所得税法

# 昭和四十年法律第三十三号 #

第八章 更正及び決定

分類 法律
カテゴリ   国税
@ 施行日 : 令和四年十月一日 ( 2022年 10月1日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第七十一号による改正
最終編集日 : 2023年 10月13日 09時19分


1項

所得税に係る更正 又は決定については、国税通則法第二十四条から 第二十六条まで(更正・決定)に規定する事項のほか、第百二十条第一項第六号 又は第七号確定所得申告)に掲げる事項についても行うことができる。


この場合において、当該事項につき更正 又は決定をするときは、

同法第二十八条第二項 及び第三項更正 又は決定の手続)中
税額等」とあるのは、
「税額等 並びに所得税法第百二十条第一項第六号 又は第七号確定所得申告)に掲げる事項」と

する。

2項

所得税につき更正 又は決定をする場合における国税通則法第二十八条第一項に規定する更正通知書 又は決定通知書には、同条第二項 又は第三項に規定する事項を記載するほか、その更正 又は決定に係る第百二十条第一項第一号に掲げる金額 又は第百二十三条第二項第一号確定損失申告)に掲げる純損失の金額についての第二条第一項第二十一号定義)に規定する所得別の内訳を付記しなければならない。

1項

税務署長は、居住者の提出した青色申告書に係る年分の総所得金額、退職所得金額 若しくは山林所得金額 又は純損失の金額の更正をする場合には、その居住者の帳簿書類を調査し、その調査によりこれらの金額の計算に誤りがあると認められる場合に限り、これをすることができる。


ただし、次に掲げる場合は、その帳簿書類を調査しないでその更正をすることを妨げない。

一 号

その更正が不動産所得の金額、事業所得の金額 及び山林所得の金額以外の各種所得の金額の計算又は第六十九条から 第七十一条まで損益通算 及び損失の繰越控除)の規定の適用について誤りがあつたことのみに基因するものである場合

二 号

当該申告書 及びこれに添附された書類に記載された事項によつて、不動産所得の金額、事業所得の金額 又は山林所得の金額の計算がこの法律の規定に従つていないことその他 その計算に誤りがあることが明らかである場合

2項

税務署長は、居住者の提出した青色申告書に係る年分の総所得金額、 退職所得金額 若しくは山林所得金額 又は純損失の金額の更正(前項第一号に規定する事由のみに基因するものを除く)をする場合には、その更正に係る国税通則法第二十八条第二項更正通知書の記載事項)に規定する更正通知書にその更正の理由を附記しなければならない。

1項

税務署長は、居住者に係る所得税につき更正 又は決定をする場合には、その者の財産 若しくは債務の増減の状況、収入 若しくは支出の状況 又は生産量、販売量 その他の取扱量、従業員数その他事業の規模によりその者の各年分の各種所得の金額 又は損失の金額(その者の提出した青色申告書に係る年分の不動産所得の金額、事業所得の金額 及び山林所得の金額 並びにこれらの金額の計算上生じた損失の金額を除く)を推計して、これをすることができる。

1項

税務署長は、次に掲げる法人の行為 又は計算で、 これを容認した場合には その株主等である居住者 又はこれと政令で定める特殊の関係のある居住者(その法人の株主等である非居住者と当該特殊の関係のある居住者を含む。第四項において同じ。)の所得税の負担を不当に減少させる結果となると認められるものがあるときは、その居住者の所得税に係る更正 又は決定に際し、その行為 又は計算にかかわらず、税務署長の認めるところにより、その居住者の各年分の第百二十条第一項第一号 若しくは第三号から 第五号まで確定所得申告)、第百二十二条第一項第一号から 第三号まで還付等を受けるための申告)又は第百二十三条第二項第一号第三号第五号 若しくは第七号確定損失申告)に掲げる金額を計算することができる。

