文部科学大臣は、都道府県 又は市町村の申出に基づき、当該都道府県 又は市町村が定める景観法(平成十六年法律第百十号)第八条第二項第一号に規定する景観計画区域 又は同法第六十一条第一項に規定する景観地区内にある文化的景観であつて、文部科学省令で定める基準に照らして当該都道府県 又は市町村がその保存のため必要な措置を講じているもののうち特に重要なものを重要文化的景観として選定することができる。
文化財保護法
第八章 重要文化的景観
前項の規定による選定には、第百九条第三項から第五項までの規定を準用する。
この場合において、
同条第三項中
「権原に基づく占有者」とあるのは、
「権原に基づく占有者 並びに第百三十四条第一項に規定する申出を行つた都道府県 又は市町村」と
読み替えるものとする。
重要文化的景観がその価値を失つた場合 その他特殊の事由があるときは、文部科学大臣は、その選定を解除することができる。
前項の場合には、前条第二項の規定を準用する。
重要文化的景観の全部 又は一部が滅失し、又はき損したときは、所有者 又は権原に基づく占有者(以下この章において「所有者等」という。)は、文部科学省令の定める事項を記載した書面をもつて、その事実を知つた日から十日以内に文化庁長官に届け出なければならない。
ただし、重要文化的景観の保存に著しい支障を及ぼすおそれがない場合として文部科学省令で定める場合は、この限りでない。
管理が適当でないため重要文化的景観が滅失し、又はき損するおそれがあると認めるときは、文化庁長官は、所有者等に対し、管理方法の改善 その他管理に関し 必要な措置を勧告することができる。
文化庁長官は、前項に規定する勧告を受けた所有者等が、正当な理由がなくてその勧告に係る措置を執らなかつた場合において、特に必要があると認めるときは、当該所有者等に対し、その勧告に係る措置を執るべきことを命ずることができる。
文化庁長官は、第一項の規定による勧告 又は前項の規定による命令をしようとするときは、あらかじめ、当該重要文化的景観について第百三十四条第一項に規定する申出を行つた都道府県 又は市町村の意見を聴くものとする。
第一項 及び第二項の場合には、第三十六条第二項 及び第三項の規定を準用する。
国が滅失 又はき損の防止の措置につき前条第四項で準用する第三十六条第二項の規定により費用を負担した重要文化的景観については、第四十二条の規定を準用する。
重要文化的景観に関し その現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとする者は、現状を変更し、又は保存に影響を及ぼす行為をしようとする日の三十日前までに、文部科学省令で定めるところにより、文化庁長官にその旨を届け出なければならない。
ただし、現状変更については維持の措置 若しくは非常災害のために必要な応急措置 又は他の法令の規定による現状変更を内容とする命令に基づく措置を執る場合、保存に影響を及ぼす行為については影響の軽微である場合は、この限りでない。
前項ただし書に規定する維持の措置の範囲は、文部科学省令で定める。
重要文化的景観の保護上必要があると認めるときは、文化庁長官は、第一項の届出に係る重要文化的景観の現状変更 又は保存に影響を及ぼす行為に関し必要な指導、助言 又は勧告をすることができる。
文化庁長官は、必要があると認めるときは、所有者等に対し、重要文化的景観の現状 又は管理 若しくは復旧の状況につき報告を求めることができる。
文部科学大臣は、第百三十四条第一項の規定による選定を行うに当たつては、特に、関係者の所有権、鉱業権 その他の財産権を尊重するとともに、国土の開発 その他の公益との調整 及び農林水産業 その他の地域における産業との調和に留意しなければならない。
文化庁長官は、第百三十七条第一項の規定による勧告 若しくは同条第二項の規定による命令 又は第百三十九条第三項の規定による勧告をしようとするときは、重要文化的景観の特性にかんがみ、国土の開発 その他の公益との調整 及び農林水産業 その他の地域における産業との調和を図る観点から、政令で定めるところにより、あらかじめ、関係各省各庁の長と協議しなければならない。
国は、重要文化的景観の保存のため特に必要と認められる物件の管理、修理、修景 又は復旧について都道府県 又は市町村が行う措置について、その経費の一部を補助することができる。