漁業法

# 昭和二十四年法律第二百六十七号 #

第七章 土地及び土地の定着物の使用

分類 法律
カテゴリ   水産業
@ 施行日 : 令和四年六月十七日 ( 2022年 6月17日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第六十八号による改正
最終編集日 : 2024年 03月04日 08時40分


1項

漁業者、漁業協同組合 又は漁業協同組合連合会は、次に掲げる目的のために必要があるときは、都道府県知事の許可を受けて、他人の土地を使用し、又は立木竹 若しくは土石の除去を制限することができる。


この場合において、都道府県知事は、当該土地、立木竹 又は土石につき所有権 その他の権利を有する者にその旨を通知し、かつ、公告するものとする。

一 号
漁場の標識の建設
二 号

魚見 若しくは漁業に関する信号 又はこれに必要な設備の建設

三 号
漁業に必要な目標の保存 又は建設
1項

漁業者は、必要があるときは、都道府県知事の許可を受けて、特別の用途のない他人の土地に立ち入つて漁業を営むことができる。

1項

漁業に関する測量、実地調査 又は前二条の目的のために必要があるときは、都道府県知事の許可を受けて、他人の土地に立ち入り、又は支障となる木竹を伐採し、その他 障害物を除去することができる。

1項

前三条の行為をする者は、あらかじめ その旨を土地の所有者 又は占有者に通知し、かつ、これによつて生じた損失を補償しなければならない。

2項

前項の場合には、第百七十七条第二項第十一項 及び第十二項の規定を準用する。


この場合において、

同条第二項
前項」とあるのは
第百六十四条第一項」と、

同項各号に規定する処分 又は」とあるのは
第百六十一条から 第百六十三条までの」と、

同条第十一項
第一項第二号 又は第三号」とあるのは
第百六十一条から 第百六十三条まで」と、

」とあるのは
第百六十一条から 第百六十三条までの行為をする者」と

読み替えるものとする。

1項

漁業者、漁業協同組合 又は漁業協同組合連合会は、土地 又は土地の定着物が海草乾場、船揚場、漁舎 その他 漁業上の施設として利用することが必要かつ適当であつて 他のものをもつて代えることが著しく困難であるときは、都道府県知事の認可を受けて、当該土地 又は当該定着物の所有者 その他 これに関して権利を有する者に対し、これを使用する権利(次条において「使用権」という。)の設定に関する協議を求めることができる。

2項

前項の認可の申請があつたときは、都道府県知事は、同項の土地 又は土地の定着物の所有者 その他 これに関して権利を有する者、同項の認可を受けようとする者 及び海区漁業調整委員会の意見を聴かなければならない。

3項

都道府県知事は、第一項の認可をしたときは、その旨を土地 又は土地の定着物の所有者 その他 これに関して権利を有する者に通知しなければならない。

4項

前項の通知を受けた後は、土地 又は土地の定着物の所有者 その他 これに関して権利を有する者は、第一項の協議が調うまでは、使用の目的たる漁業に支障を及ぼすおそれがない場合を除き、都道府県知事の許可を受けなければ、当該土地の形質を変更し、又は当該定着物を損壊し、若しくは収去することができない


ただし、その協議が調わない場合において、次条第一項ただし書の期間内に同項の裁定の申請がないときは、この限りでない。

5項

前項の許可の申請があつたときは、都道府県知事は、海区漁業調整委員会の意見を聴かなければならない。

1項

前条第一項の場合において、協議が調わず、又は協議をすることができないときは、同項の認可を受けた者は、使用権の設定に関する海区漁業調整委員会の裁定を申請することができる。


ただし同項の認可を受けた日から 二月を経過したときは、この限りでない。

2項

前項の規定による裁定の申請があつたときは、海区漁業調整委員会は、当該申請に係る土地 又は土地の定着物の所有者 その他これに関して権利を有する者にその旨を通知し、かつ、これを公示しなければならない。

