この法律は、旧軍港市(横須賀市、呉市、佐世保市 及び舞鶴市をいう。以下同じ。)を平和産業港湾都市に転換することにより、平和日本実現の理想達成に寄与することを目的とする。
前条の目的を達成するため旧軍港市を平和産業港湾都市にふさわしいように建設する計画(以下「旧軍港市転換計画」という。) 及びこれを実施する事業(以下「旧軍港市転換事業」という。)については、都市計画法(昭和四十三年法律第百号)の適用があるものとする。
国 及び地方公共団体の関係諸機関は、旧軍港市転換事業が第一条の目的にてらし重要な意義をもつことを考え、その事業の促進と完成とにできる限りの援助を与えなければならない。
国は、旧軍港市転換事業の用に供するため、旧軍港市の都市計画の区域内において有する旧軍用の土地、施設 その他の財産(以下「旧軍用財産」という。)を、
旧軍用財産の貸付及び譲渡の特例等に関する法律(昭和二十三年法律第七十四号)の例により、処理することができる。
この場合において同法第二条第一項 及び第三条第一項の規定は、それぞれ第一号 及び第二号のように変更するものとする。
旧軍用財産は、公共団体において医療施設、社会事業施設 若しくは引揚者の寮の用に供するとき 又は学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する学校の用に供するときは、当該公共団体 又は学校の設置者に対して、時価の五割以内において減額した対価で譲渡することができる。
旧軍用財産を譲渡した場合において、当該財産の譲渡を受けた者が、売払代金 又は交換差金を一時に支払うことが困難であると認められるときは、確実な担保を徴し、利息を附し、十年以内の延納の特約をすることができる。
前項に定める外、国は、旧軍用財産を旧軍港市転換計画の実現に寄与するように有効適切に処理しなければならない。
国は、旧軍港市転換事業の用に供するために必要があると認める場合においては、国有財産法(昭和二十三年法律第七十三号)第二十八条に規定する制限にかかわらず、その事業の執行に要する費用を負担する公共団体に対し、普通財産を譲与しなければならない。
前二条に規定する旧軍用財産の処理 及び普通財産の譲与に関し、その相手方、財産の範囲、譲渡価額、延納期限 その他の重要事項について、その管轄区域内に旧軍港市が所在する財務局(以下この項において「旧軍港市関係財務局」という。)の財務局長の諮問に応じてこれを調査審議するため、旧軍港市関係財務局の審議会として、政令で定める財務局に旧軍港市国有財産処理審議会(以下「審議会」という。)を置く。
審議会は、委員十五人でこれを組織する。
委員は、次に掲げる者をもつて充てる。
関係府県知事
四人
旧軍港市の市長
四人
財務省、経済産業省 及び国土交通省の職員
各一人
学識経験のある者
四人
前項第四号に掲げる委員は、財務大臣が任命する。
前項の委員の任期は、三年とする。
但し、再任することをさまたげない。
審議会に会長を置き、委員の互選によつて定める。
審議会は、委員の過半数の出席がなければ、議事を開き、議決することができない。
審議会の議事は、出席委員の過半数をもつて決する。
可否同数のときは、会長の決するところによる。
この条に規定するもののほか、審議会の運営に関し必要な事項は、審議会が定める。
旧軍港市転換事業の執行者は、その事業がすみやかに完成するように努め、六箇月ごとにその進行状況を国土交通大臣 及び財務大臣に報告しなければならない。
内閣総理大臣は、毎年一回 国会に対し、旧軍港市転換事業の状況を報告しなければならない。
旧軍港市の市長は、その市の住民の協力 及び関係諸機関の援助により、平和産業港湾都市を完成することについて、不断の活動をしなければならない。
旧軍港市の住民は、前項の市長の活動に協力しなければならない。