起業地の全部 又は一部について起業者と土地所有者 及び関係人の全員との間に権利を取得し、又は消滅させるための協議が成立したときは、起業者は、第二十六条第一項の規定による事業の認定の告示があつた日以後収用 又は使用の裁決の申請前に限り、当該土地所有者 及び関係人の同意を得て、当該土地の所在する都道府県の収用委員会に協議の確認を申請することができる。
土地収用法
第八章 収用又は使用に関する特別手続
第二節 協議の確認
起業者は、前項の規定による申請をしようとするときは、国土交通省令で定める様式に従い、土地所有者 及び関係人の同意を得たことを証する書面を添えて、左に掲げる事項を記載した確認申請書を収用委員会に提出しなければならない。
前号の土地の土地所有者 及び関係人の氏名 及び住所
第十九条の規定は、前条第二項の規定による確認申請書の欠陥の補正について準用する。
この場合において、
「前条」とあるのは
「第百十六条第二項」と、
「事業認定申請書」とあるのは
「確認申請書」と、
「国土交通大臣 又は都道府県知事」とあるのは
「収用委員会」と
読み替えるものとする。
収用委員会は、第百十六条第二項の規定による確認申請書を受理したときは、前条において準用する第十九条第二項の規定により確認申請書を却下する場合を除くの外、市町村別に当該市町村に関係のある部分の写を当該市町村長に送付しなければならない。
市町村長は、前項の規定による書類を受け取つたときは、直ちに、確認の申請があつた旨を公告し、公告があつた日から二週間 その書類を公衆の縦覧に供しなければならない。
市町村長は、前項の規定による公告をしたときは、遅滞なく、公告の日を収用委員会に報告しなければならない。
第二項の規定による公告があつたときは、利害関係人は、同項の縦覧期間内に、収用委員会に、協議の成立 及び内容について、書面により、異議を申し出ることができる。
収用委員会は、第百十六条の規定による協議の確認の申請が法令の規定に違反せず、前項の規定による異議の申出がなく、又は異議の申出があつた場合においてその異議の申出が同項の規定に違反し、若しくは理由のないことが明らかであり、且つ、協議の内容が第七章の規定に適合するときは、第百十六条第二項各号に掲げる事項について確認をしなければならない。
収用委員会は、第百十六条の規定による協議の確認の申請があつた場合において、その申請が前条第五項の規定に該当しないときは、確認を拒否しなければならない。
但し、異議の申出が申請に係る土地の一部に関するものであつて、他の部分に影響がないときは、その影響のない部分について、確認をしなければならない。
第六十六条の規定は、第百十八条第五項 若しくは前条但書の規定による確認 又は前条本文の規定による確認の拒否に準用する。
この場合において、
「裁決」とあるのは
「確認 又は確認の拒否」と、
「裁決書」とあるのは
「確認書 及び確認拒否書」と、
「起業者、土地所有者 及び関係人」とあるのは
「起業者、土地所有者、関係人 及び第百十八条第四項の規定によつて異議を申し立てた利害関係人」と
読み替えるものとする。
第百十八条第五項 又は第百十九条但書の規定による確認があつたときは、この法律の適用については、同時に権利取得裁決と明渡裁決があつたものとみなす。
この場合において、起業者、土地所有者 及び関係人は、協議の成立 及び内容を争うことができない。
第三節 緊急に施行する必要がある事業のための土地の使用
非常災害に際し公共の安全を保持するために第三条各号の一に規定する事業を特に緊急に施行する必要がある場合においては、起業者は、事業の種類、使用しようとする土地の区域 並びに使用の方法 及び期間について市町村長の許可を受け、直ちに、他人の土地を使用することができる。
但し、起業者が国であるときは当該事業の施行について権限を有する行政機関 又はその地方支分部局の長が、起業者が都道府県であるときは都道府県知事が、事業の種類、使用しようとする土地の区域 並びに使用の方法 及び期間を市町村長に通知することをもつて足り、許可を受けることを要しない。
前項の規定によつて使用する土地の区域 並びに使用の方法 及び期間は、公共の安全を保持するために必要且つやむを得ないと認められる範囲をこえてはならない。
市町村長は、第一項本文の規定による許可をしたとき、又は同項但書の規定による通知を受けたときは、直ちに、起業者の名称、事業の種類、使用しようとする土地の区域 並びに使用の方法 及び期間を土地の所有者 及び占有者に通知しなければならない。
第一項の規定による使用の期間は、許可があつた日(同項但書の場合にあつては、市町村長に通知をした日)から六月をこえることができない。
収用委員会は、第三十九条の規定による裁決の申請に係る事業を緊急に施行する必要がある場合で、明渡裁決が遅延することによつて事業の施行が遅延し、その結果、災害を防止することが困難となり、その他公共の利益に著しく支障を及ぼす虞があるときは、起業者の申立により、土地の区域 及び使用の方法を定め、起業者に担保を提供させた上で、直ちに、当該土地を使用することを許可することができる。
前項の規定による使用の期間は、六月とする。
使用の許可の期間の更新は、行うことができない。
収用委員会は、第一項の規定による許可をしたときは、直ちに、起業者の名称、事業の種類、使用しようとする土地の区域 並びに使用の方法 及び期間を土地の所有者 及び占有者に通知しなければならない。
起業者は、第一項の場合において、土地所有者 及び関係人の請求があるときは、自己の見積つた損失補償額を払い渡さなければならない。
第一項の規定による使用の許可があつた後、明渡裁決があつたときは当該明渡裁決において定められた明渡しの期限において、第四十七条の規定によつて却下の裁決があつたときはその裁決の時期において、第一項の規定による使用の許可は、第二項の規定にかかわらず、その効力を失う。
第八十三条第四項から第七項までの規定は、第一項の規定によつて提供すべき担保 並びにその取得 及び取りもどしについて準用する。
この場合において、
同条第四項中
「前項」とあるのは
「第百二十三条第一項」と、
同条第五項 及び第六項中
「工事を完了」とあるのは
「補償の支払を」と、
同条第五項中
「耕地の造成による損失の補償」とあるのは
「損失の補償」と
読み替えるものとする。
起業者は、第百二十二条第一項の規定によつて土地の使用の許可を受け、若しくは市町村長に通知した場合、前条第二項の規定による使用の期間が満了した場合 又は同条第五項の規定によつて使用の許可が失効した場合においては、土地を使用することに因つて生ずる損失を第六章第一節(第七十二条、第七十三条、第七十四条第二項、第七十八条、第七十九条、第八十条の二第二項 及び第八十一条を除く。)の規定によつて補償しなければならない。
この場合において、損失の補償は、使用の時期の価格(土地 又は土地に関する所有権以外の権利に対する損失の補償については、その土地 及び近傍類地の地代 及び借賃等を考慮して算定した使用の時期の価格)によつて算定しなければならない。
第九十四条(第六項を除く。)の規定は、前項の場合に準用する。
この場合において、
同条第一項中
「前三条」とあるのは
「第百二十四条第一項」と、
同条第八項中
「第六項」とあるのは
「第百二十四条第三項において準用する第六項」と
読み替えるものとする。
第九十四条第六項の規定は、収用委員会が前項において準用する第九十四条第五項の規定によつて審理をする場合に準用する。
この場合において
「第九十四条」とあるのは、
「第百二十四条第二項において準用する第九十四条」と
読み替えるものとする。