日本国における国際連合の軍隊に対する刑事裁判権の行使に関する議定書の実施に伴う刑事特別法

昭和二十八年法律第二百六十五号
略称 : 刑事特別法  刑特法 
分類 法律
カテゴリ   刑事
@ 施行日 : 令和六年二月十五日
@ 最終更新 : 令和五年法律第二十八号による改正
最終編集日 : 2024年 03月06日 02時08分

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  • 第一章 総則

  • 第二章 刑事手続

第一章 総則

1項

この法律において「議定書」とは、日本国における国際連合の軍隊に対する刑事裁判権の行使に関する議定書をいう。

2項

この法律において「派遣国」とは、千九百五十年六月二十五日、六月二十七日 及び七月七日の国際連合安全保障理事会決議 並びに千九百五十一年二月一日の国際連合総会決議に従つて朝鮮に軍隊を派遣したアメリカ合衆国以外の国であつて、日本国との間に議定書が効力を有している間におけるものをいう。

3項

この法律において「国際連合の軍隊」とは、派遣国が前項に規定する諸決議に従つて朝鮮に派遣した陸軍、海軍 及び空軍であつて、日本国内にある間におけるものをいう。

4項

この法律において「国際連合の軍隊の構成員」とは、国際連合の軍隊に属する人員で、現に服役中のものをいう。

5項

この法律において「軍属」とは、派遣国の国籍を有する文民(派遣国 及び日本国の二重国籍者については、当該派遣国が日本国内に入れた者に限る)で、当該国際連合の軍隊に雇用され、これに勤務し、又はこれに随伴するもの(通常日本国内に在留する者を除く)をいう。

6項

この法律において「家族」とは、左に掲げる者(日本国の国籍のみを有する者を除く)をいう。

一 号

国際連合の軍隊の構成員 又は軍属の配偶者 及び二十一歳未満の子

二 号

国際連合の軍隊の構成員 又は軍属の父、母 及び二十一歳以上の子で、その生計費の半額以上を当該国際連合の軍隊の構成員 又は軍属に依存するもの

第二章 刑事手続

1項

国際連合の軍隊がその権限に基いて警備している国際連合の軍隊の使用する施設内における逮捕、勾引状 又は勾留状の執行 その他人身を拘束する処分は、当該国際連合の軍隊の権限ある者の同意を得て行い、又は当該国際連合の軍隊の権限ある者に嘱託して行うものとする。

2項

死刑 又は無期 若しくは長期三年以上の懲役 若しくは禁こにあたる罪に係る現行犯人を追跡して前項の施設内で逮捕する場合には、同項の同意を得ることを要しない。

1項

検察官 又は司法警察員は、逮捕された者が国際連合の軍隊の構成員 又は軍属であり、且つ、その者の犯した罪が議定書の附属書第三項(a)に掲げる罪のいずれかに該当すると明らかに認めたときは、刑事訴訟法昭和二十三年法律第百三十一号)の規定にかかわらず、直ちに被疑者を当該国際連合の軍隊に引き渡さなければならない。

2項

司法警察員は、前項の規定により被疑者を国際連合の軍隊に引き渡した場合においても、必要な捜査を行い、すみやかに書類 及び証拠物とともに事件を検察官に送致しなければならない。

1項

検察官 又は司法警察員は、国際連合の軍隊から日本国の法令による罪を犯した者を引き渡す旨の通知があつた場合には、裁判官の発する逮捕状を示して被疑者の引渡しを受け、又は検察事務官 若しくは司法警察職員に その引渡しを受けさせなければならない。


この場合において、刑事訴訟法第二百一条の二第二項の規定による逮捕状に代わるものの交付があつたときは、当該逮捕状に代わるものを示して、その引渡しを受けることができる。

2項

検察官 又は司法警察員は、引き渡されるべき者が日本国の法令による罪を犯したことを疑うに足りる十分な理由があつて、急速を要し、あらかじめ裁判官の逮捕状を求めることができないときは、その理由を告げてその者の引渡しを受け、又は受けさせなければならない。


この場合には、直ちに裁判官の逮捕状を求める手続をしなければならない。


逮捕状が発せられないときは、直ちにその者を釈放し、又は釈放させなければならない。

3項

前二項の場合を除くほか、検察官 又は司法警察員は、引き渡される者を受け取つた後、直ちにその者を釈放し、又は釈放させなければならない。

4項

第一項 又は第二項の規定による引渡しがあつた場合には、刑事訴訟法第百九十九条の規定により被疑者が逮捕された場合に関する規定を準用する。


ただし同法第二百三条第二百四条 及び第二百五条第二項に規定する時間は、引渡しがあつた時から起算する。

1項

国際連合の軍隊がその権限に基づいて警備している国際連合の軍隊の使用する施設内における、又は国際連合の軍隊の財産についての捜索(捜索状の執行を含む。)、差押え(差押状の執行を含む。)、記録命令付差押え(記録命令付差押状の執行を含む。)又は検証は、当該国際連合の軍隊の権限ある者の同意を得て行い、又は検察官 若しくは司法警察員から当該国際連合の軍隊の権限ある者に嘱託して行うものとする。