一 号

法人税法第二条第十号(定義)に規定する同族会社

二 号

イから ハまでいずれにも該当する法人

三以上の支店、工場 その他の事業所を有すること。

その事業所の二分の一以上に当たる事業所につき、その事業所の所長、主任 その他のその事業所に係る事業の主宰者 又は当該主宰者の親族 その他の当該主宰者と政令で定める特殊の関係のある個人(以下 この号において「所長等」という。)が前に当該事業所において個人として事業を営んでいた事実があること。

に規定する事実がある事業所の所長等の有するその法人の株式 又は出資の数 又は金額の合計額がその法人の発行済株式 又は出資(その法人が有する自己の株式 又は出資を除く)の総数 又は総額の三分の二以上に相当すること。

2項

前項の場合において、法人が同項各号に掲げる法人に該当するかどうかの判定は、同項に規定する行為 又は計算の事実のあつた時の現況によるものとする。

3項

第一項の規定は、同項各号に掲げる法人の行為 又は計算につき、法人税法第百三十二条第一項(同族会社等の行為 又は計算の否認)若しくは相続税法第六十四条第一項(同族会社等の行為 又は計算の否認等) 又は地価税法平成三年法律第六十九号)第三十二条第一項(同族会社等の行為 又は計算の否認等)の規定の適用があつた場合における第一項の居住者の所得税に係る更正 又は決定について準用する。

4項

税務署長は、合併(法人課税信託に係る信託の併合を含む。)、分割(法人課税信託に係る信託の分割を含む。)、現物出資 若しくは 法人税法第二条第十二号の五の二に規定する現物分配 又は同条第十二号の十六に規定する株式交換等 若しくは株式移転(以下 この項において「合併等」という。)をした法人 又は合併等により資産 及び負債の移転を受けた法人(当該合併等により交付された株式 又は出資を発行した法人を含む。以下 この項において同じ。)の行為 又は計算で、 これを容認した場合には当該合併等をした法人 若しくは当該合併等により資産 及び負債の移転を受けた法人の株主等である居住者 又はこれと第一項に規定する特殊の関係のある居住者の所得税の負担を不当に減少させる結果となると認められるものがあるときは、その居住者の所得税に関する更正 又は決定に際し、その行為 又は計算にかかわらず、税務署長の認めるところにより、その居住者の各年分の第百二十条第一項第一号 若しくは第三号から 第五号まで第百二十二条第一項第一号から 第三号まで 又は第百二十三条第二項第一号第三号第五号 若しくは第七号に掲げる金額を計算することができる。

1項

法人に十五以上の支店、工場 その他の事業所がある場合において、その事業所の三分の二以上に当たる事業所につき、その事業所の所長、主任 その他のその事業所に係る事業の主宰者 又は当該主宰者の親族 その他の当該主宰者と政令で定める特殊の関係のある個人が前に当該事業所において個人として同一事業を営んでいた事実があるときは、その法人の各事業所における資金の預入 及び借入れ、商品の仕入れ 及び販売 その他の取引のすべてがその法人の名で行なわれている場合を除き、税務署長は、当該各事業所の主宰者が当該各事業所から生ずる収益を享受する者であると推定して、更正 又は決定をすることができる。

1項

居住者の各年分の所得税につき更正(当該所得税についての処分等(更正の請求に対する処分 又は国税通則法第二十五条決定)の規定による決定をいう。)に係る不服申立て又は訴えについての決定 若しくは裁決 又は判決を含む。以下 この条 及び次条において「更正等」という。)があつた場合において、その更正等により第百二十二条第一項第一号 若しくは第二号還付等を受けるための申告)又は第百二十三条第二項第六号 若しくは第七号確定損失申告)に掲げる金額が増加したときは、税務署長は、その者に対し、その増加した部分の金額に相当する所得税を還付する。

2項

前項の場合において、同項の規定による還付金の額の計算の基礎となつた第百二十二条第一項第二号 又は第百二十三条第二項第七号に規定する源泉徴収税額のうちにまだ納付されていないものがあるときは、前項の規定による還付金の額のうちその納付されていない部分の金額に相当する金額については、その納付があるまでは、還付しない。

