内閣総理大臣は、基本指針に基づき、かつ、火山の爆発の蓋然性を勘案して、火山が爆発した場合には住民等の生命 又は身体に被害が生ずるおそれがあると認められる地域で、当該地域における火山の爆発による人的災害を防止するために警戒避難体制を特に整備すべき地域を、火山災害警戒地域(以下「警戒地域」という。)として指定することができる。
活動火山対策特別措置法
第一節 警戒避難体制の整備等
内閣総理大臣は、前項の規定による指定をしようとするときは、あらかじめ、中央防災会議 及び関係都道府県知事の意見を聴かなければならない。
この場合において、関係都道府県知事が意見を述べようとするときは、あらかじめ、関係市町村長の意見を聴かなければならない。
内閣総理大臣は、第一項の規定による指定をするときは、内閣府令で定めるところにより、その旨 及び当該指定に係る警戒地域を公示しなければならない。
内閣総理大臣は、前項の規定による公示をしたときは、速やかに、内閣府令で定めるところにより、関係都道府県知事 及び関係市町村長に、同項の規定により公示された事項を記載した図書を送付しなければならない。
前三項の規定は、第一項の規定による指定の変更 又は解除について準用する。
前条第一項の規定による警戒地域の指定があつたときは、当該警戒地域をその区域に含む都道府県 及び市町村は、想定される火山現象の状況に応じた警戒避難体制の整備に関し必要な協議を行うための協議会(以下「火山防災協議会」という。)を組織するものとする。
火山防災協議会は、次に掲げる者をもつて構成する。
警戒地域の全部 若しくは一部を管轄する管区気象台長、沖縄気象台長 若しくは地方気象台長 又はその指名する職員
警戒地域の全部 若しくは一部を警備区域とする陸上自衛隊の方面総監 又はその指名する部隊 若しくは機関の長
当該市町村の消防長(消防本部を置かない市町村にあつては、消防団長)
観光関係団体 その他の当該都道府県 及び市町村が必要と認める者
火山防災協議会において協議が調つた事項については、火山防災協議会の構成員は、その協議の結果を尊重しなければならない。
前三項に定めるもののほか、火山防災協議会の運営に関し必要な事項は、火山防災協議会が定める。
都道府県防災会議(災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)第十四条第一項の都道府県防災会議をいう。以下同じ。)は、第三条第一項の規定による警戒地域の指定があつたときは、都道府県地域防災計画(同法第四十条第一項の都道府県地域防災計画をいう。次項 及び第九条において同じ。)において、当該警戒地域ごとに、次に掲げる事項について定めなければならない。
火山現象の発生 及び推移に関する情報の収集 及び伝達 並びに予報 又は警報の発令 及び伝達に関する事項
市町村防災会議(災害対策基本法第十六条第一項の市町村防災会議をいい、これを設置しない市町村にあつては、当該市町村の長とする。以下同じ。)又は市町村防災会議の協議会(同法第十七条第一項の市町村防災会議の協議会をいう。第十条第二項において同じ。)が次条第一項第二号 及び第三号(これらの規定を第十条第二項において準用する場合を含む。)に掲げる事項を定める際の基準となるべき事項
避難 及び救助に関し市町村の区域を超えた広域的な見地から行う調整に関する事項
前三号に掲げるもののほか、警戒地域における火山の爆発による人的災害を防止するために必要な警戒避難体制に関する事項
都道府県防災会議は、前項の規定により都道府県地域防災計画において同項各号に掲げる事項を定めようとするときは、あらかじめ、火山防災協議会の意見を聴かなければならない。当該事項を変更しようとするときも、同様とする。
市町村防災会議は、第三条第一項の規定による警戒地域の指定があつたときは、市町村地域防災計画(災害対策基本法第四十二条第一項の市町村地域防災計画をいう。以下同じ。)において、当該警戒地域ごとに、次に掲げる事項について定めなければならない。
前条第一項第一号に掲げる事項
警戒地域内の住民等がとるべき立退きの準備 その他の避難のための措置について市町村長が行う通報 及び警告に関する事項
避難施設 その他の避難場所 及び避難路 その他の避難経路に関する事項
災害対策基本法第四十八条第一項の防災訓練として市町村長が行う火山現象に係る避難訓練の実施に関する事項
索道の停留場、宿泊施設 その他の不特定かつ多数の者が利用する施設で政令で定めるもの
社会福祉施設、学校、医療施設 その他の主として防災上の配慮を要する者が利用する施設で政令で定めるもの
救助に関する事項
前各号に掲げるもののほか、警戒地域における火山の爆発による人的災害を防止するために必要な警戒避難体制に関する事項
市町村防災会議は、前項の規定により市町村地域防災計画において同項第五号に掲げる事項を定めるときは、当該市町村地域防災計画において、火山現象の発生時における同号の施設を利用している者の円滑かつ迅速な避難を確保するため、同項第一号に掲げる事項として同項第五号の施設の所有者 又は管理者への火山現象の発生 及び推移に関する情報、予報 及び警報の伝達に関する事項を定めなければならない。
前条第二項の規定は、市町村防災会議が第一項の規定により市町村地域防災計画において同項各号に掲げる事項を定め、又は変更しようとする場合について準用する。
