警察官は、職務の執行に当たり拳銃の使用が予想される場合においては、あらかじめ拳銃を取り出しておくことができる。
警察官等拳銃使用及び取扱い規範
第2章 使用等
前項の規定により拳銃を取り出しておく場合には、拳銃を奪取されることのないよう細心の注意を払うとともに、相手を殊更に刺激しないよう配慮しなければならない。
警察官は、法第7条本文に規定する場合においては、相手に向けて拳銃を構えることができる。
前項の規定により拳銃を構える場合には、相手の人数、凶器の有無 及び種類、犯罪の態様 その他の事情に応じ、適切な構え方をするものとする。
拳銃を撃とうとするときは、拳銃を撃つことを相手に予告するものとする。
ただし、事態が急迫であつて予告するいとまのないとき 又は予告することにより相手の違法行為等を誘発するおそれがあると認めるときは、この限りでない。
警察官は、法第7条本文に規定する場合において、多衆を相手にするとき、相手に向けて拳銃を構えても相手が行為を中止しないと認めるとき その他威嚇のため拳銃を撃つことが相手の行為を制止する手段として適当であると認めるときは、上空 その他の安全な方向に向けて拳銃を撃つことができる。
前項の規定により威嚇射撃をする場合には、人に危害を及ぼし、又は損害を与えることのないよう、射撃の時機 及び方向に注意するとともに、その回数も必要最小限にとどめるものとする。
事態が急迫であつて威嚇射撃をするいとまのないとき、威嚇射撃をしても相手が行為を中止しないと認めるとき 又は周囲の状況に照らし人に危害を及ぼし、若しくは損害を与えるおそれがあると認めるときは、次条の規定による射撃に先立つて威嚇射撃をすることを要しない。
第1項に定めるもののほか、警察官は、法第7条本文に規定する場合においては、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度において、狂犬等の動物 その他の物に向けて拳銃を撃つことができる。
警察官は、法第7条ただし書に規定する場合には、相手に向けて拳銃を撃つことができる。
前項の規定により拳銃を撃つときは、相手以外の者に危害を及ぼし、又は損害を与えないよう、事態の急迫の程度、周囲の状況 その他の事情に応じ、必要な注意を払わなければならない。
多衆犯罪の鎮圧等のため、警察官が部隊組織により行動する場合において、第5条から前条までの規定により拳銃を使用するときは、その場の部隊指揮官の命令によらなければならない。
ただし、状況が急迫で命令を受けるいとまのないときは、この限りでない。
前項に定めるもののほか、複数の警察官が共同で職務を遂行する場合において、第5条から前条までの規定による拳銃の使用が予想されるときは、相手の行為を制止する時機を失することのないよう、できる限り、拳銃の使用に係る適切な役割分担(前2条の規定による射撃を率先して行うべき警察官にはあらかじめ明確にその旨の任務を付与すること その他の現場において拳銃の使用に係る判断を迅速かつ的確に行うため必要な役割の分担をいう。)の下で、拳銃の的確な使用に努めるものとする。
犯罪、事故等の発生等に際し、警察官をその現場に向かわせる職務を担当する者は、複数の警察官を拳銃の使用が予想される現場に向かわせる場合には、できる限り、前項に規定する拳銃の使用に係る適切な役割分担が行われるよう、必要な指示をするものとする。
警察官は、拳銃を撃つたとき(盲発したときを含む。)は、直ちに、次の各号に掲げる事項(人に危害を与えていない場合は、第1号、第2号 及び第4号に掲げる事項)を所属長に報告しなければならない。
ただし、訓練の場合は、この限りでない。
使用の日時 及び場所
使用者の所属、官職 及び氏名
危害の内容 及び程度
使用の理由 及び状況
事案に対する処置
その他参考事項(使用した拳銃の名称、型式、口径、銃身長 及び番号を含む。)
前条第1項本文の規定により拳銃を使用した場合における前項の規定による報告は、命令を発した部隊指揮官が行うものとする。
所属長は、前2項の報告を受けたときは、直ちに所轄庁の長に報告しなければならない。
所轄庁の長(警察庁長官(以下「長官」という。)を除く。)は、人に危害を与えた事案につき前項の報告を受けたときは、直ちに長官に報告しなければならない。