船員が職務上負傷し、又は疾病にかかつたときは、船舶所有者は、その負傷 又は疾病がなおるまで、その費用で療養を施し、又は療養に必要な費用を負担しなければならない。
船員法
第十章 災害補償
船員が雇入契約存続中職務外で負傷し、又は疾病にかかつたときは、船舶所有者は、三箇月の範囲内において、その費用で療養を施し、又は療養に必要な費用を負担しなければならない。
但し、その負傷 又は疾病につき船員に故意 又は重大な過失のあつたときは、この限りでない。
前条の療養は、次の各号のものとする。
診察
薬剤 又は治療材料の支給
処置、手術 その他の治療
居宅における療養上の管理 及びその療養に伴う世話 その他の看護
病院 又は診療所への入院 及びその療養に伴う世話 その他の看護
治療に必要な自宅以外の場所への収容(食料の支給を含む。)
移送
船員が職務上負傷し、又は疾病にかかつたときは、船舶所有者は、四箇月の範囲内においてその負傷 又は疾病がなおるまで毎月一回、国土交通省令の定める報酬(以下標準報酬という。)の月額に相当する額の傷病手当を支払い、その四箇月が経過しても その負傷 又は疾病がなおらないときは、そのなおるまで毎月一回、標準報酬の月額の百分の六十に相当する額の傷病手当を支払わなければならない。
船舶所有者は、前項の負傷 又は疾病がなおつた後遅滞なく、標準報酬の月額の百分の六十に相当する額の予後手当を支払わなければならない。
前二項の規定は、負傷 又は疾病につき船員に故意 又は重大な過失のあつたときは、これを適用しない。
船員の職務上の負傷 又は疾病がなおつた場合において、なおその船員の身体に障害が存するときは、船舶所有者は、なおつた後遅滞なく、標準報酬の月額に障害の程度に応じ別表に定める月数を乗じて得た額の障害手当を支払わなければならない。
但し、その負傷 又は疾病につき船員に故意 又は重大な過失のあつたときは、この限りでない。
船舶所有者は、船員が職務上行方不明となつたときは、三箇月の範囲内において、行方不明期間中毎月一回、国土交通省令の定める被扶養者に標準報酬の月額に相当する額の行方不明手当を支払わなければならない。
但し、行方不明の期間が一箇月に満たない場合は、この限りでない。
船員が職務上死亡したときは、船舶所有者は、遅滞なく、国土交通省令の定める遺族に標準報酬の月額の三十六箇月分に相当する額の遺族手当を支払わなければならない。船員が職務上の負傷 又は疾病に因り死亡したときも同様とする。
船員が職務上死亡したときは、船舶所有者は、遅滞なく、国土交通省令の定める遺族で葬祭を行う者に標準報酬の月額の二箇月分に相当する額の葬祭料を支払わなければならない。船員が職務上の負傷 又は疾病に因り死亡したときも同様とする。
第八十九条から前条までの規定により療養 又は費用、手当 若しくは葬祭料の支払(以下災害補償と総称する。)を受くべき者が、その災害補償を受くべき事由と同一の事由により労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)若しくは船員保険法による保険給付 又は国土交通省令で指定する法令に基いて災害補償に相当する給付を受くべきときは、船舶所有者は、災害補償の責を免れる。
職務上の負傷、疾病、行方不明 又は死亡の認定、療養の方法、災害補償の金額の決定 その他災害補償の実施に関して異議のある者は、国土交通大臣に対して審査 又は事件の仲裁を申し立てることができる。
国土交通大臣は、必要があると認めるときは、職権で審査 又は事件の仲裁をすることができる。
国土交通大臣は、審査 又は事件の仲裁に際し船長 その他の関係人の意見を聴かなければならない。
国土交通大臣は、審査 又は事件の仲裁のため必要があると認めるときは、医師に診断 又は検案をさせることができる。
第一項の規定による審査 又は事件の仲裁の申立て 及び第二項の規定による審査 又は事件の仲裁の開始は、時効の完成猶予 及び更新に関しては、これを裁判上の請求とみなす。