により設立を義務付けられている法人をいう。以下同じ。)の活動に関する情報 及び資料が提供される態勢の充実強化が図られなければならない。
総合法律支援の実施 及び体制の整備に当たっては、資力の乏しい者 その他の法による紛争の解決に必要なサービスの提供を求めることに困難がある者にも民事裁判等手続(裁判所における民事事件、家事事件 又は行政事件に関する手続をいう。以下同じ。)及び行政不服申立手続(行政不服審査法(平成二十六年法律第六十八号)による不服申立ての手続をいう。第三十条第一項第二号において同じ。)の利用をより容易にする民事法律扶助事業が公共性の高いものであることに鑑み、その適切な整備 及び発展が図られなければならない。
総合法律支援の実施 及び体制の整備に当たっては、迅速かつ確実に国選弁護人(刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)の規定に基づいて裁判所 若しくは裁判長 又は裁判官が被告人 又は被疑者に付する弁護人をいう。以下同じ。)及び国選付添人(少年法(昭和二十三年法律第百六十八号)の規定に基づいて裁判所が少年に付する弁護士である付添人をいう。以下同じ。)の選任 並びに国選被害者参加弁護士(犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律(平成十二年法律第七十五号。以下「犯罪被害者等保護法」という。)の規定に基づいて裁判所が選定する犯罪被害者等保護法第十一条第一項に規定する被害者参加弁護士をいう。以下同じ。)の選定が行われる態勢の確保が図られなければならない。
総合法律支援の実施 及び体制の整備に当たっては、被害者等(犯罪により害を被った者 又はその者が死亡した場合 若しくはその心身に重大な故障がある場合におけるその配偶者、直系の親族 若しくは兄弟姉妹をいう。以下同じ。)が刑事手続に適切に関与するとともに、被害者等が受けた損害 又は苦痛の回復 又は軽減を図るための制度 その他の被害者等の援助に関する制度を十分に利用することのできる態勢の充実が図られなければならない。
総合法律支援の実施 及び体制の整備に当たっては、国、地方公共団体、弁護士会、日本弁護士連合会 及び隣接法律専門職者団体、弁護士、弁護士法人、弁護士・外国法事務弁護士共同法人 及び隣接法律専門職者、裁判外紛争解決手続(裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律(平成十六年法律第百五十一号)第一条に規定する裁判外紛争解決手続をいう。第三十条第一項第十号 及び第三十二条第三項において同じ。)を行う者、被害者等の援助を行う団体 その他の者 並びに高齢者 又は障害者の援助を行う団体 その他の関係する者の間における連携の確保 及び強化が図られなければならない。
国は、第二条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、総合法律支援の実施 及び体制の整備に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。
地方公共団体は、総合法律支援の実施 及び体制の整備が住民福祉の向上に寄与するものであることにかんがみ、その地域における総合法律支援の実施 及び体制の整備に関し、国との適切な役割分担を踏まえつつ、必要な措置を講ずる責務を有する。
隣接法律専門職者 及び隣接法律専門職者団体は、総合法律支援の意義 及び自らの職責にかんがみ、基本理念にのっとり、総合法律支援の実施 及び体制の整備のために必要な協力をするよう努めるものとする。
政府は、第八条の施策を実施するため必要な法制上 又は財政上の措置 その他の措置を講じなければならない。
この法律の運用に当たっては、弁護士 及び隣接法律専門職者の職務の特性に常に配慮しなければならない。