特定多目的ダム法
第三章 ダム使用権
国土交通大臣は、次の各号に掲げる要件に適合すると認めた場合でなければ、ダム使用権を設定してはならない。
国土交通大臣は、基本計画を作成したときは、基本計画にダム使用権の設定予定者として定められた者以外の者の設定の申請を却下することができる。
国土交通大臣は、次の各号の一に該当すると認めたときは、ダム使用権の設定予定者の設定の申請を却下しなければならない。
ダム使用権の設定予定者が、前条第二項の要件を備えなくなつたとき。
第七条第一項の負担金を納付しないとき。
国土交通大臣は、多目的ダムの建設を完了したときは、ただちに、ダム使用権の設定予定者にダム使用権の設定をしなければならない。
ダム使用権の設定は、次の各号に掲げる事項を明らかにして行わなければならない。
前項第二号に掲げる事項は、当該多目的ダムが十分にその効用を果すために適切なものでなければならない。
ダム使用権によつて流水の貯留が確保される地域は、前条第一項第二号に規定する流水の最高水位における水平面が土地に接する線によつて囲まれる地域とする。
ダム使用権は、物権とみなし、この法律に別段の定がある場合を除き、不動産に関する規定を準用する。
ダム使用権は、相続、法人の合併 その他の一般承継、譲渡、滞納処分、強制執行、仮差押え 及び仮処分 並びに一般の先取特権 及び抵当権の目的となるほか、権利の目的となることができない。
ダム使用権は、国土交通大臣の許可を受けなければ、移転(相続、法人の合併 その他の一般承継(法人の分割による承継の場合にあつては、当該ダム使用権の設定の目的に係る事業の全部を承継させるものに限る。)によるものを除く。)の目的とし、分割し、併合し、又はその設定の目的を変更することができない。
抵当権の設定が登録されているダム使用権については、その抵当権者の同意がなければ、分割、併合 若しくは設定の目的の変更の許可を申請し、又はこれを放棄することができない。
国土交通大臣は、ダム使用権者の有する流水占用権につき、河川法第二十三条の規定による許可 又は同法第二十三条の二の規定による登録の全部 又は一部を取り消す場合において、何人にも従前どおりの流水の占用を認めることができないときは、ダム使用権につき、これに相当する取消し 又は変更の処分をしなければならない。
前項の期間内にダム使用権の譲渡がされないときは、国土交通大臣は、ダム使用権者の有していた流水占用権の全部 又は一部と同一の流水占用権につき他の者が河川法第二十三条の規定による許可 又は同法第二十三条の二の規定による登録を受ける見込みが十分であるときに限り、ダム使用権の全部 又は一部につき取消しの処分をすることができる。
前項の規定による登録は、登記に代るものとする。
第一項の規定による登録に関する処分については、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第二章 及び第三章の規定は、適用しない。
ダム使用権登録簿については、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成十一年法律第四十二号)の規定は、適用しない。
ダム使用権登録簿に記録されている保有個人情報(個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号)第六十条第一項に規定する保有個人情報をいう。)については、同法第五章第四節の規定は、適用しない。
前各項に規定するもののほか、登録に関し必要な事項は、政令で定める。
ダム使用権の設定を受ける者は、第十七条の規定により設定を受ける場合を除き、多目的ダムによる流水の貯留を利用して流水を当該ダム使用権の設定の目的である用途に供することによつて得られる効用から算定される推定の投資額を勘案して、政令で定めるところにより算出した額の納付金を国に納付しなければならない。
ダム使用権につき、第二十四条 又は第二十五条第二項の規定による取消 又は変更の処分があつたときは、国は、すでに納付された第七条第一項の負担金 又は前条の納付金のうち、同条に規定する方法と同一の方法により算出した金額を還付するものとする。
ただし、第十七条の規定によりダム使用権の設定を受けた者に対して還付する額は、第七条第一項の負担金の額から政令で定めるところにより算定した償却額を控除した額をこえないものとする。
第二十四条 又は第二十五条第二項の規定による取消 又は変更の処分により消滅した全部 又は一部のダム使用権の上に抵当権の設定が登録されているときは、国は、その抵当権者の承諾を得た場合を除き、前項の還付金を供託しなければならない。
抵当権者は、前項の規定により供託された還付金に対して、その権利を行うことができる。