3項

第一項の規定による裁定の申請に係る土地 又は土地の定着物の所有者その他これに関して権利を有する者は、前項の公示の日から二週間以内に海区漁業調整委員会に意見書を差し出すことができる。

4項

裁定の申請に係る土地 又は土地の定着物の所有者は、前項の意見書において、 海区漁業調整委員会に対し、当該土地 若しくは当該定着物の使用が三年以上にわたり、又は当該土地 若しくは当該定着物の形質の変更を来すような使用権の設定をすべき旨の裁定をしようとする場合には、これに代えて、当該土地 又は当該定着物を買い取るべき旨の裁定をすべきことを申請することができる。

5項

裁定の申請に係る土地の上に定着物を有する者は、第三項の意見書において、海区漁業調整委員会に対し、使用権を設定すべき旨の裁定をしようとする場合には当該工作物の移転料に関する裁定をすべきことを申請することができる。


ただし、当該工作物が前条第三項の通知があつた後に設置されたものであるときは、この限りでない。

6項

海区漁業調整委員会は、第三項の期間を経過した後に審議を開始しなければならない。

7項

裁定は、その申請の範囲を超えることができない。

8項

海区漁業調整委員会は、土地 若しくは土地の定着物の使用が三年以上にわたり、又は土地 若しくは土地の定着物の形質の変更を来すような使用権の設定をすべき旨の裁定をしようとする場合において第四項の申請があつたときは、これに代えて、当該土地 又は当該定着物を買い取るべき旨の裁定をしなければならない。

9項

海区漁業調整委員会は、使用権を設定すべき旨の裁定をしようとする場合において第五項の申請があつたときは、当該工作物の移転料に関する裁定をしなければならない。

10項

使用権を設定すべき旨の裁定 又は買い取るべき旨の裁定においては、次に掲げる事項を定めなければならない。

一 号

使用権を設定すべき土地 若しくは土地の定着物並びに設定すべき使用権の内容 及び存続期間又は買い取るべき土地 若しくは土地の定着物

二 号

対価 並びにその支払の方法 及び時期

三 号
土地 又は土地の定着物の引渡しの時期
四 号
使用開始の時期
五 号

第五項の申請があつた場合においては移転料 並びにその支払方法 及び時期

11項

海区漁業調整委員会は、 裁定をしたときは、遅滞なく、その旨を当該土地 又は当該定着物の所有者 その他これに関して権利を有する者に通知し、かつ、これを公示しなければならない。

12項

前項の公示があつたときは、裁定の定めるところにより当事者間に協議が調つたものとみなす。

13項

民法第六百十二条の規定は、前項の場合には適用しない

14項

第一項 若しくは第四項の裁定において定める使用権の設定 若しくは買取りの対価 又は第五項の裁定において定める移転料の額に不服がある者は、第十一項の公示の日から 六月以内に訴えをもつて その増減を請求することができる。

15項

前項の訴えにおいては、申請者 又は当該土地 若しくは当該定着物の所有者その他 これに関して権利を有する者を被告とする。

1項

漁業者、漁業協同組合 又は漁業協同組合連合会が第百六十五条第一項の土地 又は土地の定着物を漁業に使用するため貸付けを受けている場合において経済事情の変動 その他事情の変更によりその契約の内容が適正でなくなつたと認めるときは、当事者は、海区漁業調整委員会に対して、当該貸付契約の内容の変更 又は解除に関する裁定を申請することができる。

2項

前項の申請があつた場合には、前条第二項第三項第六項 及び第七項の規定を準用する。

3項

第一項の裁定においては、次に掲げる事項を定めなければならない。

一 号

変更に関する裁定の申請の場合にあつては、変更するかどうか、変更する場合は その内容 及び変更の時期

二 号

解除に関する裁定の申請の場合にあつては、解除するかどうか、解除する場合は解除の時期

4項

前項の裁定があつた場合には、前条第十一項第十二項第十四項 及び第十五項の規定を準用する。