この法律において「自然再生」とは、過去に損なわれた生態系 その他の自然環境を取り戻すことを目的として、関係行政機関、関係地方公共団体、地域住民、特定非営利活動法人(特定非営利活動促進法(平成十年法律第七号)第二条第二項に規定する特定非営利活動法人をいう。以下同じ。)、自然環境に関し専門的知識を有する者等の地域の多様な主体が参加して、河川、湿原、干潟、藻場、里山、里地、森林 その他の自然環境を保全し、再生し、若しくは創出し、又はその状態を維持管理することをいう。
この法律において「自然再生事業」とは、自然再生を目的として実施される事業をいう。
この法律において「土地の所有者等」とは、土地 若しくは木竹の所有者 又は土地 若しくは木竹の使用 及び収益を目的とする権利、漁業権 若しくは入漁権(臨時設備 その他一時使用のため設定されたことが明らかなものを除く。)を有する者をいう。
自然再生事業の実施に当たっては、自然環境の保全に関する学習(以下「自然環境学習」という。)の重要性にかんがみ、自然環境学習の場として活用が図られるよう配慮されなければならない。
この法律に基づいて自然再生事業を実施しようとする者(河川法(昭和三十九年法律第百六十七号)、港湾法(昭和二十五年法律第二百十八号)その他の法律の規定に基づき自然再生事業の対象となる区域の一部 又は全部を管理する者からの委託を受けて自然再生事業を実施しようとする者を含む。以下「実施者」という。)は、基本理念にのっとり、自然再生事業の実施に主体的に取り組むよう努めなければならない。
政府は、自然再生に関する施策を総合的に推進するための基本方針(以下「自然再生基本方針」という。)を定めなければならない。
次条第一項に規定する協議会に関する基本的事項
次条第二項第一号の自然再生全体構想 及び第九条第一項に規定する自然再生事業実施計画の作成に関する基本的事項
環境大臣は、自然再生基本方針の案を作成しようとするときは、あらかじめ、広く一般の意見を聴かなければならない。
環境大臣は、第三項の規定による閣議の決定があったときは、遅滞なく、自然再生基本方針を公表しなければならない。
自然再生基本方針は、自然再生事業の進捗状況等を踏まえ、おおむね五年ごとに見直しを行うものとする。
第三項から第五項までの規定は、自然再生基本方針の変更について準用する。
実施者は、次項に規定する事務を行うため、当該実施者のほか、地域住民、特定非営利活動法人、自然環境に関し専門的知識を有する者、土地の所有者等 その他の当該実施者が実施しようとする自然再生事業 又はこれに関連する自然再生に関する活動に参加しようとする者 並びに関係地方公共団体 及び関係行政機関からなる自然再生協議会(以下「協議会」という。)を組織するものとする。
次条第一項に規定する自然再生事業実施計画の案について協議すること。
前項第一号の自然再生全体構想(以下「自然再生全体構想」という。)は、自然再生基本方針に即して、次の事項を定めるものとする。
実施者は、自然再生基本方針に基づき、自然再生事業の実施に関する計画(以下「自然再生事業実施計画」という。)を作成しなければならない。
実施者は、自然再生事業実施計画を作成しようとするときは、あらかじめ、その案について協議会において十分に協議するとともに、その協議の結果に基づいて作成しなければならない。
実施者は、自然再生事業実施計画を作成したときは、主務省令で定めるところにより、遅滞なく、主務大臣 及び当該自然再生事業実施計画に係る自然再生事業の対象となる区域の所在地を管轄する都道府県知事に、当該自然再生事業実施計画の写し(当該自然再生事業実施計画の添付書類の写しを含む。以下同じ。)及び当該自然再生事業実施計画に係る自然再生全体構想の写し(当該自然再生全体構想の添付書類の写しを含む。以下同じ。)を送付しなければならない。
主務大臣 及び都道府県知事は、前項の規定により自然再生事業実施計画の写し 及び自然再生全体構想の写しの送付を受けたときは、実施者に対し、当該自然再生事業実施計画に関し必要な助言をすることができる。
この場合において、主務大臣は、第十七条第二項の自然再生専門家会議の意見を聴くものとする。
第三項から前項までの規定は、自然再生事業実施計画の変更について準用する。
主務大臣は、毎年、自然再生事業の進捗状況を公表しなければならない。
主務大臣は、第九条第五項(同条第七項において準用する場合を含む。)の規定により自然再生事業実施計画の写し 及び自然再生全体構想の写しの送付を受けたときは、これを公表しなければならない。
環境省、農林水産省 及び国土交通省は、自然環境に関し専門的知識を有する者によって構成する自然再生専門家会議を設け、前項の連絡調整を行うに際しては、その意見を聴くものとする。