民事訴訟法

# 平成八年法律第百九号 #
略称 : 民訴法 

第五節 書証

分類 法律
カテゴリ   民事
@ 施行日 : 令和六年三月一日 ( 2024年 3月1日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第四十八号による改正
最終編集日 : 2024年 07月31日 09時08分


1項

書証の申出は、文書を提出し、又は文書の所持者にその提出を命ずることを申し立ててしなければならない。

1項

次に掲げる場合には、文書の所持者は、その提出を拒むことができない

一 号

当事者が訴訟において引用した文書を自ら所持するとき。

二 号

挙証者が文書の所持者に対しその引渡し又は閲覧を求めることができるとき。

三 号

文書が挙証者の利益のために作成され、又は挙証者と文書の所持者との間の法律関係について作成されたとき。

四 号

前三号に掲げる場合のほか、文書が次に掲げるもののいずれにも該当しないとき。

文書の所持者 又は文書の所持者と第百九十六条各号に掲げる関係を有する者についての同条に規定する事項が記載されている文書

公務員の職務上の秘密に関する文書でその提出により公共の利益を害し、又は公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがあるもの

第百九十七条第一項第二号に規定する事実 又は同項第三号に規定する事項で、黙秘の義務が免除されていないものが記載されている文書

専ら文書の所持者の利用に供するための文書(国 又は地方公共団体が所持する文書にあっては、公務員が組織的に用いるものを除く

刑事事件に係る訴訟に関する書類 若しくは少年の保護事件の記録 又はこれらの事件において押収されている文書

1項

文書提出命令の申立ては、次に掲げる事項を明らかにしてしなければならない。

一 号
文書の表示
二 号
文書の趣旨
三 号
文書の所持者
四 号
証明すべき事実
五 号
文書の提出義務の原因
2項

前条第四号に掲げる場合であることを文書の提出義務の原因とする文書提出命令の申立ては、書証の申出を文書提出命令の申立てによってする必要がある場合でなければ、することができない。

1項

文書提出命令の申立てをする場合において、前条第一項第一号 又は第二号に掲げる事項を明らかにすることが著しく困難であるときは、その申立ての時においては、これらの事項に代えて、文書の所持者がその申立てに係る文書を識別することができる事項を明らかにすれば足りる。


この場合においては、裁判所に対し、文書の所持者に当該文書についての同項第一号 又は第二号に掲げる事項を明らかにすることを求めるよう申し出なければならない。

2項

前項の規定による申出があったときは、裁判所は、文書提出命令の申立てに理由がないことが明らかな場合を除き、文書の所持者に対し、同項後段の事項を明らかにすることを求めることができる。

1項

裁判所は、文書提出命令の申立てを理由があると認めるときは、決定で、文書の所持者に対し、その提出を命ずる。


この場合において、文書に取り調べる必要がないと認める部分 又は提出の義務があると認めることができない部分があるときは、その部分を除いて、提出を命ずることができる。

2項

裁判所は、第三者に対して文書の提出を命じようとする場合には、その第三者を審尋しなければならない。

3項

裁判所は、公務員の職務上の秘密に関する文書について第二百二十条第四号に掲げる場合であることを文書の提出義務の原因とする文書提出命令の申立てがあった場合には、その申立てに理由がないことが明らかなときを除き、当該文書が同号ロに掲げる文書に該当するかどうかについて、当該監督官庁(衆議院 又は参議院の議員の職務上の秘密に関する文書についてはその院、内閣総理大臣 その他の国務大臣の職務上の秘密に関する文書については内閣。以下この条において同じ。)の意見を聴かなければならない。


この場合において、当該監督官庁は、当該文書が同号ロに掲げる文書に該当する旨の意見を述べるときは、その理由を示さなければならない。

4項

前項の場合において、当該監督官庁が当該文書の提出により次に掲げるおそれがあることを理由として当該文書が第二百二十条第四号ロに掲げる文書に該当する旨の意見を述べたときは、裁判所は、その意見について相当の理由があると認めるに足りない場合に限り、文書の所持者に対し、その提出を命ずることができる。