警戒地域をその区域に含む市町村の長は、市町村地域防災計画に基づき、内閣府令で定めるところにより、火山現象の発生 及び推移に関する情報の伝達方法、避難施設 その他の避難場所 及び避難路 その他の避難経路に関する事項 その他警戒地域における円滑な警戒避難を確保する上で必要な事項を住民等に周知させるため、これらの事項を記載した印刷物の配布 その他の必要な措置を講じなければならない。
第六条第一項の規定により市町村地域防災計画にその名称 及び所在地を定められた同項第五号の施設(以下この条において「避難促進施設」という。)の所有者 又は管理者は、単独で又は共同して、内閣府令で定めるところにより、避難訓練 その他火山現象の発生時における当該避難促進施設を利用している者の円滑かつ迅速な避難の確保を図るために必要な措置に関する計画(以下この条において「避難確保計画」という。)を作成しなければならない。
避難促進施設の所有者 又は管理者は、避難確保計画を作成したときは、遅滞なく、これを市町村長に報告するとともに、公表しなければならない。
当該避難確保計画を変更したときも、同様とする。
避難促進施設の所有者 又は管理者は、避難確保計画の定めるところにより避難訓練を行うとともに、その結果を市町村長に報告しなければならない。
市町村長は、前二項の規定により報告を受けたときは、避難促進施設の所有者 又は管理者に対し、火山現象の発生時における当該避難促進施設を利用している者の円滑かつ迅速な避難の確保を図るために必要な助言 又は勧告をすることができる。
市町村長は、前項に定めるもののほか、避難促進施設の所有者 又は管理者に対し、避難確保計画の作成 及び変更 並びに実施に関し必要な情報の提供、助言 その他の援助をすることができる。
市町村長は、第四項の助言 若しくは勧告 又は前項の援助を行うに際し必要と認めるときは、火山防災協議会に対し、意見を求めることができる。
避難促進施設の所有者 又は管理者の使用人 その他の従業者は、避難確保計画の定めるところにより、第三項の避難訓練に参加しなければならない。
避難促進施設の所有者 又は管理者は、第三項の避難訓練を行おうとするときは、避難促進施設を利用する者に協力を求めることができる。
火山の爆発により住民等の生命 又は身体に被害が生ずるおそれがあると認められる地域(警戒地域に該当する地域を除く。以下この条において「準警戒地域」という。)をその区域に含む都道府県の都道府県防災会議 及び準警戒地域をその区域に含む市町村の市町村防災会議は、それぞれ都道府県地域防災計画 又は市町村地域防災計画において、火山現象の発生 及び推移に関する情報の収集 及び伝達、避難、救助 その他準警戒地域における火山の爆発による人的災害を防止するために必要な警戒避難体制に関する事項について定めなければならない。
第五条 及び前条の規定は、災害対策基本法第十七条第一項の規定により火山の爆発による人的災害の防止 又は軽減を図るため同項の都道府県防災会議の協議会(第三十条第三項において単に「都道府県防災会議の協議会」という。)が設置されている場合について準用する。
この場合において、
第五条第一項中
「都道府県防災会議(災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)第十四条第一項の都道府県防災会議」とあるのは
「都道府県防災会議の協議会(災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)第十七条第一項の都道府県防災会議の協議会」と、
「都道府県地域防災計画(同法第四十条第一項の都道府県地域防災計画」とあるのは
「都道府県相互間地域防災計画(同法第四十三条第一項の都道府県相互間地域防災計画」と、
同条第二項 及び前条中
「都道府県防災会議」とあるのは
「都道府県防災会議の協議会」と、
「都道府県地域防災計画」とあるのは
「都道府県相互間地域防災計画」と
読み替えるものとする。
第六条から前条までの規定は、災害対策基本法第十七条第一項の規定により火山の爆発による人的災害の防止 又は軽減を図るため市町村防災会議の協議会が設置されている場合について準用する。
この場合において、
第六条第一項中
「市町村防災会議」とあるのは
「市町村防災会議の協議会(災害対策基本法第十七条第一項の市町村防災会議の協議会をいう。以下同じ。)」と、
「市町村地域防災計画(災害対策基本法第四十二条第一項の市町村地域防災計画」とあるのは
「市町村相互間地域防災計画(同法第四十四条第一項の市町村相互間地域防災計画」と、
同条第二項 及び第三項 並びに前条中
「市町村防災会議」とあるのは
「市町村防災会議の協議会」と、
第六条第二項 及び第三項、第七条、第八条第一項 並びに前条中
「市町村地域防災計画」とあるのは
「市町村相互間地域防災計画」と
読み替えるものとする。
地方公共団体は、火山現象の発生時における登山者 その他の火山に立ち入る者(以下この条において「登山者等」という。)の円滑かつ迅速な避難の確保を図るため、立入りの日、火山における移動の経路 その他の登山者等に関する情報の把握に努めなければならない。
この場合において、地方公共団体が登山者等に対して当該情報の提供を求めるに当たつては、登山者等がその提供を容易に行うことができるよう必要な配慮をするものとする。
登山者等は、前項に規定する情報が火山現象の発生時における救助活動にとつて重要であることに鑑みその提供に努めるとともに、その立ち入ろうとする火山の爆発のおそれに関する情報の収集、関係者との連絡手段の確保 その他の火山現象の発生時における円滑かつ迅速な避難のために必要な手段を講ずるよう努めなければならない。