いじめ防止対策推進法

# 平成二十五年法律第七十一号 #
略称 : いじめ対策法 

第一章 総則

分類 法律
カテゴリ   教育
@ 施行日 : 令和六年四月一日 ( 2024年 4月1日 )
@ 最終更新 : 令和五年法律第八十八号による改正
最終編集日 : 2024年 04月27日 20時50分


1項

この法律は、いじめが、いじめを受けた児童等の教育を受ける権利を著しく侵害し、その心身の健全な成長 及び人格の形成に重大な影響を与えるのみならず、その生命 又は身体に重大な危険を生じさせるおそれがあるものであることに鑑み、児童等の尊厳を保持するため、いじめの防止等(いじめの防止、いじめの早期発見 及びいじめへの対処をいう。以下同じ。)のための対策に関し、基本理念を定め、国 及び地方公共団体等の責務を明らかにし、並びにいじめの防止等のための対策に関する基本的な方針の策定について定めるとともに、いじめの防止等のための対策の基本となる事項を定めることにより、いじめの防止等のための対策を総合的かつ効果的に推進することを目的とする。

1項

この法律において「いじめ」とは、児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等 当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的 又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものをいう。

2項

この法律において「学校」とは、学校教育法昭和二十二年法律第二十六号第一条に規定する小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校 及び特別支援学校(幼稚部を除く)をいう。

3項

この法律において「児童等」とは、学校に在籍する児童 又は生徒をいう。

4項

この法律において「保護者」とは、親権を行う者(親権を行う者のないときは、未成年後見人)をいう。

1項

いじめの防止等のための対策は、いじめが全ての児童等に関係する問題であることに鑑み、児童等が安心して学習 その他の活動に取り組むことができるよう、学校の内外を問わずいじめが行われなくなるようにすることを旨として行われなければならない。

2項

いじめの防止等のための対策は、全ての児童等がいじめを行わず、及び他の児童等に対して行われるいじめを認識しながらこれを放置することがないようにするため、いじめが児童等の心身に及ぼす影響 その他のいじめの問題に関する児童等の理解を深めることを旨として行われなければならない。

3項

いじめの防止等のための対策は、いじめを受けた児童等の生命 及び心身を保護することが特に重要であることを認識しつつ、国、地方公共団体、学校、地域住民、家庭 その他の関係者の連携の下、いじめの問題を克服することを目指して行われなければならない。

1項

児童等は、いじめを行ってはならない。

1項

国は、第三条の基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、いじめの防止等のための対策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。

1項

地方公共団体は、基本理念にのっとり、いじめの防止等のための対策について、国と協力しつつ、当該地域の状況に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。

1項

学校の設置者は、基本理念にのっとり、その設置する学校におけるいじめの防止等のために必要な措置を講ずる責務を有する。

1項

学校 及び学校の教職員は、基本理念にのっとり、当該学校に在籍する児童等の保護者、地域住民、児童相談所 その他の関係者との連携を図りつつ、学校全体でいじめの防止 及び早期発見に取り組むとともに、当該学校に在籍する児童等がいじめを受けていると思われるときは、適切かつ迅速にこれに対処する責務を有する。

1項

保護者は、子の教育について第一義的責任を有するものであって、その保護する児童等がいじめを行うことのないよう、当該児童等に対し、規範意識を養うための指導 その他の必要な指導を行うよう努めるものとする。

2項

保護者は、その保護する児童等がいじめを受けた場合には、適切に当該児童等をいじめから保護するものとする。

3項

保護者は、国、地方公共団体、学校の設置者 及びその設置する学校が講ずるいじめの防止等のための措置に協力するよう努めるものとする。

4項

第一項の規定は、家庭教育の自主性が尊重されるべきことに変更を加えるものと解してはならず、また、前三項の規定は、いじめの防止等に関する学校の設置者 及びその設置する学校の責任を軽減するものと解してはならない。

1項

国 及び地方公共団体は、いじめの防止等のための対策を推進するために必要な財政上の措置 その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。