少年院法
第二節 矯正教育の内容
将来の進路を定めていない在院者に対し前項の生活指導を行うに当たっては、その特性に応じた将来の進路を選択する能力の習得に資するよう特に配慮しなければならない。
次に掲げる事情を有する在院者に対し第一項の生活指導を行うに当たっては、その事情の改善に資するよう特に配慮しなければならない。
少年院の長は、第一項の生活指導を行うに当たっては、被害者等の被害に関する心情、被害者等の置かれている状況 及び前条第二項の規定により聴取した心情等を考慮するものとする。
少年院の長は、法務省令で定めるところにより、被害者等から、前条第二項の規定により聴取した心情等を在院者に伝達することを希望する旨の申出があったときは、第一項の生活指導を行うに当たり、当該心情等を在院者に伝達するものとする。
ただし、その伝達をすることが当該在院者の改善更生を妨げるおそれがあるとき その他当該被害に係る事件の性質、矯正教育の実施状況 その他の処遇に関する事情を考慮して相当でないと認めるときは、この限りでない。
前項の職業指導の実施による収入があるときは、その収入は、国庫に帰属する。
少年院の長は、第一項の職業指導を受けた在院者に対しては、出院の際に、法務大臣が定める基準に従い算出した金額の範囲内で、職業上有用な知識 及び技能の習得の状況 その他の事情を考慮して相当と認められる金額の報奨金(次項において「職業能力習得報奨金」という。)を支給することができる。
少年院の長は、在院者がその出院前に職業能力習得報奨金の支給を受けたい旨の申出をした場合において、その使用の目的が、第六十七条第一項第一号に規定する自弁物品等の購入 その他相当なものであると認めるときは、前項の規定にかかわらず、法務省令で定めるところにより、その時に出院したとするならばその在院者に支給することができる職業能力習得報奨金に相当する金額の範囲内で、申出の額の全部 又は一部の金額を支給することができる。
この場合には、その支給額に相当する金額を同項の規定により支給することができる職業能力習得報奨金の金額から減額する。
少年院の長は、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)に定める義務教育を終了しない在院者 その他の社会生活の基礎となる学力を欠くことにより改善更生 及び円滑な社会復帰に支障があると認められる在院者に対しては、教科指導(同法による学校教育の内容に準ずる内容の指導をいう。以下同じ。)を行うものとする。
少年院の長は、前項に規定するもののほか、学力の向上を図ることが円滑な社会復帰に特に資すると認められる在院者に対し、その学力の状況に応じた教科指導を行うことができる。
教科指導により学校教育法第一条に規定する学校(以下単に「学校」という。)のうち、いずれかの学校の教育課程に準ずる教育の全部 又は一部を修了した在院者は、その修了に係る教育の範囲に応じて当該教育課程の全部 又は一部を修了したものとみなす。