破産法

# 平成十六年法律第七十五号 #

第十章の二 信託財産の破産に関する特則

分類 法律
カテゴリ   民事
@ 施行日 : 令和六年五月二十四日 ( 2024年 5月24日 )
@ 最終更新 : 令和六年法律第三十三号
最終編集日 : 2024年 11月23日 19時25分


1項

信託財産についてのこの法律の規定による破産手続開始の申立ては、信託財産に属する財産 又は受託者の住所が日本国内にあるときに限り、することができる。

2項

信託財産に関する破産事件は、受託者の住所地(受託者が数人ある場合にあっては、そのいずれかの住所地)を管轄する地方裁判所が管轄する。

3項

前項の規定による管轄裁判所がないときは、信託財産に関する破産事件は、信託財産に属する財産の所在地(債権については、裁判上の請求をすることができる地)を管轄する地方裁判所が管轄する。

4項

信託財産に関する破産事件に対する第五条第八項 及び第九項 並びに第七条第五号の規定の適用については、

第五条第八項 及び第九項
第一項 及び第二項」とあるのは
第二百四十四条の二第二項 及び第三項」と、

第七条第五号
同条第一項 又は第二項」とあるのは
第二百四十四条の二第二項 又は第三項」と

する。

5項

前三項の規定により二以上の地方裁判所が管轄権を有するときは、信託財産に関する破産事件は、先に破産手続開始の申立てがあった地方裁判所が管轄する。

1項

信託財産に対する第十五条第一項の規定の適用については、

同項
支払不能」とあるのは、
「支払不能 又は債務超過(受託者が、信託財産責任負担債務につき、信託財産に属する財産をもって完済することができない状態をいう。)」と

する。

1項

信託財産については、信託債権(信託法第二十一条第二項第二号に規定する信託債権をいう。次項第一号 及び第二百四十四条の七において同じ。)を有する者 又は受益者のほか、受託者 又は信託財産管理者、信託財産法人管理人 若しくは同法第百七十条第一項の管理人(以下「受託者等」と総称する。)も、破産手続開始の申立てをすることができる。

2項

次の各号に掲げる者が信託財産について破産手続開始の申立てをするときは、それぞれ当該各号に定める事実を疎明しなければならない。

一 号

信託債権を有する者 又は受益者

その有する信託債権 又は受益債権の存在 及び当該信託財産の破産手続開始の原因となる事実

二 号

受託者等

当該信託財産の破産手続開始の原因となる事実

3項

前項第二号の規定は、受託者等が一人であるとき、又は受託者等が数人ある場合において受託者等の全員が破産手続開始の申立てをしたときは、適用しない

4項

信託財産については、信託が終了した後であっても、残余財産の給付が終了するまでの間は、破産手続開始の申立てをすることができる。

1項

信託財産について破産手続開始の決定があった場合には、破産手続開始の時において信託財産に属する一切の財産(日本国内にあるかどうかを問わない。)は、破産財団とする。

1項

信託財産について破産手続開始の決定があった場合には、次に掲げる者は、破産管財人 若しくは債権者委員会の請求 又は債権者集会の決議に基づく請求があったときは、破産に関し必要な説明をしなければならない。

一 号
受託者等
二 号

会計監査人(信託法第二百四十八条第一項 又は第二項の会計監査人をいう。以下この章において同じ。

2項

前項の規定は、同項各号に掲げる者であった者について準用する。

3項

第三十七条 及び第三十八条の規定は、信託財産について破産手続開始の決定があった場合における受託者等(個人である受託者等に限る)について準用する。

4項

第四十一条の規定は、信託財産について破産手続開始の決定があった場合における受託者等について準用する。

1項

信託財産について破産手続開始の決定があった場合には、信託債権を有する者 及び受益者は、受託者について破産手続開始の決定があったときでも、破産手続開始の時において有する債権の全額について破産手続に参加することができる。

2項
信託財産について破産手続開始の決定があったときは、信託債権は、受益債権に優先する。
3項

受益債権と約定劣後破産債権は、同順位とする。


ただし、信託行為の定めにより、約定劣後破産債権が受益債権に優先するものとすることができる。

1項

信託法第四十九条第一項(同法第五十三条第二項 及び第五十四条第四項において準用する場合を含む。)の規定により受託者が有する権利は、信託財産についての破産手続との関係においては、金銭債権とみなす。

1項

信託財産について破産手続開始の決定があったときは、固有財産等責任負担債務(信託法第二十二条第一項に規定する固有財産等責任負担債務をいう。)に係る債権を有する者は、破産債権者としてその権利を行使することができない

1項

信託財産について破産手続開始の決定があった場合における第六章第二節の規定の適用については、受託者等が信託財産に関してした行為は、破産者がした行為とみなす。

2項

前項に規定する場合における第百六十一条第一項の規定の適用については、当該行為の相手方が受託者等 又は会計監査人であるときは、その相手方は、当該行為の当時、受託者等が同項第二号の隠匿等の処分をする意思を有していたことを知っていたものと推定する。

3項

第一項に規定する場合における第百六十二条第一項第一号の規定の適用については、債権者が受託者等 又は会計監査人であるときは、その債権者は、同号に掲げる行為の当時、同号イ 又はに掲げる場合の区分に応じ、それぞれ当該 又はに定める事実(同号イに掲げる場合にあっては、支払不能であったこと 及び支払の停止があったこと)を知っていたものと推定する。

4項

第一項に規定する場合における第百六十八条第二項 及び第百七十条の二第二項の規定の適用については、当該行為の相手方が受託者等 又は会計監査人であるときは、その相手方は、当該行為の当時、受託者等がこれらの規定に規定する隠匿等の処分をする意思を有していたことを知っていたものと推定する。

1項
信託財産について破産手続開始の決定があった場合には、次に掲げるものは、破産管財人がする。
一 号
信託法第二十七条第一項 又は第二項の規定による取消権の行使
二 号
信託法第三十一条第五項の規定による追認
三 号
信託法第三十一条第六項 又は第七項の規定による取消権の行使
四 号
信託法第三十二条第四項の規定による権利の行使
五 号
信託法第四十条 又は第四十一条の規定による責任の追及
六 号

信託法第四十二条(同法第二百五十四条第三項において準用する場合を含む。)の規定による責任の免除

七 号
信託法第二百二十六条第一項、第二百二十八条第一項 又は第二百五十四条第一項の規定による責任の追及
2項

前項の規定は、保全管理人について準用する。

3項

第百七十七条の規定は信託財産について破産手続開始の決定があった場合における受託者等 又は会計監査人の財産に対する保全処分について、第百七十八条から第百八十一条までの規定は信託財産についての破産手続における受託者等 又は会計監査人の責任に基づく損失のてん補 又は原状の回復の請求権の査定について、それぞれ準用する。

1項

信託財産について破産手続開始の申立てがあった場合における第三章第二節の規定の適用については、

第九十一条第一項
債務者(法人である場合に限る。以下 この節、第百四十八条第四項 及び第百五十二条第二項において同じ。)の財産」とあり、
並びに同項第九十三条第一項 及び第九十六条第二項
債務者の財産」とあるのは、
「信託財産に属する財産」と

する。

1項

信託財産の破産についての第二百十八条第一項の申立ては、受託者等がする。

2項

受託者等が数人あるときは、前項の申立ては、各受託者等がすることができる。

3項

信託財産の破産について第一項の申立てをするには、信託の変更に関する規定に従い、あらかじめ、当該信託を継続する手続をしなければならない。