社会福祉法

# 昭和二十六年法律第四十五号 #
略称 : 社福法 

第一節 包括的な支援体制の整備

分類 法律
カテゴリ   社会福祉
@ 施行日 : 令和四年十月一日 ( 2022年 10月1日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第十二号による改正
最終編集日 : 2022年 10月13日 16時11分


1項

社会福祉を目的とする事業を経営する者のうち、次に掲げる事業を行うもの(市町村の委託を受けて これらの事業を行う者を含む。)は、当該事業を行うに当たり自らが その解決に資する支援を行うことが困難な地域生活課題を把握したときは、当該地域生活課題を抱える地域住民の心身の状況、その置かれている環境 その他の事情を勘案し、支援関係機関による支援の必要性を検討するよう努めるとともに、必要があると認めるときは、支援関係機関に対し、当該地域生活課題の解決に資する支援を求めるよう努めなければならない。

一 号

児童福祉法第六条の三第六項に規定する地域子育て支援拠点事業 又は同法第十条の二に規定する拠点において同条に規定する支援を行う事業

二 号

母子保健法昭和四十年法律第百四十一号)第二十二条第二項に規定する母子健康包括支援センターを経営する事業

三 号
介護保険法第百十五条の四十五第二項第一号に掲げる事業
四 号

障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第七十七条第一項第三号に掲げる事業

五 号

子ども・子育て支援法平成二十四年法律第六十五号第五十九条第一号に掲げる事業

1項

市町村は、次条第二項に規定する重層的支援体制整備事業をはじめとする地域の実情に応じた次に掲げる施策の積極的な実施 その他の各般の措置を通じ、地域住民等 及び支援関係機関による、地域福祉の推進のための相互の協力が円滑に行われ、地域生活課題の解決に資する支援が包括的に提供される体制を整備するよう努めるものとする。

一 号
地域福祉に関する活動への地域住民の参加を促す活動を行う者に対する支援、地域住民等が相互に交流を図ることができる拠点の整備、地域住民等に対する研修の実施 その他の地域住民等が地域福祉を推進するために必要な環境の整備に関する施策
二 号
地域住民等が自ら 他の地域住民が抱える地域生活課題に関する相談に応じ、必要な情報の提供 及び助言を行い、必要に応じて、支援関係機関に対し、協力を求めることができる体制の整備に関する施策
三 号

生活困窮者自立支援法第三条第二項に規定する生活困窮者自立相談支援事業を行う者 その他の支援関係機関が、地域生活課題を解決するために、相互の有機的な連携の下、その解決に資する支援を一体的かつ計画的に行う体制の整備に関する施策

2項

厚生労働大臣は、次条第二項に規定する重層的支援体制整備事業をはじめとする前項各号に掲げる施策に関して、その適切かつ有効な実施を図るため必要な指針を公表するものとする。

1項

市町村は、地域生活課題の解決に資する包括的な支援体制を整備するため、前条第一項各号に掲げる施策として、厚生労働省令で定めるところにより、重層的支援体制整備事業を行うことができる。

2項

前項の「重層的支援体制整備事業」とは、次に掲げる この法律に基づく事業 及び他の法律に基づく事業を一体のものとして実施することにより、地域生活課題を抱える地域住民 及び その世帯に対する支援体制 並びに地域住民等による地域福祉の推進のために必要な環境を一体的かつ重層的に整備する事業をいう。

一 号
地域生活課題を抱える地域住民 及び その家族 その他の関係者からの相談に包括的に応じ、利用可能な福祉サービスに関する情報の提供 及び助言、支援関係機関との連絡調整 並びに高齢者、障害者等に対する虐待の防止 及び その早期発見のための援助 その他厚生労働省令で定める便宜の提供を行うため、次に掲げる全ての事業を一体的に行う事業
介護保険法第百十五条の四十五第二項第一号から 第三号までに掲げる事業

障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第七十七条第一項第三号に掲げる事業

子ども・子育て支援法第五十九条第一号に掲げる事業

生活困窮者自立支援法第三条第二項各号に掲げる事業

二 号
地域生活課題を抱える地域住民であつて、社会生活を円滑に営む上での困難を有するものに対し、支援関係機関と民間団体との連携による支援体制の下、活動の機会の提供、訪問による必要な情報の提供 及び助言 その他の社会参加のために必要な便宜の提供として厚生労働省令で定めるものを行う事業
三 号

地域住民が地域において自立した日常生活を営み、地域社会に参加する機会を確保するための支援 並びに地域生活課題の発生の防止 又は解決に係る体制の整備 及び地域住民相互の交流を行う拠点の開設 その他厚生労働省令で定める援助を行うため、次に掲げる全ての事業を一体的に行う事業

