家事事件手続法

# 平成二十三年法律第五十二号 #

第四節 審判前の保全処分

分類 法律
カテゴリ   民事
@ 施行日 : 令和六年四月一日 ( 2024年 4月1日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第百二号による改正
最終編集日 : 2024年 04月27日 10時48分


1項

本案の家事審判事件(家事審判事件に係る事項について家事調停の申立てがあった場合にあっては、その家事調停事件)が係属する家庭裁判所は、この法律の定めるところにより、仮差押え、仮処分、財産の管理者の選任 その他の必要な保全処分を命ずる審判をすることができる。

2項

本案の家事審判事件が高等裁判所に係属する場合には、その高等裁判所が、前項の審判に代わる裁判をする。

1項

審判前の保全処分(前条第一項の審判 及び同条第二項の審判に代わる裁判をいう。以下同じ。)の申立ては、その趣旨 及び保全処分を求める事由を明らかにしてしなければならない。

2項

審判前の保全処分の申立人は、保全処分を求める事由を疎明しなければならない。

3項

家庭裁判所(前条第二項の場合にあっては、高等裁判所)は、審判前の保全処分の申立てがあった場合において、必要があると認めるときは、職権で、事実の調査 及び証拠調べをすることができる。

4項

審判前の保全処分の申立ては、審判前の保全処分があった後であっても、その全部 又は一部を取り下げることができる。

1項

審判前の保全処分のうち仮の地位を定める仮処分を命ずるものは、審判を受ける者となるべき者の陳述を聴かなければ、することができない


ただし、その陳述を聴く手続を経ることにより保全処分の目的を達することができない事情があるときは、この限りでない。

1項

家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所)は、第四十七条第三項規定にかかわらず、審判前の保全処分の事件について、当事者から同条第一項 又は第二項の規定による許可の申立てがあった場合には、審判前の保全処分の事件における審判を受ける者となるべき者に対し、当該事件が係属したことを通知し、又は審判前の保全処分を告知するまでは、相当と認めるときに限り、これを許可することができる。

1項

審判前の保全処分は、疎明に基づいてする。

2項

審判前の保全処分については、第七十四条第二項ただし書の規定は、適用しない

3項

審判前の保全処分の執行 及び効力は、民事保全法平成元年法律第九十一号)その他の仮差押え 及び仮処分の執行 及び効力に関する法令の規定に従う。


この場合において、

同法第四十五条
仮に差し押さえるべき物 又は係争物の所在地を管轄する地方裁判所」とあるのは、
「本案の家事審判事件(家事審判事件に係る事項について家事調停の申立てがあった場合にあっては、その家事調停事件)が係属している家庭裁判所(当該家事審判事件が高等裁判所に係属しているときは、原裁判所)」と

する。

1項

審判前の保全処分(第百五条第二項の審判に代わる裁判を除く次項において同じ。)の申立人は、申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。


ただし、次に掲げる保全処分の申立てを却下する審判については、この限りでない。

一 号

第百二十六条第一項第百三十四条第一項 及び第百四十三条第一項において準用する場合を含む。)、第百五十八条第一項第二百四十二条第三項において準用する場合を含む。)及び第二百条第一項の規定による財産の管理者の選任 又は財産の管理等に関する指示の保全処分

二 号

第百二十七条第一項第百三十五条第百四十四条第百八十一条 及び第二百二十五条第一項において準用する場合を含む。)、第百六十六条第一項同条第五項において準用する場合を含む。)、第百七十四条第一項第二百四十二条第三項において準用する場合を含む。)、第百七十五条第三項 及び第二百十五条第一項の規定による職務代行者の選任の保全処分

2項

本案の家事審判の申立てについての審判(申立てを却下する審判を除く)に対し即時抗告をすることができる者は、審判前の保全処分(前項各号に掲げる保全処分を命ずる審判を除く)に対し、即時抗告をすることができる。

1項

前条第二項の規定により即時抗告が提起された場合において、原審判の取消しの原因となることが明らかな事情 及び原審判の執行により償うことができない損害を生ずるおそれがあることについて疎明があったときは、抗告裁判所は、申立てにより、即時抗告についての裁判が効力を生ずるまでの間、担保を立てさせて、若しくは担保を立てることを条件として、若しくは担保を立てさせないで原審判の執行の停止を命じ、又は担保を立てさせて、若しくは担保を立てることを条件として既にした執行処分の取消しを命ずることができる。


審判前の保全処分の事件の記録が家庭裁判所に存する間は、家庭裁判所も、これらの処分を命ずることができる。

2項

第百六条第二項 及び第三項の規定は、前項の申立てについて準用する。

1項

審判前の保全処分が確定した後に、保全処分を求める事由の消滅 その他の事情の変更があるときは、本案の家事審判事件(家事審判事件に係る事項について家事調停の申立てがあった場合にあっては、その家事調停事件)が係属する家庭裁判所 又は審判前の保全処分をした家庭裁判所は、本案の家事審判の申立てについての審判(申立てを却下する審判を除く)に対し即時抗告をすることができる者の申立てによ り又は職権で、審判前の保全処分の取消しの審判をすることができる。

2項

本案の家事審判事件が高等裁判所に係属する場合には、その高等裁判所が、前項の審判前の保全処分の取消しの審判に代わる裁判をする。

3項

第百六条並びに第百九条第一項 及び第二項の規定は、第一項の審判前の保全処分の取消しの審判 及び前項の裁判について準用する。

1項

前条第一項の審判前の保全処分の取消しの審判の申立人は、申立てを却下する審判(第百十条第一項各号に掲げる保全処分の取消しの申立てを却下する審判を除く)に対し、即時抗告をすることができる。

2項

審判前の保全処分の申立人は、前条第一項の審判前の保全処分の取消しの審判(第百十条第一項各号に掲げる保全処分の取消しの審判を除く)及び第百十五条において準用する民事保全法第三十三条の規定による原状回復の審判に対し、即時抗告をすることができる。

3項

第百十一条の規定は、前二項の規定による即時抗告に伴う執行停止について準用する。

1項

裁判所書記官は、審判前の保全処分の手続の期日について、調書を作成しなければならない。


ただし、裁判長においてその必要がないと認めるときは、この限りでない。

2項

審判前の保全処分の手続については、第四十六条の規定は、適用しない

1項

民事保全法第四条の規定は審判前の保全処分に関する手続における担保について、同法第十四条第十五条 及び第二十条から第二十四条まで同法第二十三条第四項除く)の規定は審判前の保全処分について、同法第三十三条の規定は審判前の保全処分の取消しの裁判について、同法第三十四条の規定は第百十二条第一項の審判前の保全処分の取消しの審判について準用する。