ただし、裁判所 又は裁判官が必要とする検証の嘱託は、その裁判所 又は裁判官からするものとする。

1項

議定書により派遣国の軍事裁判所が裁判権を行使する事件であつても、日本国の法令による罪に係る事件については、検察官、検察事務官 又は司法警察職員(鉄道公安職員を含む。)は、捜査をすることができる。

2項

前項の捜査に関しては、裁判所 又は裁判官は、令状の発付 その他刑事訴訟に関する法令に定める権限を行使することができる。

1項

派遣国の軍事裁判所の嘱託により、 裁判官から派遣国の軍事裁判所に証人として出頭すべき旨を命ぜられ、又は派遣国の軍事裁判所において宣誓 若しくは証言を求められた者は、これに応じなければならない。

2項

前項の者が、正当な理由がないのに、出頭せず、 又は宣誓 若しくは証言を拒んだときは、一万円以下の過料に処する。

1項

正当な理由がないのに、前条第一項の規定による裁判官の出頭命令に応じない証人について派遣国の軍事裁判所から嘱託があつたときは、裁判官は、その証人に対して勾引状を発して、これを派遣国の軍事裁判所に勾引することができる。

2項

前項の勾引状には、派遣国の軍事裁判所の嘱託の趣旨を記載しなければならない。

3項

第一項の勾引状は、 検察官の指揮により、司法警察職員が執行する。

4項

刑事訴訟法第七十一条 及び第七十三条第一項前段の規定は、第一項の規定による勾引に準用する。

1項

裁判所、検察官 又は司法警察員は、その保管する書類 又は証拠物について、派遣国の軍事裁判所 又は国際連合の軍隊から、刑事事件の審判 又は捜査のため必要があるものとして申出があつたときは、その閲覧 若しくは謄写を許し、謄本を作成して交付し、又はこれを一時貸与し、若しくは引き渡すことができる。

1項

検察官 又は司法警察員は、国際連合の軍隊から、日本国の法令による罪に係る事件以外の刑事事件につき、当該国際連合の軍隊の構成員、軍属 又は当該派遣国の軍法に服する家族の逮捕の要請を受けたときは、これを逮捕し、又は検察事務官 若しくは司法警察職員に逮捕させることができる。

2項

国際連合の軍隊から逮捕の要請があつた者が、人の住居 又は人の看守する邸宅、建造物 若しくは船舶内にいることを疑うに足りる相当な理由があるときは、裁判官の許可を得て、その場所に入りその者を捜索することができる。


但し、追跡されている者がその場所に入つたことが明らかであつて、急速を要し裁判官の許可を得ることができないときは、その許可を得ることを要しない。

3項

第一項の規定により国際連合の軍隊の構成員、軍属 又は当該派遣国の軍法に服する家族を逮捕したときは、直ちに検察官 又は司法警察員から、その者を当該国際連合の軍隊に引き渡さなければならない。

4項

司法警察員は、前項の規定により国際連合の軍隊の構成員、軍属 又は当該派遣国の軍法に服する家族を引き渡したときは、その旨を検察官に通報しなければならない。

1項

検察官 又は司法警察員は、派遣国の軍事裁判所 又は国際連合の軍隊から、日本国の法令による罪に係る事件以外の刑事事件につき、協力の要請を受けたときは、参考人を取り調べ、実況見分をし、又は書類 その他の物の所有者、所持者 若しくは保管者にその物の提出を求めることができる。

2項

検察官 又は司法警察員は、検察事務官 又は司法警察職員に前項の処分をさせることができる。

3項

前二項の処分に際しては、検察官、検察事務官 又は司法警察職員は、 その処分を受ける者に対して派遣国の軍事裁判所 又は国際連合の軍隊の要請による旨を明らかにしなければならない。

4項

正当な理由がないのに、第一項 又は第二項の規定による検察官、検察事務官 又は司法警察職員の処分を拒み、 妨げ、又は忌避した者は、一万円以下の過料に処する。

1項

刑事補償法昭和二十五年法律第一号)の適用については、派遣国の軍事裁判所 又は国際連合の軍隊による抑留 又は拘禁は、刑事訴訟法による抑留 又は拘禁とみなす。