介護保険法第百十五条の四十五第一項第二号に掲げる事業のうち 厚生労働大臣が定めるもの
介護保険法第百十五条の四十五第二項第五号に掲げる事業

障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第七十七条第一項第九号に掲げる事業

子ども・子育て支援法第五十九条第九号に掲げる事業

四 号
地域社会からの孤立が長期にわたる者 その他の継続的な支援を必要とする地域住民 及び その世帯に対し、訪問により状況を把握した上で相談に応じ、利用可能な福祉サービスに関する情報の提供 及び助言 その他の厚生労働省令で定める便宜の提供を包括的かつ継続的に行う事業
五 号
複数の支援関係機関相互間の連携による支援を必要とする地域住民 及び その世帯に対し、複数の支援関係機関が、当該地域住民 及び その世帯が抱える地域生活課題を解決するために、相互の有機的な連携の下、その解決に資する支援を一体的かつ計画的に行う体制を整備する事業
六 号

前号に掲げる事業による支援が必要であると市町村が認める地域住民に対し、当該地域住民に対する支援の種類 及び内容 その他の厚生労働省令で定める事項を記載した計画の作成 その他の包括的かつ計画的な支援として厚生労働省令で定めるものを行う事業

3項

市町村は、重層的支援体制整備事業(前項に規定する重層的支援体制整備事業をいう。以下同じ。)を実施するに当たつては、

  • 母子保健法第二十二条第二項に規定する母子健康包括支援センター、
  • 介護保険法第百十五条の四十六第一項に規定する地域包括支援センター、
  • 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第七十七条の二第一項に規定する基幹相談支援センター、

生活困窮者自立支援法第三条第二項各号に掲げる事業を行う者 その他の支援関係機関相互間の緊密な連携が図られるよう努めるものとする。

4項

市町村は、第二項各号に掲げる事業の一体的な実施が確保されるよう必要な措置を講じた上で、重層的支援体制整備事業の事務の全部 又は一部を当該市町村以外の厚生労働省令で定める者に委託することができる。

5項

前項の規定による委託を受けた者 若しくは その役員 若しくは職員 又は これらの者であつた者は、正当な理由がないのに、その委託を受けた事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。

1項

市町村は、重層的支援体制整備事業を実施するときは、第百六条の三第二項の指針に則して、重層的支援体制整備事業を適切かつ効果的に実施するため、重層的支援体制整備事業の提供体制に関する事項 その他厚生労働省令で定める事項を定める計画(以下この条において「重層的支援体制整備事業実施計画」という。)を策定するよう努めるものとする。

2項

市町村は、重層的支援体制整備事業実施計画を策定し、又はこれを変更するときは、地域住民、支援関係機関 その他の関係者の意見を適切に反映するよう努めるものとする。

3項

重層的支援体制整備事業実施計画は、

  • 第百七条第一項に規定する市町村地域福祉計画、
  • 介護保険法第百十七条第一項に規定する市町村介護保険事業計画、
  • 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第八十八条第一項に規定する市町村障害福祉計画、
  • 子ども・子育て支援法第六十一条第一項に規定する市町村子ども・子育て支援事業計画

その他の法律の規定による計画であつて地域福祉の推進に関する事項を定めるものと調和が保たれたものでなければならない。

4項

市町村は、重層的支援体制整備事業実施計画を策定し、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表するよう努めるものとする。

5項

前各項に定めるもののほか、重層的支援体制整備事業実施計画の策定 及び変更に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。

1項

市町村は、支援関係機関、第百六条の四第四項の規定による委託を受けた者、地域生活課題を抱える地域住民に対する支援に従事する者 その他の関係者(第三項 及び第四項において「支援関係機関等」という。)により構成される会議(以下この条において「支援会議」という。)を組織することができる。

2項
支援会議は、重層的支援体制整備事業の円滑な実施を図るために必要な情報の交換を行うとともに、地域住民が地域において 日常生活 及び社会生活を営むのに必要な支援体制に関する検討を行うものとする。
3項

支援会議は、前項に規定する情報の交換 及び検討を行うために必要があると認めるときは、支援関係機関等に対し、地域生活課題を抱える地域住民 及び その世帯に関する資料 又は情報の提供、意見の開陳 その他必要な協力を求めることができる。

4項

支援関係機関等は、前項の規定による求めがあつた場合には、これに協力するよう努めるものとする。

5項
支援会議の事務に従事する者 又は従事していた者は、正当な理由がないのに、支援会議の事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。
6項

前各項に定めるもののほか、支援会議の組織 及び運営に関し必要な事項は、支援会議が定める。

1項
重層的支援体制整備事業の実施に要する費用は、市町村の支弁とする。
1項

国は、政令で定めるところにより、市町村に対し、次に掲げる額を合算した額を交付金として交付する。

一 号

前条の規定により市町村が支弁する費用のうち、重層的支援体制整備事業として行う第百六条の四第二項第三号イに掲げる事業に要する費用として政令で定めるところにより算定した額の百分の二十に相当する額