一 号

国の安全が害されるおそれ、他国 若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ 又は他国 若しくは国際機関との交渉上 不利益を被るおそれ

二 号

犯罪の予防、鎮圧 又は捜査、公訴の維持、刑の執行 その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれ

5項

第三項前段の場合において、当該監督官庁は、当該文書の所持者以外の第三者の技術 又は職業の秘密に関する事項に係る記載がされている文書について意見を述べようとするときは、第二百二十条第四号ロに掲げる文書に該当する旨の意見を述べようとするときを除きあらかじめ、当該第三者の意見を聴くものとする。

6項

裁判所は、文書提出命令の申立てに係る文書が第二百二十条第四号イからニまでに掲げる文書のいずれかに該当するかどうかの判断をするため必要があると認めるときは、文書の所持者にその提示をさせることができる。


この場合においては、何人も、その提示された文書の開示を求めることができない

7項

文書提出命令の申立てについての決定に対しては、即時抗告をすることができる。

1項

当事者が文書提出命令に従わないときは、裁判所は、当該文書の記載に関する相手方の主張を真実と認めることができる。

2項

当事者が相手方の使用を妨げる目的で提出の義務がある文書を滅失させ、その他これを使用することができないようにしたときも、前項と同様とする。

3項

前二項に規定する場合において、相手方が、当該文書の記載に関して具体的な主張をすること 及び当該文書により証明すべき事実を他の証拠により証明することが著しく困難であるときは、裁判所は、その事実に関する相手方の主張を真実と認めることができる。

1項

第三者が文書提出命令に従わないときは、裁判所は、決定で、二十万円以下の過料に処する。

2項

前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。

1項

書証の申出は、第二百十九条の規定にかかわらず、文書の所持者にその文書の送付を嘱託することを申し立ててすることができる。


ただし、当事者が法令により文書の正本 又は謄本の交付を求めることができる場合は、この限りでない。

1項

裁判所は、必要があると認めるときは、提出 又は送付に係る文書を留め置くことができる。

1項

文書は、その成立が真正であることを証明しなければならない。

2項

文書は、その方式 及び趣旨により公務員が職務上 作成したものと認めるべきときは、真正に成立した公文書と推定する。

3項

公文書の成立の真否について疑いがあるときは、裁判所は、職権で、当該官庁 又は公署に照会をすることができる。

4項

私文書は、本人 又はその代理人の署名 又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。

5項

第二項 及び第三項の規定は、外国の官庁 又は公署の作成に係るものと認めるべき文書について準用する。

1項

文書の成立の真否は、筆跡 又は印影の対照によっても、証明することができる。

2項

第二百十九条第二百二十三条第二百二十四条第一項 及び第二項第二百二十六条 並びに第二百二十七条の規定は、対照の用に供すべき筆跡 又は印影を備える文書 その他の物件の提出 又は送付について準用する。

3項

対照をするのに適当な相手方の筆跡がないときは、裁判所は、対照の用に供すべき文字の筆記を相手方に命ずることができる。

4項

相手方が正当な理由なく前項の規定による決定に従わないときは、裁判所は、文書の成立の真否に関する挙証者の主張を真実と認めることができる。


書体を変えて筆記したときも、同様とする。

5項

第三者が正当な理由なく第二項において準用する第二百二十三条第一項の規定による提出の命令に従わないときは、裁判所は、決定で、十万円以下の過料に処する。

6項

前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。

1項

当事者 又はその代理人が故意 又は重大な過失により真実に反して文書の成立の真正を争ったときは、裁判所は、決定で、十万円以下の過料に処する。

2項

前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。

3項

第一項の場合において、文書の成立の真正を争った当事者 又は代理人が訴訟の係属中その文書の成立が真正であることを認めたときは、裁判所は、事情により、同項の決定を取り消すことができる。

1項

この節の規定は、図面、写真、録音テープ、ビデオテープ その他の情報を表すために作成された物件で文書でないものについて準用する。