3項

第一項の規定による還付金について還付加算金を計算する場合には、その計算の基礎となる国税通則法第五十八条第一項還付加算金)の期間は、第一項の更正等の日の翌日以後一月を経過する日(当該更正等が次の各号に掲げるものである場合には、当該各号に定める日。以下 この項において「一月経過日」という。)(当該一月経過日後に納付された前項に規定する源泉徴収税額に係る還付金については、その納付の日)の翌日から その還付のための支払決定をする日 又は その還付金につき充当をする日(同日前に充当をするのに適することとなつた日がある場合には、その適することとなつた日)までの期間とする。

一 号

第一項の規定による還付金

同項の決定の日

二 号

第二項の規定による還付金

同項の更正等の日の翌日以後一月を経過する日(当該更正等が次に掲げるものである場合には、それぞれ次に定める日

4項

第一項の規定による還付金を同項の更正等に係る年分の所得税で未納のものに充当する場合には、その還付金の額のうちその充当する金額については、還付加算金を付さないものとし、その充当される部分の所得税については、延滞税を免除するものとする。

5項

前三項に定めるもののほか第一項の規定による還付金(これに係る還付加算金を含む。)につき充当をする場合の方法 その他同項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

1項

居住者の各年分の所得税につき更正等があつた場合において、その更正等により第百二十二条第一項第三号還付等を受けるための申告)又は第百二十三条第二項第八号確定損失申告)に掲げる金額が増加したときは、税務署長は、その者に対し、その増加した部分の金額に相当するこれらの規定に規定する予納税額(次項から 第四項までにおいて「予納税額」という。)を還付する。

2項

税務署長は、前項の規定による還付金の還付をする場合において、同項に規定する年分の予納税額について納付された延滞税があるときは、その額のうち、同項の規定により還付される予納税額に対応するものとして政令で定めるところにより計算した金額を併せて還付する。

3項

第一項の規定による還付金について還付加算金を計算する場合には、その計算の基礎となる国税通則法第五十八条第一項還付加算金)の期間は、第一項の規定により還付すべき予納税額の納付の日(その予納税額がその納期限前に納付された場合には、その納期限)の翌日から その還付のための支払決定をする日 又は その還付金につき充当をする日(同日前に充当をするのに適することとなつた日がある場合には、その適することとなつた日。第二号において「充当日」という。)までの期間とする。


ただし、その年分の所得税に係る確定申告期限(その確定申告期限後にその予納税額が納付された場合には、その納付の日)の翌日から 次に掲げる日のうちいずれか早い日までの日数は、当該期間に算入しない。

一 号

第一項の更正等の日の翌日以後一月を経過する日(当該更正等が次に掲げるものである場合には、それぞれ次に定める日

更正の請求に基づく更正(当該請求に対する処分に係る不服申立て又は訴えについての決定若しくは裁決又は判決を含む。において同じ。

当該請求の日の翌日以後三月を経過する日と当該請求に基づく更正の日の翌日以後一月を経過する日とのいずれか早い日

国税通則法第二十五条決定)の規定による決定に係る更正(当該決定に係る不服申立て又は訴えについての決定若しくは裁決又は判決を含み、更正の請求に基づく更正及びその年分の総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の計算の基礎となつた事実のうちに含まれていた無効な行為により生じた経済的成果がその行為の無効であることに基因して失われたこと、当該事実のうちに含まれていた取り消しうべき行為が取り消されたことその他これらに準ずる政令で定める理由に基づき行われた更正を除く。

当該決定の日

二 号
その還付のための支払決定をする日 又は その還付金に係る充当日
4項

第一項の規定による還付金をその額の計算の基礎とされた予納税額に係る年分の所得税で未納のものに充当する場合には、その還付金の額のうちその充当する金額については、還付加算金を付さないものとし、その充当される部分の所得税については、延滞税を免除するものとする。

5項

第二項の規定による還付金については、還付加算金は、付さない。

6項

前三項に定めるもののほか第一項の規定による還付金(これに係る還付加算金を含む。)につき充当をする場合の方法 その他同項 又は第二項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。