二 号

前条の規定により市町村が支弁する費用のうち、重層的支援体制整備事業として行う第百六条の四第二項第三号イに掲げる事業に要する費用として政令で定めるところにより算定した額を基礎として、介護保険法第九条第一号に規定する第一号被保険者(以下 この号において「第一号被保険者」という。)の年齢階級別の分布状況、第一号被保険者の所得の分布状況等を考慮して、政令で定めるところにより算定した額

三 号

前条の規定により市町村が支弁する費用のうち、重層的支援体制整備事業として行う第百六条の四第二項第一号イ 及び第三号ロに掲げる事業に要する費用として政令で定めるところにより算定した額に、介護保険法第百二十五条第二項に規定する第二号被保険者負担率(第百六条の十第二号において「第二号被保険者負担率」という。)に百分の五十を加えた率を乗じて得た額(次条第二号において「特定地域支援事業支援額」という。)の百分の五十に相当する額

四 号

前条の規定により市町村が支弁する費用のうち、重層的支援体制整備事業として行う第百六条の四第二項第一号ニに掲げる事業に要する費用として政令で定めるところにより算定した額の四分の三に相当する額

五 号

前条の規定により市町村が支弁する費用のうち、第一号 及び前二号に規定する事業以外の事業に要する費用として政令で定めるところにより算定した額の一部に相当する額として予算の範囲内で交付する額

1項
都道府県は、政令で定めるところにより、市町村に対し、次に掲げる額を合算した額を交付金として交付する。
一 号

前条第一号に規定する政令で定めるところにより算定した額の百分の十二・五に相当する額

二 号

特定地域支援事業支援額の百分の二十五に相当する額

三 号

第百六条の七の規定により市町村が支弁する費用のうち、前条第一号 及び第三号に規定する事業以外の事業に要する費用として政令で定めるところにより算定した額の一部に相当する額として当該都道府県の予算の範囲内で交付する額

1項

市町村は、当該市町村について次に定めるところにより算定した額の合計額を、政令で定めるところにより、介護保険法第三条第二項の介護保険に関する特別会計から一般会計に繰り入れなければならない。

一 号

第百六条の八第一号に規定する政令で定めるところにより算定した額の百分の五十五に相当する額から同条第二号の規定により算定した額を控除した額

二 号

第百六条の八第三号に規定する政令で定めるところにより算定した額に百分の五十から第二号被保険者負担率を控除して得た率を乗じて得た額に相当する額

1項

市町村が重層的支援体制整備事業を実施する場合における介護保険法第百二十二条の二(第三項を除く)並びに第百二十三条第三項 及び第四項の規定の適用については、

同法第百二十二条の二第一項中
費用」とあるのは
「費用(社会福祉法第百六条の四第二項に規定する重層的支援体制整備事業(以下「重層的支援体制整備事業」という。)として行う同項第三号イに掲げる事業に要する費用を除く。次項 及び第百二十三条第三項において同じ。)」と、

同条第四項中
費用」とあるのは
「費用(重層的支援体制整備事業として行う社会福祉法第百六条の四第二項第一号イ 及び第三号ロに掲げる事業に要する費用を除く)」と

する。

2項

市町村が重層的支援体制整備事業を実施する場合における障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第九十二条の規定の適用については、

同条第六号
費用」とあるのは、
「費用(社会福祉法第百六条の四第二項に規定する重層的支援体制整備事業として行う同項第一号ロ 及び第三号ハに掲げる事業に要する費用を除く)」と

する。

3項

市町村が重層的支援体制整備事業を実施する場合における子ども・子育て支援法第六十五条の規定の適用については、

同条第六号
費用」とあるのは、
「費用(社会福祉法第百六条の四第二項に規定する重層的支援体制整備事業として行う同項第一号ハ 及び第三号ニに掲げる事業に要する費用を除く)」と

する。

4項

市町村が重層的支援体制整備事業を実施する場合における生活困窮者自立支援法第十二条第十四条 及び第十五条第一項の規定の適用については、

同法第十二条第一号
費用」とあるのは
「費用(社会福祉法第百六条の四第二項に規定する重層的支援体制整備事業(以下「重層的支援体制整備事業」という。)として行う同項第一号ニに掲げる事業の実施に要する費用を除く)」と、

同法第十四条
費用」とあるのは
「費用(重層的支援体制整備事業として行う事業の実施に要する費用を除く)」と、

同法第十五条第一項第一号
」とあるのは
「額(重層的支援体制整備事業として行う社会福祉法第百六条の四第二項第一号ニに掲げる事業に要する費用として政令で定めるところにより算定した額を除く)」と

する。